――メンバープロデュース楽曲配信プロジェクト『PRODUCE 6IX COLORS』の第二弾は、片寄涼太さんが担当されています。前回、中務裕太さんにお話を聞いたときに、コラボレーションをするのは“友人であること”が条件と聞き、驚きました。
「なかなかのハードルですよね(笑)。裕太くんは“友達が少ない”と公言しているので、Da-iCEの花村想太くんとコラボをすると聞いて、驚いたと同時に“頑張ったな~!”と思いました(笑)。でも、もともと裕太くんはSNSをよく見ているので、そこでの流行や、想太くんがSNSでバズる曲を作っていることを熟知しているからこそ、お願いしたんだと思いました」
――その大々的な1曲目のあとだと、プレッシャーもかかると思うのですが、片寄さんプロデュースの「気づいたことは」は蔦谷好位置さんとのコラボで、ストレートで素敵なラブソングとなりましたね。
「ありがとうございます。もともと蔦谷さんとは知り合いで、プライベートでお会いすることもあったんです。でも、グループとしてご一緒する機会がなかったので、“いつか一緒にやってみたいな”とずっと思っていて。そんな中、今回、『PRODUCE 6IX COLORS』で僕は“GENERATIONSにとって至極のJ-POPバラードを作りたい”と思いました。このコンセプトであれば“絶対に蔦谷さんがいい!”と思い、お願いしたら快諾していただいたので、すごくいい経験となりました」
――どのように制作を進めていったのでしょうか?
「蔦谷さんが所属するagehaspringsの作家さんたちがバラードを10曲くらい作ってくれた中から選ばせていただいたんですが、その曲が本当にどれも素晴らしくて、選ぶのが大変だったんです。でも、「気づいたことは」は、少し懐かしい雰囲気もありますし、ちょっとキュンとする部分もあって、“今のGENERATIONSが歌ったらすごくいいだろうな“って思ったんです」
――作詞は片寄さんが共作で手掛けられていますが、どんな思いを込めたのでしょうか。
「ご一緒していただいた方といろんなアイディアを出し合いながら、ラリーをし合って作り上げていきました。共作となると、今までにない自分の引き出しに気づくこともできて、すごく刺激的でした」
――この歌詞の世界観は、ものすごく物語性がありますよね。どのように言葉を選んでいったのでしょうか?
「歌詞を作る際にやり取りをしている中で、どんどん物語が見えてきたんです。でも、例えばライターさんや作詞家さん、小説家さんなど言葉のプロの方って、“大切なことほどどうやって伝えたらいいかわからない“という悩みがあると聞くんですよ。だからこそ、そういった方たちが振り絞った時に、どんな言葉が出てくるのかな?というところにフォーカスを置いて進めていきました。だからこそ、最初は<特別なセリフなんて 言えないよ>と言っているのに、最後は<君の全て 抱きしめよう>」と言っています。この言葉って、すごく特別なセリフだと思うんです」
――シンプルな言葉が一番伝わりやすいですしね。
「そうなんですよね。これまで、言葉巧みに言葉を重ねて、いろんなことを伝えて来たけど、“今ある、当たり前が一番温かくて大切だということに気づいた“というメッセージが込められています」
――レコーディングでの蔦谷さんのディレクションはどんなものでしたか?
「蔦谷さんはとにかく褒めてくれるんです。それが決して嘘っぽくなく、真剣に向き合ってくださいながら、のせてくれたのですごくやりやすかったです」
――もともと褒められて伸びるタイプですか?
「そうです!(即答) 褒められてのびのび生きていきたいタイプなのですごく合っていました(笑)」
――あはは!
「プロデュースって、その方の意思が強くなるからこそ、“あまり意見をすることはおこがましいのかな?“って考えていたんですが、蔦谷さんは僕の意見をものすごく反映してくださって。作詞でも僕が言った言葉をそのまま採用してくれたことがすごく嬉しかったですし、本当に柔軟で勉強になりました」
――蔦谷さんの音楽って、いい意味で商業作家さんらしい、フレキシブルさが素敵ですよね。
「本当にそうなんですよね。それに、最初の段階で、“ギリギリまで可能性を探りたい”と言ってくださったんです。だからこそ、レコーディングの現場で、“この辻褄は成立しないですよね”となったときは、フレーズを変えたりもしました。ものすごくライブ感のある制作でした」
――メンバーの反応はいかがでしたか?
「みんなは蔦谷さんが出ている音楽番組などで出てくるスタジオを知っていたので、“あそこに行ったの?”、“いいな~!”って言われました(笑)」
――みなさん、憧れていたんですね。
「そうみたいです(笑)。打ち合わせにアメコ(AMAZING COFFEE)のコーヒーを持って行くとすごく喜んでくれて」
――『PRODUCE 6IX COLORS』は本当に個人個人で進められていたんですね。
「そうなんです。僕も、他のメンバーが誰とコラボをしているのかは知っているんですが、どう進めているのかはわからないので、曲が上がって、“こうなのか~!”と驚くことが多くて。なので、最初に裕太くんの曲が上がってきたときは、ものすごく“裕太くんっぽいな”と思いました。それと同時に、個人で進めているからこそ、メンバーの個性が鏡のように反映されるのがすごく面白いと思いました。なので、きっとメンバーのみんなは、この曲を聴いたときに“っぽいな”って感じてもらえたんじゃないかと思っています」

――これから他のメンバーの曲も発表されていきますが、メンバーから見て意外な一面を感じたことはありましたか?
「僕らの中で意外に思うことはあまりなかったんですが、聴いてくださる方からしたら、意外だと思うことは多いかもしれないです。普段、ボーカルがプロデュースするとなると、“歌う人がどういう曲を歌いたいのか?”ということが反映されるのでわかりやすいとは思いますが、パフォーマーがプロデュースするというのはすごく面白い試みだと思いますし、LDH、GENERATIONSならではの企画なので、特に(小森)隼の曲にはどんなパフォーマンスがつくのか?ということにワクワクしています。まだ、どんな曲かは内緒なんですけどね(笑)」
――もうレコーディングは全て終わったんですか?
「(白濱)亜嵐くんの曲は終わりました。これが、本当に難しくて、驚くくらいドキドキしたんです! 亜嵐くんは、DJとしても活躍していますし、本人のしっかりとした世界観はあるんですが、“この人と組んだら、こういう曲が出来上がってくるんだ”という発見があって、すごく面白かったです」
――なるほど。そういった意外性はすごく楽しみですね! ちなみに、この「気づいたことは」はどんなパフォーマンスになりそうですか?
「いま、コレオを制作してもらっている段階なんですが、この曲は2人が一緒に歌っていることがすごく大事なんです。パフォーマンスも、“6人が歌っているような感じにしたい”とお伝えしました」
――ライブで歌われるとウルッときそうですね。
「そうなってくれたら、嬉しいですね」
――リリックビデオのプロデュースもされていますが、どんなものに仕上がりましたか?
「今回は、以前CMでお世話になったディレクターの方にお願いしました。いま、TikTokで、一般の方にインスタントカメラを渡して、“これであなたたちカップルや家族の写真を撮ってきてください”とお願いして、その写真から動画を作るのが流行っているんです。それをリリックビデオにしたいと思って、僕が普通のカップルや高齢の家族の方にインスタントカメラを渡して“愛をテーマに写真を撮ってきて欲しい”とお願いしたんです。その写真を見ながら作詞をしていき、この曲が出来上がるというリリックビデオになっているんですが、それがすごくいい仕上がりになっているんですよ。きっと、今までとは違うアプローチでGENERATIONSの曲を聴いてもらえると思っています」
――だからこそ、「気づいたことは」のジャケットは手書きになっているんですね。
「そうなんです。劇中にも出てくるような雰囲気で、実際に直筆で書いた文字がジャケットになりました」

――さらに今回はプロモーションもプロデュースされるんですよね。
「はい。今回、このインスタントカメラでリリックビデオを作ったこともあり、FUJIFILMさんとコラボをして、インスタントカメラのコラボ商品を作りました。知り合いのグラフィックデザインの方にパッケージを作ってもらって、すごく可愛いカメラが出来たんです。これも、僕がFUJIFILMさんに出向かせていただいて、しっかりと営業させていただきました」
――そこまでされているんですね!
「トータルプロデュースなので(笑)。数量限定ではあるので、買うことができるんですが、問題はこのインスタントカメラで撮影をすると、現像する際にインスタントカメラ本体は回収されてしまうんですよ…」
――たしかに!
「なので、インスタントカメラを取るか、写真を取るかの究極の二択になってしまうんですが、楽しんでもらえたら嬉しいです」
――こうやってフィジカルに手に取れるものは嬉しいですよね。
「嬉しいですね。楽曲自体もいろんなシチュエーションで使ってもらえたら嬉しいです。贈り物にしてもらってもいいですし、結婚式で流してもらえても嬉しいですし、そんな素敵な曲になったと思います。さらに、この曲を早くライブでみんなで歌いたいんですよね」
――すごくグッとくる曲になりそうですね。
「そう思います。それに、『PRODUCE 6IX COLORS』の6曲が、全く違う曲になるので、どんな演出になるのかがすごく楽しみです。絶対に大変だとは思うんですけどね(笑)」
――さて、プライベートなこともお伺いしたいのですが、タイトルにかけて、最近気づいたことはありますか?
「今。国際的なワインの資格の『WSET』を勉強していて、Level2を去年、合格することが出来たんです。今年はLevel3の合格を目指しているんですが、かなり難しいんですよ。でも、勉強をすればするほど、高価なワインが美味しいのはもちろん、大量生産されているワインにもどういう個性があって、その個性も尊重すべきということに気づきました」
――GENERATIONSのみなさんって、それぞれ勉強大好きですよね。
「あはは! 確かにそうかもしれないですね。みんな、好きなことにものすごく熱中するタイプなので、それぞれがずっと何かしらの勉強をしています。それもまた大きな刺激となりますし、みんなが常に楽しそうなのも、“すごくいいな”と思っていて。僕も今年はさらにワインの知識を深めていきたいですね」
(おわり)
取材・文/吉田可奈
写真/中村功
RELEASE INFORMATION
- GENERATIONS:PRODUCE 6IX COLORS Vol.1
- 中務裕太「True or Doubt」インタビュー
第一弾は、中務裕太プロデュース/Da-iCE 花村想太 作詞・作曲
インタビューはこちら >>>
(2025年2月10日 掲載)