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――ライブ・アルバムや企画盤はいいペースでリリースしていましたが、オリジナルのフルアルバムは2013年の『JUNK SCAPE』以来とずいぶん間が空きましたね。

「そうですね、言葉もございません(笑)」

――とはいえ、ライブや新曲のリリース含めて精力的に活動しているなという印象があります。ただ、コロナ禍でライブができない状況はかなり辛かったのでは?

「そうですね。ここ半年くらいは、小規模から大規模まですべてのライブが中止になってしまったのですが、どうにかツアーをやりたいと思って計画はしていました。ようやく秋のツアーが決まったので、感染防止対策を万全に行って実施します。それと、こんな時だからこそ音楽を届けたいっていう気持ちが強くあって、“大変だけどアルバムを制作しましょう”ということでリリースの運びとなりました」

――ということは、新作『Happiness』の制作が始まったのは今年になってからですか。

「曲は書き続けていましたが、アルバムにまとめることを考えたのは今年の4月、5月頃ですね。とにかく新しくできた曲を集め、曲が固まり始めたところでいつリリースするかを決めました」

――アルバムのテーマやキーワードは?

「制作のきっかけがコロナ禍だったので、聴いて気持ちが上がるというか、ハッピーになれるようなアルバムになればいいなと思いました。バラードも入っていますが、ハイテンポな曲もありますし、やっぱり楽しんで聴いてもらえるのがいちばんかなと。だからタイトルも『Happiness』にしたんです」

――すでに発表している楽曲もありますが、今回のアルバムのために書き下ろした曲もありますね。

「「僕だけのSUNSHINE」、「魔法のつぶやき」、「夏の加速度 ~Kiss In My Heart~」の3曲は配信していて、あとの7曲はすべてアルバム用に録音しました。書き下ろしだけでなく、ストックしていた曲からも『Happiness』というタイトルに合う楽曲を選んでいます」

――その7曲の中で、アルバムのキーになるのはどの曲でしょう?

「この1曲というのはなかなか難しいですが、アルバムのテーマということでは冒頭の「Lovely Universe」かもしれないですね。幻想的で時間や空間を飛び越えて行ったことのない宇宙旅行をイメージしています」

――疾走感があってスケールの大きな楽曲ですね。オープニングにぴったりだと思います。

「この曲も含めて制作段階からアルバムの曲順は決まっていました。この曲とこの曲はつなげるっていうイメージも最初からあって、曲順はすんなり決まりましたね」

――曲選びや曲作りはどのように進めていったんですか。

「今回は、僕だけじゃなくて曲を書きたいという人がいれば、どうぞお願いしますというスタイルで進めていきました。ただ、基本的に歌詞はすべて自分で書くので、なかには言葉のハマり具合や歌詞のイメージがあまり広がらない曲もあるんです。だから、直感的に言葉が思い浮かぶ曲をチョイスしています。それで、曲を書いてくれた本人と相談しながら、譜割りを変えたりしつつ進めていきました」

――今回、共同プロデュースに神谷 樹さんが参加されていて何曲かは作曲もされていますが、非常に重要な役割ですよね

「神谷くんとの最初の仕事は「僕だけのSUNSHINE」です。彼は飄々としているので、こちらが気を使いすぎることなくいっしょに作品を作れるパートナーですね。“アルバム用に書いた曲があるので聴いてもらっていいですか”って持ってきてもらったりして、密に連絡を取り合いながら曲作りをしていきました。彼が見えていない部分を僕がそっと耳打ちしたり、逆に彼なりの意見をもらったりとか、お互いにクレジットに載らないような作曲をやっている楽曲もありますね」

――ということは、キャッチボールをしながらブラッシュアップしていったということですか。

「こういうふうにしたいっていうのはあっても、いざやってみると違うなってこともありますから。“こうした方がリズムに乗りますね”なんていうことを、お互いに相談しながら進めていきました」

――神谷さんは全曲のアレンジや演奏にも携わっていますが、その点に関してはどうですか。

「アレンジは彼のイメージがあって、起承転結まるごと作ったっていうところがありますが、僕が書いた曲に関しては資料になるような音源を渡したりして導き出していった曲も何曲があります。例えば、「Strategy」のアウトロはまったくメロディとは関係ないコードを使っていて、そこから次の「魔法のつぶやき」につながっていくようになっています。そういったことはお互い話し合って作っていきました」

――ジャンクさんの場合、やろうと思えばひとりで制作できてしまうと思いますが、あえて神谷さんを選んだということですね?

「彼は僕よりも10歳以上若いので、僕が思いつかないような突拍子もないものを持ってくることがあるんです。でもそれを突っぱねるのではなく、受け止めて自分の中で反芻して“あなたより10年ほど長くやっている私はこういう答えを出しますがいかがでしょうか”みたいな(笑)。お互いにどうしても譲れないところもありますが、歩み寄りながらうまく噛み合っていくというプロセスが「僕だけのSUNSHINE」から仕事をするうちに出来てきたので、これはいっしょにやれるかなと思ったのが大きいですね」

――歌詞に関してはほぼひとりで書かれていますね。

「どういう世界観の曲にしていくかっていうのは、メロディやアレンジから思い浮かんだことをもとに歌詞を書き始めます。イメージがしっかりと固まってから書き始めるので、書くのは早いですね」

――10曲ある中で、これは新しくトライしたと思える曲は?

「「Strategy」は新しいというか、あそこまでのハイテンポな曲を作ったのは初めてかもしれないですね。ランニングというよりはダッシュしている感じがします(笑)。これまでは勢いがあっても16ビートになるので、この曲のように素直にストレートな曲はなかったですね。若いというか青春真只中みたいな曲です(笑)」

――「Butterfly」は新妻由佳子さんが詞曲を書かれていますが、どういうきっかけですか。

「新妻さんは何度かライブに来ていただいていて、“一曲書きたいのですがいいですか?”みたいなアプローチがあって。とてもありがたいので“ぜひお願いします”といって出来上がってきたのがこの曲ですね。いただいたメロディと歌詞を照らし合わせつつ、得意の譜割りを勝手に変えるやり方で(笑)、“こういう雰囲気でいかがでしょうか?”って戻したらすごく喜んでいただいて、“ジャンクさんのために書いた曲なので嬉しい”というコメントをいただきました」

――重めで翳りがあって、アルバムのなかではちょっと毛色が違う楽曲ですよね。

「そうですね。アルバムではバリエーションを作りたかったので、ちょっと仄暗い成分というのがあってもいいかなと。それでフリューゲルホーンのソロを入れてもらったというのもありますね」

――ラストに半田彬倫さんが作曲した「明日あいましょう」も存在感がありますね。

「半田くんは、僕のライブでキーボードを弾いてもらっているのですが、曲も書ける人です。これは以前書いてもらった曲で、この曲をアルバムのラストに持ってくると、よりHappiness感が出るかなと思い収録しました。“いろいろ辛いこともあるけれど明日を乗り越えていこう”というメッセージの歌詞を書いた曲なので、アルバムの雰囲気にもあっていると思いました。でも、とてもキーが高くてなかなか難しい曲なんですよ(笑)」

――この曲もアルバムの中では少し雰囲気が違っていて、いいアクセントになっていると思います。

「作曲にしてもプレイヤーにしても、参加してくれた方々にはいろんなイメージがあっていろんなことを投げかけてくれるんですよ。そこに対して僕のできる限りのアイデアをまた投げることで、イメージが重なっていくんです。例えば、自分がアウトロで自由に歌ったものも、バッサリと切られたりして(笑)。でも自分でもそんなに良くないかなと思っていたので“これはないかな”と。そんなふうに、参加してくれたみなさんのイメージが上手く重なり合って結実したのがこのアルバムだと思います」

――ジャンクさん自身がこれまでのアルバムとの違いを感じる部分はありますか。

「同世代に近付いたというのはありますね。これまではベテランのミュージシャンの方々とのレコーディングが多かったのですが、今回は基本的に打ち込みの音を使っていますし、ソロをやってもらったミュージシャンもほぼ同じ年代というところがあるので、見えてくる景色も世代的には僕に近いかな、というのはありますね。これは今までにはなかったことです」

――打ち込みがメインとはいえ、楽曲やアレンジを含めた全体のイメージはそんなに大きく変わってないと思うのですが、やっぱり明確に違う線が引かれているところはあるのでしょうか。

「打ち込みの場合はミュージシャンが合わせてくれるのとは違うので、いかに人間的な魂を吹き込んでいくかっていうことに比重がかかってきます。だから歌い方や声の出し方のスタイルも一曲一曲全然違いますね。バンドだと歌に引っ張られて演奏も変わりますが、打ち込みなので当然リズムがオンタイムではまらないといけない。でも人が作っている音楽っていうところを大切にしたいと思って作りました」

――打ち込みだとしても、これまでの作品とも違和感ないですし、すごくジャンクさんらしいアルバムだなと感じました。

「それは、打ち込みでもフレージングやフィーリングをすごく重視しているからだと思います。神谷くんも、岡沢 章さんや、村上ポンタ秀一さんといった大先輩の音を間近で聴いていっしょにプレイもしているので、打ち込みする時もその感覚を忘れないで作ってくれている。彼がアレンジしたものを聴かせてもらって、“ここにこのスネアが来るのは意識したからでしょ”って聞いたら“そうです”って言っていましたし(笑)」

――レコーディングする時も、ライブでの再現性を意識していますか。

「やっぱり僕はライブの人だっていうところがあるので、意識はしていますね。だからあえてレコーディングではやらずに、ライブまで隠し玉としてとっておこうかみたいなこともあります。音源としては作品性を重視して、ライブでやる時はこういうフレージングでやる、というようなことですね」

――やはりジャンクさんの軸足はライブにあるんですね。

「どうしても生で面と向かって聴いていただかないと、波動というか波長というか伝わらないものがありますよね。僕が音楽を始めるきっかけとなったのもライブでしたから。例えば、フェンダー・ローズのガーンって鳴っているのを生で聴いた時の感動って、レコードを聴いただけではわからないし、それを体験するとあらためてレコードを聴いて再認識するみたいなところもありますよね。だからライブは重要だし、自分自身もそういう音楽をやりたいと思っています」

――『Happiness』は7年ぶりのオリジナルアルバムですが、これまでのキャリアにおいてどういう位置付けになりそうですか。

「この7年の間でいろんなことがありましたけれども、自分のやりたいスタイルは軸としてまったくぶれていないです。今はシティポップが流行ったりもしますけれども、自分自身は今流行っているとか関係なくやりたいからずっとやってきたので。そこから離れられないところもあるんですけれども(笑)。そのぶれの無さが結実したアルバムです。どうあがいても、ここは必ず戻ってくる場所ですね」

――2010年代以降、シティポップという言葉がトレンドになって、70年代や80年代のサウンドを取り入れるのがデフォルトになってきたというのがあるじゃないですか。そういうシーンの流れをどう感じていますか。

「僕はずっと音楽シーンに関係なく好きなことやるというスタンスを続けてきたので、ちょっとは気になるけれども(笑)、それほど気にならないっていうところはありますね。自分からすれば、サウンドがいいからそういう音を取り入れたくなるのは当然っていう感じですね。単純に自分が好きだったからやろうってことだったし、それに賛同してくれるメンバーやスタッフがいたり、ポンタさんと出会えたりとかいろんなことがあって積み重ねてきただけですね。時代の流れを意識して作ったことはないですし、それよりも自分が思う音楽の本質、聴いて熱くなれる音楽じゃなければ届ける意味がないと思っていますから」

――このアルバムはなんらかの区切りになると思うのですが、次にやってみたいことや目指したいことなどはありますか。

「その時々にコミュニケーションをとれる人たちとスクラムを組んで音楽を作っていきたいっていうのはありますね。それが大先輩なのか同級生なのかもっと下の世代なのかわからないですが、その作り方は変わらないと思います。とにかくみなさんに届けたいと思って作ったアルバムなので、いろんな人に聴いていただきたいと思っています。11月29日にブルースアレイジャパンでリリース記念のライブをやるんですが、珍しく同世代に近いバンドメンバーで編成されています。先輩方といっしょに演奏するのもいいのですが、同世代との音を出すとどうなるのかとても楽しみですね。ぜひそのサウンドを体感していただきたいと思っています」

(おわり)

取材・文/栗本 斉





■『Happiness』リリース記念 ジャンクフジヤマ・スペシャル・ライブブルースアレイジャパン
2020年11月29日(日) ブルースアレイジャパン(東京)

■『Happiness』リリース記念 ジャンクフジヤマ・スペシャル・ライブ(生配信)
2020年11月29日(日) ※生配信イマチケ




ジャンクフジヤマ

「Music ⇔ Culture」番組MCのケリー隆介と

■「Music ⇔ Culture」2020年11月9日(月)~11月22日(日)のゲストはジャンク フジヤマ!(music.usen.com)




ジャンクフジヤマ
ジャンク フジヤマ『Happiness』
2020年11月4日(水)配信
Mil Music




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