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SMART USENの「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」、第24回のゲストはユナイテッドアローズの栗野宏文さん!



――以前、久保さんが監修していたSOUND PLANETの「senken-h」チャンネルでは栗野さんに選曲していただいたことはないんですか?

久保雅裕「それがないんですよね。もちろん栗野さんが音楽好きでレコードコレクターだってことは当時から有名でしたけど、栗野さんみたいな立場のかたに選曲していただくなんて恐れ多くて」

栗野宏文「そうだったんですね!言ってくれればいいのに。それくらいいつでもやりますよ(笑)」

――さてさて、今日は興味深い話をたくさん聞かせていただきましたが、もう少しだけお付き合いください。よくシップス、ビームス、ユナイテッドアローズでセレクトショップ御三家と呼んだりしますが。

栗野「そうですね。シップスさんがいちばんの老舗で、そのあとにビームスさん、そしてユナイテッドアローズは平成元年の創業です」

――80年代の現場を知っている栗野さんたちをセレクト第1世代と捉えるならば、その世代のかたがたは、いま自分のナレッジや経験を次世代に伝える役回りになっていると思います。事実、栗野さんは顧問という役職に就いておられますし。

栗野「僕の場合はそうですね。役回りとしてはUA全体のディレクションなので、ディレクション業に対してのナレッジを求められていると思いますが、UAには僕以外にも様々な顧問のかたがいらっしゃいますので。たとえばオンワード樫山の社長だった上村 茂さんも顧問のひとりですが、上村さんはやはりMDの分野に精通してらっしゃるので、そういったジャンルに特化したプロフェッショナルとしてアドバイスをいただいたりもします。僕は創業メンバーのひとりでもあるので、もっと全体的な視野で次世代の育成だったり――たとえば役員たちにお小言を言ったりもしますし(笑)――まあ、何でも屋ですね」

――ジェネレーション・ギャップというか、世代を超えてご自分の経験を伝えてゆくことの難しさを感じることはありませんか?

栗野「ああ、よくそういった話が出るんですけど、僕はあまり感じたことがないですね。きれいごとに聞こえちゃうかもしれませんが、やはりお客様本位という考え方が染みついているので、常に相手目線なんです。だから話をしている相手が理解できるか?受け入れやすいか?納得できる内容か?って考えながらコミュニケーションをとっているので、ちゃんと伝わっていると思うのですが……たぶんね(笑)」

――番組本編のトークを聞くにつけ、栗野さんのコミュニケーション能力の高さを感じずにはいられませんでしたが、やはりそれこそがご自身のストロングポイントだという認識はありますか?

栗野「それが僕の得意技だし、重要なことだとは思っています。まあ、長いことプレスをやっていたというのもありますし、そもそも販売に求められることってそこじゃないですか?ですから、例えば学校で生徒さんたちに教えたり、LVMHプライズ(LVMH Prize for Young Fashion Designers)とか、アントワープ王立芸術学院で若いデザイナーやアーティストと話をするときも“これがダメなんだよ”なんて言いかたは絶対にしませんし。まずはその人に共鳴できる部分、自分のなかで、相手に近しい部分を探して話を組み立ててゆくことが多いですね。たとえば、その人の作品について語り合うときは、“これはこういうことでしょ”じゃなくて、“この題材は俺も興味があるんだけど、君はこれのどこに魅かれたの?”的な。だいたいこういう入りかたなんです」

――以前“自分の服装を人に褒められたらそれが何故かを考えなさい”という栗野さんの提言を読んだんですが、相手と感性を分かち合うってそういうことなんでしょうね。

栗野「そうですね。僕はそうやってこの世界でずっと生きてきたから――だって僕自身は絵が描けるわけじゃないし、型紙が引けるわけじゃないし――そうやって相手や仲間の力を引き出そうとすることが、僕の少ないクリエイティブな部分なんだろうなって思うことはあります。となると、やっぱり否定じゃなくて、相手のなかに肯定できるポイントをどれだけ見つけられるか、相手をどれだけポジティブな存在として捉えるかが重要なことなんです。ほら、子どもは褒めて育てようってよく言うじゃないですか。それといっしょです」

――人にものを教える立場でそうやって冷静なスタンスを取り続けるのは難しそうな気もします。

栗野「それは久保さんに聞いたほうがいいんじゃない?なにせ学校の先生なんだから(笑)」

久保「いや、本当にね、褒めて育てるっていう時代なんでしょうね。それは感じますね。いまの若い子……って言い方はしたくないんだけど、彼らはあまり否定されることに慣れていないんですよ。そういう育てられ方をしたんだろうなって思う場面は多々ありますね」

栗野「ああ、そうなんですね……」

――丸山敬太さんも言ってましたよね。若いっていうそれだけで可能性がたくさんあるわけだし、ちゃんと逃げ場を作ってあげなさいって。

栗野「そのとおりだと思います。さすが、いいこと言う!」

久保「もっと言うと、“若い人”ってタイプファイしちゃったり、先入観を持った時点でダメなんだろうね。まあ、これは自戒を込めて言うんだけど(笑)」

栗野「いや、そう思いますよ。僕は若い人たちと話をしていても“全然違うじゃん!”って感じることはあまりないんですよ。逆に凝り固まっちゃった大人の方がめんどうくさい。プライドは高いし、理屈っぽいし、融通が利かないし(笑)。もっとリラックスしなさいよ、謙虚になれば?って思いますもの。だって、そんな大人は、ハッピーじゃないでしょ?そういう意味では若い人たちのほうがニュートラルな気がするな」

――願わくばやさしい大人でありたいですね。

栗野「よく言うでしょ?返す刀で……って。僕は人を批判するほど自分に自信がないんですよ。だから相手の考えを批判しなきゃいけないってときも、“それは違っているような気がするからいっしょに解決策を考えようよ”ってスタンスでいれば相手も自分も救われるから。“それは間違っている”って否定するだけじゃただ正しいだけの人になっちゃうし。そんなの、高校生のときに、髪伸ばすな!変な制服の着かたするな!そんなことしたって世の中変わらない!って言われたのと同じだと思うんですよね」

――栗野さんは、こんなふうにアパレルの“中の人”がメディアで自己表現するようになった先駆けだと思うんですが、栗野さんが初めて雑誌などのメディアに取材されたのはいつ頃だったかおぼえていますか?

栗野「たぶん1980年だったと思うけど、初めて『ポパイ』に大きく取り上げてもらってそれが最初かな。確か4ぺージでしたけど、自分の洋服に対する考え方とか音楽についてとか、かなりパーソナルな部分にフォーカスした内容でしたね。ある意味、僕というフィルターを通して、当時のエッジーな部分を切り取るという趣旨だったような……まあ、かれこれ39年前の話ですよ(笑)。そうやってメディアに取り上げられるということが、会社にとっても――当時はビームスでしたけど――僕自身にとってもいいことだし、きっと世の中にも何か影響があるだろうなという感触はありましたね。ただ、いまのソーシャルメディア・ジェネレーションの人たちとは考え方やメディアへの接し方はちょっと違うかもしれませんね」

久保「承認欲求みたいなものはないということですか?」

栗野「全くないですね。自分の発信したいことを発信するチャンスをいただけるならやらせてくださいというスタンスです。第三者に認めて欲しいという意識はなかったですね。それはいまも変わっていません。フェイスブックもインスタグラムもやっていないですし。今日はこうして久保さんの番組に呼んでいただいたわけですけど、それがファッション業界や、そこを目指している人たちの役に立つのであればお受けしましょうというスタンス。だからパーソナルな話題から始めましたけど、そこからジェネラルな話題に展開して、さまざまな人たちの理解を得られる内容になったんじゃないかな、とは思います」

久保「全然、話し足りないですけどね。だって音楽の話がひとつもできなかったじゃないですか」

栗野「確かに!また呼んでいただけるならいくらでもお話しますよ(笑)」

(おわり)

取材協力/District UNITED ARROWS
取材・文/高橋 豊(encore)
写真/柴田ひろあき



■栗野宏文(くりの ひろふみ)
1953年生まれ。ビームスを経て、1989年のユナイテッドアローズ設立に参画。同社取締役などを歴任し、2008年から上級顧問クリエイティブディレクション担当に就任。

■久保雅裕(くぼ まさひろ)
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。







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