──2ndミニアルバム『SHUTDOWN→REBOOT』リリースから1年で活動終了を発表したので驚いています。
夏芽ナツ「去年の夏前ぐらいから話してはいて…メンバーそれぞれが今後、どうしていきたいかを話し合った結果、“活動終了っていう形がいいね”ってなりました」
──2018年5月結成の前身グループ・終演後物販卍からは約7年、SANDAL TELEPHONEになってからは丸6年になりますが、活動終了を決めた理由を聞いてもいいですか?
ナツ「以前から話し合っていたので、そういう未来も考えてはいました。私自身は心の準備は出来ていたんです…SANDAL TELEPHONEとは別のやりたいことが見つかったので、それを頑張りたいっていうタイミングでもありました。しかも、今年の4月で私はアイドル活動が10年目になるので、“ちょうどいい区切りだな“とも思って。私は芸能関係のお仕事をやりたいからこの業界に入ったわけではなくて、アイドルになりたくて入りました。アイドルを辞めるのであれば、芸能でやりたいことはないので、自分がやりたかったアイドルでちゃんと終わろうっていう思いで決めました」
──ナツさんのやりたいこととは?
ナツ「今、いろいろ資格のお勉強をしています。アイドルをしながらの勉強は大変なので、時間を作って集中して勉強して、今後、その資格を活かしたお仕事に就きたいです」
藤井エリカ「私も将来のことは考えているんですけど、まだ言いたくないです…」
小町まい「私はまだ何も考えていません。私、よくよく考えると“流されていた”って感じなんです。“2人が辞めたいなら辞めようかな”って…」
──そうなんですか!? 活動終了を発表したコメントを読むと、まいさんからは悔しさが伝わってきていました。
まい「SANDAL TELEPHONEっていいグループだと思っていたので。でも、これ以上ズルズルやっていても仕方ないな…って感じでした」
エリカ「あのコメントで、まいちゃんが悔しいことを初めて知ったよ!」
まい「本当!? もっと普通に、もっと売れたかったです」
ナツ「それはわかります。去年、オリコンデイリー1位を取った時に、“これで何か変わるかも?”と思って。でも、何も変わりませんでした。“じゃあ、何を目標に頑張ればいいのかな?”って思っちゃって。そこで、私も“このタイミングかな”と感じましたし、想像していた景色…もっと上に行けなかったのは、やっぱり悔しいです」
まい「内容、おもっっ(笑)」
エリカ「ふふふ。私はSANDAL TELEPHONEが初めてのアイドル活動だったんですけど、他のグループに入ることは考えたこともなくて、“絶対にこのグループだけ!”ってずっと決めていました。やりたいことを全部やりきりましたし、自分の中では満足いく活動が出来ました。自分の人生スケジュール的にも“この辺かな?”って決断しました」

──これまでを振り返って、どんな日々でしたか?
ナツ「私はSANDAL TELEPHONEでやりたいことをたくさんやらせてもらいました。最初に入ったグループではTIFに出演するための争奪戦に参加したり、でも、出演出来なかった…そんなスタートでしたけど、その分、SANDAL TELEPHONEでは夏フェスに出演出来ることの嬉しさを感じたり、自分に合わせた自分だけの衣装を作ってもらったり、CDをリリースするという夢も叶えさせてもらいました。それまで見に行っていた立場だったタワレコやHMV、ヴィレヴァンでリリースイベントもさせてもらえましたし、ワンマンやイベントで大きい会場に立たせてもらうことも多かったです。これまで自分が“やりたい!”って言葉にしてきたことを全部、達成させてもらえたので、充実した毎日でした」
エリカ「私はアイドルの知識は何もない状態でSANDAL TELEPHONEに加入して…すぐに「真夏の匂い」(2019年9月リリース)をCDリリースして、MVの撮影もありました。私はそれが当たり前のように過ごしてきましたけど、2人の話を聞くと、“この環境は恵まれていて、当たり前じゃないんだ“って実感して。そこから”幸せだな“って毎日思っていました。辛いこともありましたけど、そういうのは全部忘れちゃったので!」
ナツ「過去は美化されるからね(笑)」
エリカ「楽しかったですよね! 辛かったことは…」
まい「辛かったこと、言ってやれ!」
エリカ「辛かったこと…なんだろう? やっぱりお客さんがいなかったことかな?…初めの頃の対バンでは、ライブハウスにお客さんが10人いないことが普通にあって。特典会も2人だけとか。でも、最近、思ったことがあるんです。最初の頃の話ですけど、アイドルのライブイベントに出演した時に、最前列の人が携帯をいじったりしていて、私達にあまり興味ない感じだったんですよ。でも、最近はちゃんと最前列に自分たちのファンの人が入ってくれているので、“なんだか幸せだな”って思いました」
──まいさんは?
まい「ナツと私の二人は、同じことを2回繰り返してるんです。お客さんがいない時代があって、ちょっと増えていって。それが終わって、またSANDAL TELEPHONEでお客さんがいない時代に戻って…それが辛かったです。“早くこの時期が過ぎればいいな”と思っていました」
ナツ「でも、当時は未来を見ていたからね」
まい「そう! SANDAL TELEPHONEになりたてのときは新メンバーとしてエリカと朱音が加入して、“もう未来しかない!”って感じていました。可愛いメンバーが加入してて、衣装も可愛くて、楽しかったですね、最初の頃は。…今、楽しくないみたいになっちゃったけど(笑)、未来しかなかったです!」
──そこからの6年はどうでしたか?
まい「ちょっとやりすぎた…かな?」
ナツ「やりすぎちゃった? 長かった?」
まい「今思うと、1stアルバム『REFLEX』(2022年10月リリース)のときでやめとけばよかったかも…」
ナツ「えーー!」
まい「そのくらいから、活動終了の話は出ていたので…」
ナツ「そんな話が出ては消えての繰り返しでした」
まい「でも、結局はみんな、アイドルとして活動するのが好きだから、ズルズル引きずっちゃったかな?と思っています」
エリカ「しかも、みんなのタイミングが違ったよね。誰か1人が“辞めたい”ってなっても、他の2人が“続けよう!”って引き止めて…」
ナツ「エリ、それで1回、泣いた時あったよね」
エリカ「2人が“辞める”って言ったけど。“エリ、続けたい!”と思って。でも、それはちょっと後悔してる」
──どうしてですか?
エリカ「無理に続けさせちゃったかな?って」
まい「やめとけばよかった?」
ナツ「今でも覚えてる! 2023年の年末に話し合いがあって…みんながモヤモヤした気持ちを抱えたままライブをやって。ライブが終わった後にプロデューサーの方とみんなでまた話し合って…“もうやだ”みたいな」
まい「つらい(笑)」
──でも、そこからリブートしていますよね。2ndミニアルバム『SHUTDOWN→REBOOT』のリリースが2024年2月だから。
まい「メジャーデビューが目標だったんですけど、その話がなくなっちゃって…“もうやめよう”ってなりました」
ナツ「そこを1つの目標にしていました。それまでは、なあなあにリリースを続けてしまっていたところもあって…でも、それが嫌だっていう話をして。“じゃあ、次、もしリリースするときは何かを目標としてリリースしよう”ってなりました。それが『SHUTDOWN→REBOOT』だったんです。“みんなでもう1回、再起動しよう”っていう意味を込めて、“これに賭けよう”って、メジャーデビューを目がけてやっていました。私達的には、オリコンデイリー1位という結果を出せたんですけど、メジャーデビューには繋がりませんでした。そこで、みんなの目標がプツって切れちゃって…思い出すと、やっぱり悔しいです」
──そうなんですね。今はもうメジャーもインディーズもあまり関係ないような気もするんですけど。
まい「どこを目指すかですよね。テレビに出ている人がいいわけでもないじゃないですか」
ナツ「ライブの動員を増やすことを目指す人もいれば、CDを売ることを目指す人もいますし」
エリカ「ナツは毎回、目標を提示されていたからね。それで納得して…」
ナツ「そう。“はい、じゃあ、やります”みたいな感じで。だから、活動終了を一番初めに言い出したのは私かも…」
まい「1人が“辞めたい”って言い出すと、やめたくなるじゃないですか」
──まいさんは流されやすいから?
まい「はい、流されやすいので(笑)」
エリカ「そう言えば、まいちゃんの意見をあまり聞いたことないかも」
まい「2人がやるならやるし、2人が辞めたいならやめたいって感じです」
ナツ「私も“このメンバーじゃなかったら、SANDAL TELEPHONEじゃなかったらいいや“って感じです」
──これまでを振り返って、一番思い出に残っている出来事はなんですか?
エリカ「私は単独ライブは全部が楽しかったんですけど、ずっと印象に残っているのは、声出しが解禁された2022年10月の『ギュウ農フェス秋のSP2022 お台場2days -Field of Dreams-』です。とてもたくさんのお客さんがいたんです。野外で広くて、声もようやく出せて。やっぱり人がいるっていうか、フロアが盛り上がっているライブが私は好きなので、とても楽しかったです」
ナツ「私はTIFに出演したいとずっと思っていたので、2018年に『TOKYO IDOL FESTIVAL 2018』に初めて出演したときにすごく感動しました。『アイドル横丁夏祭り』や『@JAM EXPO』、『超NATSUZOME』、『SPARK』などの夏フェスにたくさん参加させてもらって。でも、やっぱり最初に出演させていただいたフェスが一番印象的ですごい楽しくて思い出に残っています」
まい「私はアイドルをやっていないときは、本当に引きこもっていて、人にも会わないので、日常でメンバー2人やスタッフさんに会う時間が楽しかった…(と言いながら涙を流し始める)」
ナツ&エリカ「えー…!?」
──これからどうします?
まい「2人と会う時間も楽しかったんですけど、ファンの方と特典会で話すのも楽しかったです。悲しい。私、友達が欲しいです(涙)」
──まだ活動終了したくなさそうですけど…。
まい「いや、そんなことないです! 早くやめたいです(泣き笑い)」
ナツ「(笑)。確かにまだアイドルを続けたいという気持ちはもうないんですけど、メンバーや関係者を含め、この環境はすごく好きだったので、寂しい気持ちはあります」
エリカ「みんなと会って、ライブをして、家に帰ってという毎日がいきなりなくなると、ぽっかり穴が開くというか…。一つの趣味じゃないですけど、人生の中でアイドルが一番大きな存在だったので。それがなくなったら、その代わりに何かができるのかな?」
ナツ「今、何をするにしても全てに“最後の”ってつくことが多くて…。最後の撮影とか、これも最後のインタビューかな、とか。その度に、あまり数えないようにはしているんですけど、みんなで“明日、朝、早い…”って文句を言いながら行くこともないのかとか思うと…」
まい「…かなし〜い〜」
ナツ「あははは。衣装を作ってもらったときに、みんなで“可愛い!”って言いながら、実際に着ると“暑い!”とか、“動きづらい!”とか文句を言ったり(笑)。ちょっとした愚痴も言いあえる仲ってあるじゃないですか」
エリカ「楽しいね、それが」
ナツ「そういうのもなくなっちゃうのかと思うと、悲しいな…って思うときもあります」
まい「(涙を流しながら)…こんなつもりじゃなかった。人と会うことがなくなることが一番寂しいかも」
エリカ「でも、まだ実感が湧かなすぎるんですよね」
──では、すでに配信リリースされているラストソング「サクラクラ」を最初に受け取った時はどう感じましたか?
エリカ「最初に送られてきた時、私は寝ちゃってて…明け方に気づいて、4時くらいに1人で携帯を耳元にくっつけて聴いて、“感動しました!”ってLINEしたのを覚えています。ポップな曲に聴こえるんですけど、昔の歌詞が入っていたりするので、これまでの曲の思い出が入った1曲になっていると思います」
ナツ「私は考察オタクなので、意味を考えちゃうんですけど、歌詞を読んだときにデビュー曲「真夏の匂い」の女の子が大人になったんだなって感じました。あの時は頑張って早起きしていたのに、アラーム前に起きれる女の子になっていたり、大人メイクして頑張っていたのが、<慣れたメイクで>出かけるようになっている。<あの時と真反対>の電車も、<あの時>は、都会でのデートとか、未来に向かっていたけど、今は逆の電車に乗って、ちょっと田舎の方に桜でも見に行くのかな? みたいに感じました」
──「真夏の匂い」の子の6年後の女の子なんですね。
まい「それが私たちってことでしょ!?」
ナツ「そう。でも、ちば(けんいち)さんは“正解はないから、みんなで考えて”って言ってました」
まい「じゃあ、もう田舎に帰るんだ(笑)。私は<強い気持ち まだ くすぶってる>が辛いです。ちばさんもそう思ってくれてるんだろうなと思って…」
ナツ「曲調は、1周回って、初期に返った感じがしました」
まい「うん。私、最初に聴いたとき時はあまり好きじゃなくて…“この曲で最後なんだ?”と思っていたんですけど、2人が“いい”って言ってたんで、いいかって」
──あははははは。ちょっと流されすぎですよ!
まい「(笑)でも、ライブでパフォーマンスしていると笑顔になるので、いい曲に感じてきました」
ナツ「ラストソングっぽい寂しい曲よりは、私たちの終わりらしくていいかな?」
エリカ「「Magic All Night」的な曲がくるかな?って思っていたけど…」
まい「私もダンスミュージックなのかな?と思っていました。アニメ『カードキャプターさくら』っぽいっていう話もしたね」
ナツ「「Step by Step」の音源をもらったときにもそう思っていて。あの時に感じた、懐かしいメロディーをまた感じました。朝のアニメのオープニングを聴いたときの高鳴る感覚というか…」
まい「昔のアニメのオープニングやエンディングを今、聴くと、子供の頃を思い出して、すごく切ない気持ちになるじゃないですか。だから、「サクラクラ」を10年後に聴いて切ない気持ちになりたいです。大号泣します」
ナツ「ファンの方も“これがラストソング?”って感じた人も多いと思うんですけど、私達が活動終了した後に聴いたら、グッと来るのかな?と思いました」
──<夢見たステージがここにある>というフレーズは?
まい「恵比寿リキッドルームのラストワンマンライブのことかな?」
ナツ「アイドルとして終わる、夢見ていたステージかな?って解釈しました」
まい「ヤバそう…ラストワンマン。歌えないかも…」
ナツ「それはそれでいいよ」
──リキッドに向けて、いま、どんな想いでいますか?
エリカ「フェスでもイベントでも、1回でもダルフォンのことを見てくれた人は絶対に来て欲しいです。“やめちゃうんだ、悲しいな、やめないで欲しい”って思ってくれる人にたくさん来て欲しいんです。ソールドアウトしたいですし、たくさんのファンの皆さんの前でライブがしたいです」
ナツ「そうしたら、本当に<夢見たステージ>になります」
まい「応援してくれているファンの方に感謝の気持ちを伝えたいですし、ファンの皆さんも最後だから、悔いのないように応援してほしい、見てほしいって思っています」
ナツ「みんな、ダルフォンを惜しんでくれていて…。そういった人たちは、このステージを見て目に焼き付けて欲しいです。何年後も脳裏に思い出せるような、“いいグループがいたな”って思ってもらえるラストライブにしたいです」
──このインタビュー時点ではあと1ヶ月弱ですね。
まい「今まで解散するグループを見ていて、“案外、サラッと解散していくんだな”って思っていて。気にも留めてなかったんですけど、いざ自分たちが活動終了を発表してからの4ヶ月がとても早くて驚いています。“はやっっ!”てなっています」
エリカ「“4ヶ月は長いかな?”と思っていたんですけど、そんなことなかったです」
ナツ「あっという間だった」
まい「解散発表をしてからしばらく活動している場合もあるじゃないですか。“なんなんだろう?”と思っていたんですけど、それくらい期間があった方がいいのかもしれないと思いました」
エリカ「私達は発表前から心の準備できていてんですけど、ファンの人はあっという間かもしれないです」
まい「可哀想…」
──他人事みたいに言っていますが(笑)、本人たちはあまりセンチメンタルな気持ちにはなってないですか?
まい「喋っているとなっちゃいます。でも、普段はないです」
エリカ「ライブですごく声を出してくれたり、ペンライトを思いっきり振って踊ってくれている人たちの姿を見ると、ちょっと心が痛むというか…とても悲しくなります」
まい「痛くなるんだ? 私は“もっとやって!”って思っている」
エリカ「(笑)だって、その人たちの趣味とか、好きなことがなくなるから…」
まい「でも、結局、オタクが楽しい人はすぐに新しい子を見つけるからね(笑)」
ナツ「私もみんなの生きがいや趣味がなくなっちゃって申し訳ない気持ちだったけど、まいちゃんのその言葉で、ちょっと前向きになりました」
まい「結局ね、みんな、若い女が好きだから(笑)」
──あはははは。まだ若いでしょ、みんなも。
ナツ「でも、楽しく生きてて欲しいので」
まい「幸せになってほしい」
ナツ「私達のせいで落ち込んじゃうのは悲しいので、また新しい子を見つけて、楽しく生きてくれるかな?と思うと、ちょっと安心します。そうあって欲しいです」
エリカ「ちょっと気になるよね。オタクのみんなが今後、何をするのか。これからもアイドル現場に行っていたら安心します。本当に姿を消されると大丈夫かなってなっちゃう」
ナツ「心配になっちゃうね。元気な姿を見る方が嬉しいかも」
まい「ちょっとヤだけどね。“結局じゃん!”って嫉妬しちゃうけど」
──もう、どうしたらいいですか(笑)。ライブに足を運ぶファンにメッセージもらえますか。
エリカ「私はこのステージが本当に最後で、もう人前に出ることがないので、目に焼き付けてほしいです。“アイドルとしての藤井エリカがいたんだよ”ってことをちゃんと頭の中に残してほしいです。あと、感謝の気持ちを伝えたいと思っているんですけど、その伝え方がわからなくて…。言葉で伝えたり、ライブで伝えるのが大事だと思うんですけど、まだそれは難しいと思っていて。私はとりあえず、悔いのないように、精一杯ライブをするので、みんなも悔いのないように応援してほしいです。最後までやりきってほしいです!」
ナツ「小さい頃からずっとアイドルをやりたくて、オーディションをいっぱい受けて、いっぱい落ちて、ここまで10年間やってきて。“このステージで最後なんだ“と思うと感慨深いんですけど、今までのSANDAL TELEPHONEで一番いいライブになるのは間違いないと思っています。だから、寂しい気持ちもあるんですけど、楽しみでもあるんです。みんなも寂しいっていう気持ちあると思うんですけど、当日はそういうことを考えずに、私達が作る、今までで一番楽しい、最高のライブを心から楽しんで欲しいです」
まい「私は大事なライブで納得いくパフォーマンスができた試しがなくて…。メンタルは強いはずなんですけど、いつもなぜだか“うまくできなかったな…”と思って、悲しい気持ちになっているので、最後ぐらいは“やりきった!”って思いたいです。私はお客さんの感じを見て、いいライブが出来なくなっちゃったりするので、小町まいのことを好きって思ってくれている方は、もっと盛り上げて欲しいですし、もっと甘やかして欲しいです。ファンの方も頑張ってほしいです!」
ナツ「まいちゃんは完璧主義なんだよね。“今日、うまくできなかった…”ってなるのは」
まい「楽しい気持ちで終わりたいと思っています」
──みんなにはどんな気持ちを持って帰ってもらいたいですか?
まい「まず、応援を頑張ってもらいたいです。私も感謝の仕方がわからなくて…もちろんファンの人たちのことが好きなんですけど、嫌いっていう態度をたくさんしちゃうので。それに“負けないぞ!”っていう人たちが残ったんですけど」
エリカ「強者が残った(笑)」
まい「その人たちに最後、感謝の気持ちを持って、パフォーマンスでお返ししたいです」
──SANDAL TELEPHONEは、ご自身の人生にとって何でしたか?
エリカ「私は19歳の時にオーディションで入って、26歳になる直前まで」
まい「26!? ヤバいね」
エリカ「女の子の人生的に、この期間って一番大事だなって」
まい「そうだよ! なにしてんの(笑)」
──いや、ステージで輝いていましたよ。
エリカ「友達が“就職した”とか、“結婚して家族ができた”っていう話を聞いて、1人で焦っていたりしていたこともあって。“私は何してんだろう?”って、たまに思ってしまうこともあったんですけど、今は6年の歳月をダルフォンに注いで良かったと思いますし、逆に精いっぱいやったからこそ、次はもう第2の人生かな?って思っていて。それが今、楽しみです」
まい「今後の人生が楽しみなんだ、それは羨ましいな」
ナツ「私にとって、SANDAL TELEPHONEは青春でした」
エリカ「おおー!」
まい「決め台詞だ!」
ナツ「本当に私って、何も続かなくて…。部活も続いたことがなくて、ちゃんと引退までいったことがないんです。“もう少し続けれたら…”ってとこまではやるんですけど、習い事も8割でやめちゃうタイプだったんです。アルバイトも1〜2年やって、すっと辞めて。極めることが出来ない人で、家族にも“何も続けられないね”っていう話しをしていて…。それが、自分でもコンプレックスに思っていたんですけど、初めてちゃんと最後までやり通せたのがSANDAL TELEPHONEだったんです。それに、学生時代に体験した青春もなくて。学生時代もアイドルをやっていたので、友達と遊ぶこともなく、学校が終わったら、レッスンやライブに行く日々を過ごしていました。だから、私の中ではSANDAL TELEPHONEが一番の青春でした。仲間がいて、笑ったり泣いたり。しかも、最後は、自分が卒業するのではなく、みんなで終わることが出来ます。やりきりましたし、“私も最後まで出来るんだ”って、自信をつけてもらった場所でもあります。強くなった場所で、青春だったと思います」
まい「私は周りが結婚したり、家庭に入ったりしているのをあまり羨ましく思わなくて…。“アイドルでいる方がかっこいい!”と思っているんですけど、エリカの話を聞いて、それも一つの幸せなんだなと思いました。でも、私にはそれがないので、この先の人生、絶望しかないんです…」
エリカ「そんなことないよ!」
まい「だから、SANDAL TELEPHONEのメンバーだったことに後悔はないですし、女の人の大事な時期をアイドルとして過ごせたことはすごく楽しかったです」
──SANDAL TELEPHONEは希望だったってことですか?
まい「輝ける場所というか、私にとっては居場所でした」
ナツ「確かに。今後の人生でないよね。社会人になったとしても、代わりがきかない、私だけの居場所はここだけなんだろうって。今後の人生でも思います」
まい「私の人生の中でこんなに長く一緒にいる人たちがいなかったから驚いています。でも、すごく楽しかったです。ありがとうございました!」

(おわり)
取材・文/永堀アツオ
写真/野﨑 慧嗣