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特集
2018.07.31
クレイジーケンバンド『GOING TO A GO-GO』インタビュー

Vol.1 最後の数十年に向けた“ビギニング・オブ・ジ・エンド”?

横山 剣が3年間溜め込んできたモノが溢れ出す!クレイジーケンバンドのデビュー20周年記念アルバム『GOING TO A GO-GO』。剣さんが言う“黄昏に向かってデパーチャー”って?

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——クレイジーケンバンド(CKB)としては、昨年が結成20周年、そして今年デビュー20周年を迎えました。ただ、剣さんご自身の活動となるともっと長いですよね。

横山 剣「そうですね。1981年にCOOLS RCでデビューしてますね」

——キャリアの半分以上をCKBとして活動してきたいま、改めて剣さんの中でのバンドの存在であったり、この20年を振り返っていかがですか?

「20年……とくにドラムの廣石恵一とは1986年からいっしょに音を出してので。いるのが当たり前すぎて、もう麻痺してますよね(笑)。だって、家族より長いですから。家内はちょうど去年20周年だったんです。で、上の子が今年二十歳。覚えやすいんですよ(笑)」

——公私ともに20周年といった感じですね(笑)。これまでの楽曲には、ご家族のことやお子さんの成長を歌ったものもあるんですか?

「直接的にはないですけど、そういったものの影響はどこかしらに滲んだりするとは思いますね。ただ、直でっていうのは、あんまりセクシーじゃないでしょ(笑)。そういう色気のないことはしたくないんですけど、やっぱり何曲か、無意識に重なるものはあるかもしれないですね」

——8月1日リリースのデビュー20周年記念オリジナルアルバム『GOING TO A GO-GO』ですが、剣さん曰く“3年我慢した”と。

「はい。3年我慢しました(笑)」

——収録されている曲は、この3年間に作ったものですか?

「3年の間に作った曲もありますし、古いものだと20年前にレコーディングした曲がひとつ入ってます」

——20年前!?

「「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」というのが、20年前のものです。これは、ドラム、ベース、ギター、ボーカルが当時のまんま入っていて、そこに足りないパートを今回後からトッピングして、やっと完成に至りました。実はこれ、98年のデビューアルバム『PUNCH!PUNCH!PUNCH!』のときボツにした曲で。そのボツテイクが残ってて、もったいないからというか(笑)。当時は途中で投げちゃってたので、このタイミングで完成させようってことになったんです」

——これまでにそういう機会は一度もなかったんですか?

「それが、なかったんですよね。当時の判断では、あんまりいい出来ではなかったという無念があったので。でもいま聴いてみると、逆にいまじゃ作れない曲だなっていう。『PUNCH!PUNCH!PUNCH!』でボツになったっていうのもなんかいいし(笑)。20年を象徴する曲でもあるような気がしたので、敢えて今回入れることにしました」

——ボーカルは当時のまま?

「そう。20年前の声。それから、ドラムもベースもギターも、何も変えてないです。で、サックスも当時から入ってたんですけど、中西圭一本人がどうしてもイヤだって言うんで録り直しました(笑)。でも、もともとホーンセクションでやりたかったんですよ。ただ、当時は5人編成で、ホーンセクションがいなくて。そのとき、なんでホーンがいないんだ!っていう悔いがあったんですけど、いまはいるっていうことで、ホーンセクションを加えました。さらに、キーボードも当時いなかったので、それも入れて。とても充実したレコーディングになりました。20年寝かせたことで、曲にとっては幸せな仕上がりになりましたね」

——今回のためにあったような曲かもしれないですね。

「そういうことですね。20年……気分としては、縄文土器の破片を見つけて復元したみたいな感じですけど(笑)」

——とはいえ、現在の楽曲と並んでもまったく違和感がないのが驚きです。むしろ、剣さんに聞くまで20年前のボーカルだと気づかなかったというのが、ファンとしてはショックでもあり(笑)。

「そうそう(笑)。でも、今回も3曲ほどジングルが入ってますけど、その“クレイジーケンバンド”っていう声も、20年前からずーっと使ってるやつなんですよ」

——そうなんですね。実は、毎回録り直してるのかどうか、気になってたんです。

「これも『PUNCH!PUNCH!PUNCH!』のやつをずっと使ってます」

——変えずにずっと使っている理由があるんですか?

「たとえばボルシェとかメルセデスとかキャデラックとか、僕がグッとくる車ってエンブレムを変えないんですよね。とくにポルシェなんかはフォルムまで同じで、パッと見ただけでポルシェだってわかるじゃないですか。そういうのといっしょで、シンボルになるものは、そのまんまで継承していくと、どんなに音楽性がバラバラになっても統一感は保てるかな、と。むしろ、敢えてブレることも楽しめるし。そういう意味で、ずっと継承するのは大事かなと思うんですよね。だから、ジングルのほかにも、イイネ!のポーズや“喜”をふたつ並べたダブルジョイマークも、ずっと変わらず使ってるんです。そういうものがあると、逆に冒険できると思うんですよね」

——CKBと言えば、毎回大ボリュームのアルバムを届けてくれますが、今回も20曲入り。シングルのほうも2015年リリースの「指輪」以来発表されていないので、先ほどの「MIDNIGHT BLACK CADILLAC」を除いてはすべて新曲ということになりますね。

「そうですね。曲数は、本当は風水的に縁起がいいのは7が3つで21曲、あるいは19曲なんですけども。今回は20周年ということで、20トラックにしました」

——資料には「3年も出すのを我慢してたんだからその鬱憤が創作欲となって爆発しました」とありますが、剣さんの場合、創作欲やアイデアが枯渇するということはないのでしょうか?

「まあ、いずれあるんでしょうけどね。でも、これは毎回そうなんですけど、レコーディングで曲を持ってスタジオに入っても、メンバーと音にする最初の段階っていうのはどうも不調で。ギアが入ってない感じというか。だから、最初のテイクは何度もやり直ししてますね。なんかもっとドライブしてる感じがいい、とか。そういう違和感みたいなものに我慢できなくて、納得がいくまで何回もやり直したりします」

——回を重ねることで、徐々にスピードが上がっていくというか……

「そういうことですね。エンジンをかけて、暖気も済んで、ようやくポテンシャルが引き出せるようになる。そうすると、困ったことにまた曲が増えちゃって(笑)。さらに、もっといいベースラインとかが浮かんじゃってやり直したり、そのベースラインを入れたことで今度はギターとキーボードはこっちのほうが合うって言って、またやり直したり……終わらないですよね(笑)」

——それは、どのタイミングで完成ということになるんですか?

「そうですね……レコード会社さんとかスタッフサイドから、いついつまでに納品してほしいっていうのがあれば(笑)。そうじゃないと延々作り続けるので、サグラダ・ファミリアになっちゃいます」

——歌詞はどのように書かれているんですか?

「わりとメロディといっしょに。全部じゃないんですけど、キャッチの部分は同時に出てくるってことも多いんですよね。なので、このフレーズ、出てきちゃったはいいけど、前後どうしようかみたいな(笑)。そこを生かしながら、パズルみたいに書いていくってことが多いです。書くスピードも、1日に何曲も書いちゃうこともあれば、1曲も浮かばず無力感のまま帰ることも……」

——書くのはご自宅じゃないんですね。

「スタジオですね。メロディが浮かぶのは車の中が多いんですけど、歌詞はスタジオで浮かぶことが多いです。家だとなぜか浮かばないんですよ。あと、以前は事務所の中にスタジオみたいなスペースを作ってやってた時期もあるんですけど、まったくそんな気分にならなくて。やっぱり、わざわざスタジオまで行く、その30分、40分の運転中がすごく大事なんですよね。そこでアイデアをもう1回考え直したり、新しいアイデアが浮かんできたり。で、スタジオに入った途端、いきなりトップギアで始めるっていう」

——歌詞はパズルのようにとおっしゃっていましたが、こうして1枚のアルバムとしてまとまったとき、改めてご自身が考えていたこと、伝えたかったことなどに気づくことはありませんか?

「そうですね……以前は恋愛だって何だって、甘酸っぱい歌詞は20代の頃とかに立ち返った曲を書いたりしてたんですけど、今はもう年相応で(笑)。いまの自分目線で書いちゃってるので、そうすると、どうしても相手は人妻になっちゃったりするわけです(笑)。あるいは、いくつかバツが付いてたり(笑)。だから、恋の関係にならずに想うだけみたいになりますよね。そういう意味では、昔よりも恋愛の歌は作りにくいです。純愛の歌を作ったらまずいことになっちゃうし(笑)」

——確かに(笑)。

「まあ、実際そういう浮いた話も自分にはないので(笑)。想像というか、生々しいファンタジーみたいなものですね」

——そういった剣さん自身の変化もありつつ、この20年の間には音楽を取り巻く環境もずいぶんと変わってきました。そうした変化がバンドに与える影響というのも何かありますか?

「いまの時代、気づいたらパッケージが厳しくなって、とくに若い世代は配信やダウンロードが中心になってると思います。ただ、CKBの場合はちょっと特殊というか。お客さんの9割が、パッケージにしか興味がない人たちなので、そういう文化の最後尾にいるような。間に合ってよかったなあっていう。とはいえ、最近は20代のバンドでもアナログを出す人もいますよね。だから、必ずしも配信やダウンロードばかりではないなって思ってます。渋谷なんかでもマンハッタンレコードとか、いまだに健在なレコードショップもありますし。そういう需要は少なからずあるんですよね。僕らも今年、アナログを出す予定ですし。さらに、7インチを出そうかっていう話まであって、しかもそういう話をレコード会社さんのほうからしてもらえるっていう。すごく幸せなことだなって思います」

——CKBの場合はアルバムを出す=パッケージという構図なんですね。

「僕的にはパッケージしか考えられないです。でも、世の中的にはそういう配信とかサブスクリプションが加速度的に増えてきて、そういう時代の変わり目にいるのは面白いっちゃ面白いですよね」

——今回のジャケットもすごく素敵です。

「この写真に写っているのはLAの空港の建物なんですけど、これを僕が初めて見たのが1971年なんですよ。LAに着いて最初に見たのがこれで、何だこれは!?と思って。円盤みたいですごいなあって思った印象が、ずーっと残ってたんです。で、いつかジャケットに使いたいと思ってたんですけど、その都度忘れてて(笑)。それが今回、いいタイミングに思い出したので、レコード会社の方に現地に行って写真を撮ってきてもらったんです」

——撮り下ろしとは!でも、ここでもひとつ、剣さんの中でこれまでずっと温めていたものが具現化された、と?

「そうですね。で、この通常盤の黄昏っていうのは、これから自分も黄昏に向かってデパーチャーというか。ここから後半戦をスタートしていくっていう。それは、50歳、60歳、70歳って、楽しいぞっていうね。歳を重ねることを肯定的に捉えたいっていうのもありまして、敢えて黄昏にしています。一方、初回限定盤はモノクロなんですけど、これはデザイナーの方が考えてきてくれた文字のフォントとの相性がいい感じだったので。で、今年はCKBのイメージカラーがイエローなので、イエローの文字にしました。思い返せば『PUNCH!PUNCH!PUNCH!』もイエローだったので。そこから20年ってことで合わせてみました」

——このままTシャツになってもかっこいいと思います。

「そうそう!そうなんですよ。アルバムタイトルは、わりといつもTシャツまでをイメージして考えることが多いんです」

——ジャケットにまつわるエピソードを聞いて感じたんですが、今回のアルバムって、20周年記念という集大成であると同時に、剣さんの中ではこの先を見据えた未来への作品という位置づけもあるんじゃないかと。

「そうですね。デパーチャー=出発ということで、最後の旅を始めるぞと(笑)。いわばビギニング・オブ・ジ・エンドですよ。最後の数十年に向けたラストフライト。いや、まあ、ここからが長いんだけど(笑)」

(つづく)

取材・文/片貝久美子
写真/柴田ひろあき







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2018年8月1日(水)発売
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2018年8月1日(水)発売
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