――harha結成の経緯からお伺いできますか?

ハルハ「僕が女性ボーカルの方と活動していきたいっていう思いがあって。YouTubeX(Twitter)とか、いろんな「歌ってみた」動画を漁っていたときに、ヨナベさんがカラオケで撮影した動画をあげてて…」

ヨナベ「あははは。ヨルシカがすごい好きになって、こんなに好きになったアーティストが初めてだったので、好きな歌を上手く歌えるようになりたくって、カラオケにいっぱい行き始めて。その動画を携帯にずっと残していたんですけど整理しようと思って、YouTubeに載せていたんです。私と同じヨルシカファンの人からもコメントもらえたりして。ほんとに好きな曲をただ趣味で上げていただけだったんですけど」

ハルハ「その動画を夜中の深夜2時ぐらいに見つけたんです。それからヨナベさんのXも遡ったら、「少年時代」のアカペラ動画を上げていて。“ああ、めっちゃいい声!”って思って、全くゼロの状態から急にDMをしたっていうのが最初の出会いでした」

――ヨナベさんの歌声のどんなところに惹かれたんですか?

ハルハ「もともと僕が女性ボーカルがいいと思っていた理由があるんです。ポップスを作るにあたって、僕の声だと、広くお茶の間受けしないっていう実感があって。それで、ヨナベさんの声に出会ったときに、すごくお茶の間に馴染む声だな、街中に流れても違和感ない素敵な声だなと思いました。それこそ他の歌い手さんもたくさん聴いたし、歌がうまい方は何人もいたんですけど、その方々は自分の歌唱スキルを披露するような歌が多かったんです。でも、ヨナベさんは“曲と一緒に並んで歩いてますよ”って雰囲気があって。自分の歌を聞いてほしいっていう気持ちが強いのではなくて、自分も楽器の一つだよってテンション感がありました。ヨナベさん自身はそんな意識では歌っていないと思うんですけど、僕にはそう聞こえて、そこがものすごくいいなと思ったんです」

ヨナベ「えへへへ。ありがとうございます」

――(笑)いきなりDMがきて、どう感じました?

ヨナベ「普段はあまりDMをみないし、返事をするっていうこともないんです。でも、ハルハ君からのDMをたまたま見たら、“レコーディングをしたい”って書いてあって。ちょっとやってみようかな?って思いました」

――やってみようと思ったのはどうしてですか?

ヨナベ「当時、時間もあるし、歌も好きだし…と思ってやってみようと思ったんです」

ハルハ「奇跡だったんですよね、ほんとに(笑)」

――(笑)最初に会ったときは、お互いにどんな印象でした?

ハルハ「僕が作った曲を歌える人を探している中で、ヨナベさんとはスタジオで初めて会ったんですけど、 “元気な人が入ってきたな”と思いました」

ヨナベ「あはははは」

ハルハ「すごく印象的だったんです。人によるかもしんないですけど、普通は初めてのスタジオって、ちょっと萎縮するじゃないですか?」

――そうですね。緊張しますよね。

ハルハ「でも、ヨナベさんは“わ〜、すごい。この機材、高いですか〜?”って言いながら、緊張感も見せずに入ってきて。で、歌ってもらったら、めっちゃうまくて(笑)。試しにハモリも歌ってもらったら、すぐに歌えるんですよ。ボイトレも一切やっていないし、別に音楽経験もあったわけじゃないのに、なぜか音が取れる。何食わぬ顔で普通に歌っていて、うまくってびっくりして。その時は、ちょっと歌ってもらったくらいの感じだったんですけど、その後に”一緒に活動をしませんか?”って流れになって」

――ヨナベさんは一緒にやろうって言われてどうだったんですか?

ヨナベ「どうだったかな〜…あまり深く考えていなかったんです。たぶん、わかってなかったんだと思います。いっぱい説明してもらったんですけど、音楽業界の知識がなさすぎて、あまりわからなくて。でも、歌を歌わせてもらえるんだったら、やってみようかな、やってみるか!って感じでした」

――ハルハさんは作詞、作曲、編曲はもちろん、ラップバトルをバックグラウンドにもつラッパーでもあるので、最初は女性ヴォーカルとラッパーのユニットかと思ったんです。

ハルハ「確かに僕は普通にヒップホップ人間で、クラブでライブをしていて。今でも友達もラッパーしかいないんですけど」

――でも、現状はそんなにラップが入ってる曲は少ないですよね。

ハルハ「そうなんです、全然ラップしないんです(笑)。僕の中で一番大事なのはポップスであること。そこがものすごく重要なんです。僕が目指したいのは、広島のグリーンアリーナ、そこでライブがしたいがために音楽を始めたみたいなところがあって」

――どうしてグリーンアリーナなんですか?

ハルハ「僕の音楽の入りはRADWIMPSなんですけど、小4ぐらいから聴き始めて、中学1年生のときにRADWIMPSのライブがグリーンアリーナであったんです。そこで初めてライブを見たときに、衝撃を受けて。イントロダクションからもう感動で、そのときに“俺もやりてー!”ってなって。そこから時間は流れるんですけど、実際に自分で音楽を作り出したときに、やっぱグリーンアリーナに立ちたいと思って。僕があのときに“音楽を始めたい!”って思ったのと同じように、僕がグリーンアリーナでライブをやって、“音楽を始めたい!”って思う子がいてくれたらなと思うんです。そういう気持ちから始まったので、そこに向かおうとすると…もちろん、ラップでも行けなくはないですけど、それよりはポップスとは?って考えた方がより良くなるだろうなと思いました」

――それでもラップのエッセンスは入っていますよね。歌詞の言葉数が多いですし、フローとメロディの中間のようなフレーズもありますし、「ハイホーホー」や「ボクラノ」のようにラップが入っている曲もあるし…

ハルハ「そうなんです。僕が意識していない部分でもやっぱりラップのエッセンスが出てくるんですよね。僕の中で着地点は、気づいていないうちにラップっぽい雰囲気が出るぐらいがいいんじゃないかって思ってます。だから、意図的にラップを入れようとかは特に考えていないです。隙あればやろうとは思っていますけど(笑)」

――改めて、音楽クリエイターでラッパーでもあるハルハと、ヴォーカルのヨナベによるユニット<harha>はどんなグループだと言えばいいですか?

ハルハ「僕がずっと思っているのは、harhaが作った音楽が、人生に必ずなきゃいけないものになる必要はなくて。ただ、あなたが生きてる日常をちょっと彩るぐらいの温度感がいいんです。harhaを聞いて、明確に元気になりましたとかもちろん、なってくれたら嬉しいですけど、僕としては、harhaの曲を聞いて元気になってほしいとか、前向きに生きてほしいとかはなくて。ただ、あなたが必要なタイミングで聞いて、“あ、いいな”って思ってくれるぐらいがいい。温かい気持ちになってくれたらいいなと思っています。だから、僕はヨナベさんには“近所のお姉さん”みたいな立ち位置になってほしいと思っています。何か相談事とかがあったときにちょっと話を聞いてもらって、特に解決をしないけど、“ええー、大変だね”って言ってくれる。それぐらいの距離感がいいなって」

――家族でも友達でもなく…

ハルハ「近所のお姉さん。朝、会えば挨拶するぐらいの距離感の人になってもらいたい。生きていると、なんか微妙なときってありませんか?すごく嬉しいわけでもないし、すごく悲しいわけじゃないけど、ちょっと困ってる、ちょっと大変だな、みたいときに、そこを補ってくれるような音楽になりたいと思っています。“一緒に頑張ろうよ!”じゃなくて、“まぁまぁ、何とかなるよ。大丈夫だよ”ぐらいの温度感が一番harhaっぽいと思っています」

ヨナベ「クッションみたいな…Yogiboになれたらいいですね」

――(笑)いろんな気持ちにぴったりフィットするユニットってことですね。

――最初の楽曲「争奪最前戦」、「ヘロー」がリリースされたのが2022年10月でした。デビューからの1年間というのは、今、振り返るとどんな日々でしたか?

ヨナベ「レコーディングして曲が出て、レコーディングして曲が出てっていう感じでした。あまり自分ではコメントを見ない方なんですけど、ハルハくんが優しいコメントを厳選して教えてくれるんです。“本当に聴いてくれている人がいるんだな“っていうのを感じながら、人に聴いてもらえる嬉しさも思いながら歌っていた1年間でした」

ハルハ「僕はようやくスタートが切れたって感じです。グリーンアリーナに行きたいので、僕の中ではまだ序章だと思っています。実際に曲を出してみないとわからない部分もありますし、特にJ-POPは反応がとても重要なので、そこのすり合わせをずっとしていた感じです。その過程で、ありがたいことに『人生オーバー』をたくさん聴いてもらいました。自分の中の目指している、“こう書いたら、こういう反応になるだろう”と考えていたものの一つの答えというか…何かわかった気がするので、それを踏まえて、2024年はもうちょっと自分のやりたいことを詰めていきたいですね」

――「人生オーバー」はYouTubeでの動画再生回数だけで240万再生を突破しています。

ヨナベ「コンビニでも流れていたんですけど、私は聴けていなくて。でも、親が聴けたらしくて、喜んでいました」

ハルハ「「人生オーバー」はヨナベさんと出会った後に、ヨナベさんの声を想像しながら作った曲なんです。ギターから作ったんですけど、“ヨナベさんの声なら、こういう曲があってもいいよね”みたいなテンション感で、割と流れで作った曲なので、僕としては全然ノーマークだったんです。でも、どんどん再生回数が増えていて、聴かれるときはこんなに聴かれるものなんだなっていう、素直な驚きがありました」

――デビューからの1年で14曲を配信リリースしてきましたが、それぞれが一番思い入れの強い曲を1曲ずつ挙げていただけますか?

ヨナベ「歌っていて楽しいのは「アルテルテ」で、MVも合わせてすごく思い入れが強くなったのは「アンデルセン」かな」

ハルハ「取られた(笑)。「アルテルテ」はharhaのやりたかったことの一つなんです。さっき言った、近所のお姉さんが歌っている的な世界観のいい位置にいます。歌詞はそこ抜けて明るいわけじゃなくて。改めて見ると、ひねくれまではいかないですけど、結構困っているし、<最低最悪>とか言っていますけど、それでいて温かくあるというか…harhaのコンセプト的にもすごくマッチしていると思います。しかも、この曲はヨナベさんに出会う前に作ったんですけど、ヨナベさんが歌唱することを想像せずに作った曲が、すごくはまりがよかったんです。僕の声で歌ったときよりもすごく温かくなったなっていうきっかけの曲で、思い出深いです」

ヨナベ「歌っていると、体が勝手に揺れる感じがあるんです」

――「アンデルセン」はどんなところが好きなんですか?

ヨナベ「サビで気持ちが盛り上がりやすいし、MVがすごく素敵で。MVと自分の歌とで、曲の世界観が深くなった感じでした。映画館の大画面で見たい、素敵なMVになっています」

ハルハ「この曲は歌詞にすごく時間かかったんです。特に2番。フル尺にしようと思ったときに、“より一層センシティブに描きたい”って思いで、かなり考えて書いたんで、時間かかった記憶があります」

ヨナベ「あと、ジャケットもかわいいので気に入っています」

――ハルハさんはそれ以外に1曲を挙げるとすると?

ハルハ「1曲目の「争奪最前戦」ですね。曲にすごく関わっている話ではないんですけど、ちょうど作っていた時期に世界情勢が不安定になってしまって。同じ世界で、地続きで繋がっているはずなのに全然別世界の話に感じたんです。“本当に日常なの?”って思ったときに、音楽に昇華したいと思って作った曲です。でも、結局、僕の中で言いたいことは大概決まっていて。自分の身近な人とか、手の届く範囲の幸せだけあれば、万々歳みたいな…知っている人がみんな元気に暮らしていたらいいし、僕の目の見える範囲の当たり前や日常が絶対に失われてはいけないなっていうことを書いています。曲名は、世界情勢とは関係なく、“これからharhaやっていくぞ!”っていう始まりでもあったので、そういう思いも込めています。一発目の曲としても気合い入っていたし、すごく思い出深いですね」

――そして、14曲目として、新曲「film」がリリースされます。今回HoYoFairからお誘いを受け、『原神』のキャラクター“シャルロット”の同人イメージソングを制作されてますね。ちなみにゲームは?

ヨナベ「私はゲームはしないんですが、『原神』はハルハくんが実際にやっているパソコンの画面を見せてくれました。“街中を飛べるのいいな。壁も登れるし、楽しそうだな”って思いました」

ハルハ「友達がリリース当初からめちゃくちゃやっていて。“早くやったほうがいいよ!”って言われていたので、今回を機に始めたんです。でも、シャルロットはゲームを進めていく途中で出てくるキャラクターなので、そこまでは行かなきゃいけなくて…毎日10時間ぐらいやって、2週間ぐらいかかりました」

――あははは。曲を作るより時間かかりますよね。

ハルハ「すっごく時間がかかりました。ただ、ものすごく面白かったので楽しくやれましたし、ストーリーがとても濃密で、おもしろいんですよ。『原神』はやりこみ要素が無限にあって、数えればきりないぐらいやることがあるんですけど、とにかくストーリーは追いたいと思って、2週間ずっとやっていました。YouTubeで『原神』の世界観の解説を見たりもしながら、気づいたら『原神』の世界が自分の中にインプットされていって…」

ヨナベ「初めてシャルロットちゃんが出てきたときをハルハくんが写真に撮って見せてもらったんです。その写真を見たときに、“めっちゃかわいい女の子だな”って思いました」

ハルハ「そうやって、シャルロットのいろんなとこを知ってから曲を作り始めました。シャルロットは記者で、いろんな土地を回って、スクープを追い求めているんですけど、それってある意味、いろんな国を回って、それぞれの土地の話を追っていくプレイヤーに近いなと思って。そういう曲が作れたなっていうところから始まりました」

――旅に出るような軽やかさと、パリ・ミュゼット(フランスの大衆音楽)のような雰囲気がありますね。

ハルハ「シャルロットの出身国が、フォンテーヌという国なんですが、僕はそこにフランスの要素を取り入れていると感じたので、フランスの音楽やフランスで使われている楽器としてチェンバロやアコーディオンのサウンドを取り入れました。あと、このフォンテーヌのストーリーはスチームパンクっぽい要素も感じたので、その辺りもサウンドで遊びとして入れたいなと思って、歯車とか、謎めいた音を入れて、コード感のないフレーズも作ったりとかしつつ、サウンド作りをしました。とにかく“『原神』とリンクするように”っていうのを最優先に考えていました」

――歌詞もシャルロット目線ですか?

ハルハ「シャルロットの目線でもありつつ、プレイヤーの目線もありつつ、どちらでも取れるように書いています。僕のこだわりポイントとしては、ゲーム内でキャラを使っていくと、好感度が上がって、好感度が上がらないと見れないストーリーがあるんです。そこのストーリーの部分から持ってきたいがためにガチャを引いて…課金したよね〜」

ヨナベ「あはははは」

ハルハ「しかも、『原神』というゲームは、同じキャラクターがでたら、同じキャラクターを重ねて、より強いキャラになるんです。それが6体までいけるんです。本当はそれがやりたかったんですけど、5体までしか出なくて…あと一体が欲しくて課金したんですけど、出ませんでした。でも、かなり強いシャルロットができたし、好感度を上げないと見れないストーリーとか、込み入った設定も歌詞に入っています。シャルロットのファンだったら気づくはずなので、そこは外さないように作りました」

――歌入れはどんなアプローチで臨んだんですか?

ヨナベ「サビの前の<そんな大スクープ ニュース ゴシップ全部を見つけに行くんだ/今すぐに!>は、シャルロットちゃんが記者なので、“見つけに行くんだ!”感を表現できるように頑張りました。あと、セリフのようなところもあって…ハルハくんのディレクションに応えながら、いろんなパターンを録ったんですけど、楽しかったです」

――「film」から2024年がスタートしますが、harhaとしてはどんな1年にしたいですか?

ヨナベ「今、ある曲も大事にしつつ、新しいチャレンジもして…」

ハルハ「新しいチャレンジとは?」

ヨナベ「すごくアバウトなことを言った(笑)。私は楽しく歌を歌えたらいいかな」

ハルハ「ヨナベさん、ラップをやってもいいしね」

ヨナベ「え?ラップか〜…じゃ、機会があれば!」

ハルハ「2024年は今までやっていたことを着実にこなしつつ、もう3段ぐらいはクオリティを上げていきたいです。もっとポップスに寄せられるっていう気持ちがあって。いろんなことやってみて、どうかな?っていうのを永遠に確認していく作業になるんだろうなって思っています。ただ、この1年間で、harhaとして、歌いたいことやコンセプトはまとまってきたので、それをもうちょっといろんな方向で出していきたいって思っています!」

取材・文/永堀アツオ

RELEASE INFORMATION

harha, HoYoFair「film」

2024年124日(水)配信

harha, HoYoFair「film」

LIVE INFORMATION

LIVE Meets vol.5

2024年126日(金) 東京 Spotify O-EAST
開場/開演 18001830
LINE UP
あたし/ケタチガイ/harha/松尾太陽/安本彩花(私⽴恵⽐寿中学)/松⽥今宵(opening act

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