2026年10月10日、神奈川・KT Zepp Yokohamaにて『BONBON.1st Live tour「あなたになりたいだけじゃなく。」』が行われた。2026年2月にソロアーティストとして活動をスタートさせたBONBON.。彼の新しいスタートを祝うかのように、終始温かな空気で包まれていた同公演の様子をレポートする。

 開演時刻ちょうど、ステージにバンドメンバーが姿を現す。演奏に合わせて自然とクラップが湧き、BONBON.が登場。数十秒間、深くお辞儀をすると、拍手と歓声が送られる。顔を上げて、「孤月様」でライブがスタート。モニターに映った満月の映像を背負って歌うBONBON.は、すでに目に涙を浮かべており、泣くのを堪えるようにマイクスタンドをギュッと握りしめ、一つひとつの言葉を丁寧に歌い、思いを届けていった。続いたのは、「あなたになりたいだけじゃなく」。声を震わせないよう懸命に歌うBONBON.を、観客はそっと見守る。すると、一度後ろを振り向いたBONBON.は自らを鼓舞するように頬をパシッと叩き、最後まで歌いきっていた。

 MCで「BONBON.です。よろしくお願いします」と挨拶をすると、「ずーっと泣くのを堪えてました」。「『孤月様』で歌い出して、結構やばかったです。くっそ、泣きたくなかったなー!」と笑ってみせる。そして、次の曲紹介へ。「夏の終わりがとっても似合う楽曲です。ぜひ聴いてください」と、「黒い髪の魔性さん」を披露。まだ目には光るものがあったが、笑顔も見え、情景が浮かぶような美しい楽曲を、透明感ある歌声で力強く歌い上げていった。歌い終わり、「もう眠たなってきた(笑)。最初の2曲で体力使いすぎて、ちょっとやばい」と、照れ隠しのように笑う姿もBONBON.らしい。ここで、客席に「今日、BONBON.に会うのが初めてって方いますか?」と質問。さらに「友だちに無理やり連れてこられましたっていう人?」と問いかけると、「正直ですね!」と豪快に笑ってみせていた。

 ここからは未発表曲3曲が続く。「真冬、冬から春、春の3つの季節をなぞったラブソングです」と紹介し、「ゆらゆら僕」から歌い始める。BONBON.の温かな歌声が響き、会場を包み込むと、楽曲の世界に誘われるかのような感覚になる。そして、モニターの映像が冬景色の覗く車窓に変わると、「リンネ」へ。どこか儚さを感じる歌声と、低音ラップのコントラストもいい。車窓からの風景が春になると「キミアレルギー」が始まる。一気に明るい雰囲気に変わり、自然とクラップも鳴り始める。BONBON.はステージ中央にあぐらで座り、観客一人ひとりと目を合わせるように歌っていく。さらに、寝転んで手と足でリズムを取る場面も。自由に音楽を楽しみ、最後には両手を広げるパフォーマンスをしてみせた。

 盛り上がった会場と、すっかりリラックスした様子のBONBON.。「次はカバー曲です」と宣言すると、「今、静かな曲が続いてますよね。すみません、次も静かな曲です。僕の好きな系統ってなると、こうなっちゃうんですよね」と、おもむろに椅子に腰掛ける。サポートギターのyu-sukeが奏でるアコースティックギターに合わせて始まったのは、back number「stay with me」。心を込めて歌い終わると、「大先輩の曲、いいな〜。こんな曲を作れるように頑張ります」とポツリ。続いて飛び出したのは、「ライブで聴かせていただいた時に、泣いちゃいました」というSaucy Dog「魔法が解けたら」。「気持ちを込めて歌わせていただきます」という言葉通り、感情たっぷりに、高音を響かせていった。

 「カバー曲、バチコリかまさせていただきました!」と言うと、空気が一変。ドラムが力強くビートを刻み始め、「次の曲に行く準備できてますか! まだまだ聴こえへんよ!」と観客に声を出させる。バンドメンバーを紹介し、「皆さん、質問があります。恋してますか! 俺に恋しちゃダメやで!」とシャウトして、「リアコくん」へ。ステージを歩きながら、観客たちに手を振ったり、覗き込んだり。その姿に、観客の熱気もどんどん高まっていく。続いたのは、愛犬に向けて書いた曲「ピュアリトルモンスター」。ペンライトも大きく揺れ、会場の熱気は高まっていく。そして、「ラスト、タオルぶん回せ!」で「友情トリートメント」へ。観客もタオルを思いっきり回しながら歌い、会場が一体となると「本当に時は速いものですね。終わりです!」とステージを後にした。

 もちろん、これだけで終わりではない。アンコールの声に呼ばれ、再びステージに戻ってくるBONBON.。ここで改めて自分の気持ちを語っていく。

「僕、ライブの時、夢の話をよくするんです。今日もしようかなと思って。まず、昨日見た夢なんですけど、気づいたらライブしてたんですよ。そうしたらドラムのHang-Changに『別件入ったんで、今回ライブ行けないです』って言われて。他のバンドさんも全員抜けて、何の音かわからん音でライブしてたんです。そうしたらお客さんもどんどん減っていって、最終的に20人くらいの前でライブをした夢を見て。夢で良かったなって。こうやって夢も見るし、普通に意識ある時に夢を見ている人も、夢を叶えた人も、夢がない人もいると思うんですよね。僕は17歳の時に韓国の事務所に行くことになって、練習生を10カ月くらいやっていたんです。言語も、ダンスも歌も、ラップもわからないという身一つで行ったんですけど、人生の中で一番辛い10カ月でした。でもその練習生の時に作詞作曲をして楽曲を歌うという夢ができたんですよ。それが今、9年越しに叶いました。もっと実力をつけて、徐々に大きなところでライブをやっていけたらなと思っています。年齢関係なく、皆さんも夢を持っているなら行動してみることが大事です。悔いないように自分の好きなことを見つけて、好きなものを食べて、生きていってほしいなって。夢を叶えて僕に報告してください。そのために、僕はここに立って音楽を作って歌っているんで。これからもいい楽曲をみんなに届けて、もちろん僕のためにも届けて、頑張って活動していこうかなと思います」

 笑顔でそう話すと、11月から毎月楽曲配信をすること、12月に東京、1月に大阪でファンクラブイベントをすること、来春にフルアルバムをリリースすることを告知。全員で写真撮影をしたところで、「最後、歌ってない楽曲、アレしかないですよね! 改めて、皆さん来てくれてありがとうございます。これからも少しずつ大きくなります」と宣言をして、「レムのままで」へ。客席からはそっと応援するような温かな視線が注がれていたのが印象的だった。最後は、「今日はBONBON.1st Live tour『あなたになりたいだけじゃなく。』に来てくださって本当にありがとう。まだまだあばれるぜ!!」というメッセージをモニターに映したまま、ライブに幕を下ろした。

 温かな拍手や声援を送る観客と、その思いに真摯に応えようとするBONBON.。自らの歩みを振り返り、これからの夢を語ったこの日、ステージと客席の間には確かなつながりが感じられた。ソロアーティストとして新たな一歩を踏み出したBONBON.が、これからどんな音楽を届けてくれるのか楽しみだ。

TEXT高橋梓
©fanphoto

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