ドキュメンタリー映画『うつろいの時をまとう』は、服飾デザイナー、堀畑裕之と関口真希子の視点や哲学を通して、日常の中に潜む美や豊かさを再発見していくドキュメンタリーだ。まとふは、身近な風景や物に目を向け、そこから得たインスピレーションを、ことばに変えて服に昇華していく。たったひとつのことばから形となって現れた服は、着る者たちの想像力をかきたてる。二人の創作から見えてくるのは、日本人が長い歴史の中で育んできたものの見方であり、普段は見過ごしてしまいがちな足元の美を見つける心だ。
matohu には、「纏う」と「待とう」という意味が込められている。服を纏うということに対する根源的な問いと、消費のスピードの早い時代に対して時間の熟成を待ちましょうという提案でもある。職人の手仕事や伝統技術からテキスタイルを作り、真の意味での持続可能性を目指すまとふのものづくりへの哲学が5年の歳月をかけて丹念に記録されている。
監督は、実験映画の制作を経て、『躍る旅人−能楽師・津村禮次郎の肖像』(2015)など、伝統芸能をテーマにコミュニケーションと身体のありようを描き続けてきた三宅流。これまでは自身で撮影も兼務してきたが、今回初めてカメラマンと手を組み、新たに「ファッション」という分野に挑んだ。デザイナーから溢れ出る言葉、うつろいゆく地上の時間や物のディテール、そして服のテクスチャーを繊細な映像美で紡いでいる。
大量消費、情報過多の時代に、本当に大切なことは何か、本当に必要なものはどこにあるのか。気鋭の服飾デザイナーのクリエーションを通して、日常の身近な気づきに出会う驚きと発見に満ちたアートドキュメンタリーとなっている。

『うつろいの時をまとう』
監督:三宅流
撮影:加藤孝信
整音・音響効果:高木創
音楽:渋谷牧人
プロデューサー:藤田功一
『うつろいの時をまとう』上映会開催概要
日時 2025年5月29日(木)18:30-20:30
場所 明治大学駿河台キャンパス グローバルフロント1階 グローバルホール
JR御茶ノ水駅 徒歩3分
https://www.meiji.ac.jp/koho/campus_guide/suruga/access.html
参加費 無料(申込み不要)どなたでも来場可能
また上映会に加え、今までの春夏の長着コレクションが一堂に揃う販売会と明治大学の総合講座にて鞍田崇准教授と「美意識と手仕事」をテーマとした講義も開催する。




20周年感謝祭 vol.2
春夏 長着コレクション
会期:2025年5月30日〜6月15日
会場:matohu椿山
東京都文京区関口1-35-17 山水ビル3F 301
11:00~19:00
毎週土曜日と第2第4金土日は、オープンデー
それ以外の平日は、メールか電話にて要予約
TEL:03-6805-1597
e-mail:matohu-shop@lewsten.com
明治大学 全学共通総合講座概要
ローカルスタンダードをデザインする(環境人文学I)
第8回 「美意識と手仕事」
「matohu」デザイナー 堀畑裕之・関口真希子
「日本の美意識が通底する新しい服の創造」をコンセプトにした服飾ブランド、まとふはブランド設立20周年を迎える。デザインの奥に秘められた美意識は、日本文化のたて糸から紡がれている。同時にその服作りは各地の手仕事を軸に展開する。ドキュメンタリー映画「うつろいの時をまとう」(三宅流監督作品)で取り上げられた創作の現場を中心に、美意識と手仕事の核心に迫る
日時:2025年6月4日15:20-17:00
場所:明治大学 駿河台キャンパス
一般の参加希望は、下記メールアドレスに連絡が必要。
matohu椿山:matohu-shop@lewsten.com