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2020.08.07

brainchild’s「Set you a/n」インタビュー――10代の憧れと、いまの自分の欲求

自粛疲れのココロとカラダをキックする!2018年リリースのメジャー第1弾『STAY ALIVE』とその後の全国ツアーでソリッドなバンドアンサンブルを響かせたbrainchild’s。新たにキーボーディストのMALを迎えた“7期Ver.2”とでも呼びたくなる布陣で臨んだ新曲「Set you a/n」が生まれるまでのストーリーをEMMAこと菊地英昭と渡會将士が語る。

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――『STAY ALIVE』のツアーからすでに2年経っていることに驚きますが、改めてあのツアーの手応えを聞かせてください。

菊地英昭「そうだね。そうなんですけど……そのツアーが終わった後がね(笑)」

――すぐさまTHE YELLOW MONKEYの活動だった?

菊地「そうだったんですよ(笑)。もちろんメンバーそれぞれの活動もあったので。でもツアー自体はbrainchild’s史上いちばん長かったし、フルアルバムでのツアーだったんで充実感はありました。だいたい最終日は地方で迎えることが多いんですけど、まあ、そこでのはっちゃけぶりも……ね?」

渡會将士「はい(笑)」

菊地「楽しく終われたんですけど、それからずっと何もしない時期が過ぎて、また曲を作り始めたらもうほぼほぼ1年以上経ってて、それも水面下でやりつつだったので。この「Set you a/n」も去年から作り出してたのに途中でコロナが来ちゃったから、結構時間が空いちゃった」

――今年の夏のツアーが実現していたらMALさんも加わった5人でやっていたんですよね。

菊地「そうです。この曲も最初は7期だけでやろうかなとは思ってたんですけど、ツアーはMALを迎えてやるって決まってたので。じゃあこの曲もMALに参加してもらおうかなっていうところから始まりましたね」

――MALさんもいろんなバンドを兼任していますけど、どういうタイプのキーボーディストですか?

菊地「僕が初めて知ったのは4ピースのundervarで。“ちょっと変わったやつだなあ!”と思ってましたね。音遣いとか存在感が。逆にそこにいろんなもの感じましたけど」

――7期のbrainchild’sはタイトなロックバンドという感じになってましたけど、また楽器が増える傾向にあるんでしょうか?

菊地「個人的にはソリッドなのも好きだし、音の広がりがあるのもすごい好きなので。どっちかの欲が出たときはどっちかに傾いちゃうっていう癖があると思うんですけどね。ま、人数はたぶん増えないと思いますけどね。これ以上は(笑)」

――渡會さんは、前回のアルバムツアーはいかがでしたか?

渡會「EMMAさんぐらいの大御所のツアーで、あのサイズ感のハコをこんな本数回るってかなりめずらしいことなんじゃないかなって気がしてて。でもなんでしょうね……ライブやればやるほどライブバンド然としていく感じが非常に面白くて。後はなんすかね……ひたすらコール&レスポンスを集中してやり続けてましたね(笑)」

――オーディエンスを煽りつつ。かと思えば敬語も織り交ぜたMCとかすごいバランス感を目撃しましたよ(笑)。

渡會「曲中のコールとかって多少オラつてないとサマにならない部分もあるし。でもEMMAさんを交えてのMCになった瞬間“ですよね!”って切り替えて(笑)」

――非常に微笑ましかったです。まあ、メンバーそれぞれの軸はありつつ、非常にバンドらしいなと思いました。

菊地「それぞれバンド経験のあるメンバーだし、やっぱひとつのことに向かうとそういうバンドマンとして血がちゃんと通うっていうかね。そういうところが垣間見れるんで。自分もこのメンバーを探すときにそういうものを求めてた部分もあったんで、腑に落ちてるっていうか、場数を踏めば踏むほどそうであろうし、曲によってもそうだろうしっていう。でもそれぞれのパーソナルな才能があるので、逆に曲によっては散らかっててもいいかなと思ったり……絶妙なバランスかなと」

――ちなみに最初からこのタイミングでデジタルシングルをリリースするつもりだった?

菊地「ですね。本当に7月にやっているはずだったツアーに新曲を持って行きたかったんで。でもできないってことになって、じゃあせめて曲だけでも皆さんに届けたいし。他にも何曲か作ってたんですけど、この「Set you a/n」はちょっと、歌詞にいろいろ意味が含まれてますけど、印象的には元気になれるんだろうなってイメージもあったんで。ものすごくメッセージ性が強いとかそういうことでもなく、背中を押す、というよりは体を動かせられたらいいなあって捉え方ができたんで。曲も夏っぽいし(笑)、じゃあこのタイミングでリリースしましょうかって話になりました。ツアーでやりたかったっていうのが本音です」

――まずタイトルで笑いました。

菊地「ね!(笑)」

――渡會さんはオケが完成してから歌詞を書いたんですか?

渡會「そうですね。いちばん最初のレコーディングは12月とかでしたっけ?」

菊地「そうね。仮歌で歌ってもらった後に、一回歌詞つけてもらって。そのときはピアノまだ入ってなくて」

渡會「MALくんのピアノが乗ったら思った以上にロマンチックだなと思って」

――キラキラ感出てますよね。

渡會「そうですよね。で、根本的に俺は違う気がすると思って、そこから全部歌詞変えたくなって“録り直そうと思います”って言ってたら、自粛、自粛みたいな感じになってきて。で、自粛明けてすぐぐらいに直したものを録ったって感じですね。トラック的には全部出来上がった上に乗せたっていう感じではあります」

――じゃあ、いまの世情がある程度反映されている?

渡會「なんか4月、5月ぐらいにすごいSNSが荒れてるなと思って。とりあえずみんな正義って単語使いたがるのが気持ち悪いなと思って。なんか二極論ですごい話をする人が多かったんですけど、誰も折衷案を出さないというか、どっちかがボコボコになるまで攻撃して、締め出してっていう行為が行われていて。ま、社会的なストレスなんだろうなと思ったんですけど、そういうのではなくて、両立してていいんじゃないの?みたいな感じで書いてますね」

菊地「顔が見えないだけに自分が正しいと思ったことを貫き通す人が多いですよね。絶対に譲らないっていうか。人間の本質なのかもしれないけど。でもそれじゃ社会が回ってかないかもしれない。いろいろあるじゃない?折衷案ってイメージ」

渡會「そうですよね。一応辞書で引くぶんには“間を取る”ってニュアンスではなくて、両方の意見を組み合わせてよりいい案を出すっていう意味なので。“答えが決まらない”みたいに思われてしまうかもしれないんですけど、“どっちかにしろ!”って強制するニュアンスじゃなくて、全部合わせてもっといい案を出しますよっていうことなので。歌詞でも言ってますけど“スイートチリソース”って、甘い唐辛子のソースって意味わかんなくないですか?文字面だけだと。でもそういうもんなんです。対極にあるからって、どちらが正義かって話をするのって、実は消去法でしかないので。それよりは塩バニラアイスみたいなね(笑)。意外にいい組み合わせじゃない?という……そんな提案ですね」

――渡會さんのユーモアが生きているけれど、奥に潜んでいるシリアスな部分も感じられる。そういう例え、いっぱい考えたんじゃないですか?

菊地「LINEで来ました(笑)」

渡會「メンバーLINEとかに“この言葉の反対のものってありません?”みたいな感じで(笑)」

――そういう書き方得意でしょ?渡會さんは。

渡會「や!ふだんは割と得意な気がしてるんですけど、家に篭ってたのもあって、情報が偏りがちになるところもありまして(笑)。いっそみんなに聞いてみたほうが面白いの出るかな?って」

――シリアスなパンチラインもあって。“不得手なJapaneseで”とか。

渡會「この辺は言葉遊びではありますけど、“不得手なJapaneseで”って自分で使ってて、日本語って難しいなと思うし。ひとつの語彙に対して一単語で、非常に言葉数が多いので、適切なワードを使って適切なことを喋ろうと思うとほんとに難しいなと常々思い悩むところです」

――噺家か講談師のような思考回路が出ちゃってるというか……

渡會「確かに(笑)。ひとりでヘラヘラしながら作ってましたけどね」

――“ハンドミキサーでエマルション”ってフレーズは、パスタ作りの名人がYouTubeなんかで紹介してる乳化させるレシピを思い出しちゃって(笑)。

渡會「これは単純に油とお酢を混ぜてマヨネーズ作るみたいな。たとえばbrainchild’sの中でもメンバー全員キャラ違いますし、MALくんとかときどき変なスイッチ入って、“おっ!なに急に言い出してんだ?”とか、神田先生もいっしょにお酒飲んでると“ワル神田スイッチ入った?”みたいなことがすごいのいっぱいあるんです。ま、全然楽しくやれてるんですけど。なんかEMMAさんがうまいことエマルションさせるんですよ(笑)」

菊地「EMMAだけにエマルション?(笑)」

渡會「ははは!すみません!いまちょっと無理やりぶっ込んじゃいましたけど。でもね、そういうのって、ふたりだけでほっといたらぶつかっちゃいそうなものとかも、3ピースだと成立しちゃう。さらにもうひとり変な人が入って4ピースになっちゃうのが面白いなって。自粛期間で音楽やれなくて、“ああ、あのツアーまたやりてえな!”とかふと思ったり」

――そういうマインドも然りですが、MALさんの鍵盤が入ったことでサウンドのイメージも変わったと思うんです。

菊地「7期だけのメンバーだけで録ったときは、ドラム、ベース、ギターを、せーの!で録ってたんですけど、ギターとかもやっぱ7期色の強い、ちょっとザクっとした音で録ってて。でもMALにピアノを入れてもらったら、“これ違うな……”と思って、ギターも全部録り直しちゃたり。最初はギターの音が立ってたんですよ。ビンテージのアンプとか使ったりして、ミドルの強いような。でもそれだとちょっと世界観が違うなと思って、サウンドの方向性を変えて。で、わっちも最初の詞で歌ってもらったやつはピアノ入ってなかったし。それはそれで成立してたんですが、やっぱりピアノの存在デカくて」

――そこまで影響が大きかったとは。

菊地「自分がピアノを好きなんで。ほんとに10代の頃から憧れてたもののひとつだったりするんで。ピアノが弾けるってこと自体がね。憧れもあるし、いまの自分の欲求かな。それが全部合わさって、ふだんと違う作り方になってましたね。7期でやってたここ何年かは全然違うスタイルだし、他のメンバーも出来上がったときにちょっと驚いてたんじゃないかな。ま、わっちと僕はずっと知ってたからあれなんだけど、リズム隊のふたりは“あれ?こんな曲になっちゃったの!”みたいなとこはあったかもしれない(笑)」

――ソリッドな7期プラスもうちょっと外に向かっていく感じ。この曲を聴く限りですけど。

菊地「ピアノの音階とか楽器の特性っていうかね、こう叩いてメロディを出すってこと自体がなんか異文化というか、ちょっと違う次元にいる。ピアノが入ってない3ピースのバンドとの差がすごく深くて。例えばピアノが入ってる3ピースのギターレスバンドと、ギターがいる3ピースのバンドだと全然違うイメージがある。個人的にはキーンとか大好きだけど、そこにギターを入れたいなっていう欲求もあったりしたんです。バンドに鍵盤がいるのと、セッションとかサポートで入ってる鍵盤ってイメージが違うから。バンドとしてちゃんと存在する鍵盤っていうのを求めてたんだろうね。いま作ってる他の曲もこれとはまた違うテイストだったりして……もうちょっとエグいのを入れてもらったのもあるんで。今後の化け方っていうかね(笑)」

――期待してます(笑)。そして今回も渡會さんの歌が醸すグルーヴ感が半端ないという。

渡會「文字数多いんで。あとはアタックとかによっても、細かいハイハットみたいなグルーヴは作ってしまってる部分はあると思います。意図的ですけれども(笑)」

――ぶっちゃけ、「Set you a/n」1曲じゃ足りないんですよね。この溢れんばかりの勢いのものをもうちょっと……

菊地/渡會「ははは!」

渡會「どうなんですかね?ストック的な」

菊地「まあ、今回の「Set you a/n」は普通のわっちですけど、“ワルわっち”もいますからね(笑)。ワルっていうかダークな?」

渡會「そっちの曲はEMMAさんがゴリっゴリのフレーズを弾いてるんで。“変に明るいこと言ってもなあ……”みたいなね。“こういう曲の雰囲気で歌詞書きなよ!”って焚き付けられてる感じ(笑)」

――それはEMMAさんのフレーズに引っ張られてダークサイドに落ちちゃったと?

渡會「そういうとこもあると思います(笑)。この歌録りの日程とかも“自粛が明けたら”って何度もリスケしたり……お上にそんな文句も言う気もなかったんですけど、あの長い時間振り回されると“ほんといい加減にしろよ!”って、ぽろぽろ文句が出てきちゃうもんですね」

――コロナ禍を境にクリエイターとしての気構えみたいなものって変化しましたか?

菊地「やってることは変わってないんです。個人的には。曲作るのもほぼほぼ家で作業するし。僕自身そんなに表にばんばん出かけるタイプでもなかったんで(笑)。そこはあんま変わってないですけど、やっぱなんだろうな……制作意欲は出ちゃうのかな、逆に。こういう時期とか環境とか、がらっと世界が変わるときって、自分はそうなりやすいタイプみたいで。震災の時もそうでしたし。なんか負のパワーをプラスに変えるっていうか……とにかく作りたくなっちゃうんだよね」

渡會「僕はどっちかというとライブハウスとかで活動するのがメインなので、自粛も明けていろんなライブハウスとかまわりのミュージシャンと連絡取り合ってて。配信はどれがいいかとか、それこそ後輩のバンドマンがライブハウスといっしょに新しいプラットフォームをゼロから立ち上げたりとか、そういうのを手伝ったりしながら“よし!もうお客さんをゆっくり入れてやってみよう!”って動き始めたとろです。だからいま、だいぶ疲れてます(笑)」

菊地「そっか……そうだよね」

渡會「でも自分ひとりで全部できるなんて幻想はないし、いろんな人に“お願いします”って頭下げて、だからすごく仲間が増えたというか……それこそbrainchild’sの中でもみんなの音楽に対する向き合い方みたいなものは前と違うような気がするな。みんなで話してることも少し濃くなったような気がしているし」

――海外のアーティストでも新作の方向性が変わっていたりしますし。だから日本だけじゃなくて、世界が置かれている状況も同じなんだなって。

菊地「きっといい変化もありますよね。それは歴史というか、正解はひとつじゃないし、それぞれの正解を見つけるのは大切かなと思うんですよね。凝り固まっちゃうと、なんか怖いし。かと言って何にも考えないのもパワーが湧かないし。きっといいバランスのところがあるんじゃないかなと思ったりしてるんで。コロナで人間が試されてるとか、そんな大仰に考えなくていいと思うし」

――確かにこうやって元気でいて、誰かと会って話ができるってだけで嬉しいですもん。ところでbrainchild’sも配信ライブをやるんですか?

菊地「ツアーが延期になってしまったのもあって、なんかできないかなってスタッフと話してます。ただの無観客ライブじゃなくて、スタジオライブっていうか、音をメインに伝えるってことにフォーカスしてもいいかなと思ってて。それプラス、トークを織り交ぜたりしてね。まあ、うちのメンバー、話し出すと三の線に行きがちなんで(笑)。このふたりだとギリ大丈夫なんですけど」

渡會「メンバーがいると俺もすぐそっちにツルッと行っちゃうんで(笑)。」

――ファンとしては三の線も見たいですよ。

菊地「なるべく二の線で行こうぜ!……って感じのことをやろうと思ってるんで(笑)。ちょっと楽しみです」

(おわり)

取材・文/石角友香

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brainchild’s「Set you a/n」MVより



■有料配信イベント「brainchild’s We Hold On na tei de WHO 2020 “Set you a/n”」
9月15日(火) #1 [19:00 OPEN / 19:30 START]
9月23日(水) #2 [19:00 OPEN / 19:30 START]
10月1日(木) #3 [19:00 OPEN / 19:30 START]
10月9日(金) #4 [19:00 OPEN / 19:30 START]
10月11日(日) #5 [17:00 OPEN / 17:30 START]
to be announced!





brainchild’s
brainchild’s「Set you a/n」
2020年8月7日(金)配信
アリオラジャパン




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