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2021.04.02

UNCHAIN『Animal Effect』インタビュー――世の中の音楽へのカウンター

コロナ禍中の2021年、結成25年目に突入したUNCHAIN。昨年の佐藤将文(G)脱退という試練を乗り越え、最新作『Animal Effect』をして3ピースバンドへのアップデートを遂げた。谷川正憲、吉田昇吾、谷 浩彰とともにバンドの現在地を探る。

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――2020年はUNCHAINにとっていろんなことがあった年になりましたね。

谷川正憲「そうですね。24年やってても経験してないことは結構ありましたね」

――佐藤さんの脱退自体は2019年に決まっていたけれどコロナ禍になってしまって。

吉田昇吾「彼も最後のツアーができてないんで」

谷 浩彰「衝撃的なことが二重で来ましたね」


――今回の『Animal effect』は、3人で言わずもがなで始まった感じですか?

谷川「最初はコロナの時期になったこともあったのかも知れないですけど、意欲が湧きずらかったですね。3人だけでステージに立ってるイメージが全然沸かなかった。佐藤がいることが当たり前過ぎちゃって。しかもスタジオにも入れない、二人の顔も見れないみたいな事態になって、世の中の状況もあって。逆にそいう時だから曲ガンガン作るぜ!みたいな人もいたじゃないですか。でも僕はそんな気に逆になれなくなっちゃって。一時期、考え込むというか、家からも出れないし、引きこもる感じになってましたね」

――なるほど。音楽は聴けましたか?

吉田「ああ。あんまり聴いてなかった」

谷川「僕もちょっと聴かない時期があって。あの時期は明るい曲を作りたくなりました。世の中が暗いからなのか、いつもは暗い曲ばっか作りたくなるんですけど、あの時だけ逆の思考になったというか」


――谷さんはいかがでしたか?

谷「僕はラジオをよく聴いていたので、音楽は自然と入ってきた感じでした。そこまでうわー!って落ちるのもあんまなかったですね」

――皆さんそれぞれ曲作りのスイッチが入った時期は違うかも知れないけど、谷川さんは何がきっかけになりました?

谷川「何にもできない状況だけど、その時、佐藤が抜けるか抜けないかみたいな時期だったんですよね、4月、5月は。じゃあ6月のライブはどうするんだ?とかあって。で、ライブをやらないことには3人もスタートできないし、みたいな時期だったので、悩んだ末、ライブは無期限延期にして、3人はそこでスタートさせてもらうという決断に到りましたけど、ま、やっぱ…なんとも言えない感じもあって」

谷「今も“いつライブがあるんだろうか?”っていう思いですね」

――3人で始動することをどこかで明快にしないと始まらないし。

谷川「だからYouTubeチャンネルがちゃんと動き出して、で、6月18日に佐藤がそこで脱退しますって決めた時から、やっぱり3人でやんないとなんだなっていう意識は出始めた感じですかね」


――3人体制になって変わったところは?

谷川「やっぱりステージに立ってるのをイメージしながら作ることも多かったんで、そこら辺の思考が止まっちゃう感じはあったんですけど。ある時からライブと制作やスタジオを分けて考えるようになりました。一旦、分けて考えないと進まないなっていうのもあったし。そういう考えになって、自ずとイメージが湧いてきたみたいなところはあるかも知れないです」

――「Choices」は割と早い段階でできたそうですが、どういう風にできてきた曲ですか?

谷川「デモの原型自体は2018年からあって、その時は佐藤もいたんですけど。でもスタジオに入れないので、宅録環境を整えるところから始まり、どうにか離れた場所で音を出し合えないか、セッションできないか?色々考えて。で、あるアプリにたどり着いたんです。でも全然できなくて(笑)。全員の回線が安定してないとすごく難しいんですよ」

――リモートでセッションするだけじゃなくて録音もしたんですか?

谷川「YouTube用に各々で宅録して自分でミックスをして。「Choices」もそうですけど、今までの曲も3人用に1からアレンジし直してっていうのも、リモートでやって。それもいくつかYouTubeチャンネルで紹介してるんですけど。やっぱリモートでやるとちょっとしたスタジオでは一瞬で済むものが、3日かかったりとかするので(笑)。その辺がまどろっこしくて大変でしたね」


――「Choices」は複雑ですよね。ヴァースとサビの拍の感じが全然違うし、ヴァースへのメロの乗せ方が洋楽っぽいし。よくこんな難しい曲をリモートで作ったなと(笑)。

谷川「そうですね。リモートだからこそかも知んないですね。スタジオでバーン!で入っちゃうと意外と細かいことできなかったりもして、この曲は宅録というかDAW上で作ってるものを表現できるか?ってことなので。でもDAWだけで作ってると机上の空論みたいになっちゃって、ほんとにやってできるのか?っていうのもわかんないままやってるんで、不安を抱えながら作っていたみたいなね。基本、スタジオで合わせはしましたけど、ほんとに最後の最後だけ、確認作業だけみたいな感じだったんです」

――机上の空論を現実にしていくパワーがすごかったんじゃないですか?

谷川「一応、作る時に気をつけてというか、机上の空論にならないようにやってたつもりではあるんですけど」

吉田「アルバム作るとなって、動き出してからはめちゃめちゃ早かったよね?それこそ一気にわー!って行った感じですね、全曲」

――前作の『LIBYAN GLASS』の時は吉田さんが構築されたデモを作ってきたことがアルバムの全体像につながったそうで。だから細部を詰めて全体像を把握する作業は最近はすでにやっていたのかなと思ったんですが。

谷川「ああ、そうかも知れないですね。それこそ今回は細部というか、“Animal Effect”っていうテーマが最初に決まって、なんとなくイメージの軸ができたんで、このアレンジとか歌詞には割とその影響が出てると思います」

――動物の進化みたいなテーマが?

谷川「はい(笑)」

――進化した演奏とかアレンジということですか?

谷川「進化したというよりは、もっと本能的に捉えてみる、“アニマル的な感覚で”っていう方が大きかったかもしれないですね」

――UNCHAINはファンクやソウルを昇華した音楽性ではありますけど、アプローチはいわゆるシティポップと呼ばれるバンドとは違って、ゴリゴリしたバンドサウンドとのハイブリッド感がすごいなと思ったんですよ。

谷川「ああ。まあ単純に4人の時に比べると、シンプルじゃないとできないみたいなところも結構あって。だから今のハイブリッド感はちょうどいいところなような気はしてて。これ以上行っちゃうと玄人すぎる感じもあるというか」

――あんまり洗練されすぎてもね……

谷川「そうですね。マニアックなことを言うと、テンションコードが好きですごく使ってたんですけど、今回あんまり使ってなくて。テンションコード使わなくても、“あ、できるやん!”みたいな感じ(笑)」

――テンションコードを入れたら“わかってる”感じにはなりますもんね。

谷川「そうですね。そういうのに囚われてたのかわかんないですけど、シンプルにすることによって、“ここはテンション入れない方がいい”とかいう基準まで戻ってきたというか」

――なるほど。リードでもある1曲目の「Elephant Ship」という曲はシンガロングで最後はチャントに聴こえるような展開で意表を突かれます。

谷川「UNCHAINでは珍しい曲構成だよね」

吉田「うん。あれだけみんな歌ってますけど、僕、歌ってないですよ(笑)」

谷川「実は発表されてないゲスト陣も何人かいて、ま、でも“オーオオオ”っていうのを歌ってるだけの人たちも結構いたりして。うちの新米マネージャーも歌ってますし(笑)。コロナ禍なんで、やたらめったらには呼べなかったんですけど、できるだけ参加できる人はして、みたいな感じで」

――歌詞のテーマも“ここからまた始まるぞ”って感じがします。

谷川「この曲はできた時から、僕はリードにしたいと思ってて。3人になっての船出をイメージしたかったんで、いい感じになったと思います」


――この曲と「Wait For The Sun」にBRADIOの真行寺さんがコーラス参加してるのが面白いですね。全然違うタイプの曲で。

谷川「そうですね。「Wait For The Sun」は真行寺だけの瞬間があるんで、声の特徴もあるし」

――この曲はそれこそ複雑なことをやってそうで、同じビートのループで、ベースが聴かせどころですね。

谷「そうですね。単純なループものの曲だから、ノリというか踊らせれるグルーヴが必要だなとは思ってて。まあいい感じに録れたかなと思います」

――歌詞に<upside down>ってありますけど、ダイアナ・ロスを思い出しました(笑)。

谷「ああ、もうもちろん(笑)。僕が歌詞作ったんですけど、谷川のデモで適当英語みたいな感じでメロが来るんですけど、やっぱ難しいんですよ、いつも歌詞作るとき。Aメロから作っていくんですけど結局できずに、“じゃあサビから行こうかな”たいな感じになって、“ああ、サビもできねえな”と思ってて、<upside down>の部分だけが先にできたんで」

谷川「どういう作り方やねん(笑)」

谷「そっから――ダイアナ・ロスから――広げて行って」

谷川「谷くんの日本語詞には独特の“谷節”みたいな部分があって、それがバンドの面白いところだと思うんですけど、思わぬ化学反応が生まれる瞬間がある。それを期待して“難しいと思うけど、これ書いて”ってお願いしました」

――竹内アンナさんが作詞された「Touch My Soul」。これは女の子だから書ける角度ですね。

谷川「はい。可愛らしいアンナちゃんぽい歌詞を書いていただいて。リクエストとしては「Touch My Soul」っていう曲名だけ最初にあって。曲名をそれにするつもりはなかったんですけど、伝えたのは“こういうデモのタイトルがあって”っていうことだけなんですよ(笑)」

――男女の恋の歌というより、歌詞の人が語り手って感じで。

谷川「アンナちゃんの「Love Your Love」って曲も結構そういう感じがして。なんでしょうね、応援ソングじゃないけど、“生きることは楽しいことだよ”みたいなことを教えてくれるような感じはしますね」 ――意外な展開を見せるのが「Not Too Late」で。大山さんのソロは最後の最後に出てきますけど、冒頭は悲しげなシンセです。

谷川「この曲もずっといっしょのことしてて、実は。展開を静と動でつけてやってるんで、同じ感じはしないかもしれないんですけど、ベースラインはずっと同じなんです」

――UNCHAINが消化するインディR&Bっぽい曲って一本調子じゃない感じがします。

谷川「ありがとうございます」

――そういうニュアンスはこの曲と次の「Like A Star」に濃いですね。

谷川「そうですね。最近こういう曲増えてきましたね。僕の作る曲もいかに単純化してグルーヴを続けられるか、それでかっこいいかを考えますね。最近ヒップホップとかよく聴くようになったから、そういう影響もあるのかもしれませんけど」

――最近どういうものが面白いですか?

谷川「そうですね……ま、HIP HOPも最近、多様化してきてて一言でいえないんですけど、ちょっと前から――谷くんもそうだと思うんですけど――アンダーソン・パークとかマック・ミラーあたりですかね」

――いまや海外ではポップスの領域ですね。「Like a Star」はギターリフとベースリフがマスロックっぽいところあるというか、ファンクとはまた違う印象があります。

谷川「ああ。僕はエレクトロニカ系を聴くと、それをバンドサウンドでやりたくなるんですよ。で、そういう風にできた曲が過去にいくつかあって、これもそのひとつで」

――面白いですよね。人力で異なるジャンル感をやってる曲がいくつもあって。次の「Roar」も“これを生音でやる?”っていう感じの曲ですね。

谷川「ハイブリッド感あるかもしれないですね。これ、吉田くんが作ってきてくれたんですけど」


――吉田さんのアイデアはどういうところから?

吉田「これは前作の「LIBYAN GLASS」を作ったときにいっしょに作った曲なんです。で、メロディは作ったんですけど、アレンジは谷川にお願いしてっていう感じでした。ちょっと祭りっぽいじゃないですか(笑)。全然、そんな感じは元々はなくて」

――生音のトロピカルハウスのように聴こえますよ。

谷川「ああ。ありがとうございます、いい風に言っていただいて(笑)」

――ジャンルを一口で言えない感じになってるのはバンドでやってるからだと思います。

吉田「ジャンル感ないですよね、この曲。今回でいちばん思うかもしれないです」

――「Dear Jay」は吉田さんの作詞ですね。

吉田「犬の気持ちというか、犬目線で書きました。アニマルっていうテーマがあったのと、ただ、犬が好きなんで(笑)。僕が犬だったらこういう風に思ってるかなって」

――じゃあ「Dear Jay」は飼い主?

谷川「犬の恋愛の歌です」

吉田「自分のことを書くより、犬になった方が書きやすいです(笑)」

谷川「ははは。すごいこと言いましたね、今。“Jay”って聞いたら、ジャミロクワイのことを思う人もいるかもしれないですね。でも曲調が全然違うので、“あれ?”って思うかもしれない」

――「Stay Broken」の歌詞はなかなかヘヴィで。

谷川「最近、舞台の音楽をやることが多くて、年に何度かやらせてもらうんですけど、まだ若い演出・脚本家さんがいて、その人がある映画を一本撮って、それを見せてもらったイメージで作った曲で。すごい暗いテーマが好きな人なんですよ。例えば昔、やらせてもらった舞台がタイトルが『ダニ』っていう舞台で。ダニってとんでもなく種族がいるんですけど、ある種族間抗争があって、攻撃をされた種族はその次の代が、攻撃を仕掛けてきた種族に逆襲するってゆう習性があるらしいんですよ。それを人間社会に例えた舞台で。その映画もかなり落ちるとこまで落ちるみたいな話で、それをイメージして素直に表したら、結構すぐできたというか」

――<私たちは壊れたままだから>という英語のフレーズがありますね。去年、様々な側面でそういうことがあったので、反映されているのかな?と思ったんですが。

谷川「そのイメージを得た映画を見たのがコロナが始まる前で、で、コロナが始まってそれも経てるんで、その思いも込められてると思います」

――谷川さん自身は“人間って変わらないな”と思います?それとも変わって欲しいからこういう曲を作った?

谷川「難しいですね。いろんな人間がいると思うんで。今回、“Animal Effect”ということで、アニマル関連の言葉、いっぱい調べたんですよ。アニマリズムっていう言葉があって。いわゆる、犬も猫も苦しみを感じられる生命体は全て平等と見做すという考え方で。ほんとに犬も猫も人間も並列に並べるという考え方で。別にその考え方の人たちが、だからといって人間を攻撃するとかではないんですけど、そういう考え方があって。僕はそこまでいけないですけど、考え方はわかる気がするし、そういうこと考えていくと、“人間は変わる”までいかないですけど、ちょっと見方が変わっていくのかなというのは思いますけどね」

――重いけど見つめたいテーマですね。そしてラストの「déraciné」で一気に日常に戻れる感じがします。

谷川「良かったです(笑)。この曲は「Stay Broken」の続きのお話なんです。できたのは「déraciné」が先なんですけど。「Stay Broken」の世界を経て、この曲の世界がありまして。傷ついて地に落ちた状態で壊れたままであっても、一歩、線を超えたら生まれ変われるんじゃないか?っていうのを常に思いながら生きていくしかないんじゃないか?みたいなとこに行った感じというか。デラシネって根無草で、だからゴールはないっていうことですよね。ゴールはないですし、どんな状況でも、それこそ一歩前に出たら、大逆転の可能性があるしっていうのを信じる曲っていうか」

――UNCHAINは貪欲なバンドだなと思いますよ。

谷川「貪欲というか、常にカウンターですよね。世の中の音楽へのというか。今、世の中ではこんな曲が売れてますとか、いろいろある中で、俺はこうだ!って言いたいみたいな、それだけな気がします(笑)」


――自分がやりたい音楽はこうだ、という意思であると。みなさんそれぞれ、この曲のここ!という推しポイントがあれば教えてください。

谷「僕は8曲目の「Dark Horse」。イントロ始まってちょっとソウルミュージックとかR&Bを感じさせて、そのままいくんかなと思いきやサビではガラッと変わったり、僕がラップしたりもしてて。ほんまごちゃ混ぜ、ミクスチャーになったなって。UNCHAINらしいというのか、いろいろ詰め込みましたみたいな感じでできたんで、面白いしかっこいい曲になったと思います」

谷川「谷くんのラップは今まではクスクスっていう感じがあったんですけど、そんなことは全くなく二の線のラップが出来上がったんで普通に聴いて欲しい。谷くんを知ってる全人類は聴いて欲しいです」

吉田「今の話のつながりで、谷が歌ってる曲が何曲かあるんですけど、谷が歌ってるだけで、僕はアニマル感を感じるんですね。昔は結構歌ってたんですよ。で、まあしばらくなかった、こんなに歌うこと。だから本能を感じるんですよ、昔やってたみたいな。谷が歌ってるだけで嬉しくなる(笑)」


――谷川さんは?

谷川「いっぱいあるんですが、「Dive Into Deep」。3分間で、たぶん2分半ぐらいまでギターが入ってこないっていう曲で、これも初チャレンジで。3人になったことでシンプルにしようしようとしてましたけど、ここまでいくか?っていうぐらいやってみたって感じの曲ですね。ライブでどういう感じになるかわからないですけど、自分でも面白いチャレンジだったなと思います」

――1曲の中で“え?え?”と思いながら聴き進めた曲が多かったので、ライブアレンジが楽しみですね。

谷川「ありがとうございます。配信ライブももうすぐなので頑張ります」

(おわり)

取材・文/石角友香
写真/柴田ひろあき





■UNCHAIN配信ライブ「TRY-Angle vol.2 ~Effective Animals~」 イープラス
2021年4月18日(日)※アーカイブ視聴は4月24日(土)まで





UNCHAIN
UNCHAIN『Animal Effect』
2021年3月31日(水)発売
CRCP-40624/3,300円(税込)
CROWN STONES




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