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特集
2015.06.23
大貫妙子 その音楽、旅、現在地

“旅”がくれるもの(前編)

生み出す音楽と旅することは、彼女の中で不可分なものなのではないだろう か。「アフリカに行ったり、日本を離れて野生動物を観察する仕事もしてたので、そこでずいぶん変わりましたよね」 ――90年代の、アーティストとのして危機を、旅する経験の中で、彼女はどう乗り越えたのだろう。

旅は自分の方向性を
確認する時間

大貫妙子というひとりの人間を語るとき、音楽ともうひとつ、切っても切れないキーワードがある。それは、旅。 これまでに彼女がその足を踏み入れた国は、ロンドンやニューヨーク、パリといった大都市のみならず、アフリカ、南 極、インド、イースター島、タヒチ、タスマニアといった地にまでおよぶ。
ちなみに彼女は東京出身。かつて語った「若い時は都市で暮らすこと以外、興味がなかった」という言葉を裏付けるか のように、実際彼女は新宿や渋谷、四谷といった都内各所に出入りする中で、のちにシュガー・ベイブを結成すること になる山下達郎や村松邦男、野口明彦といった面々と出会っていく。そして周知の事実ながら、その流れの中で自身の ソロ・デビューへの道も開けていった。

そんな彼女は、アルバムのレコーディングや、彼女が寄稿していた新潮社の『Mother Nature’s』というネイチャ ーマガジンの取材のために、さまざまな国を訪れるようになったという。世界各国を歩き、見てきた彼女は、どんなふ うに“旅”というものを捉えているのか?

「いろいろな出会いがあり、違う場所の空気の中に情報はありますから。自分が生まれてきた意味や、“今”なぜ この場所にいるのか――それを確かめるための旅なので……。旅をすることで新しい自分を発見しようとは思ってない し、発見なんてそう簡単にできはしない。それより、生きてきた間に対する自問自答であったり、世界は多種多様であ ることを知れば、考え方を柔らかくせざるをえないのですね。旅は“自分が常に思っていることの方向性は、間違って はいないようだということを確認するために与えられた時間”だと思っています」

蓄積する時間=“旅”は
アーティストとして必要だった

旅をする中で彼女に一番影響を与えたのが、アフリカでの旅。1990年から5年間は、ハイエナとライオンを観察する ためにタンザニアと日本を往復する生活を送っていた。

「野生動物たちが生きているところは、人の目から見れば厳しく映る。でもそれは人の思う視点であって、彼らは それを受け入れて逞しく生きているんです。長く同じ大地で生活していると、生きていくために必要なことは、そんな に多くないっていうことが、あたりまえのようにわかる」

まさに、シンプル・イズ・ベスト。旅の中で感じた、彼女の言葉を借りるなら“確認”を続けてきたことは、当然 のことながら彼女――シンガー・ソングライター大貫妙子の音楽にも反映されている。

「若いときは、レコーディングをしていると、もっとこんな楽器を入れたほうがいいんじゃないかっていろいろ試 してみましたが。でも、後々考えるとやっぱり必要なかったな?ってね。つねに学ぶことばかりです。削っていく作業 は今でも悩みますが、レコーディングのときに、必要ないと思ったら入れない、という判断は速くなりました。かつて は曲を書き上げて、アルバムを作り、ツアーに出てっていうのを毎年毎年繰り返していて。そういうものだと思ってい たし、続けられる幸せというのももちろんありましたが、あるときふと気づくと自分の井戸に顔が映らないくらい水が なくなっていた(笑)。勉強したり蓄積する時間は必要なんです。ちょうどそんな時期、90年代から南極やアフリカや ガラパゴスに行く絶好の機会を与えられたこことが、ほんとにラッキーでした。もしもあのまま、ただ音楽だけを続け ていたとしたら、今があったかどうかはわからないし、今回の『Tint』も存在しないっていうのはハッキリわかります 」

旅をすることで、自分と音楽との距離感を常に心地いい状態にキープしてきた彼女。しかし、40年以上のキャリア の中ではときに「音楽をやめたい」と思ったこともあるのだという。最終回となる次回は、その真意と、それを経た現 在の大貫妙子の在り方に迫っていきたい。

2015年3月16日 BLUE NOTE TOKYOにて
撮影/山路 ゆか

大貫妙子

1973年、山下達郎らとシュガー・ベイブを結成。75年『SONGS』をリリースするも76年解散。『Shall weダンス?』 (監督:周防正行 96年)のメインテーマや、第21回日本アカデミー賞最優秀音楽賞を受賞した『東京日和』(監督: 竹中直人 98年)の音楽プロデュースなどCM・映画音楽も数多く手がける。

6月20日~26日までUSENのチャンネル「C-47 NEW DISC HEALING」で今回のアルバム『Tint』を放送。また、7月1日 から1ヵ月間、おなじくUSENのチャンネル「B-64 坂本龍一/commmons」で大貫妙子を特集!

大貫妙子と小松亮太コンサートツアー「tint」

2015年10月3日(土)

  • 会場:とぎつカナリーホール(長崎県)
  • 主催:KTNテレビ長崎
  • 問:KTN事業部 095-827-3400

2015年10月10日(土)

  • 会場:道新ホール(北海道)
  • 主催:株式会社道新文化事業社
  • 問:道新プレイガイド 011 -241-3871

2015年10月16日(金)

  • 会場:Bunkamuraオーチャードホール(東京)
  • 主 催:東京音協
  • 問:東京音協 03-5774-3030(平日10:00~17:00)

2015年10月24日(土)

  • 会場:八ヶ岳高原音楽堂(長野県)
  • 主催:株式会社八ヶ岳高原ロッジ
  • 問:八ヶ岳高原ロッジ 池袋情報サロン 0267-98-2131

2015年10月31日(土)

  • 会場:NAGOYA BLUE NOTE(愛知県)
  • 主催:NAGOYA BLUE NOTE
  • 問:NAGOYA BLUE NOTE 052-961-6311


大貫妙子 Billboard Live Tour 2015

昨年、デビュー40周年の節目に、ただ一夜のアニバーサリーコンサートが即日完売話題となり、ビルボードライブ で行ったアンコール公演でも強い存在感をみせた大貫妙子。2015年、同じ豪華バンドメンバーで東京・大阪の3Days公 演が実現することになった。「新曲はまずライブで発表。そして演奏を重ね、その後に音源化が理想」と語っているだ けに、今年のツアーも見逃すことができない充実と興奮のライブとなることは間違いない。

メンバー:大貫妙 子(Vo)、小倉博和(G)、鈴木正人(B)、沼澤尚(D)、林立夫(D)、フェビアン・レザ・パネ(Apf)、森俊之(Key)

予約受付開始:<Club BBL会員>7月16日(木)、<一般>7月23日(木)

2015年9月16日(水)、29(火)

  • 会場:Billboard Live TOKYO
    <1st>17:30 OPEN 19:00 START
    <2nd>20:45 OPEN 21:30 START
  • 料金(税込):自由席7,900円 Casual(1DRINK付)5,900円
  • ご予約・お問合せ:03-3405-1133

2015年9月23日(水・祝)

  • 会場:Billboard Live OSAKA
    <1st>15:30 OPEN 16:30 START
    <2nd>18:30 OPEN 19:30 START
  • 料金(税込):自由席7,900円 Casual](1DRINK付)6,400円
  • ご予約・お問合せ:06-6342-7722