──THE Good-Byeのデビュー40周年、おめでとうございます。

「ありがとうございます!ただ、実はそんなに感慨深いとか、思うところというのは特になくて(笑)。最初の7年間があって、活動休止していた時期が13年あって、デビュー20周年の2003年に活動を再開してからは、自分たちのペースで自然体で活動してきたからね。“あ、40周年か……”ぐらいな感じ。思うところがあるとすれば、メンバーのひとり、ベース&ボーカルの加賀八郎が亡くなっているというのは大きいかな。病気だから仕方ないけど、亡くなってなかったら4人で40周年を迎えてたんだろうなとは思う」

──20周年を機に活動を再開して以降、続けられてきた理由は?

「活動休止していた13年間も、メンバーとはしょっちゅう会ってたので、懐かしいね、また一緒に音が出せるね、頑張っていこうねっていう感じじゃなかったのが良かったと思う。飲み会をやって、次は新年会って感じでよく会ってたから(笑)。あとは、ライブをするとファンの人たちが想像以上に喜んでくれるのは大きかったですね。それと、自分もメンバーも気持ちの部分では歳をとってないじゃないですか(笑)。それは僕だけじゃなくて、メンバー全員デビュー当時からほぼ変わってないから」

──そうしようと心がけているわけではなく、みなさんの性分、あるいはバンドの雰囲気がそうさせている?

「何なんでしょうね?ケンカもまったくないし、いがみあいみたいなものもないし。活動休止中に会ってたっていうのもあるかもしれないけど、結局はそれぞれがThe Good-Bye以外の音楽活動をしているので、常にみんな音楽には携わっていて。だから、演奏面でのリハビリ的なものも必要ないし、The Good-Byeは安心できる母船みたいなもの。もう解散できないし、しようと思ってもメンバー1人の承諾は絶対に得られないし(笑)。20周年の時は、活動を再開して解散しようって曾我(泰久)さんに話したりもしたけど、もはや今の状態で解散は考えられない」

──デビュー40周年を記念して、これまでの楽曲を再アレンジしてレコーディングしたアルバム『Oldies But Good-Buy! Vol.Ⅲ』がリリースされます。

「今回、40周年で東名阪ツアーをしようっていう話をした時に、来てくれたお客さんのためにお土産を作ってあげたいなって、曾我さんが言ってきたんですよ。それぞれが持ち寄った曲をアレンジし直して、レコーディングしようって。それが、今年の始めぐらい。そこから僕はすぐに曲を選んで、新しいアレンジをしました。候補曲はもう少しあったけど、みんなで連絡を取り合って、それぞれが選んだ曲を共有しつつ、じゃあこの曲にしようって話し合いをしながら選曲していきました。そしたら、シングル曲が1曲も入ってないっていう(笑)」

──ちなみに、野村さんが選んだのは?

「「Without You」と「Hong Kong Blues」、「聖 YAH!」、「僕色に染めて」の4曲です。「Without You」は、僕が24歳の時の曲だけど、コンサートとかで最もやってない曲。「Hong Kong Blues」は、シャッフルのリズムに変えて演奏してみたいなと思って選びました。「聖 YAH!」は加賀さんの曲で、最初に加賀さんが作ったデモテープを聴いた時にすごくかっこいいギターのリフだなって、衝撃を受けたんです。加賀さんはベーシストなのに、僕だったら思いつかないような、こんなすごいリフを弾くんだなって。今回は、そのリフを使わず、自分で作ったリフでレコーディングしてます。あの加賀さんのリフなしでこの曲が成立するのか、ちょっと試したかったというか。「僕色に染めて」は、「Without You」とは逆で、今までもいっぱい演奏してきた曲です。ただ、オリジナルがあまりにも短いので、もうちょっとちゃんとした曲として、今の僕がアレンジするならこういう感じかなって」

──完成したアルバムを聴いてみての第一印象は?

「通して聴いて、ようやくって言ったら変だけど、バンドっぽい感じのサウンドだなって思いました。すごくシンプルに作ったから。下手っぴなところは下手っぴだし、カチッとしてないところはカチッとしてない。コンピュータを使わずに、全部人力でやっていることが大きいのかな。楽器もなるべく裸だし、少なめだし、シンプルに曲の良さが伝わるんじゃないかと思います。ガキンチョの自分たちが作った曲を、おっさんになった自分たちが演奏するっていう。昔のほうが優れている部分があるんですよ。曲作りにしろ、演奏の勢いにしろ。それに負けないようにしようと思ったんですけど、だからなのかレコーディングは面白かったですよ」

──昔の曲作りや演奏についての変化を感じたということですね。それ以外の部分で変化したなと感じる部分はありますか?

「メンバーの人間的な部分は、変わってない。だから、同じように付き合えるし。音楽的な部分は、全体的にもちろん変化してますよね。勉強して、経験を積んで、すごく成長したと思います。成長してなかったら、困るけどね(笑)。昔はギターソロを録るのに4時間とか5時間かかっていたのが、今は1回弾いたら録れる。気持ち的に、1回でOKにしようという緊張感を持ってやってもいるし」

──それは、1回で録れたほうがいいものになるからですか?

「そんなことないと思いますよ。でも、いっぱい弾きすぎるとつまんなくなる。作り込みすぎちゃったり、細かいところを直したり。人間がやってることなんで、間違えてもいいんですよ。1番と2番のフレーズが違っててもいいんです。実際、僕は間違えてもそんなに弾き直さないですから」

──その考えは、野村さんの中にずっとあるものなんですか

「昔は違うよ。弾きすぎるとつまんなくなるなって思うようになったのは、活動休止後。自分でバンドを持ったり、ソロで活動する中で、きちっと作ろうと思ったらつまんないものができそうだな、一発録りが楽しいなって。何回も演奏してちゃんとしたものを作ろうとすると、勢いが見えなくなっちゃうからダメなんですよ。上手になりすぎると、ライブ感もなくなっちゃう。僕たちが、レッド・ツェッペリンやビートルズのレコードを聴いて、ミストーンを見つけた時の喜びもなくなっちゃう(笑)。当時のレコードには、ミストーンがいっぱいあるから。ミストーンを見つけた時に、初めてジミー・ペイジも人間だなって思うんですよ。ジョージ・ハリスンが「ペイパーバック・ライター」でコーラスの最初の音を探してるとか、ジミ・ヘンドリックスが「パープル・ヘイズ」のイントロで咳き込んでるとか、そういうのが人間的で好き。「レット・イット・ビー」でポールがピアノを間違えてたり、リンゴがドラムスティックを取る音が入っている曲があったり……それが、最高にいい!」

──The Good-Byeがここまで続いてきたのは、メンバーの関係性によるところが大きいということですが、それは公私を問わず?

「メンバー同士が、尊敬しあってるんだと思います。ずっと音楽活動を続けていて、音楽で生きているという部分で。その尊敬があるから、関係が保たれているんだと思います。3人でお酒を飲んでいる時は……何を話してるんだろう?記憶にないぐらい、つまんない話ですよ(笑)。学生時代からの同級生が、“昨日、あのテレビ見た?”とか。音楽の話は、みんな好きなものが違うから続かないし、そういう意味では共通の話題はないですね。でも、だから面白いのかもしれない」

──アルバムリリース直後の東名阪ツアーは、どんなライブになりそうですか?

「40周年にふさわしい内容になっているんじゃないかと思います。ただ、特別に感動的な部分はないんじゃないかな?(笑)。古くから応援してくれている人は絶対に楽しめるし、若い人、最近ファンになった人も楽しめる、いろんなタイプの曲があるセットリストにしています」

──もう解散はしないという話がありましたが、今後も自分たちのペースで楽しく活動を続けていく?

「区切りのライブが終わったあとは、何も決めてないんですけど、また何か作ってもいいんじゃないかなと思ってます」

──最後に、The Good-Byeは野村さんにとって、どんなバンドですか?

「The Good-Byeは、活動を休止して再開するまでの間に好きになったバンドなんです。音楽的にいろんな体験をして、音楽のことがわかってきたら楽しくなってきた。昔は、The Good-Byeの曲を自信を持って演奏できていなかったのかもしれない。今はすごく好きなバンドだし、“いい曲書いてるじゃん!”って思いますから(笑)」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/平野哲郎

The Good-Bye 40th Anniversary Concert TourLIVE INFO

2023年9月7日(木)ダイアモンドホール(名古屋)
2023年9月8日(金)なんばhatch(大阪)
2023年9月10日(日)昭和女子大学 人見記念講堂(東京)

DISC INFOThe Good-Bye『Oldies But Good-Buy! Vol.Ⅲ』

2023年9月6日(水)発売
初回限定盤(CD+CVD)/UICZ-9238/4,400円(税込)
通常盤(CD)/UICZ-4648/3,300円(税込)
ユニバーサル ミュージック

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