──KAIさんとkowta2さんが加入されて、2月末からは『「Happy Ender」発売記念ミニライブ&握手会』を行われていますが、このリリースイベントの印象を聞かせてください。
U「今まで知ってくれていたファンの人は、不安もありつつ、新体制を楽しみにしてくれているんですけど、思っていたよりもすごく受け入れてくれている感じがあります。(今回のイベントは)ショッピングモールでやっているので、結構ハートフルな空気の中、僕らはわりとロックなライブをするんですけど、以前よりも初めての方が足を止めてくれている手応えもあります」
藤掛昌斗「この5人でやっているグルーヴ感がシンプルにとても楽しいんですよ。そうやって自分たちが楽しんでいることが、ファンの人たちとか立ち止まってくれる人たちに伝わっているんだなって。その確信を得られたのが自分たちにとってはかなり収穫でしたし、“求めていたものだった!”と感じています」
渡部怜「リリースイベント自体、2019年にリリースした「Snow White Girl」以降はやっていなかったので、約5年振りなんですけど、メンバーとマネージャー2人のチームみんなでハイエースに乗って全国各地を回っていて。“もう一度ここから”っていうゼロイチの感じをみんなで一本一本噛み締めながら、“ニューTHE BEAT GARDENを120%やりきるんだ“っていう気持ちでやっています」
──では、KAIさんはいかがでしょうか。ステージで歌っていてどんなことを感じますか?
KAI「今まではひとりで活動をしていたんですけど、横を見ると一緒に歌ってる人がいて、後ろにはDJがいるっていうのが、とにかくフレッシュな感じです。でも、それが初めての感覚ではないというか…。初めてと言えば初めてのことではあるんですけど、自分のパフォーマンスをマックスで、落ち着いて出来ている感じがあって。すごく楽しくて最高です」
──横で見ていてKAIさんは落ち着いている印象あります?
U「めっちゃありますね。信じられないぐらい」
藤掛昌斗「うん」
U「俺らやばかったんですよ、最初の頃のリリースイベントのときって。でも、kowta2もそうですけど、KAIも場数こそ少ないのに、こなすじゃなくて、ちゃんとカマすのほうでいけているのがいいですね」
──いいですね、“こなすじゃなくてカマす”。
U「いいワードが出ましたね。“出たな!”って思いました」
──(笑)。kowta2さんはこれまでサポートDJとして参加していたわけですが、正式メンバーとしてステージに立ってみたことや、4人が前に立っている状況に対してはどんな感覚がありますか?
kowta2「不思議なような、不思議じゃないような感覚ですね。前に立っているのが3人から4人になったので、真ん中が空いて視界は良くなってるんですけど…」
U「立ち位置的にね」
kowta2「そう(笑)。人数が増えたこともそうですし、サポートからメンバーになったことで会う回数も増えているので、前よりも仲良くやれています。そう思ってるのは僕だけかもしれないですけど…」
U「んなことないよ!」
kowta2「はははは(笑)。KAIとも仲良くしているので、ライブもとても楽しいですし。自分が一番楽しんでいるくらい楽しんでやっていますね」
──今日は新メンバーのお2人のことについてもいろいろお聞きしたいんですが、まず、kowta2さんについて。そもそもは怜さんが16歳の頃からの知り合いだったそうですけど。
渡部怜「そうです。僕とkowta2の親が美容師をやっているんですけど、美容師が集まる会みたいなところで親同士が意気投合して。僕もkowta2もダンスをやっていたので、その話をしているうちに仲良くなったっていう、ここの関係値が元々あったんです。それで、僕らが“新たにDJを入れたい”となったときに、kowta2も東京に出てきていて、DJを頑張っていることを聞いていたので連絡したところからサポートが始まったという流れです」
U「前のDJが辞めたタイミングで、怜から“どうすか?”っていう話があって。kowta2も僕らのライブに来てくれていたから顔見知りではありました」
──そうだったんですね。kowta2さんとしては、サポートを務めるにあたってどういう距離感でやろうかとか、いろいろ考えていたところもあったと思うんですけど、その当時はどんなことを考えていましたか?
kowta2「結構控えめにはしていましたね、表の方では。裏ではガツガツいってましたけど」
U「楽屋で鬼うるさいのに、MCで全然しゃべらないんですよ」
kowta2「そこは“3人をちゃんと立たせないと“って思っていたので(笑)」
──裏では完全にムードメーカーだった?
U「そうですね。ムードメーカーでしたし、3人目のマネージャーみたいな感じというか…今もそうですけど、メンバーをすごく立ててくれるので。でも、正式メンバーになって、“一歩下がってくれていたんだな”っていう感じは今、すごくあります。それは悪い意味じゃなくて、曲を作るにしても、グッズひとつ作るにしても、これまでよりもレスポンスの量がすごく増えているから、自分の意見をスムーズに言えるようになったんだと思います」
──KAIさんに関しては、UさんがSNSで歌声を聴いて惚れ込んだそうですね。
U「先にkowta2がメンバーとして加入することが決まっていたんですけど、“もっとダンスミュージックとロックを融合させたい”、“THE BEAT GARDENというものを尖らせて、おもいきりロックをやりたい“っていうムードになっていて。そのときにKAIの声を聴いたんです。”すごく透明感があって中性的だな“と思ったんですけど、ファンの方が上げていたライブの動画が、お客さんの中に飛び込んで歌っているロックな感じだったので、”この声でこっちもいけるんだ!? 俺らにめっちゃ合う!“と思って声をかけました」
──KAIさんは連絡が届いたときにどう思いました?
KAI「InstagramのDMで連絡が届いたんですけど、二言目ぐらいで“大事な話がある”って言われて、ちょっと怖くて(笑)」
U「ははははは(笑)」
KAI「そこから実際に会うことになったんですけど、初めて会った日に他のメンバーにも会わせてもらって…って感じでした」
──かなり展開が早かったんですね。
U「最初に“大事な話がある”って言ったのは、そこで引いちゃう子はたぶん付いてこれないだろうと思ったからだったんですけど、すぐにレスポンスをくれて。最初は2人で会ったんですけど、席について2分ぐらいで“THE BEAT GARDENに入ってほしいんだよね”って。でも、物怖じせずに、すごく前向きなリアクションをしてくれたんです。THE BEAT GARDENのことも、「present」をたまたまドラマ(『アイのない恋人たち』)を観ていて知ってくれていたみたいで。それでメンバーも呼んで、5人で楽しく食事して、みたいな感じでした」
──昌斗さんと怜さんは、Uさんから“気になっている人がいる”みたいな話は事前に聞いていたんですか?
藤掛昌斗「そうですね。“見つけたわー!”っていう感じでSNSを見せてくれたんですけど、なんていうか、“こんなにいい声帯を授かっている子がいるんやなぁ“って思いました(笑)。本当に圧倒的で、歌声の説得力みたいなものがすごくて。実際に会ってみたら人間性もすごく良くて、一緒にいて楽しかったですし、何よりもそれが大事だと思ったので、すぐに同意しました」
渡部怜「KAIの第一印象は、“話し声が本当にキレイだな”と思って。会ったその日は生でKAIの歌声は聴いていないんですけど、話し声とSNSで観た動画の歌声はすごく通じるものがあると思いましたし、何よりも5人の空気感が、“初めまして“だけど、初めまして感がないというか…。いい意味ですごく馴染んでいて、5人でいることに違和感がなかったので、これから先、もっと自然な感じになっていくんだろうなっていうのを、早い段階で感じました」
──歌だけでなく人柄も良かったと。
藤掛昌斗「僕ら3人は友達だったところから始めているので、“一緒にやっていて楽しくないと意味がない”というのは前提としてあったんです。kowta2もすごく気の知れた仲間でしたし、そこに入ってきてくれたKAIとも、本当にすぐに打ち解けることができて。この話に乗ってくれたKAIも、もしかしたら自分がやりたいと思っていた音楽とか、いろいろ考えていることがあったかもしれないですけど、THE BEAT GARDENというものに夢を持ってくれる一世代若い人というのが、僕としてはすごく嬉しかったですし、やっぱりすごい覚悟を持って決めてくれたと思うんです。そういう2人が加入してくれることになって、僕たち自身も恵まれていると思いますし、すごく嬉しいです。今はすごくワクワクしています」
──新体制での初音源「Happy Ender」についてですが、先ほどUさんが“THE BEAT GARDENというものを尖らせて、おもいきりロックをやりたい”とおっしゃっていましたが、まさにその印象を強く受ける楽曲になっていて。この曲はUさんが作詞作曲をされていますが、新体制の第一声をどういうものにするのか、いろいろと考えながら制作されたんでしょうか?
U「そこはロジカルに作るというよりは、KAIの声が頭の中で鳴っている状態で曲を作るのが楽しかったので、何十曲も自分で作っていたんです。そういう中で、「Happy Ender」のサビのメロディは2年前ぐらいに作って、“いいメロディだな”と思って出さずに取っておいたものだったんですけど、サビで転調させたときに、KAIの声にすごくハマると思ったので、作っていた曲とガッチャンコしました」
──なるほど。
U「今までのTHE BEAT GARDENは、あくまでもポップスというか…。尖りきらない丸みがあるところが良さでもあったんですけど、KAIとkowta2が加入してくれたことでおもいきり飛び込めたというか…。すごく些細なことではあるんですけど、たとえばギターの音色とか、ラップを入れたこととか、歌い方とかは、この曲で一歩先に進めた感じがすごくあります。さらにエレクトロロックを出来ている感じがあります」
──ちなみに、新体制1枚目のタイトルが「Happy Ender」で、メジャーデビュー曲のタイトルは「Never End」でしたよね。
U「そうなんですよね」
──そことリンクさせていたりとかは?
U「いやぁ、全然考えてな…考えてました!」
──たまたまだったんですね(笑)。
U「はい(笑)。「Happy Ender」というタイトルは、これまで3人で思い描いていたハッピーエンドがあったんですけど、2人と出会って一緒にやることになって。だから、3人が思い描いていたハッピーエンドが終わることと、2人は僕らに新しいハッピーエンドをくれた人という両方の意味で、このタイトルにしました。ここから新しい結末を描いていくという。でも、メジャーデビューシングルが「Never End」なのもあって、何ていうか、自分は何かの始まりにひとつの終わりを歌う人間なんだなって思います。だから、これはやっぱり大きな節目なんだなって、後からですけど改めて感じました」
──怜さんとしては、最初に「Happy Ender」を聴いたときの印象や、ラップのお話もありましたけど、この曲にどうアプローチしようと考えましたか?
渡部怜「新しい体制になって、それぞれの個性を活かしていかないと意味がないと思いますし、それを表現できる曲だなって、デモを聴いたときに思いました。僕はダンスもそうだし、洋楽をずっと聴いてきたこととか、元々はラップで2人(U、昌斗)と出会っているので、原点に戻るというか…。ただ、ラップをやっていなかった期間でいろいろ得たものもありましたし、逆にラップしかやっていなかった時期と比べて、いろんな武器を持ってラップというものを表現できた感覚が自分の中にあります。ここから怜というものを表現していく第一歩のシングルになったと思います」
──原点に戻りつつも、またここから表現の幅も広がっていきそうな。
渡部怜「そうですね。“自分はこういう表現もできるんだ”って改めて発見できたところもあったので。自分自身をワクワクさせながらやっていきたいです」
──昌斗さんは「Happy Ender」を聴いたときにどんな感覚がありました?
藤掛昌斗「最高でした。“これを望んでいた!”って。作り上がっていく経過を見ていて、“このパートをこのメンバーに歌わせたいんだな“っていうのもすごく明確でしたし、この5人でやる意味がどんどん濃くなっていくような印象があったのも嬉しかったです。本当に自分たちの本音をちゃんと叫べる曲になったと思います。ここまでやってきたことと、ここから出来ることの決意表明じゃないですけど、”もう後戻りできない“ということをちゃんと歌えているので。新体制最初のシングルとして、ちゃんと責任を持って発信できるメッセージ性があるので、それをすごく感じながら歌っています」
──KAIさんは、THE BEAT GARDENとして初のレコーディングはいかがでしたか?
KAI「初めてだから馴染んでいこうっていう気持ちはあったんですけど、“はみ出したいな”っていう気持ちも、いい意味であって。初めてのレコーディングではあったんですけど、自分ひとりで歌を録らないっていうことと、ちゃんとした環境で録るっていうことに対しては、プレッシャーとかそういうものはなくて。ただずっとワクワクした感情のまま歌い終えることが出来ましたし、すごくいいものができました」
──ライブ同様、落ち着いてできたと。
kowta2「僕はデモを聴いた段階でテンションが上がりました。聴いてすぐにスクラッチを録音して送り返したくらいだったので、これからとても楽しみだし、“売れるでしょ?”みたいな感じでした」
──あのスクラッチは実際に録っているんですね。
U「僕もあそこにスクラッチを入れるイメージで作っていたんですけど、そのことは特に何も言わずにメンバー全員にデモを送ったら、2分後ぐらいにkowta2がスクラッチを入れて返してくれたので、“ナイスナイス! そういうこと!”って。そういうところは阿吽の呼吸で出来ている感じはとてもあります」
──素晴らしいですね。
──カップリングの「She」はKAIさんが作詞作曲をされていて。この曲はいつ頃に作ったんですか?
KAI「時期的には「Happy Ender」と同じくらいでしたよね?」
U「うん。加入して1週間後ぐらいには“曲作りますよ”っていう話になって」
──サウンド的にはUKガラージや2ステップを踏まえたものになっていますね。
KAI「僕は歌詞というよりは音的なアプローチで曲を作っていくことが多いので、まずメロディを作って。それがかなりキレイなメロディだったので、“失恋ソングにしたらよりキレイな曲になるかな?”と思って。でも、ただ言葉をはめるだけだとチープなものになっちゃうので、その切なさをマックスで引き出せる言葉選びを頑張りました」
U「「She」というタイトルの意味を聞いたら、それまで恋人という意味で彼女と呼んでいた人が、ただの彼女に変わるっていう。そういう思考ってクリエイティヴですごく才能を感じましたし、“音の鳴りを重視している”ってKAIは言ってますけど、歌詞だけを見てもすごくグっとくるものがあったんです。だから、本人が思っているよりも、これからもっともっとたくさんの人を感動させる歌詞を書く人になるんだろうなって、1曲目から感じました」
kowta2「めちゃくちゃいい曲だし、めちゃくちゃ天才だなと思いましたね。“この人見つけたの誰だっけ?”って思うくらい」
U「俺な?」
kowta2「(笑)すごくいいメロディで、聴きやすいし。デモの段階で最後まで普通に聴けたので、“天才だ!”と思いました」
KAI「嬉しい(笑)」
渡部怜「メロディラインもすごくキレイですし、歌詞もいいんですけど、お話にあったUKガラージの感じをJ-POPに落とし込みつつ、向こうの雰囲気もちょっとあったりして。紐解いていくと、そういったものがちゃんと土台にあるところはすごくクリエイティブだと思いますし、僕としてはイヤホンで何回も聴きたくなる曲です。曲として聴き馴染みもいいし、聴き心地もいいからすごく好きです」
──昌斗さんは「She」を聴いたときの印象というと?
藤掛昌斗「“反骨心の塊だな”って思いました。あまり固定概念に囚われていなくて、A、B、C、Dとかじゃなくて、A、C、Zみたいな感じというか…。とにかく自分の中で鳴っているものを一番のプライオリティに置いていて、それをどう具現化していくか?ということだけに悩んでいましたし、そうやって作っていく行程に僕はすごく感動しました。“自分はちょっと囚われている部分があるな“って考えさせられましたし、そういったものを出していく勇気も感じました。作ったものにKAI自身の生き様が表れているというようで。そういうところに感動することってあまりなかったので、それがとてもかっこいいなって。僕も制作に携わった部分もあったんですけど、どうすればKAIが考えているものを具現化できるのか?ということに全うしていました」
──刺激や気付きがすごく多いんですね。
藤掛昌斗「そうですね。自分たちが新人の頃、始めた当時の気持ちを思い出したりもしましたし。ステージしかり、楽曲しかり、全方面でいろんなことを学んだり、思い出させてくれたりする2人です」
──かなりいいモードで活動できていることがしっかりと伝わってくるお話でしたが、ここからのTHE BEAT GARDENはどう活動していこうと考えていますか?
U「「Happy Ender」も「She」も、ここからのTHE BEAT GARDENとしてすごく納得のいくものができたので、これをとにかく突き詰めていこうと思っています。今までは“いい曲を作ろう”とか、ライブを想像して曲を作ることが多かったんですけど、この5人で歌っているときが本当に楽しいので、それが続けばいいなと思っていますし、そうなる曲をずっと生み出していけばきっと応援してくれる人も自ずと増えるし、届いていくんだろうなって。そういう感覚が5人とマネージャー2人も含めてチーム全員にあるので、この7人のテンションが上がることをとにかく続けていきます。もちろんお客さんの声を聞くことは忘れずに、ここから突き進んでいきす!」
(おわり)
取材・文/山口哲生
写真/野﨑 慧嗣
