──前回インタビューから半年経たないですが、ASCAさんにお聞きしたいトピックがたくさんあります!

「いや、そうなんですよ! 追っていただいてありがとうございます」

──早速始めさせていただきますが、まず、8月に1ヶ月で4カ国を駆け巡りましたね。

「これまでの人生で一番駆け巡りましたね〜(笑)。ドイツのマンハイムからインドネシアのジャカルタ、台北に行って、最後はインドのムンバイ。途中はもうどこを飛んでいるのか記憶がないくらいですけど、一番印象的だったのはインドです。初めてのインドだったので、やっぱりカルチャーショックを受けて!」

──皆さん、初めてインドに行った印象をそうおっしゃいますね。

「道路の車線関係なく車が走っているので、街はずっとクラクションが鳴りぱなしなんです。とにかく渋滞しているから、何も予定通りにいかなくて。時間が決まっていたとしても、その時間に誰も間に合わないのが当たり前で…スタート時間も平気で1〜2時間遅くなったり、ライブも“だいたい夜の9時くらいね”くらいのマインドで行動されていて。日本人は時間厳守できちっと守るという常識がありますけど、私はマイペースなので、インドのその雰囲気も素直に受け入れることができました(笑)。想定外のことが起きても、どっしり構えていられる自分でいられたことも、今回のインド渡航での気付きでした。」

──ライブではインドの人気曲「トゥメリ(Tu meri)」をヒンディー語でカバーしました。すごいですね!

「“やろう!”と決めて、2週間くらいで歌詞を覚えて…本当に急ピッチでした」

──よく覚えられましたね…途中、<千駄木>って聴こえますけど。

「あはははは! 確かに<ゼンダギ>って言っていますね。とにかく、“ひたすら唱える”という覚え方しかなかったので、ひたすら唱え続けて。実は当日のライブで一応、プロンプターで歌詞を出してもらう予定だったんですけど設備トラブルで歌詞が表示されず…ですが、なんとか歌えました(笑)」

──お客さんの反応はどうでしたか?

「インドの皆さんは音楽や踊ること、エンタメが好きなんだというのを肌で感じました。1曲目に「トゥメリ」を歌ったんですけど、大合唱してくれて、すごく盛り上がりました。この曲が人気なのは、現地のインフルエンサーの“まよ”さんという方に教えてもらってカバーすることが決まったのですが、期待以上のリアクションがライブで返ってきました。大変でしたけど、カバーしてよかったと思いましたし、各地の音楽を取り入れながら、ライブをすることで現地の人と音楽で繋がっていきたいと改めて思いました」

──旅を終えて感じたことは何でしたか?

「それぞれの国でリアクションも違いましたけど、色々な世界の文化に触れて感じたのは、固定概念とか、“こうあらねばならぬ!”みたいなものを取っ払っていけるということですね。様々な価値観や文化、言語があって…自分自身がある種、固定概念を持って生きていたんだということに気づかされたので、“柔軟に変わっていける自分でありたい”と思いました。特にインドでは少し長めに滞在していたんですけど、予定通りに行かないときも、気付けば焦ることもなく、むしろ落ち着いて過ごせるようになっていました。この感覚はこれからも活かしていきたいですね」

──続いてのトピックは、10月4日からスタートするTVアニメ『マジカル★エクスプローラー』のオープニング&エンディングテーマを担当することが発表されました。

「ASCAとしてデビューして今年で9周年ですけど、オープニングとエンディングの両方を担当させていただくのは初めてです。想像もしていなかったことでしたし、『マジカル★エクスプローラー』は今回が初めてのアニメ化でもあるので、第1クールのオープニングとエンディングは、この作品の顔になっていくと思っています。良くも悪くも私が印象付けてしまうところがあるので、怖さもありつつ、どういう楽曲を作っていったらいいのか?というのはすごく考えました」

──ASCAさんは楽曲制作の段階でいつもプロットというか、テーマを最初に作家さんに投げますよね? 今回はどのような制作方法だったんですか?

「まず、オープニングから作っていきました。“Remedy”には“治療”や“薬”という意味があって、私も日々生きていく中で、一人の時間に考えすぎて八方塞がりになってしまった時に、人に会ったりするとすごい力もらって、朝に出かけた時より帰ってきた時の方が元気になっていることが多くて。“あ、人には薬以上の力があるよな”と感じた時に、改めて、“人の力”を信じたい、信じていきたいと思った時がありました。それで、『マジエク』の原作を手にとって読ませていただいた時に、最初は一人で始まる物語ですけど、どんどん友だちや仲間、先生が増えてきて…それぞれ皆さん、自分の得意とするところを出して補い合っていくようなところが、アニメの世界だけではなくて、私たちの人間関係もそうだと思って。“人は薬だな”という自分の考えと、作品の登場人物たちがリンクしたので、これだ!と思って、テーマになりました」

──“人は人の薬になる”というのが大きなテーマになっているんですね。

「はい。私がこれまで9年も続けてこられたのは、何を差し引いても人がいてくれたからです。喉を壊した時とか、“歌うこと”が“辛いこと”に変わってしまった時もありましたけど、そういう時に手を差し伸べてくれたのはやっぱり人でした。一時期、もう誰も信じられなくなって、“この苦しみは自分にしかわからないんだ”と思った時もありましたけど…」

──絶望を感じたこともあったのでしょうか?

「何度も何度もありました。“私は何のために歌っているのか?”、“自分は何者になれるのか?”、そういう自問自答を繰り返したタイミングが何度もある中で、毎回、手を差し伸べてくれたのは、人だったんです」

──その“人”はファンやリスナーですか?

「そうです。SNSやお手紙、直接会った時にかけてくれる言葉で、何度も蘇生できた感覚があります。もちろん、周りのスタッフさんも含めて、たくさんの人のおかげで、“やっぱり人って素晴らしいな”と最終的に信じさせてもらえました。私も支えてきてもらったから、それをお返ししたいという気持ちがどんどん増しています」

──“人は人を癒すことができる”のテーマの中には“歌で”ということも入っていますよね? 人を歌で癒すこともできて、治すこともできるという…。

「もちろんです。私が活動していく中で立ち止まってしまった時や塞ぎ込んでしまった時でも、音楽がそばにありました…悲しい時や、絶望している時に寄り添ってくれる音楽や言葉が。私自身が音楽で癒しやパワーをもらってきたからこそ、それを私の音楽で体現したいと思っています」

──<明日を生きる理由になりたいんだ>というフレーズは<この声>にかかっていますよね?

「“Remedy”は10月から始まるツアーのタイトルにも紐付いてくるんです。どうしても独り善がりになってしまい、“たった一人で頑張っているんだ”みたいな気持ちになっていた過去があって…でも、“そうじゃないんだよ”と気付けました。9年間続けてこられたのは、人の力があったからで、自分のために歌うのではなくて、人に癒しや力を、色々な場所に行って届けていきたいという想いがあります」

──だから、この曲には、かつての ASCAさんを支えてくれた“人”に対する感謝も入っているんですね。

「そうですね。“助けてもらったから返したい”が最初のきっかけだったと思います。人のことを支えているようで、実は支えている私も力をもらっていると思って。だから、この「Remedy」を通して、みんなに癒しや勇気を与えたりしながらも、私も“応援してくださる人がいたからここにいるんだ”というのを実感しながらこの曲を届けていきたいと思います」

──歌詞での<君>と<僕>はリスナーとASCAさんの関係性を想起させますが、MVには二人のASCAさんが登場しています。

「すごく思い悩んだ過去の私がいて。“でも、もう大丈夫だよね”という描写がワンシーンで出てきています」

──ちょっとした微笑みで表現していました。

「自分自身にも言っていますし、ファンの皆さんに対してとか、人を信じられなくなっている人、今、人生に悩んだり迷ったりしてる人に対する微笑みでもあるシーンです」

──<君>は、過去の自分でもあるということですか?

「そうです、そうです。作詞をしてくださってNiiNoさんとはこれまで何度もご一緒させてもらっていて、私の生い立ちとか、抱えているトラウマとか、色々なお話をさせてもらってから歌詞を書いてもらっています。自分自身が立ち止まった時のこともたくさん話した上で書いていただいた歌詞になっていますし、そこを経て、“今、私がファンの皆さんに何を届けたいのか?”というところも汲んで書いてもらっています」

──MVでは白い羽が舞い降りています。

「今回、オープニングとエンディングを担当させていただくので、エンディングの要素も散りばめたくて、エンディングテーマ「Double Wings」=2つの羽根を入れ込ませてもらいました」

──エンディングテーマ「Double Wings」はどう作って行きましたか?

「私が磨いてきたボーカルが一番心地よく、作品を大きく包み込めるような曲にしたいという想いから制作がスタートしました。テーマとしては「Remedy」とも共通するところがあります。人と人は支え合って生きていて…ついつい一人で生きているような感覚になってしまう時があるかもしれないですけど、人を信じていいし、支え合って生きていくことは尊いということ。『マジエク』の中からそのテーマを抽出して書いていただきました。登場人物たちも支え合っていて…誰か一人が欠けるとその戦いに負けてしまったり、次のステージに進めなかったりします。私たちも同じで、それぞれが得意なところを伸ばして、その得意を持ち寄ることができれば、チームとして戦う時に素晴らしい完全体になれると思って。私はそれをやっていきたいと思うんです。『マジエク』からは、“一人で全部頑張らなくていいんだ”ということを感じたので、“2つの羽”です。“羽は片方だけでは飛べなくて、2つないと飛べないよね”というところから、このタイトルになっています」

──この曲もアニメタイアップながら、最近のASCAさんのモードと通じていますね。特に<共にあるから 終わらないから/君にうたう歌を>というフレーズがあったり、<僕らの旅>と言っていたりするところは、前作「Cusp」とも繋がっていて…。

「制作も割と同時期に進行していたというのもあるので、伝えたいメッセージ性は地続きで繋がっています」

──繰り返しになるかもしれないですけど、“歌”や“旅”というところに焦点を当てると、どんなメッセージを込めていますか?

「人、然り、歌には力があるということです。この歌を受け取ってくださった人たちが、何か癒しや元気を受け取ってくれるはずだと信じることが、今、出来ていると思っていて。私が私の歌を信じられなかった時期がありましたけど、“いや、そんなことない。ちゃんとその言葉、その歌に想いを込めれば、ちゃんと届くはずだし、ちゃんと人を癒せたり元気にすることができるはずだ”って。自分自身もそう思わせてもらった曲たちですし、その想いをしっかりこの2曲で皆さんに届けていきたいと思います」

──アニメも楽しみにしている方にはどう届くといいと思いますか?

「コメディ要素もありながら、ストーリー展開が早くて面白いし、すごく濃い作品になっているんですよ。特に私がこの作品を通して思ったのは、物語の中で、どんどん仲間が増えていくということです。主人公が色々な人と出会うことで、どんどん学んで成長していく…その姿に勇気をもらえると思いました。彼らも、人がいないと成り立たないし、日々を頑張れないんじゃないかと感じて。この作品を現実世界の自分自身に置き換えた時に、周りの人のこともちゃんと信頼して、手を取り合って、歩いて行けば、きっといい未来が待っているんだと思えました。そういう希望をもらえる作品だと思いますし、そこが、私が歌っている楽曲とリンクしていると思うので、作品と楽曲合わせて楽しんでもらえると嬉しいです」

──ありがとうございます。

──あと、2つ聞きたいこがあります。まず、アニマーシブライブ『竜とそばかすの姫 - PROJECT LAYRA - 』で、仮想世界の新歌姫“LAYRA”を演じる5名のキャストの一人として出演することが決定しました。

「世界初の試みと題されていて、5人のキャストさんが、それぞれ日替わりで出演させてもらうんですけど、私は全部で8回出演させていただきます。お話をいただいた時は“1曲歌うだけ”という話を聞いていたんですけど、曲数もすごく増えて! 演じることも初めてやらせていただきますし、歌いながら踊ることにも挑戦させてもらっています。なので、日々学びと失敗と、いい意味で“もう一回、一から学びに行こう”という気持ちで取り組ませてもらっています。今は、稽古を頑張っているところです」

──この作品はミュージカルなのでしょうか? どんな舞台になりそうですか?

「ミュージカルというよりはライブです。バーチャル空間の仮想世界〈U〉の中で60億人のファンがいるLAY RAが最大規模のライブを行うというところが主軸になっています。これも、「Remedy」や「Double Wings」の話と通じてくるんですけど、“歌の力を信じる”というのが1つのテーマになっています。だから、稽古でセリフを練習する時も、半分MCみたいな感じがあって。LAYRAがどういう気持ちで歌うのか、なぜ歌い続けるのか。彼女が歌をどう捉えているのか?ということをステージ上で話すんですけど、半分は自分事のように感じています。“やっぱりそうだよね。歌の力ってすごいよね”というのを改めて実感させてもらいながら、“しっかりと言葉を届けるにはどうしたらいいのか?”という技術的なところを教えてもらっています。この作品への参加することがASCAとしての活動にも活きてきますし、全部が繋がっていると思うんです。なので、本当にありがたい機会だと思いながら励んでいます」

──世界初の試みとなるアニマーシブライブ…どんなステージになるかがまだ想像できないです。

「そうなんですよ。アニメとライブが融合する作品なので、バーチャルのライブもあって、リアルな私たちがステージに立って歌うところもあります。LEDも前面だけではなくて横にも配置されるので、きっと作品の世界観に没入できるだろうし、お客さん参加型のライブでもあります。私もまだ会場で実際に映像を見たりしていないですけど、最新の技術が使われるので、唯一無二のライブになるはずです」

──新歌姫のステージを経て、10月末から12月にかけては東名阪と台北の4か所を巡るツアー『ASCA LIVE TOUR 2026 -Remedy-』が開催されます。

「今回のツアーは新曲が多いですけど、9周年を迎える節目のライブになるので、私を知ってくれたきっかけの楽曲もちゃんと届けていきたいです。それに、初めての舞台出演など、色々な挑戦をさせていただいていることを反映させて、私が人からもらってきた癒しや勇気、パワーを全部お返しするようなライブにしたいというのが一番にあります」

──デビュー記念日の翌日となる11月23日には東京公演があります。10年目に入って最初のライブになりますね。

「ASCAとしてより進化した姿とか、さらに挑戦していく姿も見ていただきたいですし、“ここで止まらない”という姿もこのツアーで見せていきたいです。10周年が楽しみになるようなライブにしたいと思っています。10年目を迎える実感はまだないですけど、続けてこられたことが奇跡だと思います。今回のシングルにも通じますけど、本当に人のおかげです」

──さらに振り返ると、中学2年生の時からずっと歌い続けていることになりますね。

「そうなんですよ! 私、すごく飽き性なので、基本的に何も続かないですけど、歌だけは飽きることがなく、むしろ歌えば歌うほど追求したくなるものがどんどん増えてきています。“可能性は無限大だな”と感じているんです。しかも、海外にも行かせてもらった経験からも、“やっぱり歌は非言語のコミュニケーションができる”ということに、私はずっと惹かれているんだと思います。言葉がなくても、歌っている時だけは誰かと繋がることができたり、届けられている実感があったり、“生きていてよかったな”とか、“生まれてこられてよかったな”という感情がシンプルに湧き上がってきます。そういう瞬間を、これからもたくさん経験していきたいです。でも、これが、毎回、思えるわけではないんですよね…ライブごとに色々なことが起きて、“もっと次はこうしたい”という反省点も出てきたりするから。毎回、“生まれてきてよかった”という感覚が得られるわけではないからこそ、それを追い求めて、これからも 5年、 10年とずっと歌い続けていきたいです」

(おわり)

取材・文/永堀アツオ
写真/中村功

RELEASE INFORMATION

ASCA「Remedy / Double Wings」初回生産限定盤(CD+BD)

2026年 11月18日(水)発売
VVCL-2990〜2991/2,300円(税込)

ASCA「Remedy / Double Wings」

ASCA「Remedy / Double Wings」通常盤(CD only)

2026年 11月18日(水)発売
VVCL-2992/1,600円(税込)

ASCA「Remedy / Double Wings」

ASCA「Remedy / Double Wings」期間生産限定盤(CD+BD)

2026年 11月18日(水)発売
VVCL-2993〜2994/2,300円(税込)

ASCA「Remedy / Double Wings」

ASCA「Remedy」

2026年 10月4日(日)配信

ASCA「Remedy」

ASCA「Double Wings」

2026年 10月4日(日)配信

ASCA「Double Wings」

LIVE INFORMATION

ASCA LIVE TOUR 2026 -Remedy-

2026年10月25日(日) 愛知 新栄シャングリラ 開場16:30 / 開演17:00
2026年11月14日(土) 台北 NUZONE 開場17:00 / 開演17:30
2026年11月23日(月・祝) 東京 Shibuya Veats 開場16:30 / 開演17:30
2026年12月20日(日) 大阪 ESAKA MUSE 開場16:30 / 開演17:00

ASCA LIVE TOUR 2026 -Remedy-

OTHER INFORMATION

アニマーシブライブ『竜とそばかすの姫 - PROJECT LAYRA - 』

仮想世界の新歌姫「LAYRA」を演じる5名のキャストのひとりとして、ASCAが出演!

公演期間:2026年10月10日(土)~11月15日(日)
会場:MoN Takanawa: The Museum of Narratives Box1000

アニマーシブライブ『竜とそばかすの姫 - PROJECT LAYRA - 』

TV アニメ「マジカル★エクスプローラー」

2026年10月3日(土)24時00分より各局にて放送開始!
オープニングテーマ:「Remedy」(作詞:NiiNo 作曲・編曲:mirro.(RAGIT))
エンディングテーマ:「Double Wings」(作詞:辻井りと作曲:カイザー恵理菜編曲:小山寿)

TV アニメ「マジカル★エクスプローラー」

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