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――まず皆さんそれぞれの音楽的な背景を伺えればと。岩村さんはピアノソロの動画を上げてらっしゃいますね。

岩村美咲「幼少期からクラシックをずっとやってきて音大まで行ったんですけど、19歳の時にハマったのがこっちのジャンルで。そこでサポートミュージシャンの活動を始めて、夢がそっちに方向転換したんですけど、その仕事をやってる時にサポートとしてレコーディングに参加させてもらったのがあれくんの去年の1stアルバム『白紙』なんです。そこで初めましてで、直後に声をかけてもらって。それで涼くんに声かけて、気づいたらここにいてって感じなんですよ(笑)」

――どんな作曲家や演奏家が好きでした?

岩村「ロマン派の後期とかが好きで、大体、ブラームスとかシューマンをコンクールで弾いてました。ピアニストは中国のラン・ランさんが好きで。"聴いて、今僕はこう弾いてるよ"みたいなフォームで弾く、聴き手に伝える感情を乗せる演奏が好きで」

――日本のポップミュージックに惹かれたきっかけはあれくんに出会ってからですか?

岩村「もともと聴くのが好きで高校の頃はMr.Childrenさん、最近はback numberさんとか聴いてて。クラシックにはない歌詞があるじゃないですか。で、日本語じゃないですか。こう、聴き手に直接的に結ぶ何かがあるというか。言葉があるし、声で伝わるっていうのがいいなと思って聴いてたんですけど、その後ろで自分が弾くことにすごい楽しさを覚えて。歌いたい人の感情に応えるっていうのにハマって、2年ぐらいしてあれくんに出会いました」

――涼真さんは?

涼真「僕はもうずっとバンドですね。バンドに憧れてギター始めて、高校からずっとライブハウスでライブしまくって。で、卒業したタイミングでまわりのミュージシャンの人の影響で、プロミュージシャンになりたいなって気持ちが出てきて、そこからスタジオRECとかアレンジとか作曲とか、そういう提供できる仕事を始めて、その過程であれくんのアルバムに参加したっていう感じ。後は美咲さんと同じで出会って意気投合して"いっしょにやろう"って感じになりましたね」

――バンドミュージックとしてのルーツはどういうところですか?

涼真「90年代のロックで入ったんで、LUNA SEAとかL'Arc~en~Ciel、X Japanとかから入ったんですけど、入った軽音楽部が結構いろんな曲をやる感じで。ま、みんながみんなそういうの好きじゃないんで、流行りの曲をやってるうちに東京事変さんとかポップスも好きになっていって。主に高校のときはUVERworldとメタルをいちばん聴いてました。やってたのがメタルバンドだったんで。2015年ぐらいに高校生の間ですごく流行ったんですけど、SiMとかcoldrainとか。あの時期にまさに学生だったんでガンガン、ライブハウスでやってましたね」

――ロックバンドが同期を入れ始めた時代ですね。

涼真「まさに。昔のいわゆるバンドというより、総合した音楽を出していく立ち位置になったぐらいにギターやってたんで、いろんなところで影響を受けましたね」

――専門学校は演奏科だったんですか?

涼真「プロミュージシャン・コースみたいなとこに行って、ギターを学びに行く感じだったんですけど、結構、高校在学中にもうプロになりたいって気持ちはあったので、一応、勉強はしとこうと思って。高校に行って部活行って、その後にもう一個、専門学校行ってて。死ぬかと思いました(笑)」

――じゃあ作曲やアレンジの勉強もして?

涼真「そうですね。夜韻-Yoin-でアレンジさせてもらってますけど、そういう音を作るっていうのは始めた時からずっと好きだったので。ギターは中学3年生で始めたんですけど、高校の入学祝いでMac買ってもらって。まわりが曲作りのソフト使ってたんで吸収しやすかったんで、ロジックってソフト入れて、初めてプラグインを買って、バンドの曲とかはその時からパソコンでポチポチ作ってましたね、同期とかも」

――Garage band通り過ぎてロジック(笑)。

涼真「いや、さすがにガレバンも触りましたけどね。もうまわりに流されたに近いですね。先輩に"何使ってるんですか?"、"ロジックだよ"って感じだったんで。それを買えばいいんだ、みたいな。ライブハウスに溜まってたんで、そういう先輩たちはいっぱいいたんですよ。歳が10個ぐらい違う先輩がいて、それこそプロとしてやってらっしゃる方もいたので、もうテンプレみたいなのがあったんですね。"同期入れたいバンド、これ買っとけセット"みたいな。MTRとPCとインターフェースと、みたいな」

――かなり二人の情報量でお腹いっぱいになってきました(笑)。肝心のあれくんはいかがですか?

あれくん「僕はもともと18の頃に就職をしてサラリーマンとして5年間ぐらい工場で仕事をしてるんですけど、音楽自体は軽音部で高校1年生の頃からずっとやってて。そこからギターを持つようになって。でも歌を歌うかと言われたら、歌は全然興味なくて。洋楽ばっか聴いてたんですけど、そこで1年生の入部オーディションみたいなのが高校なんですけどあって。その頃から、歌、興味ないって言ったんですけど、最初にボーカルとして入ったんですよ。そこが厳しくて、オーディションした後、先輩と顧問の先生の前で歌わされるんですけど」

――部活なのに?(笑)

あれくん「はい(笑)。歌わされて。で、入部希望の生徒全員が歌い終わった後に点数を知らされるんですけど、100 点中3点っていう衝撃の事実で心が折れて、そっから入部をやめようと思って。ただ、とりあえず入部するのにギターを買うのが絶対条件だったので、歌はやめてギターだけやって行こうかなと思って。で、1年間引きこもってギターをやってたんですけど、同級生にはずっと誘われてて。僕はもう一匹狼でやって行こうと思ってたんですけど、ほんとにしつこかったので惰性な感じで入って。またそこでもギターのオーディションがあって(笑)」

――(笑)。

あれくん「そこで軽いオーディションをして合格しちゃって。先輩と組めるバンドが3つぐらいあったんですけど、その誘ってくれた同級生に子は先輩とのバンドに入ってたんですけど僕の方がうまかったみたいで蹴落としちゃったんですよね(笑)。で、ギターのリードとリズムのパートが二つあるじゃないですか。で、僕がリードにされちゃって、その子は萎えちゃったみたいで部活からいなくなるみたいな。そこから音楽が僕の中で始まったんですけど、夢を追うとかそういうもんじゃなくて、ただただ楽しいからやろうみたいな感じでずっとやってて。聴いてた音楽ジャンル的なものはずっと洋楽で、邦楽は全然耳に入れたくないような感じでずっと生きてきてたんですけど」

――日本語の歌がダメだった?

あれくん「大嫌いだったんです。カッコよくないと思ってて。で、成長していく中で、会社員になって、あるときアコースティックギターを買おうと思って、そこから今みたいに作曲とか作詞とかするようになったんです。そこから音楽を少しずつやりながら、仕事でお金貯めてっていうのを並行してたんですけど、2018年の後半ぐらいにバズった「ばーか。」のメロディと歌詞が降りてきて。"いけるぞ"ともなんも思ってなかったんですけど、とりあえずあげてみようと思ってあげてみたらバズって。そこからちょっとずつ音楽の方向にシフトして行ったかなって感じですね」

――日本語の音楽聴くより自分で作る方が早かったんですね。洋楽はどの辺ですか?

あれくん「グリーン・デイとか。で、メタルだとメタリカとかスリップノット、パンテラとか、結構ハードな音楽をずっとループしながら聴いてましたね」

――自分で歌うことには抵抗はなかったんですか?日本語の歌はカッコよくないなと思ってた自分として。

あれくん「多少ありましたね。あんまりカッコよくないと思ってたものなんで、自分で歌うのには抵抗あったんですけど、でも新しいことに挑戦するのは全然苦じゃなかったのでとりあえずやってみようと思って、そこからだんだん広がってった感じですね」

――自分の言葉で曲を作りたい願望はあったんですか?

あれくん「全然なかったです。文章力もないし、国語とか苦手だったんで。時々自分で作詞してても"どういう意味なんだ?"みたいなのはあったりします。なんか直感で書いてるんで、これって意味わかんないけど、まあ、感じ方は人それぞれかみたいな。自分もよくわかってないけどきっと誰かに伝わる、そんな感じでやってるフシもあります」

――作ってみたらこんなに反応があるんだ?と。

あれくん「そうです。そこがいちばんのなんか......原動力にはなります」

――3人のユニットでやって行こうと思った理由は?

あれくん「新しいことにチャレンジすることが大好きなんで、この編成だと畑が違うじゃないですか、音楽の。そこでやったらいいものができるんじゃないかなと思って、もともとちょっと話してたのもあったので、"やってみない?"って、話して決めてからメジャーデビューするまで1年経ってないぐらいのスピード感で(笑)」

――最初、どうやって曲作りしたんですか?

涼真「あれくんと二人で僕んちに合宿して、マジで普通の人だったら発狂するんじゃねえか?ぐらいの生活リズムで。あれくんが歌詞とメロとかを書いて、同時進行みたいなノリだったんですよ。できたのめっちゃ早かったし」

――楽器編成みたいなことにあまり拘ってないのも特徴的ですね。

涼真「縛られないですもんね、バンドじゃなかったら。バンドだったら絶対ドラム入れなあかんじゃないですか。"お前何してんねん"て感じじゃないですか(笑)」

――じゃあ先にあれくんが作りたい世界観や歌詞やメロディがあったからこのユニットは成立してる?

涼真「そうですね。しかもユニットというより、クリエーター集団みたいな気持ちではいますね、かなり。そういうところがすごく楽しそうというか、二つ返事で"やろう!"って言いましたから」

――今年、配信でおのおの完結した曲を出してきたけど、実は一本のストーリーになっていたという、この構成は最初から考えてたんですか。

あれくん「いや、「Seafloor」作ってる段階では全然考えてなくて。その後に曲が出てきたときに、"これがつながるんじゃないか?"って頭の中に出てきて、そこからだんだん広がって行った感じですね」

――しかもこのミニアルバムはノンストップミックスなのも新しいですね。語りから物語が始まりますが、夜韻-Yoin-は語りが多いのも特徴かなと。

あれくん「もともとセリフを言ったりするのが得意というか、そういうのがあって、そこを曲とうまくつなぎ合わせられないかなと思ったときに入れてみたのがこの結果なんですけど。そもそも歌だけでは伝えられないことがあったり、言葉っていう形として聴いた方が入ってきやすいというか、自分が主人公になったような気分になれるっていうのが、セリフの強さなんじゃないかなと思ってて。それを入れようって話になって入れました」

――今回、これがあったから一編のストーリーになるなと思ったきっかけは?

あれくん「「Seafloor」はもともとあって、"海に落ちていく"って歌詞なんですけど、それがもう海、落ちる、イコール自殺、心の中に闇を抱えているとか、やっぱり人間病んだ時って自分が暗闇の中に立たされるような感覚になったり、まわりが見えなくなるっていう感覚に陥ると思うんです。その中で、広がりを持たせたというか、そこからどうなっていくのか?みたいなっていう部分が強いですね」

――ちょっと前まで「ばーか。」とかああいう感じのフォーキーな曲を作ってた人なのか?と思うぐらい闇に落ちる感じがして。もともとあった要素なんですか?

あれくん「もともとあったんでしょうね(笑)。音楽を作る時自体、病んでる時が多いので。幸せな時ってあんまり言葉出てこないじゃないですか。ハッピーとか嬉しいとかぐらいしか」

――それは別に吐き出したいとは思わないですもんね。

あれくん「はい。言葉がどんどん出てくるんで、病んでるときに曲ができやすいんですけど、その中でその軸をどう活かして曲に当てていくかだと思ってて」

――歌詞にしてみることが自己治癒になってたり?

あれくん「そうですね。ま、それに当てて消化していくというか。病んでることを忘れるという効果はあったりしますね」

――そこにアレンジを加えていく作り方はどうでした?例えばピアノとかどう入れようかなとか。

岩村「2曲目はインストで、直感で投げたんですけど、自分で想像して海に沈む時って上を向いてて、水面の向こうに太陽がボヤッとしてるじゃないですか。その状況を思い浮かべながらだったら、「こうだよね」って。なんていうか、自分が物語の中に入ってそこから弾くみたいな」

――キラキラもしてるけど苦しいとか?

岩村「それを低音で表現するとか」

あれくん「息苦しさを音の詰めかたとかで表したり」

――すごく自由な手法ですね。

岩村「それでいいよって言ってくれるから、もう120パーセント私らしく何も考えずに直感で」

あれくん「直感が全てだと思ってる人間なんで」

――歌詞はあまり主体を特定せずに書いていくんですか?

あれくん「答えっていうのがあると、やっぱそこにみんな焦点を合わせがちなので、答えがない方が自由に感じられるというか。聴き手次第で自由に感じることができるように、そこは結構気にして作ったところではあります」

――「逆行」はEDM以降のポップス的な作り方でもあるし。

涼真「めちゃめちゃかっこいいですよね」

――この「逆行」なんか特にそうだと思うんですけど、ライブでの再現性はレコーディング時のアレンジでは意識してるんですか?

涼真「ライブでできない曲は作らないようにしようと思ってますね、アレンジの段階で。例えばボーカルにしてみたら、ガイドなし転調とか死ぬじゃないですか。イヤモニからガイド出すとしてもきついなみたいなのは、ま、セオリーとしてライブでできない曲は作るなっていう僕の師匠がいて。基本的に生楽器差し替えはそのまま使いたいんですよね。だから結構ライブに来たらバンドチックに映るのかなと。"ライブに来たぞ!"って気持ちにはなるのかなと思ってます」

――今、ストーリーを編んでアルバム全体を構成するアーティストが増えてきてますが、その中で夜韻-Yoin-はどう活動していこうとしてますか?言わばライバルが多い状態だと思うんですが。

あれくん「今、同じようなジャンルの方々がいらっしゃると思うんですけど、その方達はバンドっていう形が多いと思うし、僕らはまた違ったジャンルとして存在できたらなと。それこそ女性ボーカルが主じゃないですか。それを一緒くたにしないで、一つのジャンルとしてできればいいなと思ってて。「Seafloor」はトラック系の音楽だったりとか、そこからEDMっぽい「逆行」とか、バンドっぽい「花の片隅で」や「青く冷たく」とかいろんな曲があるので。特定の音楽のジャンルに囚われないで、いろんな伝えたいこととか思ってることをメロディとか歌詞とか、楽器で届けられたらいいなっていうのはありますね」

(おわり)

取材・文/石角友香



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