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「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN



私の一枚、といっても、音楽に明るくない身としては、何だか申し訳ない。 僕の音楽遍歴と言えるものは、特にないに等しい。雑食なのに偏食、またその逆もしかりである。それは、ファッションについても言えることで、気になったものには許す限りチャレンジしてみたい、でも何か一つに深く精通しているわけでも、幅広い知識を持っているわけでもない。信頼する友人に勧められたらもちろん試してみるし、たまたま出会ったものに長く惹かれることもある。

そして、直感と出会いがもたらした好きなモノ達に囲まれて暮らしている。結局は、心地よいと感じるもの、少しの時間を置いてやっぱり好きだなあと思ったものに回帰していくようだ。 そんな僕が20年の間、ずっと聴いているのがこの1枚だ。

UAを知ったのは、TVの音楽番組を見たことからだった。たぶん12歳かそこらの時で、なぜか強烈にひかれてしまい、買ったのはファーストアルバムの「11」。今思えば、ませた小学生である。UAの歌声は一言では言い表せない魅力があり、きっといつまでもその虜なのだと思う。

今となればだが、押入れからレゲエクラシックの入ったカセットテープを発見し、ボブ・マーリーやジミー・クリフを繰り返し聞いているような子どもだったので、全編をとおしてレゲエやダブのリズムが流れるこのサードアルバム「turbo」に惹かれるのも合点がいく。ゆったりしたリズムと低音の心地よい響きに彼女の歌声がのった、空間を感じる一枚だ。

アートワークも、紙ジャケットに繋げて描かれた絵画のインパクトがすごい。目が合ってしまう。ブラジル人アーティストのWalderedo De Oliveiraが描いたそうだが、15年くらい前に新宿のBEAMSにあるギャラリーにたまたま行ったときに個展をやっていて、原画を見る機会に遭遇した。巨大なキャンバスに描かれた絵の迫力はものすごく、その素晴らしさに一瞬本気で購入を考えた。もちろん、買えるわけもなくすごすごと帰ったのだが。

僕が特に大好きな曲は、シングルカットもされた1曲目の「プライベートサーファー」で、ゆったりとしたリズムにホーンが重なり、生楽器のオーガニックな響きがなんとも心地よい気分になる。何となく調子が出ない、気分がのらない、そんなときにどうしても聞きたくなってしまうのだ。ファッション界がサステイナビリティーと言うだいぶ前から、環境問題に対して活動している彼女の歌詞は、きっと自然に対しての警鐘なのだと思うけれど、僕には「いつだって飛びこめるような人」でありたいと思ってしまう、そんなエールをくれる大切な曲だ。

(おわり)

文/高橋悠平 (アッシュ・ペー・フランス)



高橋悠平(たかはし ゆうへい)
1984年、神奈川県生まれ。アッシュ・ペー・フランス株式会社 商品事業部所属。2005年入社、レディスのインポートアクセサリー雑貨をメインとしたセレクトショップにて、店長、バイヤー、MDを経験。2020年よりバッグブランドの販売促進を担当。



UA『turbo』
1999年10月27日(水)
VICL-60473
ビクターエンタテインメント




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