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2021.02.18

メルローズによるショールーミングストアありきのEC専門ブランド──サードマガジン

大人の女性に向けたセレクトショップ兼ショールーミング型店舗「THIRD MAGAZINE(サードマガジン)」。オリジナルブランドのほか、ビンテージや海外インポートなど、レディスを中心にセレクトアイテムを展開している。 今回は、PR統括マネージャーの中山彩子さんと、MDの田中栄司さんの2人に、ショールーミングストアという新しい形態について、スタートアップの経緯から、現在までをうかがった。

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──ファッションブランド、ショールーミングストア、タブロイドと3つの展開をしている「サードマガジン」ですが、立ち上げのきっかけを教えてください

中山彩子(以下、中山)
「元々はディレクターの祐宗(摩稚子)と私が前職で、私がPR、祐宗がディレクター兼デザイナーとして働いていまして、彼女がブランドを卒業するのと私の出産で離れるタイミングが重なったこともあり、”何か一緒にやりたいよね”となったのがきっかけです」

──ふたりの中では、どのような話があったのでしょうか?

中山「祐宗からは”自由度の高い、大人のファッションを提案したい”という話がありました。5~6年前って、ニュートラルでエフォートレスなファッションが流行っていたのですが、自分たちが年齢を重ねる上で、ただ肩の力が抜けただけのファッションではなく、そこに面白みが欲しくなった時期でした。前職ではその部分をバイイングで表現していたのですが、根本からやりたいという思いもあり、いろいろなタイミングも重なって、一緒にやる事になったんです」

──ショールーミングストアというアイデアはどこから生まれたのでしょうか?

中山「ファッションにもECの時代が来ると思っていたところもあり、ただお店を立ち上げるよりも、出張時にニューヨークで見たショールーミングビジネスを本格的に日本に持ってきたいと考えたんです。日本でも家電や家具の分野ではショールミング化は進んでいましたが、ファッション分野では規模の小さいブランドくらい。それをセレクトショップで、しかも大きな形でショールームとしてやるところはそれまで無かったし、折角だから私たちの新しい試みを新しい切り口でやってみようと」

──メルローズとの関わりはどの時点から始まったのでしょうか?

中山「私の方でコンセプトをまとめて、企画書を作って、祐宗と一緒に武内さん(現ビギホールディングス代表取締役社長)にプレゼンに行きました。当時のメルローズは、まだECが活性化されてなかった事もありましたし、武内さんも祐宗の作るテイストが好きだった事もあって(※ 祐宗さんは以前マルティニークにてデザイナーとして務めていた)、話がトントン拍子に進んだという感じですね」

──ECの中では高価格帯の中に入ると思いますが、社内的にはどのような反応だったのでしょうか?

中山「最初は、3万円前後のパンツだったり、10万円のコートを”ECで買うか?”という反応で、”高い物は売れない”と。ただ、薄利多売の仕事はしたくなかったですし、祐宗の作るものにも自信がありました。さらにECだと費用対効果が悪い古着もミックスしたいとも考えていまして、とにかく今までの当たり前を排除していきたかったんです。もちろん、それが商売にならないとダメで、ビジネス部分の形づくりは私がやり、彼女がものづくりをするという分業で、2018年9月1日にショールミングストアとEC、そしてタブロイドのセットで立ち上げました」

──なぜ、WEBメディアではなく、タブロイドというあえて紙メディアだったのでしょうか?

中山「ターゲットのお客様層が、紙媒体を読んでいる方が多いんですよね。だから、内容もただのルックではなく、サードマガジン通信というか、あえて新聞的な雰囲気にしています。楽しみにしているお客様もいらっしゃるので、今はこのまま発行し、よりペーパーレスの時代が進んでいくことになれば、それはその時にまた考えようかなと思っています」

──売り方としてはデジタルですが、リアル店舗があったり、ペーパーがあるという意味ではアナログがメインなんでしょうね。

中山「10代や20代のお客様がメインターゲットであれば、完全にデジタル化して、最先端なものだけでやっていく選択もあったと思います。ただ、ターゲット的にはアナログとデジタルの両方をやりたい世代ですし、接客のホスピタリティーを求める方も多い。私たちもただのEC販売のブランドにはしたくはなく、ショップがあったり、タブロイドがあったりというアナログの温かみの部分、そこが付加価値に繋がっていると考えています」

──2019年に立ちあげて、コロナ前までの話をお聞かせください。

中山「もともとプレス関係者の知り合いが多かったこともあり、まずはそこから口コミで少しずつ拡散されたのと、2階をプレスルームにしたことで、リース対応後にお買い物をされるインフルエンサーや業界の方も多くなり、良い形で回りはじめました。そこでECも含めて、経営部分でさらに戦略的にやっていこうということで、田中さんが19年のはじめから加わることになったんです」

田中栄司(以下、田中)
「私はまず、いろいろな媒体に掲載されていたり、いろいろな方々が着てくださっているにも関わらず、拾いきれていない部分があって、せっかく販促がうまくいっているのに売り上げに繋げられてなかった部分を埋めるところからスタートさせました。その後は、中山と祐宗が打っていく販促事を計画的にスケジューリングしたり。結局オンラインも、SNSも接客なんですね。何かが打ち出された事が分かりやすく見られる、そして買える、そこを綺麗に円が描けるように整えれば、業績は上がると考えています」

──田中さんはMD面でも手をつけている部分があるのですか?

中山「商品構成とかの部分ではなく、パズル合わせというか、コレクションとして出来た物を、”どうハメていくか?”という部分をやってもらっています」

──18年から19年にかけては、どうような伸び方をされたのでしょうか?

田中「大体170%くらいの数字をキープしています。実はそれはコロナ後も継続していまして、同じペースで伸び続けているんですよね」

──コロナ後は一気に伸びたのでしょうか?

田中「いえ、ペースはそのままで、成長が止まらなかったという印象ですね。これは2019年の時点で、サイト内コンテンツやSNSなどで人気があるものを浮き彫りにさせて、それを強化したことに起因していると思います。つまり、お客様から反応がある事に対して、きちんと注力したという事なのですが、そこをコロナ禍でも止めずにやったところは大きいと考えますね。特に昨年の4~5月は、その部分がすごく感じられて、それが売り上げに繋がったと思います」

──では、5月以降はどのような状況でしたか?

田中「6月に緊急事態宣言が解除され、とにかく来店されるお客様が多かったです。来店からのオンラインへの流れも増えましたし、トータルでいうと、時期、情勢によってはあまり影響を受けてはいない。ただ、今回の1月はそこまでの変化はないです」

──ショールーミングストアの形態って、日本ではなかなか広がっていない気がしますが、ふたりの個人的な考えをお聞かせください

田中「利便性が分かりにくいのかな。例えば、家電や家具のような大きな物って、昔からショールーミングビジネスですよね。小さな物は持ち帰れますが、椅子ぐらいになると配送が当たり前。でも、洋服は持って帰る物という意識がいまだ強い。ECの洋服に対するハードルがあるのかもしれません。利便性の前に分かりにくさが前に立ってしまっているのか。ただ、このコロナ環境になってからは、改めてそこを認識している方も増えた印象はあります」

中山「特にこのコロナが始まってからは、リサーチで来店される方が増えたと感じています。他社さんでもショールミング的なビジネスをやり始めたところも、少しずつ出てきていますし。お客様もECで買う事には慣れてきているのですが、”服は持って帰る物”とか、”買ったから持って帰りたい”という思いがまだ根強い世代。ただ最近、スタイリストやモデルさんの接客をした時に、”持って帰るのは嫌”という方が増えてきていて、便利さに気づきはじめている雰囲気は肌で感じています。ショールーミングストアのメリットは一回経験してもらえれば感じてもらえると思います」

──今後の課題はありますか?

田中「ショールーム自体の価値をもっとあげていきたいですね。いま売れている理由って、祐宗のものづくりの力だったり、中山の販促力が強くて、そこにタイミングが合って、現状の売り上げを作っている部分が大きい。つまり、まだショールーミングビジネスならではの売り上げの取り方にはなっていないんです。例えば、イベントなどでお客様がショールームに来る必要性を作ったり、そこでデジタルな接客をしたり、そういった施策を増やしていくことが、今後の課題ですね」

中山「口コミで広がっていった部分はありますが、お客様の熱をどんどん盛り上げていかないといけない。それがPC上だけではなかなか難しいのが現状ですよね。業界の人は知っているけれど、そこからどこまで浸透させるか?という部分が課題です。まずは知名度アップの為に、2月17日から伊勢丹 新宿店 2階でポップアップを予定しています」

田中「”伊勢丹でフルラインナップが見られます”という形を取ろうと考えてます」

中山「”サードマガジンが伊勢丹にやって来た”という形で、その期間はこちらのショールームはクローズさせて開催します。ありがたいことにポップアップの依頼は他でもお声がけいただいていることもあり、今の状況が落ち着き、タイミングが合えば地方でもやっていきたいです。とにかく、洋服を着たり、触れたりすることを楽しめる当たり前の日が早く戻ればいいなと願っています」

──ありがとうございました

サードマガジン SHOWROOM/STORE

東京都渋谷区鉢山町13-16
TEL. 03-5784-2588
OPEN/CLOSE:11:00~20:00



「ショールーミングビジネスには未来を感じている」と中山さん(右)と田中さん(左)

「このサードマガジンでは、いままでの当たり前を排除していきたかった」という中山さん

「オンラインでも、SNSでも接客で、何かが打ち出された事が分かりやすく見られる、そして買えるを綺麗に円が描けるように整えれば、業績は上がる」と田中さん

サードマガジン ディレクターの祐宗摩稚子さん。
(写真提供:サードマガジン)

正面の大きなガラス窓から自然光が注ぐショップ。

オリジナルブランドのほか、セレクトとビンテージを展開

テーマは「We don’t stop playing because we grow old; we grow old because we stop playing.(年をとったから遊ばなくなるのではない。遊ばなくなるから年をとるのだ)」。アイルランドの文学者で劇作家、George Bernard Shaw(ジョージ・バーナード・ショー)の言葉

ショップの立ち上げと同時に創刊したタブロイド。

2月17~23日までの期間限定で、サードマガジンのショールームが伊勢丹新宿店2階 イーストパークにオープンする

「サードマガジンをもっと知ってもらいたい」というふたり



(おわり)

写真/野﨑慧嗣
取材・文/久保雅裕、カネコヒデシ





久保雅裕(くぼ まさひろ)
(encoremodeコントリビューティングエディター)

ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。

カネコヒデシ
メディアディレクター、エディター&ライター、ジャーナリスト、DJ。編集プロダクション「BonVoyage」主宰。WEBマガジン「TYO magazine」編集長&発行人。ニッポンのいい音楽を紹介するプロジェクト「Japanese Soul」主宰。そのほか、紙&ネットをふくめるさまざまな媒体での編集やライター、音楽を中心とするイベント企画、アパレルブランドのコンサルタント&アドバイザー、モノづくり、ラジオ番組製作&司会、イベントなどの司会、選曲、クラブやバー、カフェなどでのDJなどなど、活動は多岐にわたる。さまざまなメディアを使用した楽しいモノゴトを提案中。バーチャルとリアル、あらゆるメディアを縦横無尽に掛けめぐる仕掛人。





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