登坂広臣――役者としての魅力

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7月16日公開の話題作『HiGH & LOW THE MOVIE』。ここでは、雨宮弘斗を演じた三代目J Soul Brothers・登坂広臣の役者としての側面について考察してみた。初主演作である『ホットロード』もテレビ放映されたばかりのこのタイミングで改めて考える役者・登坂の魅力とは？

登坂広臣――役者としての魅力

いよいよ今週末から公開となる映画『HiGH & LOW THE MOVIE』。数多くのキャストが登場する今作の中で、ひと際輝きを放つのが登坂広臣（三代目 J Soul Brothers from EXILE TRIBE）だ。2014年公開の映画『ホットロード』では映画初出演ながら主人公・春山洋志役を好演し、「第38回日本アカデミー賞」をはじめとする数々の賞で新人賞を獲得。そのクールな佇まいと、それとは裏腹に内に秘めた熱さを感じさせる男気が観る者を魅了する。

今作『HiGH & LOW THE MOVIE』で登坂が演じるのは、物語の舞台となる一帯をかつて支配していたチーム「ムゲン」にたったふたりで互角に渡り合い、凶悪の兄弟として恐れられた雨宮兄弟の弟・広斗。今作ではある目的を持って街に戻ってきた兄弟が、街の現状を知り、現在街を支配している複数のチームのメンバーらと時に協力し合い、時に単独行動も厭わぬ姿勢で巨大勢力に立ち向かっていくという役どころだ。

俳優・登坂広臣最大の魅力は、何と言ってもその存在感にあるだろう。映画『ホットロード』で登坂が演じた春山も、劇中では総勢500名が所属する暴走族集団「NOGHTS」の切り込み隊長から一気に総頭へと昇進。その“大抜擢”と言われる展開を違和感なく演じるには、風格や威厳など、演技力だけではまかないきれない、持って生まれた素質が必要とされるはずだが、登坂はそれを見事に提示して見せた。一方で、能年玲奈演じる恋人・宮市和希には不器用ながらも優しさを示し、真摯に向き合う姿が印象的。男社会の中で先頭に立って仲間を引っ張る力強さと、愛する女性だけに見せる弱さや脆さ――このギャップを説得力を持って演じた登坂に、男女問わず多くの人々が惹き付けられた

こうした登坂ならではの魅力は今作『HiGH & LOW THE MOVIE』でも存分に発揮されている。とくに、TAKAHIRO（EXILE）演じる雨宮兄弟の兄・雅貴が、腕っ節は強いながらも茶目っ気のあるキャラクターのため、より彼の実直さ、ひたむきさが強調されているようだ。また、ドラマに比べて登場シーンが多く、兄弟の会話から彼らが背負う人生が垣間見られることも、登坂の演技を絶妙にサポート。決して多くはないセリフの中で発せられる一言や、ある約束を果たそうと奮闘する姿勢など、その一挙手一投足に隠された意味を想像し、それと共に彼が抱えている感情にどんどん引き込まれていく。今回、『ホットロード』のときのようなラブロマンス的要素は少ないものの、劇中で描かれる兄弟の絆を通して登坂が持つ人間的魅力がスクリーンに浮かび上がってくるようだった。

不思議なのは、『ホットロード』の春山洋志役、『HiGH & LOW THE MOVIE』での雨宮広斗役ともに物語上の人物であるにもかかわらず、どこか“登坂広臣”という個が感じられるところ。おそらく俳優としての彼には、監督や脚本家の創作欲を刺激する何かがあるのではないだろうか。少なくともひとつは、ここに挙げた2本の映画のように“クールかつホット”な存在感だろう。そのベクトルをどこに向けるかによって、まったく異なる世界観を生み出してくれる彼の役者としての価値は、今後ますます上がっていくに違いない。

文／片貝久美子

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■公開情報
映画『HiGH&LOW THE MOVIE』
7月16日（土）全国ロードショー（配給：松竹）
公式HP：high-low.jp
（c）2016「HiGH＆LOW」製作委員会　

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