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ロックでも、パンクでも、フュージョンでも、バンドにひとりいれば成立するベーシストが3人も。しかも鳴瀬喜博、IKUO、村田隆行といった当代随一のベーシストが集結した尋常じゃないスケールのバンド、The Choppers Revolution。日本を代表する凄腕ベーシスト3人の、初のビルボードライブ大阪公演を観た。この日は昼夜2回公演に加え、配信も行われた。



ステージにメンバーが登場し大きな拍手で迎えられる中、鳴瀬はぐっと右腕を持ち上げフロアに向かって小さくガッツポーズ。1曲目の「Home Bass」が始まった瞬間から、着席している身体のあちこちに演奏の心地よい振動が伝わってくる。この日は、旧知である2人のドラマー坂東 慧(T-SQUARE)と川口千里、さらに白井アキト(key)がゲスト。あいさつを交わすように6人が順にソロを回し、会場の熱もどんどん上がっていく。「みなさんのおかげで、ここで8周年を迎えることができました!」(村田)と感謝を述べると、客席からは祝福の拍手が。

続く「Carnaval」はアルバムで聴くと哀愁を帯びたラテン調の曲だけれど、この日のライブではにぎやかなパーティーチューンに。椅子に腰かけてプレイする鳴瀬。ひたすらストイックに演奏に徹するIKUOの隣で、村田はIKUOに茶々を入れようとしたり、曲に合わせてステップを踏んだり。その村田がひとたび演奏になると、しれっと超絶技巧の指さばきを見せる。

70年代のカルメン・マキ&OZに始まり、国内外を問わず数多くのミュージシャンと共演し1990年よりカシオペア加入後も幅広く活躍しているチョッパーベースの第一人者、鳴瀬喜博。ヴィジュアル系ロックバンドを経て、ジャズやフュージョン界隈でもセッションを重ねTM Revolution などのサポートや多数のレコーディングに参加している一方、シンガーソングライターとしての顔も持つIKUO。日本でも人気の高かったNYのギタリスト、ハイラム・ブロックとのセッションを入り口にロック、ポップスからジャズ、フュージョンまで幅広く網羅するベースプレイに加え、プロデュースやアレンジも行う村田隆行。

世代もジャンルも演奏スタイルも違った面を持つ3人に共通しているのは、チョッパー奏法。彼らなら目を閉じていてもベース好きや音楽好きをうならせるテクニカルなプレイができるに違いないけれど、この日のライブで味わえたのは圧倒的なプレイとともに、音楽初心者でも気軽に扉を開けて入ることのできるエンターテインメント。




「Lion&the pray」後半のツインドラムの応酬に沸く場内を、ゆっくりと見渡すようにプレイする鳴瀬。まるで歌うようなベースを聴かせる村田は、ステージを動き回るさなかに足が引っ掛かりそうになって照れ笑い。「ドラムと言えばこの曲でしょ」と、本日のメインともいえるドラム合戦が繰り広げられた「Moby Dick」では、坂東と川口の圧巻に次ぐ圧巻のプレイに、ステージ上のメンバーたちも楽器を置いて聴き惚れる。

二人のドラマーが、ときには鏡に映したようにまったく同じ動きをするかと思えば、挑発するようにけしかけたり、どちらかが暴走すればもう一人がさらに暴走と、どこまでもトップを譲らないレースが続く。終演後に川口が「売られた喧嘩は買う精神なので(笑)」と話していたけれど、あまりに凄まじいものに触れると驚きを通り越して笑いになるように、拍手と歓声、そして歓喜の笑いが会場の隅々にまで広がっていた。

お楽しみはまだまだあって、「HHB」で顔色一つ変えずにIKUOが超高速&極太プレイをたたき込んでくると、ドラムの二人は待ってたと言わんばかりの笑顔。さらに白井は時折キーボードを持ち上げながら渾身のプレイ。改めて鳴瀬のトレードマークでもあるデカい音の懐の深さと、色に例えるならパッと目に飛び込んでくる原色のIKUOのプレイ。それらをバンドの音楽へと形にしていく軽やかで細やかな村田の演奏。




3人のすべてが溶け合って見事なグルーヴを生み出していた。曲の後には、11月13日に誕生日を迎えた鳴瀬を祝ってケーキが登場。御大がろうそくを一気に吹き消すと、そこからは鳴瀬ファンお待ちかねのトークタイム。過去に東原力哉×村上"ポンタ"秀一らと繰り広げたという、恐怖のツインドラム体験で笑わせ、「今日は2回公演か?ほどほどにしないと」と話した後で始まった「Land of Wild Bass」の最初のベースの大きいこと。途中マスクを着けて客席へ降り、お客さんのテーブルの間で演奏する一幕も。長年のファンにはおなじみの光景だけれど、スタッフとはまったく打ち合わせをしないまま決行したそうで、鳴瀬曰く「だって打合せしちゃうと面白くないじゃん。降りるつもりなかったけどやっちゃった(笑)」。

本編が終わり一旦ステージを離れるかと思いきや、メンバー密談の結果、「このままアンコールをやって、楽屋で鳴瀬さんのバースデーケーキを食べようって話になりました(笑)」と、アンコールに用意されていた「pink punk funk」へ。最後まで笑いの絶えないステージだった。今後どのような形でライブが開催されるか。次はいつライブに行けるか。世界中が手探り状態ではあるけれど、音楽が止まることはないし、この日彼らが味わわせてくれた音楽の持つ楽しさや素晴らしさ、前に向かわせてくれる力を噛み締めつつ、未来に大きな期待を込めて次の機会を待ちたい。




さて、ここからは2回公演の、合い間のバックステージで行ったメンバーへのインタビューをお届けする。

――8周年おめでとうございます!The Choppers Revolutionとしては初のビルボードライブ大阪はいかがでしたか?

鳴瀬「今日の主役は、ドラムの坂東 慧、川口千里だよね(笑)」

村田「僕ら、完全に潰されましたから(笑)」

――ドラム、本当に凄かったです。鳴瀬さんのお誕生日祝いはサプライズだったんですか?

鳴瀬「うん。全然知らなかったし、誕生日も過ぎちゃってたから。誕生日がきて嬉しい歳でもないし、もう17だしね」

――17歳......でしたっけ?(笑)

鳴瀬「あははは!さかさまです。71になりました(笑)」

村田「古希でしたっけ(笑)?真面目な話をすると、2016年のセカンドアルバム『3B』を、今日出演してくれた3人(坂東、川口、白井アキト)がいっしょにやってくれたんですよ。今年は8周年だから、これまでチョパレボにかかわってくれたミュージシャンをゲストに呼んでライブをやる計画があって。その中でもこの3人とのステージはさらにスペシャルなセットだったんですが、コロナ禍でライブも難しくなってしまって。でも何とか今回だけは実現したくて、IKUOさんと水面下でいろいろ準備をしてきてたんです」

IKUO「そう。今日も心配だったけど、開催できて本当に良かったです」

――もともとThe Choppers Revolutionは、村田さんがIKUOさんと鳴瀬さんに声をかけたところから始まった?

鳴瀬「そう。村田くんが言い出しっぺでリーダーです」

村田「流れとしては、IKUOさんとは10年以上前から仲良くさせてもらっているんですけど、僕からするとIKUOさんはちょっとあり得ない人なんですよ。テクニックもそうだし、ベースに対する考え方も音楽の姿勢もすごくて」

IKUO「いえいえ。彼よりちょっとだけ年上なので(笑)」

村田「IKUOさんと僕ってスタイルも違いますし、IKUOさんはヴィジュアル系とかロックをやられている方だけどフュージョンやジャズを知っている方だし、お互いの音楽を交わらせるやり方、バトルにならない方法をちゃんとわかってくれる人なんですね。それと、僕がもともと音楽に興味を持ったきっかけはカシオペアなんですよ。僕最初はギターをやっていて、知り合いにカシオペアが大好きなお兄さんがいてその人の影響もあって鳴瀬さんがカシオペアに加入した最初のアルバム『THE PARTY』(1990年)を聴いたんです。中学の頃かな......その時に"あれ?ギターよりもベースの方が目立つことができるのかなあ"って」

鳴瀬「あははは!」

村田「その時以来、なるちょさんは僕にとってのヒーローなんです。ある時IKUOさんに"ベースが主役のステージをなるちょさんとIKUOさんの3人でやりたいんですけど、IKUOさんはどうですか?"って相談したんですよ。そしたら......」

IKUO「僕自身が中学時代にベースを始めたきっかけは、なるちょさんなんですよ。ザ・ブラザーズ・ジョンソンやスタンリー・クラーク、櫻井哲夫さんにももちろん影響は受けていますけど、当時からなるちょさんの教則本もずっと見ていたし、僕の会いたい人ナンバーワンはなるちょさんだったんですよ。だから、村田くんがなるちょさんとセッションしていること自体がうらやましすぎて(笑)。初めてなるちょさんと話した時に、なぜか僕のことを知って下さっていて感激しました」

鳴瀬「タカ(村田)に教えてもらったの。俺はヴィジュアル系とか全然知らなかったから、でも聴いたらとんでもねえなって。"こいつはフュージョン界の黒船だ"って言ったんだよね。だから"帰れ!帰れ!"って言ったんだけどね(笑)」

IKUO「自分がやっていたヴィジュアル系バンドが解散してから、六本木PIT INNに出ていたんですよ。バンドは解散したけど、メイクや髪とか風貌は今と同じヴィジュアル系のままで(笑)。それで山口真文さんとセッションしたりしてましたね」

村田「今話していて思い出したけど、最初IKUOさんに"なんでそんなふうに鳴瀬さんに軽口を叩けるの?"って詰め寄られて。IKUOさんはずっとロックのタテ社会で生きてこられた方なので(笑)」

IKUO「ありえないですよ。飄々と話してるから、もううらやましいなって」

村田「ずっと"緊張する緊張する"って言ってましたよね(笑)」

IKUO「いまだにちょっと緊張します。なるちょさんは神なので」

――師匠じゃなくて神なんですね。

村田「今日出演していた白井くんやIKUOさん、僕に共通していえるのは、チョパレボをやった後に自分たちの別の現場に行くと、PAの人に必ず怒られるんですよ。"ベースの音デカすぎます"って(笑)。このバンドのベクトルに合わせると、戻すのに時間がかかる」

――今日も鳴瀬さんの最初の一音から、すごく音がデカかったです。

鳴瀬「そう?おかしいな......そうでもないよ(笑)」

――それを生で浴びることができて、改めてライブの醍醐味を噛み締めました。さて、前作『3B』から4年経ちました。今は作品のリリースの仕方もさまざまですが、今という時代に3人がどんな音楽を鳴らすのかアルバムという形で聴いてみたい気持ちもあります。

IKUO「そうですね。10周年には何かやりたいですね」

鳴瀬「じゃあそれまで生きてたら(笑)」

村田「あと2年ですよ」

鳴瀬「その2年が長いな(笑)。けど、今ライブもなかなかできない難しい時代になっちゃってるけど、今日みたいにライブができる場があったら......全力でドラムを叩きます!」

(おわり)

取材・文/梶原有紀子
協力/Billboard Live 大阪




■The Choppers Revolutionチョパレボ8周年スペシャルLIVE in大阪 feat.坂東慧&川口千里セットリスト(2020.11.29)
01. Home Bass(1st)/Talk to myself(2nd)
02. Carnival
03. Lion&the prey
04. Moby Dick
05. HHB
06. Land of Wild Bass
EN1.pink punk funk

チョパレボ
The Choppers Revolution『3B』
2016年4月6日(水)発売
TKCA-74358/3,300円(税込)
徳間ジャパンコミュニケーションズ




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