ASKAとデイヴィッド・フォスターとの共演ライヴへのゲスト出演でも、大きな注目そして評価を集めた宮﨑薫が、今年7月から3ヶ月連続シングル・リリースを敢行。第1弾「Gimme Your LoveRe-Recording)」は、デビュー・アルバム『9 STORIES』(2012年)収録曲のニュー・ヴァージョン、第2弾「Cry」は父親であるASKAの名曲カヴァー、そして第3弾「優しさにふれるたびに」が最新オリジナルのバラードという多彩なラインアップで、10年分の成長と、彼女の本質的な魅力である表現領域の広さを伝えている。自身最大規模のワンマン・ライヴも控える本人に話を聞いた。

──今回なぜ、3ヶ月連続で新曲をリリースしていこうと思ったのですか?

12月に開催する『Christmas Live Noel in Harmony 2024』を盛り上げるために、何かしたいなって考えていて、シンプルにやったことがないことをやってみたくなったんです。単なる思いつきです(笑)」

──その第1弾は、意外にも「Gimme Your Love」のリアレンジ&リレコーディングでした。

「実は、この曲を書いてくださった作家の田中潤さんと、去年の年末にバッタリ再会したんです。何年ぶりかで。その時に、“何かまた一緒にやりたいね”っていう話から、お互い“「Gimme Your Love」をもっとこうしたかった“みたいな気持ちがあることを知って盛り上がって、ブラッシュ・アップして今っぽい感じでやってみようということになりました」

──ファンキーでディスコ風味が効いた、モダンな仕上がりで、原曲から大胆な変化を遂げています。何かインスピレーションの源になったものが、あったのでしょうか?

「具体的には特にないんですけど、そういうディスコ風のダンス・ミュージックをたくさん聴いていて、K-POPのグループとか、それからデュア・リパとかのサウンドとかが、すごくいいなと思っていました。それを踏まえたうえで、できるだけ音はシンプルにしたかったんです。コードも“コードを鳴らす”というよりは、1度と5度の音だけ鳴っていて、そこにドラムのスネアの音がスパッと入ってくるとか、“何がかっこいいのか?”を潤さんと話し合いながら作り上げていきました」

──仕上がりには満足していますか?


「もう大満足ですし、デビューした頃の22歳の私には出来なかったと思います。そこから現在までの間に、自分で曲を作るようにもなって、いろいろな経験をしてきたからこそ、できたのかなって」

──歌唱に関しても、成長を実感できましたか?

「声が全然違うんですよね」

──確かに。

「“声変わりしたかな?”っていうぐらい(笑)。そこはやっぱり、大人になったのかなと。潤さんって、私がデビューした時に関わった人たちの中で一番、レコーディングに厳しい方だったんです。もちろん修正はできるし、切り貼りもできるけど、ピッチとか発音とか細かいところを、しっかりディレクションしてくださるんです。それは本当にいい意味で、勉強させてもらったと思っているんですけど、今回は“薫ちゃんがかっこいいと思えるように自由に歌って”と投げていただいたんです。その間にライヴを観てくださったりもしていたので、アーティストとしてちょっと認めてもらえたのかもしれないと思って、嬉しかったです」

──そして2曲目は、ASKAさんの「Cry」のカヴァーです。これも、“なぜ今?”という疑問が渦巻くわけですが、インスタグラムを拝見したら“いろいろあっての、今だった”と。

「本当に、言葉にするとそのまんまで。1度、やるやらないという話が2018年かな…6年前にあったんですけど、なんとなくまだ自分には何かが足りないという気がしていたんです。曲に自分が追いついていないような感じで。そういう気がすると、私はもう“絶対にやりたくない!”ってなっちゃうんです(笑)。リリースしてしまうと、もう自分だけのものではなくなるので、取り戻すということもできないし、黒歴史として残ってしまうのは最悪というか(笑)。それはデビューの時に、父親にも口酸っぱく言われていたんです。“これだ!”って自分の納得いくものを出さないと絶対に後悔するから、そこだけは絶対に通しなさいと。たぶん本人もそういう経験をしたからだと思うんですけど、本当にその通りで。だからそこは頑固に我を通してきて、出来ると思えたタイミングが本当に今だったんです」

──それは、歌詞を含めた「Cry」という楽曲の世界観を表現するタイミングということですか? それとも、父親であるASKAさんの楽曲を、娘である薫さんが歌うというタイミングですか?

「後者ですね。曲を私が娘として受け継ぐ重みというか、それを支えられる力が2018年の私には、まだ足りなかったんです。インディーズになってからアルバムも1枚しか出していなくて、自分の曲もそんなになかった中で、「Cry」がひとり歩きしてしまうのが嫌だったというのもありましたし…」

──シンプルなアレンジで、楽曲自体の良さが際立っています。アレンジでは、どんなところを意識したのですか?

「原曲の世界観をリスペクトしつつも、自分らしさをどこまで落とし込めるかというところを、アレンジャーの人たちと話し合いました。私はとにかくシンプル好きで、コード進行もそうなんですけど、シンプルなアレンジが多いんです。父はその対極で、転調したりして複雑なものが多いので、“私、それやらないわ”と(笑)」

──(笑)。

「私には、そんな引き出しはないですし…。そこを私のほうに寄せたいというか。それでかなり、自分らしいサウンドになったのではないかな?と思っています」

──その結果でもあると思うのですが、薫さんの体温まで伝わってくるようなヴォーカルの魅力も味わえる1曲になったと思います。

「「Cry」は失恋した女性の曲なんですけど、恋愛に限らず、死ぬほど泣く経験って誰でもあると思うんですよね。悔しくてとか。私にも死ぬほど泣いて、死ぬほど痛くてという経験が、この何年かの間にあって…」

──そういう経験があったからこそ、この曲にご自身が追いついたということですか?

「それもあると思います。ただ歌うだけじゃなくて、シンガー・ソングライターとして、人の曲でもどれだけ自分の経験や気持ちを乗せられるか?ということを大事にしているので。少し大人になって、<泣いて泣いても涸れなかった><死ぬほど泣いても生きていた>という重みのある歌詞に、自分の感情を乗せられたと思います」

──歌詞の内容や、そこに込められた気持ちなどを、ASKAさんに確認したりもしたのですか?

「それはなかったです。父の曲にしてはシンプルな歌詞で、すっと読んで自分なりに入ってきたので」

──こうなると、ファンとしてはどうしても、ASKAさんとのステージでの共演を期待したくなってしまうところかと思いますが。

「どうでしょう…そこもまた頑固なので、“今!”と思える時が来るまでないかもしれません(笑)。デイヴィッド(・フォスター)の来日時も、一緒には歌わず、それぞれで歌ったので。一緒にステージに立つ1回目って、1回しかないから、自分が本当に納得できるタイミングでないと後悔すると思うんです」

──ですよね。そう簡単に言うなよ、ですね。

「いやいや(笑)。期待されるのはわかりますし、それも当然のことだと思うので。だから“ごめんね。もうちょっと待ってて”っていう気持ちでいるんですけど、やっぱりやるのは私だから、納得できるタイミングを待ちたいなって」

──今お話に出たので、ついでみたいで恐縮なのですが、ASKAさんとデイヴィッド・フォスターの公演での「To Love You More」の歌いっぷりが本当に堂々たるものだったので、“ガチガチで宙に浮いているようだった”とおっしゃっていたのが信じられませんでした。

「本当なんです。ところどころ全然覚えていないですし、覚えている場面も、なんか自分を遠くから見ている感じというか…今でも不思議な体験だったなって思っています」

──それが出ないように、プロはコントロールできるんですね。

「いかに緊張しているのが伝わらないようにごまかすことができるかが、プロなんじゃないですかね(笑)。間違えても、絶対に間違えたように見せないとか」

──なるほど(笑)。

──そして、3ヶ月連続の第3弾「優しさにふれるたびに」は、それこそ薫さんの優しさに触れているようなバラードです。完成までのプロセスを教えてください。

「きっかけは、ある韓国ドラマを観て、優しさが人を動かしたり包み込んだりする力って、すごいなって感じたことなんです。そういう曲を書きたいと思ったんです。サウンド的には、私は洋楽をたくさん聴いてきたので、洋楽っぽいところがあるんですけど、これまでの曲とメロディのタッチが変わっていて。特に、サビがちょっと民謡っぽくって」

──そうですよね。沖縄民謡まではいかないですけど、オリエンタルというか。

「本当にすっと出てきたメロディで、“私、日本人だ”って自覚しました(笑)。洋楽が好きでも、やっぱり日本人なので、歌謡曲などのルーツは絶対にあるはずなんです。この曲を聴いて、初めて自分から出てきたメロディなのにも関わらず、懐かしさを感じるというか、田舎の風景が見えてくるような、ほんわかした気分になるのが日本人っぽいなと思いました」

──歌詞には、<しわくちゃな笑顔で“焦らなくていい”>と言う人が登場しますが、実在するモデル的な方がいらっしゃるのですか?

「はい、書いた時に想像していた人がいます。あと、さっきお話しした、刺激を受けた作品に照らし合わせたりもして書きました」

──リアレンジ&リレコーディング、カヴァー、最新オリジナル曲と性格の異なる3曲で、より深く豊かになった表現力を伝える3ヶ⽉連続リリースだったと思いますが、ご本人はどう振り返りますか?

「単なる思いつきから始まったんですけど、とにかく大変でした(笑)。やり終えて、ほっとしました。リレコーディングでもカヴァーでも、かなりの作業量なので、けっこう自分を追い込んだなと。でも、3曲それぞれの良さを出せるような仕事が出来たんじゃないかな?と思っています。「優しさにふれるたびに」では新たな発見もできたし、やって良かったです」

──12月のクリスマス・ライヴでは、当然この3曲も披露されるかと思いますが、他に計画していることなどは、ありますか?

「クリスマス・ライヴは毎年やっていて、必ずクリスマス・ソングをリリースしているんです。今年もまたリリースしたいと思っています」

──ファンへの素敵なプレゼントになりますね。今年の会場は、EX THEATER ROPPONGIです。

「はい。ワンマンでは最大規模の会場で、初めてなので、かなり大きな挑戦だと思っていますし、自分でも楽しみです。アーティストとしても作家としても、去年よりレベル・アップできていると思うので、それが伝わるライヴにしたいですね!」

取材・文/鈴木宏和
写真/中村功

RELEASE INFORMATION

宮﨑薫「優しさにふれるたびに」

2024年925日(水)リリース
3ヶ月連続リリース第三弾

各配信サイトはこちら

宮﨑薫「Cry」

2024年8月28日(水)リリース
3ヶ月連続リリース第二弾

各配信サイトはこちら

宮﨑薫「Gimme Your Love(Re-Recording)」

2024年7月24日(水)リリース
3ヶ月連続リリース第一弾

各配信サイトはこちら

LIVE INFORMATION

宮﨑薫 Christmas Live Noel in Harmony 2024

⽇時:2024年12⽉16⽇(⽉)開場 18:00 開演 19:00
会場:EX THEATER ROPPONGI(東京都港区⻄⿇布1-2-9)

ゲスト:クリス・ハート
    中園亜美(SS)、寺地美穂(AS)、WaKaNa(AS)、米澤美玖(TS)From THE JAZZ AVENGERS
バンドメンバー:yas nakajima(Music Director、Gt、Cho)、櫻田泰啓(key)、李令貴(drs)、タルタノリキ(Mnp)、千田大介(bass)

チケット価格︓全席指定
⼀般チケット 7,700円(税込)
学⽣チケット 3,850円(税込)
ファミリー席着席指定 11,000円(親1⼈+⼦供1名)
※未就学児のお客様は保護者1名に付き、保護者の膝上であれば1名様まで無料。席が必要な⽅は有料。
※⼊場時1ドリンク代別途600円必要

チケット⼀般発売⽇︓9⽉28⽇(⼟)10:00〜
チケット販売プレイガイド︓チケットぴあ・ローソンチケット・イープラス・テレ朝チケット

学⽣席チケット
学⽣チケットは、⼩学⽣・中学⽣・⾼校⽣が対象となります。
※当⽇会場の専⽤窓⼝にて⾝分証の提⽰が必要です。
公演日当日、身分証をお忘れの方は学生席チケットの対象となりません。差額分お支払いいただきますので、予 めご了承ください
※⾝分証(学⽣証・マイナンバーカード・パスポート・保険証など)

ファミリー席チケット
※ファミリーチケットは先⾏販売期間内での販売となります。
※ファミリーチケットはお⼦様連れのお客様のために指定席内に設ける着席指定のチケットになります。
※ファミリーチケットは⾼校⽣までのお⼦様とその保護者を対象とします。保護者のみ、お⼦様のみでのご⼊場は
出来ません。
※保護者1名につきお⼦様1名となります。
※ご⼊場時にはお⼦様の年齢が証明できるものをご提⽰いただきます。(学⽣証・マイナンバーカード・パスポー
ト・保険証など)
※公演⽇当⽇、お⼦様の⾝分証をお忘れの⽅はファミリーチケットの対象となりません。差額をお⽀払いいただ
き、座席も変更となる場合がありますので、予めご了承ください。

問い合わせ︓SOGO TOKYO
03-3405-9999(⽉〜⼟ /16:00-19:00 ※ ⽇曜・祝⽇を除く)

宮﨑薫 Christmas Live Noel in Harmony 2024

野外劇場TAOの丘2024「秋の感謝祭」宮﨑 薫×DRUM TAO「A組」

日時:2024年11月9日(土)・10日(日) 14:00~
場所:野外劇場TAOの丘
出演:宮﨑薫、DRUM TAO

野外劇場TAOの丘2024「秋の感謝祭」宮﨑 薫×DRUM TAO「A組」

プロフィール

宮﨑薫(Kaoru Miyazaki)

1989年⽣まれ。東京都出⾝。幼少期をロンドンで過ごし、⾳楽に囲まれた環境で育ったことで⾃然とシンガーへの道に進む。⼤学時代からピアノとギターで作曲を始め、卒業とともに⾳楽活動を本格化。地道に送り続けたデモテープが業界関係者の⽿に留まりメジャーデビューを果たす。キャッチーなメロディーにのる⽇本語と英語の歌詞。グローバルポップなサウンドがJpopの新境地を切り開く。

2012年 6⽉「Graduation From Me」でインディーズデビュー
2012年 春 マツダデミオのCM曲に「君と空」が起⽤される
2012年 10⽉「9STORIES」でメジャーデビュー
2016年 約3年の活動休⽌期間を経て活動再開
2017年 10⽉〜2021年10⽉ レギュラーラジオ RKBラジオ「宮﨑薫 From Here」O.A
2019年 ワンマンライブ「宮﨑薫30祭」代官⼭LOOPで開催
2019年 12⽉ LAで制作したEP「The Light」を発売。Billboard cafeでリリースイベント開催
2020年 クリス・ハートのバックコーラスに起⽤され全国ホールツアーに参加
2022年 2⽉〜 DateFM仙台。毎週⾦曜19:30〜「宮崎薫のEdge Bridge」番組スタート
2022年 2⽉ Netflix「love is blind JAPAN」出演。番組内では⼥性メンバーの前で弾き語りを披露している。
2022年 3⽉「Karma」をリリース。MVはクラウドファンディングにより制作された。クラウドファンディングはわずか40分で100%を達成し、最終365%まで到達
2022年 6⽉ MIYAVIのバックコーラスに参加
2022年 10⽉ 南カリフォルニアで開催の「OC JAPAN FAIR」に出演。 TorranceのVIEW MUSIC BARで⾏われた
ソロコンサートも多くのファンが来場した。
2023年 1⽉ 東⽇本⼤震災⽀援チャリティー「RENAISSANCE CLASSICS LIGHT HOUSE TO THE FUTURE 2023」に出演
2023年 3⽉『ASKA&DAVID FOSTER PREMIUM CONCERT 2023』にゲストボーカルで出演
2023年 4⽉〜8⽉『ASKA Concert Tour -Wonderful World- 2023』5会場6公演にゲストボーカルで出演
2023年 6⽉ 10th Anniversary Celebration 『宮崎薫 Strings Ensemble Premium Concert in 浜離宮』開催
2023年 10⽉〜 TOKYO FM 毎週⽔曜21:30〜「宮﨑薫のHump Night With Me」番組スタート
2013年 11⽉ 南カリフォルニアで開催の「OC JAPAN FAIR」に出演
2023年 12⽉2⽇ クリスマスソング『Winter Dream』配信リリース
2023年 12⽉6⽇ EP「Beautiful」リリース
2023年 12⽉16⽇ 東京 COTTON CLUBにてワンマンライブ開催
2024年 3⽉〜 仙台・東京・名古屋・⼤阪にて「Beautiful」リリースツアー開催
2024年 6⽉『HITMAN David Foster & Friends』にゲストヴォーカルで出演


国内外の活動のみならず、楽曲提供・アニメーションの吹替歌唱やMCなど、幅広い分野で活動中。

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