King & Princeがライブツアー『King & Prince LIVE TOUR 24-25 ~Re:ERA~ in DOME』の東京ドーム公演を7月10日に行った。このツアーは昨年リリースしたアルバム『Re:ERA』を携えて行われているもの。アリーナツアーを経て、追加公演として5月からドーム公演が始まった。みずほPayPayドーム福岡、東京ドーム、京セラドーム大阪の3会場で計38万人を動員。東京ドーム公演は7月10日から12日までの3日間で、16万5千人の動員を予定している。
初日の公演前には囲み取材が行われた。登場するなり、「暑いので水飲んでください」(永瀬廉)、「短い間ですが、ちょっとでも楽しくできたらなと思うのでよろしくお願いします」(髙橋海人)と、マスコミにも気を遣う2人。今回は2人体制になってから初の東京ドーム公演ということで、公演を前にした心境を問われると、永瀬が「めちゃくちゃ気持ちが高まっていて。さっき海人が、”ぶちかまそうぜ”みたいなことを言いたかったんでしょうけど”ぶちかま散弾銃だな”とさっそく意味のわからないことを言ってきてすでにちょっと疲れています(笑)」と明かしながらも、「幸せな時間を作って、今日から始まる3日間、全力でやりきれたらと思っています」と意気込む。髙橋も「ファンのみんなはもちろんですけど、ここにいらっしゃる記者さんたちのようにこれまで仕事で一緒に頑張ってきた皆さんにも”ここまで大きくなったな”って思っていただきたいのと同時に、”これからもどんどん大きくなっていくんだろうな”と思ってもらえるようなステージを廉と2人で作っていけたらなと思っています」と語った。
King & Princeはミッキーマウスの“ベストフレンド”として新テーマソング「What We Got ~奇跡はきみと~」を制作、5月23日に配信リリースした。これにちなんで「ミッキーとチャレンジしたいこと」を聞かれると、永瀬は「実家に連れて行きたい。母親の手料理を食べてもらって、畳の部屋で川の字で寝たい。(お風呂で)背中を流したい」と回答。すると髙橋が「俺も廉の実家行ったことないのに、ミッキーに先行かれるのはちょっと悔しい気持ちはある」と嫉妬心を見せつつも、「僕は高所が苦手なので、バンジージャンプとかスカイダイビングをミッキーと一緒にやりたい。ミッキーといれば克服できるんじゃないかな」と、各々“ベストフレンド”に思いを馳せた。
5月のみずほPayPayドーム福岡での思い出を尋ねられると、永瀬が「場当たりで入った、誰もいない福岡ドームで”こんなに広いところを2人で埋めんねんな”って思った。ゆっくり見渡して、”俺ら、本当にまたこの場に立つことができるんだな”っていう時間が湧いてちょっと感慨深くなった」と思い返す。髙橋も「ファンの皆さんのエネルギーって本当にすごいんですよ。広いし、5万人くらいの人が入ってるから。それに圧倒されたときに、曲中で廉と目が合うと”頼もしいな”って思って。会場は広いけど、広く感じないというか。廉と一緒だったらやっていけるなって思う」と話すと、永瀬が「“海人がいるからなんとかなるっしょ”みたいな気持ちはある。長年一緒にやっているので、顔を見るだけでちょっとリラックスできるような、心がちょっと緩むような、そういう瞬間を福岡で感じたので、東京でも何かあったらアイコンタクトで励まし合おうかなと思います」と、共に、広いからこその互いの存在に安心感を覚えると話した。この“広い会場に立つ2人”というのは、演出を考える上でのポイントにもなったそうで、髙橋は「演出の打ち合わせをしてみて、大きく見せないでいいんだよなと思った。逆に、広さを使って、狭い2人の距離感を楽しむ雰囲気、自分たちにしか出せない雰囲気を皆さんに楽しんでもらったらいいんだなって。大きく見せるのではなく等身大で見せる、ということは意識しました」と、ドームならではの演出の意識を明かした。
最後に「What We Got ~奇跡はきみと~」にちなんで「最近奇跡だと思ったこと、もしくは奇跡に頼らず自分たちで“やってやるで”と思ったことは?」という質問が投げかけられると、しばし考え込む2人。熟考の末、最近自分で髪の毛を切っているという永瀬は「こういう形になればいいなと思いながら切って思い通りに切れたこと」と回答。「僕が起こした奇跡です」とにっこり。一方髙橋は、「毎日が奇跡だと思ってるんで、これといった奇跡はなくて……」と言い、「“やってやんよ”で言うと今日ですね。2人体制になってからずっと頑張ってきて。ドラマや映画に出させてもらうなどお互いのそれぞれの仕事もグループにつながると思ってやってきての今日なので、2人になったらパワーがすごいことになっているというのを皆さんに見せたいと思っています。やってやんよ!」と気合いを見せて、囲み取材を締めくくった。
7/10 東京ドーム公演 ライブレポート

今回の演出について、髙橋が「アルバムの世界観と、ファンのみんなが求めているアイドル像を共存させたいと思った」「前半はアルバムの世界観をぎゅっと詰め込んで、世界観にどっぷり浸かっていただいたあとは、みんなと近い距離で触れ合えるような、King & Princeらしい距離感でみんなと楽しめるアイドルソングを詰め込んだ演出になっている」「1回のライブで2本見たくらいの満足感は届けられるんじゃないかな」と説明していた。その言葉通り、前半は宇宙を思わせるステージセットの中、King & Princeの2人が宇宙に飛び立つという物語を描きながら進行。無機質な「LOVE HACKER」やリズミカルな「WOW」、“城之内くんとたけやん”による「Harajuku」など、アルバム『Re:ERA』の収録曲を中心にパフォーマンスしていく。ダンサーを迎えスケール感のあるパフォーマンスを見せたり、緑黄色社会メンバーが作詞作曲手がけた「ボーイミーツガール」を伸びやかに歌い上げたり、さらには髙橋が描いたキャラクター・セロルが登場したりと、多方面に渡るスキルも惜しみなく見せていく2人。かと思えばダンスをレクチャーしたり、トロッコで客席内を進んだりと、Tiara(King & Princeのファンネーム)と一緒に楽しむことも忘れない。またSKY-HIと髙橋のコラボによる「POPSTAR in the KINGDOM」、西畑大吾(なにわ男子)、正門良規(Aぇ! group)と永瀬のコラボによる「染み」と、それぞれの交友関係や特性を生かしたソロ曲も披露した。
ミッキーマウスのテーマソング「What We Got ~奇跡はきみと~」では、スペシャルゲストとしてミッキーマウスが登場。歌い踊る2人の間に、ポップアップでミッキーマウスが登場すると、割れんばかりの大歓声が東京ドームに響き渡った。大興奮の空気の中、King & Princeの2人はミッキーマウスと踊ったり、花道を進んだりと、スペシャルなパフォーマンスを見せた。歌唱が終わると、2人はミッキーとトーク。ミッキーの「会えてうれしいよ」という言葉に髙橋が「俺もうれしいよ」と返してハグするなど、King & Princeの2人もミッキーとのステージに興奮した様子を見せた。そして、改めて「What We Got ~奇跡はきみと~」のサビの振り付けを、ミッキーと共にレクチャーしてみせた。ミッキーがステージを去ったあとも2人は「特別な時間だったね」「ここまでやってきてよかったね」と余韻さめやらぬ様子で噛み締めていた。

後半は、髙橋の説明通り「シンデレラガール」「HEART」といった人気曲やライブ定番曲が続く。大きな惑星モチーフのフロートや、2階席・3階席のTiaraの元まで届く巨大気球も登場し、2人はTiaraに手を振ったり、愛おしそうに客席に視線を送ったりしながら、近い距離でTiaraとの交流を楽しむ。さらに本編が終わったと思わせたあとに、突如イントロが流れ始め本編ラスト曲をパフォーマンスするなど、最後までこだわりの演出でTiaraを楽しませて東京ドームの初日公演を終えた。
この日の東京は、大きな雷音が東京ドーム内にも届くほどの荒天に。しかし楽曲に雷音がうまく加わる場面もあり、自身たちでも「”雷をも演出に加えた”って記者さんたち書いておいてください」と言っていたほど、雷も味方につけていた彼ら。2人のメンバーカラーを元にした黄色と白のペンライトが、宇宙に光る星のように場内を彩るのも印象的だった。また、2人が離れたところに位置したリフターでの歌唱時に、2人が向かい合って目を合わせる場面もあった。広い会場どころか天気まで自らの演出にしてしまったかと思えば、広い空間で2人きりの空気を作り出すなど、大きな東京ドームという会場を巧みに使い、スキルと愛で東京ドームを満たしたKing & Prince。アルバム『Re:ERA』の1曲目を飾る「Odyssey」で<きみとなら大気圏外の未来も近い><諦めてきた絵本のようなフィナーレだって僕らは掴めるから>と歌う彼らの旅は、メンバー、そしてTiaraやベストフレンドと共に、まだまだ続く。

取材・文/小林千絵