――唯人さんは前作「Fly」のときからするとビジュアルが激変しましたよね。

竹内唯人「変わったっすね!この半年で」

Shota「どっちが好きなの?」

竹内「どう考えてもこっちっすよ。私服だもん、今日」

VILL「前の爽やか系も、あれはあれでいいと思うよ」

竹内「Shotaくんがフィーチャリングで入ってくれてから、編曲のKay Clackerと“唯人はもしかしたらShotaくんみたいに歌っちゃった方がいいんじゃないか?”っていう議論になって。竹内唯人を邪魔してるのは、もしかしたらHIP HOP要素じゃないかっていう話をしてるんですよ。だから最近、Shotaくんの曲をよく聴いてて。フィーチャリングした人に気付かされること多いんですよね」

Shota「変わっていってるところなんだね」

――改めて、お互いが初めて会った時の印象から聞かせてください。竹内さんとVILLSHANAさんは2021年10月配信の「YOZORA feat.VILLSHANA&$HOR1WINBOY」に続いて2度目、Aile The Shotaさんとは初コラボになります。

竹内「Shotaくんとは去年、大阪のミナホ(MINAMI WHEEL 2022)であって」

Shota「唯人のDJをやってるYOTAが大学の後輩なんですよ。Aile The ShotaとしてソロやThe First以前から、何か一緒にやりたいねって言ってたんで、ミナホの前に“会いたいです”っていう連絡がきて。サーキットイベントだったんですけど、たまたまハコが同じで、僕の次が唯人の出番だったので、そこで初めて会って」

竹内「思ってた以上に優しくてびっくりしました。“うわ、優しっ!”って(笑)。お兄さんぽい感じで」

Shota「唯人は、すごいフレンドリーだし、素直で飾らないし、懐き方が可愛すぎて(笑)。人懐っこいワンちゃんみたいな感じで、後輩力半端な!って思ってました。VILLくんとは今回が初めましてですね」

VILL「でも、お互いのことは全然知ってて。僕が唯人と初めて会ったのは、YouTubeの「ブラックボード」のライブ撮影の時かな……」

竹内「3年ぐらい前ですね。「MIRAI feat. SHOR1WINBOY」を歌った時だ。僕はその前からVILLくんを知ってたんですけど、ミュージックビデオを見ると、クール系というか、冷たい目をしてる映像が多かったんですよ。笑わないし、すごい怖い先輩なんだろうなって思っていたら“こっちなんだ!VILLくん……”って、この人と仲良くなりたいって思いました」

Shota「僕もVILLくんはクールなイメージだったんですけど、会えば会うほど、人懐っこいし、めちゃくちゃ人に優しい人だなって感じてて。ちょくちょく言ってます。“VILLSHANA、モテるわ”って」

VILL「さっきもトイレで言われた(笑)」

Shota「細かいところにめちゃ気づくんですよね」

VILL「唯人は、最初は背、高いなっていうだけ。でも、このタイプの人間で、東京でちゃんと礼儀がなっている子って珍しくて。Shotaと一緒で本当かわいいなっていう。犬みたいな……」

竹内「俺、犬ですか?」

VILL「背が高い犬みたいな。いるじゃん?」

Shota「大型犬?」

VILL「ちゃんと挨拶する大型犬。やっぱ、名古屋界隈だと挨拶と時間厳守は大事なんで」

――ははははは!アーティストとしてはお互いをどう見ていました?

竹内「僕は自分の音楽のジャンルがしっかりと自分の中でまだ決まってないなっていう感じがしてて。ふたりはちゃんと自分がやることをやってるから羨ましいです。VILLSHANAの音楽、Aile The Shotaの音楽って感じがするから。そこはすごいっすね」

VILL「僕は最初に出会ったとき、「MIRAI」しか知らなくて。僕、アーティストや映像作家、フォトグラファーもみんなそうなんですけど、“人”から入るが基本なんですよ。いい人だったら、曲を聴いてみよう、いい人だったらMVをお願いしてみようかなって。唯人は、初めましてして、仲良くなって、曲を聴いたら、そのまんまで書いてるなっていう印象。Shotaっちもそう。出会ってから、改めて聴いてて、なるほどね、みたいな。ちゃんと人が出てるなって。ふたりが音楽を通してやりたいこともわかるなっていう感じなんですよね」

Shota「僕はAile The Shotaになる前から、リスナーとしてふたりのことを認知していて。唯人に関してはZ世代っていうか、TikTokが音楽の市場として広がったタイミングで、同時に名前があがってきたタイプだと思ってたんで、とにかくキャッチー。それは、狙ってできることじゃないんですよね。もともと持ってるアイコニックさもありますけど、キャッチーさを生み出せてるアーティストだなっていう認識だったし、音楽にもその人柄からくるキャッチーさやとっつきやすさみたいなのが出てる。ミナホでライブ見ても思ったんですけど、まさにVILLくんが言う“人”が出てるし、僕は唯人がやりたい音楽も何となく感じるというか、通ってきたところも見えるし。僕が通ってるルーツも近いのかなと思いながら聴いてました」

――唯人さんはまだ定まってないと言っていましたが、Shotaさんの目にはそう映っていない?

Shota「そうですね。まず、存在自体がアイコニックっていうのがデカいと思うんですよ。そこに歌声や作るメロディがフィットしてるのが、もう竹内唯人だなって感じてて。もちろん、HIP HOP好きなこところも伝わってくるし、客演でやってるメンバーやトラックメーカーを見れば、音へのこだわりがあるタイプだって分かる。僕はきっかけがオーディションだったというのもあって、もっと地下に、地下にっていう思考が強かったんですけど、そうじゃないことが正解かもって思える存在というか……最近、ポップであるというか、大衆的な存在になることが、アンダーグラウンドからのプロップス――HIP HOPコミュニティからの支持を得るというマインド――を考えるようになって。唯人はそこにフィットしてるアーティストというか、ポップであることを、そうじゃなくする必要がない人だと思う。歌に説得力があるので、胸張って大衆的って言える人なんじゃないかなって」

竹内「うれしい。そしてShotaくん、やっぱ言葉選びが上手」

Shota「言葉は大事だから(笑)。VILLくんも共通してる部分があって、フックやサビのキャッチーさを持ってる。僕もHIP HOPを通った上で、大衆音楽にもちゃんとフィットするものを作りたいって思ってるので、ふたりの触れやすいというか、人懐っこいメロディはすごくいいなって思ってました。だから、今回、一緒にやるってなったときはそこがすごい楽しみでしたね。全員がキャッチーを作れる人だから」

――今回、唯人さんからふたりに声をかけたのはどうしてだったんですか?

竹内「3曲目をリリースするタイミングで、男3、4人で楽曲を作りたいって話は元々あって。事務所の人と話してる間で、まず、VILLくんに電話して。そしたらもう、秒でやるって言ってくれて(笑)」

VILL「ふたつ返事でしたね。人として好きだから。それだけですね」

竹内「“唯人がやるっていうんだったらやる”って言ってくれて。そのあと、どんな楽曲にしたいかをふたりで話した時に、Aile The Shotaくんはどうかな?っていう案が出てきて。めちゃくちゃ忙しい人なので、絶対に無理だろうなと思ってDMしたら、それもすぐに返ってきて」

Shota「僕はリスナーの層がわかりやすく違うタイプのアーティストだなと思ってるんですよ。THE FIRSTがあったので、同世代よりちょっと上の方が多いんですね。Z世代のリスナーが多いタイプじゃないので、ふたりとコラボできるのはアーティストとしてもうれしいし、唯人と仲良くなりたいと思ったので、普通にやりたいなと。VILLくんとセッションできるのもうれしかったし、確認するのは本当スケジュールだけでしたね。できる限りいろんな人とやりたいっていう、客演祭りみたいなのを自分でやってたから(笑)」

竹内「そこから楽曲の制作がスタートしたんすけど、僕が最初に作って、ふたりにトラックとメロディを送って。めちゃくちゃ早かったですね」

――最初にテーマを話し合ったんですか。

Shota「全体のリリックのテーマを聞いたら、赤裸々にいろいろ話してくれて。最初は電話でこの曲の背景を聞かせてくれて」

竹内「それをちょっと歌にしたいなと思って。別に今回の曲じゃなくてもよかったんですけど、VILLくんの曲は自分と誰かに対してを表現して歌うことが多いので、VILLくんがいるんだったら、それを書きたいなって。自分1人で恋愛の曲を書くのとは響き方が違うから、“恋愛のことを書きたいんです”ってふたりに話して」

VILL「彼のやりたいことに賛成したっていう感じですね」

Shota「歌詞も最初のラフで唯人は自分の分を入れて送ってくれたんで、そこへのアンサーもしつつ。キャッチできる部分が多かったんで、回収しようって思いながら、ラブストーリーを書くっていう。いわゆる客演っていうやり方ができたんで、楽しかったですね」

――それぞれが、「似てるけど似てない、似てないけど似てる」という正反対なふたりの距離を書いてますね。

VILL「僕は唯人がくれたテーマとフックにちょっと寄り添いつつ、もう自分の体験談ってことで」

――会いに行っちゃってますもんね。

VILL「もう完全に。あと僕、寝るのが朝6時とか、7時なんで、だいたい逆なんすよ。普通の子と遊ぶとか付き合うとかってなったときに……っていう歌詞ですね」

――<愛知から飛ばしていくぜ>がかっこいいっすよね。

Shota「これ、VILLくんしか言えないからね」

VILL「あははは!俺は、Shotaっちが1ヵ所だけガヤ入れてるのが美味しいなと思って」

Shota「<first time>のとこ?」

VILL「うざっ!て思って(笑)。これ褒め言葉だよ。あそこが美味しいのよ。技ありだったね」

Shota「僕は自分の作品はめっちゃ自分にフォーカスして、パーソナルなこと書いてたんですけど、客演ってなると、僕以外のもうひとつ、曲に人格持たせるみたいなのができる。だから、自分の体験談のアーカイブから感覚を引っ張ってきつつ、それを繋ぎ合わせて新しく“君”と“僕”を作って。正反対っていうテーマがすごくきっかけとして描きやすかったし、VILLくんから<朝と夜>っていうモチーフがもらえたので、順番通りに回収できてる感じだと思いますね。3人のアザーストーリーができてる」

VILL「空想だ」

Shota「実体験から引っ張ってきた言葉たちを繋ぎ合わせて作った空想です。割と僕が書くときにやるというか。自分の言葉でもあるから遠すぎない。だけど、実際にその人がいるわけじゃない」

VILL「ふーん……おもろいね」

Shota「いろんな恋愛からのアーカイブです。やってみて面白かった。サビを唯人が歌って、バースをそれぞれが歌うっていうので、その中でどう耳に残るか。半ばちょっと戦いみたいな感じもあるじゃないですか?ヴァース合戦。それがすごい好きなんでフィーチャリング大好きなんですけど、楽しかったなっていう感じです」

竹内「僕はShotaくんの<月明かりが似合う君は太陽が好きだと言った>っていうのがすごい好きで」

VILL「地獄っしょ!これ、地獄だ」

Shota「あはははは!独特の褒め方」

VILL「もう詩人みたいな。リリックというには渋すぎる」

Shota「このフレーズが降りてきた瞬間にきたなと思って。順番的に唯人が書いて、VILLくんが描いて、3ヴァース目書きますって感じだったんで、本当に吸収させてもらって、落とし込んで描いてる感じ。サビを唯人が歌って、バースをそれぞれが歌う。その中でどう耳に残るか。半ばヴァース合戦みたいな感じで楽しかったですね」

――レコーディングはどうでした?

VILL「僕、1個だけ印象に残ってることがあって。Shotaっちの声、音源を聴いた感じだと、ちょっとふわふわしてたんですよ。でも、実際にレコーディングで聴いたら野太かった。めっちゃいい意味なんすけど、意外と太いんだっていう。声的に軽く乗ってる印象だったんですけど、“意外と太いんだ?くそっ!”みたいな」

Shota「うれしい(笑)。3ヴァース目はいろいろ美味しすぎるな」

VILL「その声の感じで、芯が太いんだって。たぶんRECのときも俺言ったんすけど」

Shota「びっくりしたみたいに言ってくれた」

VILL「それはくらったっすね」

Shota「同じですね、声に力があるタイプっていうのはわかってたんですけど、やっぱ生で聴くと、ライブとは違ったパンチがあって。唯人は“歌、うまっ!”って思いましたね」

VILL「そう、歌うまいんだよね!唯人は」

竹内「え……うれしい」

Shota「声も通るしね。VILLくんは逆にメロウなラップのニュアンスが多いんで、新鮮だって思いました。でも、<甘いチューインガムみたい>でサビのメロディを回収してるところでVILLくんのリスナーが好きな声質が出てて。“VILLSHANA、キター!”みたいな出し方が憎いなと思いました」

竹内「VILLくんで言うと、“こっち系のラップでくるんだ?”って思って。現場で、“おおっ!フィーチャリング感あるわ”と思ったし、Shotaくんに関しては、俺も“野太っ!”て感じました」

VILL「太いよね。声の重心が低い感じがする。囁いた声を出していても、ただ小さくなるのとは違うというか……」

Shota「うれしい。いいんですか?そんな褒めてもらって。頑張ります!」

VILL「あとでご飯奢ってもらえれば」

Shota「ぜんぜん!飯、行きましょう」

――はははは!そしてMVも3人で撮影したんですね?

竹内「結果的には良くなりました」

Shota「あはははは!いろいろあったんだよね」

竹内「いろいろありましたよ。暑かったっすよね。とりあえず」

Shota「真夏の海辺でニット着て」

竹内「いろんな差し替えがあって良くはなったし、VILLくんとShotaくんは、室内でかっこいいところが撮れてるから」

VILL「結構、アングラ系の撮影みたいな感じだった。僕は全然慣れてるんでいいんですけど」

Shota「僕も楽しかったですよ。小旅行感というか、ちょっと楽しみに行ってる感じもあったし。完成した映像を見たときも、思い出ビデオみたいな感覚もあり、映像作品としても仕上がってるので、いいなって。3人の等身大で、ある意味、ラブソングっぽくない映像なので」

――ちょっと青春感がありますよね。

Shota「そのアンバランスなところがいいのかなって思いましたね。3人のシーンはめちゃくちゃ素ですからね。トランプのシーンとか、普通に遊んでるだけど、3人の雰囲気伝わるビデオだし、客演に意味があるタイプの曲だと思うんで、素敵だなと思います」

VILL「ほんとに小旅行みたいな時間だった。1日で全部撮り切って、意外とハードで疲れたけど、別に雰囲気が悪くなるわけではなく、楽しかったし」

――唯人さん、ふたりを客演に迎えた楽曲が完成して、ご自身にとってどんな曲になりましたか。

竹内「VILLくんとは「YOZORA」の時も別のアーティストと3人でやってるんですけど、いま聴くと、アタマから始まってケツまで行くまでに、「ゼロセンチ」の方が短く感じるなって気がしてて。人のヴァースを待つ前に、スーっと流れて聴けるというか……だから、声の相性とか、曲の雰囲気もこれで良かったのかなっていう感じはします。いま、自分でもずっと聴いてるし、すごく気に入った曲になりました」

VILL「今までの唯人の曲の中にそんなに似た曲がないと思うので、いいかなと思いますね。唯人とはやってる音楽のジャンルが違うけど、僕は唯人の音楽が好きだし、これからも自分の好きな音楽だけをやり続けてほしいなって思います」

竹内「はい!」

Shota「フィーチャリングの楽しさを改めて感じた曲だと思いますし、竹内唯人の新しいフェイズな感じもしてて。シンセマナーの曲はなかったと思うので、世にどう受け入れられるのかすごい楽しみだし、自分のヴァースも気に入っているので、大事に歌っていきたいですね」

――これからまたこの3人で何かやりますか?

竹内「次はMVを完璧にしたい。風景カットを無しにして、3人にがっつり寄った、ガチガチのMVを撮りたかったんですよ。ガチでカッコつけてるやつ!」

Shota「あははは!」

竹内「さらに進化した楽曲もやりたいし、ライブもやんなきゃいけないですよね。ライブしよう!」

Shota「ライブ呼んでよ。客演で行くの楽しいから」

VILL「気楽だよね。行って、つかんで、お疲れした!って」

竹内「ライブやりたいわ。絶対にライブ、ヤバいですよね。ライブやりましょう!ライブとMVですね」

Shota「一生、消えないヤツじゃん(笑)」

(おわり)

取材・文/永堀アツオ
写真/野﨑慧嗣

竹内唯人 feat. VILLSHANA&Aile The Shota「ゼロセンチ」DISC INFO

2023年10月25日(月)配信
ユニバーサル ミュージック

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