公益財団法人横須賀芸術文化財団は、2026年10月17日(土)・18日(日)の2日間、横須賀芸術劇場および周辺エリアにて、音楽イベント「YOKOSUKA Re:EM CLUB ~ ENTERTAINMENT & MUSIC LIVE ~(ヨコスカ リ イーエムクラブ ~ エンタテインメント & ミュージック ライブ)」を開催しました。

かつて多様なカルチャーが交差した伝説のエンタテインメント発信地「EM CLUB」の記憶を現代にREMIXする本イベント。メイン会場となる「よこすか芸術劇場(Re:EM STAGE)」には、佐野元春&THE COYOTE BAND、東京スカパラダイスオーケストラ、OKAMOTO'S、BREIMEN、グソクムズ、紫 今といった世代やジャンルを超えた豪華アーティストが集結。重厚なバンドサウンドから最先端のポップス、華やかなホーンセクションまで、リニューアルオープンを迎えた劇場を熱狂の渦に巻き込みました。

さらに「ヨコスカ・ベイサイド・ポケット(Re:EM LOUNGE)」では、モノンクルやGentle Forest 5 & Gentle Forest Sisters、リンダカラー♾️、三木大雲など、多才な音楽家・パフォーマー・タレントが出演。

また、横須賀の街と連動したスペシャル企画「CITY SESSIONS」では、ドブ板通り、YOKOSUKA軍港めぐり、コースカベイサイドストアーズ、ヴェルニー公園など街全体がステージへと変貌。賑やかなパレードや限定ライブ、海風を感じるクルージングステージなど、ロケーションの特色を最大限に生かした多彩なエンタテインメントを届けるとともに、街全体が音楽と熱気に包まれた特別感あふれる2日間となりました。

==================以下ライブレポートです==================

かつて横須賀に実在したクラブ「EM CLUB」が持っていた文化と熱狂をアップデートし、現代の新たなカルチャーシーンを発信することをテーマに掲げたこのイベント。そのメイン会場となった横須賀芸術劇場の『Re:EM STAGE』のステージは、まさに現代カルチャーを体現するアーティストたちが熱量の塊をぶつけてくるかのような、怒涛のライブとなった。

Re:EM STAGE(よこすか芸術劇場)                           

[BREIMEN]

■心臓を掴むグルーヴで「Re:EM STAGE」の火蓋を切ったBREIMEN

Re:EM STAGEトップバッターとしてステージに立ったのはBREIMEN。ステージに照明が灯ると、目に飛び込んでくるのは鮮烈な赤いバックドロップとイベントのロゴ。

1曲目の「Conduct Boogie」冒頭で、高木祥太(Vo/Ba)は挨拶がわりの突き刺すようなシャウトを披露。正確無比なバンドアンサンブル、完璧なブレイク、ギターソロ、そして高木のボーカルラインに絡むジョージ林のサックス。「これがBREIMENだ!」と言わんばかりの自己紹介不要のスタートダッシュを切った。

続いて2曲目の「IWBYL」、そしてムーディーな照明となった「LUCKY STRIKE」へ。照明の演出はいけだゆうたのキーボードソロの盛り上がりとともにピークに達し、それに合わせて演奏もテンポアップ。ここでも完璧に息の合ったアンサンブルが、観る者を圧倒する。

そして、腹の底に響くようなリズム隊が活躍する「Rolling Stone」を経て、スラップベースのイントロから始まる超絶ダンスチューン「乱痴気」へとなだれ込む。サビの反復フレーズに合わせて観客が一斉に拳を振り上げ、まさに乱痴気騒ぎに。もちろんBREIMENはこの流れを見逃さない。さらに燃料を投下するかのごとく繰り出された6曲目「めんどいな…」でも、もはや観客席のハンズアップが止まる気配は微塵もなかったほど。

MCをはさんで、しっとりした新曲「さよならリバー」を披露すると、心地よい熱気に包まれた観客たちの心臓のビートがまるで見えているかのように、緻密な演奏でありながら気持ちよく踊れる楽曲「チャプター」を披露。ドラムソロからのロングトーンのボーカルで、圧巻のオープニングアクトを締めくくった。

BREIMEN

「Re:EM STAGE」SETLIST

2026.10.17@よこすか芸術劇場

01.Conduct Boogie 
02.IWBYL 
03.LUCKY STRIKE 
04.Rolling Stone 
05.乱痴気 
06.めんどいな… 
07.さよならリバー 
08.チャプター

PHOTO BY Tomoki Igarashi

[グソクムズ]

■グソクムズ、横須賀の観客を大いに揺らす

2組目としてステージに上がったグソクムズは、1曲目の「走り出す」でさっそく持ち前の美しいコーラスワークと世界観を披露。演奏を終えた後の客席とのやりとりで、たなかえいぞを(Vo/Gt)がグソクムズを初めて聴く観客が多いと気付くや、すぐさま「メンバーを紹介しましょう」と自己紹介。

これで客席との距離が一気に縮まったのか、2曲目「それは恋に違いない」では会場中から手拍子が聞こえ、あたたかい空気に包まれた。

続く「道の途中」「夢が覚めたなら」では、伸びやかなリードギターと芯のあるリッケンバッカー・ベースのサウンド、ドラムのキックが見事にシンクロし、タイトなリズムを形作る。

MCでは、会場である横須賀の街と横須賀芸術劇場について「デカい会場ですね。4階建てくらいのマンション感があります。今日は(吉祥寺から)クルマで来たんですけど、海が広がる景色が見えて、これぞ横須賀だなって思いました」と、自分たちのホームグラウンドと横須賀の対比を語り、「みなさんが気持ちよく揺れてくれたら」と前置きしてスローでやさしい曲「夢にならないように」を演奏した。

ここからのグソクムズは、やさしいだけじゃないゴツゴツした一面を垣間見せ始める。THEE MICHELLE GUN ELEPHANTのカバー曲「ミッドナイト・クラクション・ベイビー」をひりつくようなロックサウンドで聴かせると、間髪入れずに「あぶないルール」でさらにヒートアップ。ギターとベースの掛け合いから、バンド4人が一体となってサウンドを飽和させにかかるような、ロックバンドらしい音圧を感じさせるパフォーマンスが続く。

そして、パワフルな楽曲の後にやさしく心を揺らす音を聴かせてくれるのが、グソクムズならでは。スライドギターとビブラート奏法、ファルセットを織り交ぜたコーラスの「いっつも」がもたらす多幸感。これには思わず「グソクムズ、揺れてるな!」と唸らされた。

代表曲のひとつとも言える「すべからく通り雨」、陽気なリズムの「あるサンセット」で客席は、伸びのある歌声と演奏に思わず体を揺らす。自然と醸成される一体感。ラストナンバー「もうわんていく」の終盤では、バックビートに合わせ会場全体が両手を振っていたほどだ。

グソクムズ

「Re:EM STAGE」SETLIST

2026.10.17@よこすか芸術劇場

01.走り出す
02.それは恋に違いない
03.道の途中
04.夢が覚めたなら
05.夢にならないように
06.ミッドナイト・クラクション・ベイビー(カバー)
07.あぶないルール
08.いっつも
09.すべからく通り雨
10.あるサンセット
11.もうわんていく

PHOTO BY Tomoki Igarashi

[紫 今]

■紫 今、全身からほとばしるパワーで横須賀を圧倒

ギター、ベース、ドラムのバンド編成メンバーを従えて登場した紫 今のステージは、まるで自身の花道を切り開くかのように力強いシャウトで幕開け。最初のナンバーは「エーミール」。ステージ前方の熱量高いファンたちの顔を一人ひとり確かめるように歩き、ステップを踏む。

続く2曲目「Server Down」は「踊ろうぜ横須賀!」と煽りつつ、スラップベースのビートの上をスキップするがごときパフォーマンス。続く新曲「ブルーチーズ」もまた、リリースされたばかりの音源をさらに上回るBPMで繰り出されるダンスチューン。めまぐるしい展開に追随してか、一斉に拳を振り上げるファンたち。

「魔性の女A」、「Not Queen」、「夢遊病」と、甘えたような声色から腹の底から響かせる太い声まで変幻自在の歌声を次々と繰り出す紫 今。

7曲目の「Soap Flower」もフルスロットルで歌い切り、小柄な体躯から生み出される無限のパワーで観客を圧倒した。

やがてエモーショナルな歌詞が印象的な「学級日誌」「New Walk」を歌い上げた彼女の、「横須賀のみんな、一緒に踊ってくれますか」という呼びかけに応えて一斉に立ち上がる客席。キャッチーな踊れるナンバー「正面」、そしてエレキギターを弾きながら「ピョンピョンしていいよ」と挑発する「ウワサのあの子」を経て、「メロイズム」でもはや会場を完全に支配した紫 今。

最後の曲「凡人様」で「今日みんなと出会えたこの横須賀での出来事、私は絶対忘れないから」との呼びかけに、客席全体が大合唱で嵐のようなうねりを作り上げ、紫がステージを去った後もしばらく拍手が鳴りやまなかった。

紫 今

「Re:EM STAGE」SETLIST

2026.10.17@よこすか芸術劇場

01.エーミール
02.Server Down
03.ブルーチーズ
04.魔性の女A
05.Not Queen
06.夢遊病
07.Soap Flower
08.学級日誌
09.New Walk
10.正面
11.ウワサのあの子
12.メロイズム
13.凡人様

PHOTO BY Tomoki Igarashi

[OKAMOTO'S]

■新体制OKAMOTO'Sが横須賀で見せた決意とサービス精神

Day1のRe:EM STAGEトリを飾るOKAMOTO'Sは、開演時間ぴったりに登場。待ち構えていたオーディエンスは準備万端で迎え撃つ。オープニングナンバーは「90'S TOKYO BOYS」。1曲目にしてボルテージは最高潮だ。

「あの日のMadness」、ブルースハープが感情に訴えかける「Border Line」とステージが進み、おなじみの「新宿から来たOKAMOTO'Sです」から始まるMCへ。「みなさんのノリが良くてよかったです。まだファンキーなナンバーたくさんあるんで、やってもいいですか?」と呼びかけると、有言実行とばかりにファンキーな「Beek」「NO MORE MUSIC」を立て続けに繰り出した。

オカモトショウは、手にはマラカス、タンバリンと曲ごとに持ち替えながら、歌い踊り、時にはステージの上手や下手へ駆けていく。そのステージングに応え、客席では老若男女が腕を振り上げ、飛び跳ねる。バンドと観客が思い思いに動き回るそんな様子は、新たなステージに突入したバンドの可能性を存分に感じさせてくれた。

今日のOKAMOTO'Sのサービス精神には底が見えない。アコースティックギターを抱えたオカモトショウの「できたばっかりの曲、やってもいいですか?」のひと言からスタートしたのは、まだ配信もされていない新曲「Foolish Fish」。どことなく土臭いブルージーさを感じさせるこの曲は、来年3月に発売されるアルバムに収録予定とのこと。続く「That's All I Wish」も、新アルバムに入る楽曲。新体制となったバンドの新たな姿を垣間見せながら、「Seasons」を披露。

さらに、エレキギターに持ち替えたオカモトショウから「いつかじゃなく、今この瞬間から夢をかなえていかなきゃいけない。3月12日に武道館公演をやります」と、告知を兼ねた決意表明が。その言葉に続けて演奏された「今ここで」では、メンバーそれぞれが楽器をかき鳴らす腕の力強さが印象的だった。

メンバーたちの決意を受け取った会場は、「Dance With You(short)」からの「BROTHER」で完全にひとつになる。演者も観客もなく、そこにいる誰もが「わかってくれるあなた」になった瞬間。大合唱の声もおのずと大きくなるというもの。

最後に「俺たちの今いちばんの覚悟の曲」として演奏されたのは「LOSTRANGER」。音が、デカくなったような。メンバーたちが、デカくなったような。そんな感覚からか、アンコールは必然だった。

世界で一番アンコールに出てくるバンドを自称するOKAMOTO'Sが、その声に応えないはずがない。「Beautiful Days」が、よこすか芸術劇場に響き渡った。

OKAMOTO'S

「Re:EM STAGE」SETLIST

2026.10.17@よこすか芸術劇場

01.90'S TOKYO BOYS
02.あの日のMadness
03.Border Line
04.Beek
05.NO MORE MUSIC
06.Foolish Fish
07.That's All I Wish
08.Seasons
09.今ここで
10.Dance With You(short)
11.BROTHER
12.LOSTRANGER
EN.Beautiful Days

PHOTO BY Tomoki Igarashi

[東京スカパラダイスオーケストラ]

■横須賀に響き渡ったスカパラのオールタイム・ベスト

「Re:EM STAGE」2日目にまず登場したのは、コロンビアから帰国して一発目のライブだという、東京スカパラダイスオーケストラ。

メンバーがずらりとステージに並び立つだけで、その存在感は圧倒的だ。長きにわたるバンドの歴史をハイスピードで駆け抜けるオールタイム・ベストな選曲で、横須賀芸術劇場いっぱいの客席を大いに沸かせた。

手始めに1stアルバム『スカパラ登場』から名刺代わりともいえる「MONSTER ROCK」をバッチリ決めると、ダンサブルなパーティーチューン「5 days of Tequila」と「DOWN BEAT STOMP」を連続で繰り出し、MCでの煽りから「Glorious」への流れで会場全体を巻き込む大合唱を生み出す。

続いて「スキャラバン」、そして加藤隆志のギターがジリジリと空気を震わせるなか、谷中敦のバリトンサックスを前面に押し出した「Storm Rider」。熱くなった会場内に南米の風を吹かせるかのような「CALL FROM RIO」、「Believer」を経て、ハッピーなチューン「天空橋」。

正確無比なリズム隊に乗せ、縦横無尽に雄たけびを上げて暴れまわるホーンセクション。そのサウンドは5階建ての客席を持つ横須賀芸術劇場の高い天井を突き破らんばかり。この音場と一体になって無心に踊る感覚。これこそまさに、スカパラのライブからしか得られない高揚感なのだ。

MCで高校時代に佐野元春のコピーバンドをやっていたというエピソードを披露したドラムスの茂木欣一が歌ったのは、FISHMANSの「いかれたBaby」。そこからはロック調の「Pride Of Lions」、超絶ピアノの「水琴窟-SUIKINKUTSU-」で幅広いサウンド運びを見せたスカパラ。最後はイントロを聴いただけで誰もが踊り出す「Paradise Has No Border」で会場全体を最高潮まで盛り上げてフィニッシュした。

東京スカパラダイスオーケストラ

「Re:EM STAGE」SETLIST

2026.10.18@よこすか芸術劇場

01.MONSTER ROCK

02.5 days of Tequila

03.DOWN BEAT STOMP

04.Glorious

05.スキャラバン

06.Storm Rider

07.CALL FROM RIO

08.Believer

09.天空橋

10.いかれたBaby

11.Pride Of Lions

12.水琴窟-SUIKINKUTSU-

13.Paradise Has No Border

PHOTO BY Masato Ishizuka

[佐野元春&THE COYOTE BAND]

■佐野元春 & THE COYOTE BANDが横須賀に希望の光を灯す

2日間にわたった「Re:EM STAGE」のトリとしてステージに上がったのは、佐野元春 & THE COYOTE BAND。バンドの登場と同時に、満員の観客席が一斉に総立ちに。

1曲目は1989年発表のナンバー「ナポレオンフィッシュと泳ぐ日」。続く「TONIGHT」、「訪問者たち(VISITORS)」、そして「ワイルドハーツ WILD HEARTS -冒険者たち-」と、80年代中期の名曲で構成された序盤は、アルバム『ナポレオンフィッシュと泳ぐ日』収録曲の「新しい航海」へとめぐり、90年代の本人出演CM曲「レインガール」でひとつの区切りを迎える。

ここで、リリースされたばかりの新曲「シグナル(名前のない混沌)」を披露。不透明感と不安に包まれた2026年を生きる者たちの心情を代弁したかのような歌詞世界が心を揺さぶる。

ここからは、2012年の「La Vita è Bella」、2017年の「純恋(すみれ)」、そしてコロナ禍のさなかにリリースされた一連の作品のひとつ「エンタテイメント!」(2020年)へ。まるで21世紀の歩みをなぞっていくように演奏が続いていく。

そんなステージの締めくくりは、今日この日に横須賀芸術劇場へ集まったすべての人々へのプレゼントのような「ヤングブラッズ」と「つまらない大人にはなりたくない」。いつの時代もポジティブなメッセージを歌に乗せて発信し続ける佐野元春の、最新の姿がそこにあった。

■佐野元春とスカパラの伝説的コラボ

余韻が冷めやらぬなか、佐野元春の呼び込みでなんとスカパラ・ホーンズの3人とドラムス・茂木欣一がステージに再登場。予想もしなかった夢のコラボレーション・ステージの幕開けだ。

90年代にスカパラ・ホーンズがレコーディングに参加し、今年30周年記念盤がリリースされる名作アルバム『FRUITS』から「ヤァ!ソウルボーイ」、「十代の潜水生活」で観客の度肝を抜くと、2019年にスカパラ・ホーンズが参加した楽曲「愛が分母」で盛り上がりはさらに次の段階へ。佐野元春とスカパラのコラボと聞いて、真っ先にこの曲を連想していたファンは筆者だけではなかったのだろう。

驚きの連続に客席の熱狂が止まらず、貴重なコラボステージのラストナンバー「約束の橋」へ。かつてないほどに分厚い音の奔流をいちど知ってしまうと、観客ももはや後戻りできない。割れるようなアンコールに応えてバンドがステージに戻ると、これを聴かなきゃ帰れない「SOMEDAY」、そして「アンジェリーナ」の熱演で、横須賀の熱い夜を締めくくった。

この日の横須賀芸術劇場は、佐野元春とスカパラが伝説的コラボを繰り広げた舞台として、ファンたちに語り継がれることになるだろう。

佐野元春

「Re:EM STAGE」SETLIST

2026.10.18@よこすか芸術劇場

01.ナポレオンフィッシュと泳ぐ日

02.TONIGHT

03.訪問者たち

04.ワイルドハーツ

05.新しい航海

06.レインガール

07.シグナル(新曲)

08.La Vita è Bella

09.純恋(すみれ)

10.エンタテイメント!

11.YoungBloods

12.つまらない大人にはなりたくない

<スカパラとのコラボレーション>

13.ヤァ!ソウルボーイ

14.十代の潜水生活

15.愛が分母

16.約束の橋

17.サムデイ

18.アンジェリーナ

PHOTO BY Masato Ishizuka

TEXT BY ワタナベダイスケ(Re:EM STAGE)

■Re:EM LOUNGE(ヨコスカ・ベイサイド・ポケット)                  

ジャズやショーをはじめ、多彩な文化が交差していた横須賀の記憶を、音楽と街の魅力を通して新たな形へとつないでいく――。イベントの一角を彩る「Re:EM LOUNGE」ステージの模様をレポートする。

[めっちゃ美人]

1日目のRe:EM LOUNGEトップバッターは、東京発の4人組バンド・めっちゃ美人。ボーカルの久場莉己が「横須賀は初めてです!」と喜びをにじませ、1曲目の「W.H.A.T」へ。演奏の合間には「この会場にいるマダムの皆さんとかけまして、我々と解きます。その心は、どちらもめっちゃ美人!」と謎かけを披露し、客席を沸かせる一幕も。続けて「Treasure Your Mom」「Human Error」などを演奏し、ロックやジャズ、ファンクから歌謡曲まで、ジャンルを軽やかに行き来する豊かな音楽性と躍動感あふれるプレイで観客を引き込んだ。

「この曲、歌うところがあるんですけど、皆さん歌えますか?」と呼びかけた「Cider」では、間奏のラララを観客と一緒に歌い、会場に温かな一体感が生まれる。ラストの「まれびと」は、落語を思わせる語り口からスタート。「お手を拝借」の声に合わせて手拍子や合いの手が自然と広がり、転調を重ねる展開とともに熱気も高まっていく。音楽の自由さと遊び心で観客を巻き込み、鮮やかな幕開けを飾った。

めっちゃ美人

「Re:EM LOUNGE」SETLIST

2026.10.17@ヨコスカ・ベイサイド・ポケット

01.W.H.A.T

02.Treasure Your Mom

03.Human Error

04.Nerine

05.Cider

06.まれびと

PHOTO BY Masato Ishizuka

[YOKOHAMA TWISTIN CLUB]

横浜・山下公園で月に一度、ジャパニーズツイストを踊るダンスチーム・YOKOHAMA TWISTIN CLUB。リーゼントヘアにライダースやサングラス、ドット柄のワンピースをまとった男女8人が登場し、クールスの「Twist No.1」やM-BANDの「GO!GO!銀座」に乗せて軽快なダンスを披露した。リーダーのJOHNNYは「ローラー族を継承するためにやっています。45分間踊るのは初めてです(笑)」と挨拶。

続いて、観客に向けたツイストのレクチャーがスタート。スカジャンを着た子どもたちがステージに上がり、ステップを教わると、大人たちと息の合ったダンスを見せた。「ツイストは国籍や年代を問わず楽しめるものです」という言葉の通り、客席でも思い思いに体を揺らす人々の姿が見られた。メンバー紹介を交えたソロダンスに続き、ラインダンスも披露され、ステージは華やかな雰囲気に。ラストはJOHNNYのバンド・JOHNNY PANDORAの楽曲「ROCK ME BABY」に合わせ、子どもたちと再びツイストを踊る。世代を超えた一体感が生まれ、ロックンロールの文化が確かに受け継がれていくひとときとなった。

YOKOHAMA TWISTIN CLUB

「Re:EM LOUNGE」SETLIST

2026.10.17@ヨコスカ・ベイサイド・ポケット

01.Twist No.1

02.GO!GO!銀座

03.シンデレラ

04.メドレー

05.Reet Petite

06.T-bird Cruisin'

07.ROCK ME BABY

PHOTO BY Masato Ishizuka

[ながめくらしつ]

続いて登場したのは、ジャグリングに多様な表現を掛け合わせ、独自の世界観を生み出す現代サーカス集団・ながめくらしつ。今回は、作曲家・インプロバイザーの坂本弘道(チェロ)と目黒陽介による2人編成でステージに立った。チェロとルーパーを軸に奏でられる、どこか悲哀を帯びた音色。それに呼応する目黒の身体表現は、ジャグリングの枠を超え、コンテンポラリーダンスを思わせる。単なる技の披露にとどまらず、パフォーマンスに込められた意味を静かに問いかけるようなステージだ。

先ほどまでボールを操っていた目黒が手にしたのは、長さ1メートル以上はあるスティック。顎や足先に乗せたまま仰向けに寝転んだり、額に乗せてターンしたりと、驚きの技を次々と繰り出す。さらにミュージカル・ソーの不思議な音色が響くなか、白いリングを空中でキャッチし、顔や身体に引っかける技も披露した。MCを一切挟まず、音楽と身体の動きだけで進行する舞台は、観る側の想像力を試すかのよう。音と動きが溶け合う世界に引き込まれ、終演後も言葉にしがたい余韻が残った。

PHOTO BY Masato Ishizuka

[THEティバ]

4組目は、インディ・ガレージロックバンドのTHEティバが登場。Maya(Vo&Gt)、Sachi(Dr)の2人体制で活動してきたが、今年6月からKou(Ba&Bearwear etc)が加入し、3人体制で新たなスタートを切った。全編英語詞で紡ぐオルタナティブなサウンドを武器に、「What we need」「Monday」を披露。どこか懐かしさを感じさせるエバーグリーンな心地よさと、身体の奥まで響くヘヴィな音像が同居し、一度耳にするとやみつきになる魅力を放つ。

一方、MCでは「どうですかね……」とおずおずと客席に問いかける場面も。控えめな佇まいと鳴らされる音の力強さ、そのギャップがまた愛おしい。「Go back our home」「Alien loves you!」などを重ねるにつれ、柔らかな歌声の奥から浮かび上がる、骨太で重厚なアンサンブルに心を奪われていく。赤々と燃え盛る炎というより、深い青色を湛えながら静かに燃え続ける炎のようだ。ラストの「17」は、〈I wanna be 17〉という静かな歌い出しから一転、激しくうねるサウンドへと展開。抑え込まれていた熱が一気に解き放たれるようなパフォーマンスで、会場に確かな爪痕を残した。

THEティバ

「Re:EM LOUNGE」SETLIST

2026.10.17@ヨコスカ・ベイサイド・ポケット

01.What we need

02.Monday

03.Mother bear
04.Go back our home

05.Winnie

06.Alien loves you!

07.(no title)

08.Cloud nine

09.未発表新曲

10.17

PHOTO BY Masato Ishizuka

[Gentle Forest 5 & Gentle Forest Sisters]

17日のRe:EM LOUNGEラストを飾ったのは、21人編成のエンターテインメントビッグバンド「Gentle Forest Jazz Band」の小編成「Gentle Forest 5」と、3人組ヴォーカル「Gentle Forest Sisters」によるユニット・Gentle Forest 5 & Gentle Forest Sisters。

まずはトロンボーン、サックス、ギター、ウッドベース、ドラムの編成で「ハッピカライト」を軽快に奏で、ジェントル久保田の呼び込みでGentle Forest Sistersの3人が登場。「Lover Comeback to Me」では観客の手拍子も重なり、会場は一気に高揚感に包まれた。

日本語詞の「Shanghai」「おとこって おとこって」では、軽妙な歌と演奏で観客を魅了。MCでも、横須賀のダイエーなど具体的なスポットを挙げながら、思わず共感してしまうような話題で観客を沸かせた。

Gentle Forest Sistersが、満月の夜だけ人間に戻れる人形を演じながら歌唱したのは「月見るドール」。物語性豊かな歌詞が織りなす世界に引き込まれ、まるでミュージカルを観ているような感覚に陥る。続く「Everybody Loves My Baby」を経て、アンコールでは「Take The "A" Train」を披露。最後の最後まで華やかな歌声と演奏を力強く響かせ、会場を祝祭感あふれる空気で満たした。

ジャンルも世代も超えた表現が交差し、横須賀の街に新たな彩りを添えた。

Gentle Forest 5 & Gentle Forest Sisters

「Re:EM LOUNGE」SETLIST

2026.10.17@ヨコスカ・ベイサイド・ポケット

01.ハッピカライト

02.Lover Comeback to Me

03.Shanghai

04.おとこって おとこって

05.Lester Leaps In

06.ジャムハチ

07.月見るドール

08.Everybody Loves My Baby

En.Take The "A" Train

PHOTO BY Masato Ishizuka

[リンダカラー∞]

2日目のRe:EM LOUNGEトップバッターは、お笑いトリオのリンダカラー∞。満員の客席を見渡したDenが「せっかくだから降りようかな」と呟き、たいこー、りなぴっぴとともに客席へ降りて観客とハイタッチ。横須賀出身のDenとたいこーによる地元トークも交えながら、会場を温めていく。

その後は、Denがカリスマ論を展開するネタへ。「カリスマとは全てを惹きつけること。だから辞書でも一発でかっこいい言葉を引ける」と語り、実際に辞書を引くと、出てきた言葉は〈留守電〉。これでは格好がつかないと、横須賀にまつわる言葉に切り替えて引き直すと、〈ハンバーガー〉を引き当てる奇跡が起きた。続いて、客席から募った“我こそはカリスマ”という2人も辞書引きに挑戦。たいこーと同じ高校出身の男性が〈自分〉を引き当てて盛り上がる一方、もう1人の男性は何度もページをめくり直すなど、予想外の行動で笑いを誘う。Denが「(お笑いの)養成所にぶち込もうかな」と零すほどで、最後も引いた言葉を答える代わりに「行きます」と宣言し、会場は爆笑に包まれた。サイン色紙を賭けたじゃんけん大会も行われ、観客と一緒に笑いを作り上げていく姿が印象的だった。

PHOTO BY Tomoki Igarashi

[三木大雲]

怪談を通じて仏教の教えを説く「怪談説法」で知られる三木大雲。若い世代がお寺に足を運ばないことを憂い、暴走族が集まる場所で怪談を披露したことが活動の原点となった。

まずは、病気の匂いがわかるというエピソードからスタート。三木はがんの匂いがする男性に出会い検査を勧めたが、男性は「声をかけてもらっただけで嬉しい」と話すばかりで検査を受けようとしない。不審に思う三木に対し、男性は「私は亡くなっているんです」と告げたという。

さらに、暴走族の集まりで出会った総長のことを回想。明らかに生きている彼が「自分は幽霊だ」と語ったことから、三木が話を聞くと、両親から愛情を受けず、いないもののように扱われてきたという。総長は、先述の男性が口にした「声をかけてもらっただけで嬉しい」という言葉に自身の孤独を重ね、自らの生い立ちを語った。この経験から三木は、怪談には人の心や生き方を見つめ直すきっかけがあると実感したのだそう。

その後も怪談を交えて人生観を語り、最後は「辛いことがあっても命は投げ出さないでください。命は有限。周りの人のために何ができるのかを考えていきましょう」と優しく呼びかけた。

PHOTO BY Tomoki Igarashi

[Iga Nana]

続いて登場したのは、岡山県出身のシンガーソングライター・Iga Nana。自身のミュージックビデオも手がけるアーティスト・ISSEI TERADAとともにステージに立ち、HIPHOPやR&B、ソウルの要素を織り交ぜた楽曲をメロウな歌声で届ける。「ZoneOut」「耳をすませて」「秘すれば花」など、しなやかな歌声と洗練されたビートが響き合うナンバーを披露し、グルーヴィーなサウンドで観客を引き込んでいく。さらに、高校の先輩にあたる藤井風の「花」や、竹内まりやの「プラスティック・ラブ」もカバーし、オリジナル曲とはまた異なる表情を見せた。

「Navigation」ではISSEI TERADAとの掛け合いが繰り広げられ、呼吸の合ったやり取りで互いの歌声を響かせ合い、楽曲にさらなる奥行きとグルーヴを生み出した。ライブが終盤に差しかかると、クラシックピアノで培った技術を活かし、キーボードの演奏も際立つ「Instant」を披露するなど多彩な才能を発揮。ジャンルの異なるさまざまな音楽を自身の感性でひとつに溶け合わせ、ラストの「GoodTogether」まで豊かな表現力で観客を魅了した。

Iga Nana

「Re:EM LOUNGE」SETLIST

2026.10.18@ヨコスカ・ベイサイド・ポケット

01.ZoneOut

02.耳をすませて

03.秘すれば花

04.藤井風「花」(カバー)

05.竹内まりや「プラスティック・ラブ」(カバー)

06.LoveTasting

07.Lonely

08.徒然草

09.今だけ

10.Navigation 

11.WYW

12.Instant

13.GoodTogether

PHOTO BY Tomoki Igarashi

[モノンクル]

Re:EM LOUNGEトリを務めたのは、吉田沙良と角田隆太によるユニット・モノンクル。ジャズと日本語詞を軸にジャンルレスな音楽を生み出す彼らは、ポルノグラフィティの「アポロ」のカバーで幕を開け、「HOTPOT」「マーブルプラネット」といったオリジナル曲に加え、宇多田ヒカルの「One Last Kiss」のカバーも織り交ぜながら、情感豊かな歌声と柔らかなアコースティックギターで観客を包み込む。

切ない恋心を歌う「ずるいよ」では、繊細な歌声が楽曲の余韻を深める一方、「人生にはさまざまな渦がある。でも大切な人となら乗り越えていける」と語り披露された「渦」では吉田の歌声が力強さを増し、角田のベースも重なって、会場にも瞬く間に熱気が広がった。

ラストは吉田が「思い切り声を出しましょう!」と呼びかけ、「ここにしかないって言って」を披露。音楽に身を委ね、悔いなく楽しむことを促すその言葉どおり、歌声と演奏、観客の熱気が一つになり、この瞬間、この場所だからこそ生まれるグルーヴを刻み、2日間のステージを締めくくった。

モノンクル

「Re:EM LOUNGE」SETLIST

2026.10.18@ヨコスカ・ベイサイド・ポケット

01.アポロ(カバー)

02.HOTPOT

03.マーブルプラネット

04.夕立~One Lasr Kiss(カバー)

05.ずるいよ

06.魔法がとけたなら

07.渦

08.ここにしかないって言って

PHOTO BY Tomoki Igarashi

TEXT BY 宇佐美裕世(Re:EM LOUNGE)

YOKOSUKA Re:EM CLUB ~ ENTERTAINMENT & MUSIC LIVE ~ 開催概要                                      
<公演タイトル>
YOKOSUKA Re:EM CLUB ~ ENTERTAINMENT & MUSIC LIVE ~

[日程]
2026年10月17日(土)/18日(日)
Re:EM STAGE(よこすか芸術劇場):開場14:00/開演15:00 ※両日
Re:EM LOUNGE(ヨコスカ・ベイサイド・ポケット):開場13:00/開演13:30 ※両日

[場所]
横須賀芸術劇場(〒238-0041神奈川県横須賀市本町3-27)
ほか劇場周辺エリア


■10/17(土) 
Re:EM STAGE:OKAMOTO'S /グソクムズ/BREIMEN/紫 今
Re:EM LOUNGE:THEティバ/ Gentle Forest 5 & Gentle Forest Sisters /ながめくらしつ/めっちゃ美人/YOKOHAMA TWISTIN CLUB

■10/18(日)
Re:EM STAGE:佐野元春& THE COYOTE BAND/東京スカパラダイスオーケストラ
Re:EM LOUNGE:Iga Nana/三木大雲/モノンクル/リンダカラー♾️

[CITY SESSIONS]


■DOBUITA STAGE(ドブ板通り)※入場無料
サンバパレードやジャズライブ、ガレージバンド、ヴィンテージCar展示などを実施します。
■CRUISING STAGE(YOKOSUKA軍港めぐり 汐入桟橋)※有料チケット制
前野健太(10/17)、井上園子(10/18)が出演する約90分のクルージングライブを実施します。
■COASKA STAGE(コースカベイサイドストアーズ3階 街なかピアノ)※入場無料
HARMONICA CREAMS DUO(10/17)、斎藤守也(from レ・フレール)(10/18)が出演。
■ROSE STAGE(ヴェルニー公園)※入場無料
「秋のローズフェスタ&全国梅酒まつり」と連携し、ケッチ(元が〜まるちょば)(10/17)、スティールパン トリオ(スティールパン奏者:珠)(10/18)が出演。
    
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