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ION Audio Archive LP
このところアナログレコードの話をよく耳にするようになった。ハイレゾが注目されることで、逆に(と言っては語弊があるかもしれないが)アナログ音源に回帰しているのかも、と思っていたのだが、もちろんことはさほど単純ではないだろう。しかし、レコード回帰の理由のひとつとして、これだろうなと感じさせられるモノがある。それが、ION Audioのレコードプレーヤー「Archive LP」だ。
[/section] [section heading="ライトユーザーでも気軽に楽しめる"]レコードからCD、そしてデータファイルと、音源のカタチが変化していく中で、レコードプレーヤーの需要は当然ながら減っていった。近年は、ハイエンド系メーカーが発売するモノ以外には、めったにお目にかかることはなかったように記憶している。当然ながらその手のプレーヤーは、アンプに繋ぎスピーカーに出力する必要がある。オーディオファンならば、何を当たり前のことを言っているんだ！という話だろう。
しかし、音源はダウンロード、プレーヤーはスマホ、家ではBluetoothで飛ばしてワイヤレス・スピーカーというリスニング環境にあるいまどきの音楽ファンにとって、この手の話は、おそらく別世界の、あるいは終わってしまった時代の話なのかもしれない。そんなライト層にとっても、一台ですべて完結できるArchive LPのシンプルさは、親しみを感じさせるのではないか。
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ちなみにION Audioの読みは「アイオン・オーディオ」だ
シンプルだが、プレーヤーとしては必要十分な機能を備えている。回転数は33-1/3、45、78回転に対応し、LP、SP、EP盤を再生可能。オートストップ機能も搭載する。また背面には、RCAアナログ端子を備え、アンプに出力することもできる。
そして、おもしろいのが録音機能だ。USB端子を装備し、PC／MacやiPhone、iPadなどに連携するとデジタルデータにコンバートできるのだ。PC／Macの場合は付属CD-ROMから「EZ VInyl／Tape Converter」を、iOSデバイスの場合は同名の無料アプリをインストールする。ちなみにiOSデバイスは、別途Apple iPad Camera Connection Kitが必要なので注意。
実際に使ってみると、本当に簡単。USBケーブルで接続したPC上でソフトウェアを起動し、接続デバイスを選択。あとは録音レベルを調整してボタンをクリックすれば録音開始だ。ちなみにファイル形式は、iOSではMP4、PCでは44.1kHz/16bitのWAVフォーマット。手入力にはなるが、トラック名も付けられる。ちなみに、1曲につき、ひとつづつファイルを生成してくれる。これはありがたい機能だ。
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iOS版のEZ VInyl＆Tape Converter
肝心の音質はどうか？スピーカーのサイズから、あまり期待していなかったのだが、悪くない。いやむしろ、ちょうどいい。音量も一般家庭では十分なほど出してくれる。そしてレコードらしいアナログな音をきちんと聴かせてくれる。低音もそこそこあるし、この手のオールインワンタイプとしては十分だ。見た目のよさも特筆すべきだろう。チープなプラスチック製とは違い、本体に天然木を使っているので、リビングに置いてもさまになる。音には関係ないが、実はこれも重要なポイントだ。
CD以降のデジタル音源しか聴いたことのない世代にとって、レコードの音は新鮮に感じられるかもしれない。最近の新譜はアナログ盤も同時リリースされることもめずらしくない。それほどレコードに注目が集まっている。曲の頭出しのために目を凝らして針を落とす場所を探したり、とにかくサイズが大きかったり……そうした不自由さも含めて、レコードを買い、聴くという体験は何ものにも代えがたいものだ。Archive LPは、1万以下で手に入る。これって実はすごくありがたいことなのかもしれない。
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