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2017.09.06

GLIM SPANKYインタビュー——『BIZARRE CARNIVAL』はサイケロック、サイケポップの現代的解釈

3rdミニアルバム『I STAND ALONE』から地続きになったというGLIM SPANKYの最新フルアルバム『BIZARRE CARNIVAL』。そこではよりサイケで、よりロックな音が鳴っている。『BIZARRE CARNIVAL』というタイトルの意味、アルバム制作のアプローチについて、松尾レミ、亀本寛貴が語ってくれた。

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——間もなく3rdアルバム『BIZARRE CARNIVAL』がリリースされます。フルアルバムとしては『Next One』から約1年ぶりですが、4月には3rdミニアルバム『I STAND ALONE』を出していますので半年周期でなにがしかのリリースをしていることになりますね。

亀本寛貴「うーん、追いかけられてる感はないですけどね」

松尾レミ「ツアーやって、曲作って、フェスやイベントに出てって繰り返しているうちに、いつの間にかリリースのタイミングになっちゃった!って感じですね」

——アルバムも3作目ともなると、余裕があったりするものですか?

松尾「今回は、すごくやりたい放題というか、めっちゃ楽しくて。デビュー前は作りたいときに曲を作って、締め切りなんてなかったじゃないですか。デビュー1、2年目は初めてのことだらけで、ちゃんと締め切りがあって、レコーディングをしてって手順を覚えて。それが3年目になって、アルバムも3枚目になるとペース配分もわかってきて、いい感じで曲作りができるようになりましたね。そうですね、余裕が生まれてきた。だから今回のアルバムは結構ナチュラルに生みだせた感じがありますね」

——勘所を掴んだ?

松尾「経験値があがったというか、なんとなく、“あー、きっともうすぐ歌詞が浮かんでくるだろうな”ってわかるようになってきたので、制作に関わっている周りの人たちに“あと何日か待ってください”って言えるようになりましたね。おかげでもっと深い詞が書けるようになった」

亀本「僕らって、曲のストックが山ほどあって、その中から選抜してアルバムに収めるって手法ではないんですよ。今回も11曲作ってそれをそのまま全部アルバムに入れましたから。5曲目はもとからあった曲をアレンジしましたけど。別にいっぱい曲を作りためておこうという意識もないんですよ。思いつくままにどんどん曲を作って、その曲がアルバムに入るのかどうかって別に考えていないんです。だから僕としてはデビュー当時とそんなに変わった感じはしないかな」

——出し惜しみしないスタンスなんですね。

亀本「逆に言うと、やりたいことって全部やっているし、とりあえず作った30曲の中からいいとこどりで10曲にまとめるってやり方はいやだし。だったら10曲にやりたいことを全部ぶち込めばいいと思ってるんで。いい曲ができたから次のアルバムまで寝かせておこうなんて考えたことないし」

——作っているうちに、例えばアルバムの全体感というか、コンセプトに合わない曲が出てきたりしないものですか?

亀本「今回だったら、『I STAND ALONE』を作って、その流れのなかで作り始めたので、そこから何曲かはアルバムに入れようっていう前提で、1、2曲作っているうちにアルバムの全体像とか方向性が見えてくるんですよ。その全体像のなかで、もっとこういう曲があったらいいよねって感じで次の曲に取り掛かるので、アルバムに馴染まない曲って出てこないんです。だよね?」

松尾「そうだね。アルバムもミニアルバムも、毎回作り始めの段階で、ふたりでこういうアルバムにしようってコンセプトを共有しているので、そこからブレることはないですね」

亀本「今回だと2、3、10曲目はレミさんが弾き語りで作り始めて、そういう曲調の曲が揃ってきたら、あえて僕が違う曲調のネタを作って補完してゆく感じでしたね」

——『BIZARRE CARNIVAL』というアルバムタイトルについて教えてください。

松尾「まず『BIZARRE CARNIVAL』ってタイトルが先に浮かんできたんですよ。で、まだ曲名が決まってなかったんですが、2曲目がめちゃくちゃ気に入っていて、でもこれってリード曲じゃないなって。じゃあ、どうやってこの曲をみんなに聴かせるかって考えたときに、じゃあタイトル曲にしちゃおうと。まあ、ロック好きの人だったらあーなるほどね!って思ってくれるかもしれないけど、そうじゃない人にどうやってそれを伝えようって考えた結果ですね」

——少年ジャンプ世代は「ジョジョの奇妙な冒険」をイメージしちゃいますね。「JOJO’S BIZARRE ADVENTURE」って英文タイトルで初めてBIZARREって単語の意味を知ったから。

亀本「あー!“GLIM SPANKYのニューアルバム、ジョジョっぽいね”ってツイートしてる人がいましたけど、そういうことだったんだ(笑)」

——レミさんが『I STAND ALONE』の「E.V.I.」を「1900年代前半のマジックショウみたいないかがわしいイメージ」って語っていましたが、まさにそんな感じですよね。

松尾「『I STAND ALONE』から『BIZARRE CARNIVAL』まで、地続きでひとつの作品になっていると思っています。だから世界観も共通した部分があると思いますね。奇妙な見世物小屋とかマジックショウのイメージだったり、悪魔とか妖精がいたり、そういうものがごちゃ混ぜになった、終わらないカーニバルっていうタイトルですね」

——やはり前回のインタビューで、次のアルバムは「もう一歩踏み込んだ世界観を見せたい。もっとサイケで濃いロックをやりたい」と語っていましたが、そのとき思い描いていたアルバムになりましたか?

松尾「アルバムの全体感としては、60’sのマニアックなサイケロック、サイケポップの現代的解釈ができたなって満足しています。たとえば、シタールとか入れてがっつりサイケな感じを出すのもありだと思うんですけど、それはあたりまえ過ぎる表現かなって。だから1曲目の「THE WALL」や「アイスタンドアローン」は、インド音楽っぽい音階だったり、シタールっぽい音をギターで出したりっていうアプローチをしています」

——ここから1曲ずつお話を伺っていこうと思います。まず1曲目の「THE WALL」。ボーカルのリバーブ感が印象的です。

松尾「そうですね。大きな会場で鳴らす音作りです」

——2曲目の「BIZARRE CARNIVAL」は可愛いメロディーですね。

亀本「レミさん、こう見えて結構可愛い系のメロディーが好きなんですよ(笑)」

松尾「私の趣味全開ですね。ビートルズでいうと『サージェント・ペパーズ・ロンリー・ハーツ・クラブ・バンド』あたりのサウンドかな」

——3曲目「The Trip」の歌詞に登場するニールってニール・ヤングのこと?

松尾「そう、ニール・ヤング。「ハート・オブ・ゴールド(孤独の旅路)」みたいに旅に出て、そこに希望を見出す感じ。サウンドは1968年あたりのザ・バーズ的なサイケの解釈だと思ってます。だからインド発、60年代のUK経由、2017年の日本製サイケ」

——4曲目の「吹き抜く風のように」。リード曲です。

松尾「リード曲にするって決めたのはいちばん最後でしたね。特に深い理由はないんですけど、聴きやすい曲なので。この曲を作っていたころ、心の拠り所がない感じがちょっと寂しいなって思う出来事があって。でも、だからこそ自分自身でちゃんと立っていなくちゃって気持ちを歌っています」

——次は「Velvet Theater」。ファン目線で言わせていただくと、やっと音源化されたぜ!って感じです。

松尾「お待たせしました(笑)。夜の不思議な風景を歌っているので、『BIZARRE CARNIVAL』ってタイトルに相応しいかなと思ってアルバムに入れました」

——一転、6曲目の「END ROLL」は結構ダンサブル。

亀本「レミさんて譜割りが細かい曲を嫌うので」

松尾「うん、わりと大雑把にドーンていう譜割りが好きです」

亀本「で、どういうアレンジがいいかなって考えて。最初は四つ打ちのビートでリズム作ってコンガを入れたらストーンズぽくなって、リフを入れたらアークティック・モンキーズぽい不思議なノリになってきて。それはそれでいいかなと」

松尾「私、この曲のギターソロ好きだよ」

亀本「本当?これ実はさ、ブレイクしてからソロに入るあの感じってMIYAVIさんを意識したアレンジなんだよね。この前、MIYAVIさんと対バンしたときにさ、ファズのプツプツっていうノイズがすごくパーカッシブでかっこよかったんで真似してみた」

松尾「私はレッド・ツェッペリンの「移民の歌」ぽいオクターブだなって思った」

——7曲目の「Sonntag」は日曜日って意味ですよね?

松尾「ベルリンに友だちが住んでいて、ほんの数日間滞在しただけなんですけど、ちょうどチーズフェスタってお祭りがあるよって言われて日曜日の午後に友だちと出かけたんです。その時の日記です。本当にこの歌のとおりの風景でちょっと怖かったな」

——8曲目「ビートクニクス」。ライブ映えしそうなロックです。

松尾「アルバム中いちばんアップビートな曲です」

亀本「とはいえそんなに早くないんだよね。bpmは140後半くらいだから」

——野音ライブのMCで亀本さんが“GLIMファンはみんなロックTのセンスがいいよね”って言ってたんですよ。で、出だしのこの歌詞。

亀本「おー!ちゃんと繋がったね(笑)」

——ケルアック、バロウズ、ギンズバーグのイメージでしょうか?

松尾「そうですね。ビートニクスってちょっと嘲るようなニュアンスがあるみたいなんで、ギンズバーグとかは本来ビートって呼ぶべきだと思うんですけど。でもそれから時代が変化して、ビートニクスって言葉を肯定的に捉えられるようになったので。こうやってインタビューなんかで私たちなりの解釈を語ることによって、ポジティブな言葉として問いかけられるようになったらいいなと」

——9曲目「美しい棘」。改めていい曲だなって思いました。何回も聴いているうちにすごくやさしい歌だと感じるようになって。

松尾「うれしいですね。スルメ曲って、いい曲の証拠だと思ってるので」

——「白昼夢」はちょっとしたファンタジーですよね。宮沢賢治の「やまなし」とか思い出しました。

松尾「この曲は実家で書いたんです。昼下がりの気持ちいい感じ。昼寝してて気づいたら夢の中っていう子ども時代の思い出です。サウンドも亀と相談してシンプルにしようって。楽器はギターとパーカッションだけで素朴な感じにしました」

亀本「カホンみたいなパーカッションの音は、ユニバーサルのスタジオにあったゴミ箱だもんね。ビートルズの「ブラックバード」で聴こえてくるクリック音みたいなポコポコってやつが欲しくて。デモでゴミ箱叩いてみたんですよ。それがなかなかよくて、そのまま使いました」

——11曲目の「アイスタンドアローン」。曲順に驚きました。これをラストに持ってくるとは……

松尾「亀のアイデアなんだよね。この曲ラストに持ってきたのは」

亀本「僕、ラストにこういう主張の強い曲を置くのが好きなんですよ。1stだと「リアル鬼ごっこ」、2ndだと「ワイルド・サイドを行け」。ふつうは「白昼夢」がラストって流れなんでしょうけど、今年の僕らのモードというか、GLIM SPANKYとしての主張、メッセージはこの曲の中にあるっていうステートメントです」

松尾「最後にもう一回言っておくぜ!って感じかな」

——駆け足で全曲解説してもらいましたが、GLIM SPANKYって「闇に目を凝らせば」、「NIGHT LAN DOT」、「お月様の歌」みたいに、夜、月をモチーフにした曲が印象的です。でも本作はどちらかというと太陽がギラギラ照り付ける昼の感じがしませんか?

松尾「あ、そんな感じしますね。何でだろう……意識したわけじゃないんですけど、「アイスタンドアローン」が核にあるっていうのもあるし、全体的にからっとしたサイケロックだったからじゃないかな。「BIZARRE CARNIVAL」で描いた妖精の世界も昼夜がはっきりしてないし」

亀本「今回は、興味とか表現欲求がサイケっていうキーワードに引っ張られてたっていうのもあるかもしれないね。昼夜っていう時制よりも、「吹き抜く風のように」みたいな情景描写に意識が向いていたんじゃない」

松尾「たぶんそうだね。旅に出ようとか、西へ行こうとか、吹き抜く風のようにとか、詞も明るい風景を描いているし。サイケな世界観を見せつつも、全体としては明るいアルバムになったと思います」



(おわり)

取材・文/encore編集部





GLIM SPANKY『BIZARRE CARNIVAL』
2017年9月13日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)/TYCT-69116/3,700円(税別)
通常盤(CD)/TYCT-60107/2,700円(税別)
Virgin Music




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