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──はなわさんは埼玉県生まれだったんですね。知りませんでした。

「そうなんです。別に隠していたわけじゃないんですけど、どうしても佐賀県のイメージが強いみたいで(笑)。埼玉には生まれてから2歳ぐらいまでいて、そのあとに千葉で暮らして、そこから佐賀に引っ越したんですよ」

──2003年にヒットした「佐賀県」のイメージが強いですからね。そして、現在はヒット中の映画『翔んで埼玉』の主題歌「埼玉県のうた」が話題を呼んでいます。

「去年、「埼玉県のうた」が埼玉をテーマにした映画の主題歌になるかもしれないという話は聞いていたんです。でも、「埼玉県のうた」は、もともと20年前に作って、15年ぐらい前にCD化されてはいたんですけど最近は歌っていないし、申し訳ないんですけどこんなにすごい映画だとは思っていなくて。で、蓋を開けてみたら、すごい大ヒットで、青天の霹靂というか棚からぼた餅というか(笑)。とにかくびっくりしてます」

  

  

──もともとあった曲のリメイクということですが、映画のために書き下ろしたとしか思えないぐらい、埼玉に対する目線の角度が「翔んで埼玉」とシンクロしていますよね。

「そうなんですよね。映画とすごくリンクしていて、実際に書き下ろしだと思っている人も多いです。なんだったら、別にいまからそういうことにしてもいいぐらい(笑)。というのも、作った当時は事実確認もせずにノリで作った歌詞を歌っていたので、いまは使えないネタもあって、映画の主題歌として新たに書いた歌詞もあるんですよ。自分が作った歌ですけど、20年も経ってからそんなふうに新しくなるなんて、本当に面白いなあって思いますよね。それと、いまの時代に『翔んで埼玉』みたいな映画がヒットして、「埼玉県のうた」が注目を集めたことが痛快だし、うれしいですよ。いまって、みんながみんなコンプライアンスとかを気にして生きているように見えていたけど、実はみんなシャレもわかるし、シャレがないと面白くないって思っているんだなって。埼玉県民の方も喜んでくれていたりとか、いい話ですよね。映画は本当に面白かったし、何より武内英樹監督が「埼玉県のうた」を発掘してくれたからこそ今回のオファーをいただけたわけで、監督がぶっ飛んでる人で良かったなって思います(笑)。なかなかいないですから、はなわに主題歌をっていう監督は(笑)」

──「埼玉県のうた」が主題歌に起用されたことで、あらためて埼玉に思いを馳せる機会もありましたか?

「それが、今回のお話をいただく前から、埼玉のことを考えることが増えていたんですよ。いま、自分には3人の子どもがいるんですけど、その子どもたちの親である自分が生まれた場所は埼玉なんだっていうことをリアルに考えてたんです。仕事で移動しているときに荒川を渡った瞬間、うちの親がここに住んでたんだな、その親がいなかったら俺はいないんだな、俺がいなければ子どもたちもいないんだなって。2歳までしかいなかったので記憶はないんですけど、高校野球でも佐賀と埼玉、千葉を応援しますし、自分の出生地として埼玉に対して何かしなきゃなって、ちょうど思っていたときに今回のお話をいただいたんです。だから、CDをリリースするにあたってカップリング曲を作る必要があるってなったときに、もう1曲、埼玉を見つめて、紐解く曲を作ろうかなって。それで、埼玉を後輩たちとドライブしたら想像以上にいいところが多くて、あらためて埼玉は深いなって感じたんです。そういった思いから作ったのが、カップリングの「咲きほこれ埼玉」なんですよ。懐の深さや寛大さといった埼玉のいいところを歌を歌ってます。「埼玉県のうた」をフォローする役割りもあります(笑)。EDM調にして、老若男女がいろんな機会に歌って踊れる曲にしました」

──「埼玉県のうた」に限らず、はなわさんが歌を作る上で大事にしているのはどういったポイントですか?

「曲作りに限らず小4ぐらいから常に意識しているのは、唯一無二ということで。昔から人と同じことはしたくないんですよね。だから、佐賀の田舎で同級生の誰よりも早く楽器を始めましたし、みんながバンドを始めたらひとりでシンセとかをいじりだしたりしたし。将来どうしようって考えたときも、音楽と笑いの融合で何かできないか、ベースで漫談やってる奴はいないなっていう発想ですし、この髪型も誰もしていないからですし。お笑いライブでメロディやコード進行にこだわっても仕方がないんですけど、それでもそこにこだわっているのも唯一無二だと思ったからだし、しかもそうすることが楽しいからいまでやってきてますけどね」

──はなわさんの歌って、笑えるんですけどほろりとしたり、膝を打つようなオチがあったりするのが特徴ですよね。

「一曲の中で笑えて、納得できて、最後はぐっとくる歌を目指してやってますからね。あと、基本はノンフィクションで自分の思いを歌にしてるんですけど、“みんなもいっしょでしょ?”っていう気持ちは、どこかにあるのもしれないです」

  

  

──笑いと音楽って相性がいいというか、戦後の日本ではハナ肇とクレージーキャッツからドリフターズ、近年ならリズムネタや歌ネタなど、連綿と音楽と笑いの良好な関係は続いていると思いますし。

「やっぱり、相性がいいんですかね。でも、自分は笑いと音楽って分けずに、ちゃっかりその場に馴染めるような存在でいたいです。寄席にも出れるし、フェスにも出れるし、“あいつなんなの?”って、そこを目指してるんですけどね。あんまりこんなふうに考えている人はいないと思うし、さっき話したみたいに唯一無二のことをやってやろうっていう思いはそういう部分でもあるんですよ。僕がやっていることは、ポカスカジャンさんとも嘉門達夫さんともどぶろっくとも違うと思うし。みんな仲いいし、尊敬してる人たちではありますけど」

――ジャンルに捉われたくないのは、唯一無二でいたいという思いからですか?

「というか、やりたいことがいろいろと出てきちゃうんですよ。だから、あえて自分を決めないようにはしてるんです。面白いなと思ったら、それをやりたくなっちゃうので、そのうちベースを置いて漫才をやってるかもしれないし。歌についても、以前は真面目な歌を歌うことがむずかしかったんですけど、「お義父さん」という曲のおかげで真面目な歌も歌えるようになったんで、思いも寄らぬことの連続ですよ。だから楽しみですね。次に何が起こるのかなって」

──いろいろなアイデアがあると思うんですけど、歌い手としてのこの先はどんなふうにイメージしていますか?

「根底に“唯一無二”と“人を元気にする”っていう、そのふたつがぶれずにありながら、表現方法にはいろんなものがあるんで、しっかりアンテナを張って、たくさんの楽曲をみなさんに聴いてもらいたいなって思っています。もうちょっと“はなわの歌”というものをきちんと構築して、より多くの人に好きになってもらえるといいですね」

  

──笑える要素はなくならないですよね?

「そうですね。「お義父さん」を歌ったことで、今度はなかなか笑える歌が歌えなくなるかなって思ってたら、『翔んで埼玉』のおかげで「埼玉県のうた」が注目されたんでね。どっちもやれるぞっていうのは、あらためて意識しようかなって思ってます」

──歌に限らず、映画でも小説でも、笑えて泣けるって最高の表現ですからね。

「そこを意識して、それこそがはなわの真骨頂じゃないですけど、やっていきたいですけどね」

──それにしても、いい振り回され方をされているというか……いい流れが来ていますよね。

「流れに身を任せると、いろいろとありがたいお話が来るんですよね。自分にはこれしかできないし、芸能界で仕事をしたいと思ったのも、常にワクワクドキドキしながら生きていたいから。だから、これからも自分が面白くてテンションが上がることをやっていきたいなって思いますね。そのなかで、俺にしかできない音楽を作って、8番目ぐらい――いや、5番目ぐらい(笑)――に好きな存在になりたいですね。たとえば、米津玄師くんとかSuchmosがいちばん好きって人が、“5番目に好きなのははなわです !!”みたいな感じで。新しくてかっこいい音楽を聴いている人が、“はなわの歌って、笑えるし、泣けるし、意外といいんだよ!”って言ってくれるような。そのぐらい、いろんな世代のいろんな人にドン!と響く歌を作って歌っているつもりだから」

(おわり)

取材・文/大久保和則
写真/腰越大輔(encore)



  

  



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