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――最初におふたりのルーツミュージックについて聞かせてください。
M(松尾レミ)「洋楽にハマったきっかけはホワイト・ストライプスで、そこから掘り下げていきましたね。邦楽だとBUMP OF CHICKENをよく聴いていたんですけど、この人たちはどんな音楽を聴いていたのかな?って。彼らがフー、ストーンズ、ビートルズ、モンキーズを聴いていたのを知って、それがホワイト・ストライプスから辿っていった1970年代のレッド・ツェッペリンあたりでうまく繋がったんですね。そこからのめり込んでいって、特に好きだなって感じたのはシクスティーズのロックとかサイケデリックだったんです。あとルーツミュージックという意味では、父親がレコードマニアで、例えばボブ・ディランが聴きたいって言ったら、ディランのレコードが全部あって、年代ごとにジャケットがこう変わっていったんだよって話したりとか。小さいころから洋楽のレコードが流れていましたね」
K(亀本寛貴)「僕はGLAY。中学生のときすごく流行ってました。高校生になってギターを始めたんですが、僕も雑誌とか読んで、掘り下げていって――レミさんはシクスティーズのロックでしたけど――僕はどの年代も好きで、あまりこだわらずにツェッペリンもクリームも聴きましたね。むしろプロを目指すんだったら、その辺をちゃんと聴いているのが当たり前って思い込んでいて、“やばい!俺、フランク・ザッパなんか2、3枚しか聴いたことない!”って。最近になって、まわりの人に、若いのにその辺ちゃんと聴いてるんだねって言われて、“あれ?そうなんだ”って(笑)」
――その頃の亀本少年のギターヒーローは?
K「ギターを始めたきっかけは間違いなくGLAYのHISASHIさん。ふつうはそこから掘り下げてって、LUNA SEA、X JAPANから布袋さんまでって流れなんでしょうけど、僕はその流れに乗らなかったんですね。そこから急に洋楽に行って、U2とかレディオヘッド、オアシス、ストーン・ローゼズあたりのブリティッシュとか90年代のギターロックに流れて、そこからツェッペリン、ストーンズ、ビートルズまでたどり着いたんです。80年代のハードロックはビジュアル的にちょっと違うかなと思ってたんですが、音楽性にはちゃんと見るべきところがあるって気が付いて、最近聴くようになりましたね。まあ僕は年代関わらずとにかくロックならなんでも聴きますよ」
M「それじゃ何だか私がシクスティーズしか聴かないみたいじゃない?」
K「そんなことないけどさ(笑)でもレミさん、その年代のロック、特に好きでしょ?」
M「まあね。カルチャーとかファッション含めて好きだし」
K「この前もレコーディングのとき同じような話をしていて、“70年代後半のロックって、70年代前半の地味さとも違うし、80年代のあからさまな商業主義でもないし、いいよね”って言ったんですよ。そしたらレミさん“全然わかんないし好きじゃない”って(笑)」
――そういうふたりの音楽談義、深夜のFMとかでやったら面白そうですね。
M「それ、けっこうヤバいかも。本気でバトルしちゃいそう(笑)」
――さてニューアルバムの話をしましょうか。『Next One』、すごくざらっとした質感で、ありのままを曝け出しているというか……。
M「今回はタイアップが立て続けに決まったので、次から次って作り続けてましたね」
――タイアップの仕事に手を抜かないですよね?常に真剣勝負してる感じがします。
K「うん、真剣勝負って言葉は正しいと思うな。タイアップする相手のことを引き立てる曲を書きたいって気持ちと、自分たちが一生歌っていくかっこいい曲を書きたいって気持ち、どっちも本気だし、そこはイーブンなんですよ」
M「そうですね。タイアップがあってもなくても、一生自分が歌っていく覚悟ができる歌じゃないと世に出したくないし、自分の子どもとして100%愛せるかってことを考えて作ってます」
――たとえば「怒りをくれよ」だったら「ONE PIECE」を読み込んで、世界観を反映するって感じなんですか?
M「実は意外とそういうオーダーがないんですよね。むしろ好きなようにやってくださいって言われることが多くて。ふつうタイアップって、あの言葉を使ってくださいとか、ダメ出しされたりとかするじゃないですか。でもだいたい松尾さんの好きにやってくださいって。『ONE PIECE FILM GOLD』の場合も、唯一のオーダーは“<ONE PIECE>を意識しないでください”でしたね。でも私たちふたりとももろに<ONE PIECE>世代なので……」
――意識しないでくれって言われても(笑)
M「そうなんですよ。すっかり<ONE PIECE>のイメージが固まっているので。まあもともとGLIM SPANKYが伝えたいことって<ONE PIECE>のスピリットと重なる部分も多いので、何も考えずに作っても世界観は同じでしたね」
――詞も曲もすっと出てきましたか?
M「それが全然出てこなくて。メロディーはすぐ出てきたんですけど、詞はあまりにも浮かばなくて、このヤロー!ってだんだん怒りが湧いてきたんですよ。時間もなくなってきて、火事場の馬鹿力的な気持ちっていうか――これは私のポリシーなんですけど、いつも本気で思っていることしか歌わない――で、今、本気で思っていることって何だろう?って考えて。そのときの追い込まれている状況だったり、<ONE PIECE>ってでかい壁を乗り越えるために、もっと怒りとか危機感をくれよって気持ちだったんです」
――その反骨心とかハングリーさっていかにも「少年ジャンプ」的ですね。追い込まれた状況がプラスに作用するっていう。
M「そうですね。だから、みんなも逆境とか危機があっても怒りを燃料にして乗り越えていこうぜってポジティブワードに変えたんです」
――「怒りをくれよ」は、作詞でいしわたり淳治さんがサポートしていますね。
M「いしわたりさんは、相手が何が言いたいのか、表現したいことの輪郭をはっきりさせてくれるんですよ。いしわたりさんとしゃべっていて、いろいろ質問されて、その質問に答えるだけで、“あ、これが私の言いたいことなんだ!”って気付かされるというか、うまく気持ちを引き出してくれる」
――セラピスト的な?
M「そんな感じしますね。年齢も性別も立場も関係なく相手の目線で物事を考えられるし。何なんでしょう?不思議な人ですね」
――前作『SUNRISE JOURNEY』に引き続き、いしわたりさんと亀田誠治さんは今のGLIM SPANKYにとって最重要人物ですね。
K「まあ、いろんな人がいると思うので、他の人ともやってみたいんですけど、次のアルバムはこの人とやってみようかって考える余裕がないんですよ。タイアップの話もそうですけど、そういう大事な局面で運命を託せる相手ってそうそう見つからないし」
M「今のGLIM SPANKYは迷いがないというか、どんな音を出したいのか自分たちでわかってるので。だからいしわたりさん、亀田さんには、私たちが好き勝手に作っちゃうところをちょっとだけポップにしてもらう。それもコアな部分を壊さずに。決してオーバープロデュースしない。ふたりとも天才ですね」
文/encore編集部 写真/柴田ひろあき
[ 前編 ]|[ 後編こちら ]
- GLIM SPANKY『Next One』初回盤(CD+DVD)
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7月20日(水)発売
TYCT-69104/3,700円(税別)
- GLIM SPANKY『Next One』通常盤(CD)
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TYCT-60086/2,700円(税別)
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