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デビューから『新空間アルゴリズム』までスキマスイッチ15年の軌跡を! by SMART USEN



──『新空間アルゴリズム』というアルバムタイトルは、どのようにして生まれたんでしょう?

常田真太郎「今回のアルバムは、まずはイメージからスタートして、そのイメージを分解して楽曲を完成させていく形だったので、“解き方”や“方法”を意味する“アルゴリズム”っていいなっていう気持ちがまずありました。意味としては違いますけど、“リズム”っていう響きが入ってるのも音楽的な匂いがしていいなって。そこから、今回のアルバムのテーマは原点回帰なので、初期のアルバムのように漢字カタカナのタイトルでも面白いよねっていう話になりました。そこまで大きく意味を持たせるんじゃなくても、ファンに“ちょっと懐かしいね”って思ってもらえたらって。でも、初期とまったく同じではもちろんないし、実際に新しい空間としていろいろ挑戦してきたんだからって、語感とともに“新空間”を組み合わせて『新空間アルゴリズム』に決定した感じですね」

──それでは、昨年の『re:Action』のインタビューと同様、全曲について自由に語っていただければと思います。まずは1曲目の「リチェルカ」について。

常田「1曲目は何かなって話はもちろんいつも出るんですけど、ぶっちゃけ2曲目の「LINE」と悩んでたんですよ。シングルとしてもリリースした「リチェルカ」は、イントロでのイヤーキャッチが成功した曲で、冒険が始まっていくという歌詞の内容も勢いみたいなものを与えてくれる。「LINE」のふわーっと始まっていく感じも良かったんですけど、やっぱり「リチェルカ」がしっくりくるかなということで1曲目になりました。少し打ち込みの要素を使ったし、EDMっぽさも取り入れてるし、新しい要素も含まれてる攻撃的なサウンドも『新空間アルゴリズム』の冒頭にはいいんじゃないかなって」

──続いては、1曲目になる可能性もあった「LINE」(shinku-kan mix)です。

大橋卓弥「「LINE」を1曲目にしたいなって気持ちは、僕もあったんですよね。ぐんぐん前に進んでいる感じというか、ちょっと骨太なところもあるし、「リチェルカ」も最初のファンファーレででイヤーキャッチという意味では強かったんですけど、「LINE」もそれに負けないぐらいの雰囲気をすごく持っている曲だったので。だから、「LINE」から始まるのも確かにいいなと思ったし、スタッフ間でも意見が割れるぐらいでした。ただ唯一、8分の6拍子っていう少し変わった拍子で作った曲だったので、そこが少し気になって。曲順なんで正解はなくて、最終的にはこだわりとかで決まっていくものなんですけど、そこで出てきたのが“自分たちがやってるのはポップスだ”っていう思いでした。お客さんが聴きやすくてキャッチーなものが、1曲目にはやっぱりいいだろうって。そういう意味では、「リチェルカ」に比べると「LINE」は少し大衆的ではないのかなって。「LINE」を1曲目にしていたら、アルバム全体のイメージも全然違ったなとは思うんですけどね」

──3曲目の「パーリー!パーリー!」は、まさに初期衝動というか、今のお2人の心持ちをステートメントしたような楽曲だと感じました。

常田「確かにそうですね。「さよならエスケープ」の前に原型はできていたので、そういう意味でもこのアルバムに向けた最初の気持ちが、無意識に出ている楽曲なのかもしれません」

──「パーリー!パーリー!」で描かれているのは、今のおふたりですか?それとももっと若いバンドなどをイメージしたんですか?

常田「ライブの実況中継みたいなイメージが、まずはあったんですけどね。今の自分たちなのか、あるいは若い世代のバンドなのか、もしくは、未来もこういうライブをしていたいと思っている自分たちなのかもしれないですけど。そこはやっぱり、毎回僕らの曲はそうですけど、聴いてくれた方がどう受け取ってくれるかなんで、限定はしたくないですね。この曲は、言葉を紡いでいくスピードがいちばん早かったんですよ。サビの言葉使いもそうですけど、パン!パン!パン!パン!ってできていった勢いが全体的に出てるかなって。音楽的にはちょっとビッグバンドっぽいことをやろうとしたんですけど、なかなかそうならなかったっていう面白い曲ではありますね。ちょっとビートルズっぽかったりもしますし」

──4曲目は「ミスランドリー」です。

大橋「アルバムの中で、毎回のようにカントリー調の曲があるというか、それって僕たちの中でずっと変わらず好きである音楽のひとつなんだと思うんですけど、そこに懐かしさとエバーグリーンさを感じているところがあって。最近は特にそういう曲が入ることが多いと思うんですけど、その中でも今回はちょっと違和感を作りたいなあと思っていたんですよ。歌詞もすごくシンプルですし、ただそのシンプルさの中の行間に込めた思いだったりとか、そういう部分がありつつサウンドのほうでは違和感を作って、“あれ?これって素直に聴けない曲なのかな?”って考えてもらえたら面白いなあって思っていて。最初にシンタくんがシミュレートしたデモっていうのは、すごくカントリーだったんですね。それでも正解だったと思うんですけど、そこにひねりを加えてというか、ちょっと汚して、ボーカルの処理の仕方とかもいつもとちょっと違う形にしてみて。自分たちの中ですごく挑戦した部分もありますし、だけど根底はカントリーっていうのが、作っててすごく面白かったです。そのときの思いつきのアイデアがぽんぽん組み込まれていく感じで、すごく音楽的には力のある作品に仕上がったなって思います」

──続いては、5曲目の「Revival」について。

常田「イメージから作るっていうことが今回のアルバムは多かったんですけど、そのうちの1曲です。スキマスイッチは2人組なんで、その都度いろんなバンドを組めるのが面白みだし、強み。この曲は、2016年の「THE PLAYLIST」っていうカバーライブで組んだバンドのお三方を呼んで、5人でレコーディングしました。シンプルなサウンドで音も若いと思うんですけど、それはバンドが呼んだっていうか。歌詞もその雰囲気に引っ張られて、青春模様っていう感じですし」

──バンドという形態は、おふたりにフレッシュさをもたらすものですか?

常田「ずっとやってるとそうじゃないのかもしれないですけど、僕らはバンドじゃないですから、バンドで演奏することに新鮮さを感じているのは確かですね。僕も、ストリングスアレンジとかを考えず、1人のキーボーディストとしてキャッキャしながら作ってたんで(笑)。その楽しさは出ていると思います」

──6曲目は、今作の核という印象も受ける「未来花(ミライカ)」です。

大橋「最初、収録するかどうかすごく悩んでいて、最後の最後に収録することが決まったんです。デモ自体は2015年ごろにはできていたんですけど、そのデモの段階からこの曲はピアノと歌だけでリリースしたいなと思っていて。ひとつの挑戦であるととともに、自分たちの最大の武器というか、ピアノと歌で始まったユニットが最小の形態にして最大の形で表現するというか。例えば、シングルを作るときって、だんだんテクニックを身につければつけるほど、シングルっぽさというか、派手なサウンドにしようとか、ほかの楽曲に比べてきらびやかな曲がシングルなんだっていうなんとなくのイメージにとらわれてしまうとしますよね。それって、作品を職人的に作る上ではすごくいいことだと思うんですけど、その曲に合ったアレンジっていうのを本当に突き詰めて考えていくと、シングルにはシングルっぽさがないといけないみたいな感覚はなくていい気がするんですよね。「未来花」を作ったときは、何もいらないなっていうふうに、自分たちの中で思う最高の形がピアノと歌だけだっていう。そういうふうにとらえていた「未来花」を収録するかどうか悩んだのは、簡単に言うと出し惜しみっていう言葉になるのかもしれないですけど、メロディーとの出会いな気がしてたんですよね、「未来花」を作った時、ふたりの中でこれはいいものができたかもしれない、いや絶対にいいものができたっていう確信が生まれて。でも、そういう曲だからこそ、世に出すタイミングが大事だし、より多くの人に聴いてもらえるベストな時に出したいっていう思いがありました。そういう意味での出し惜しみですよね。今回のアルバムを制作している中でも、「未来花」みたいな曲が入れば締まるっていう話が何回も出て、それだけ“みたいな曲、みたいな曲”って言ってるんだったら、「未来花」そのものを入れた方が健康的だろうと。きっと今が世に出すタイミングなんだろうなと最終的には思えたし、10曲全部好きな曲が並んでますけど、特に思い入れが強いです」

常田「実際、1回「未来花」みたいな曲を作ろうってなってバラード作ったんですけど、やっぱりやめようって」

──今作では、最終的に本能的な衝動に委ねるという部分で一貫してますよね。

常田「何を固持して何を緩和するかに関しては、今回は決断が早かったかもしれないですね」

──7曲目は、「リチェルカ」との両A面でシングルとしてリリースされた「ミスターカイト」です。

常田「AメロとBメロのギャップっていうイメージから作った曲なんですけど、シングルより顕著にそのギャップを出したいねっていう話をして、シングル音源をもう1回分解して、再構築する方向で違うエンジニアリングをしてもらっています。シングルに比べると、骨太なベースだったりリズムにその違いが出ていると思います。10曲の並んだ時のこの曲の存在感は大きいなって。あと、偶然なんですけど、「未来花」の最後と「ミスターカイト」の最初のコードがほぼ同じなんですよ。まったく意識してなかったんですけど、曲順を決めた時にびっくりしましたね」

──8曲目は「Baby good sleep」です。

大橋「これもちょっと前にデモとして作った曲で、今までのスキマスイッチとは少し違う方向性を目指していきました。今まで英語を使った歌詞は書いてこなかったんですけど、この年齢、ここまで作品を作り続けてきて、もう使ってもいいんじゃないかなって。最初に浮かんだイメージが英語詞が似合う曲なんだから、本当に健康的に考えたら、それでいいんじゃないかって。そこからどんな歌詞がいいかなって考えて、シンタくんが子守唄みたいなのがいいんじゃないかって。そういう歌詞は今までないですし、いいねって話して、ふたりで書いていった感じですね」

──そこから今回のアルバムで最初に完成した「さよならエスケープ」が9曲目に続きます。

常田「歌から始まる曲なので、サウンドカラーとしても歌詞の感じとしても、どこに置いても成立する曲っていう意味では、スキマスイッチっぽい曲なのかなって思います。音数も多いですし、頭でっかちに作ってないところとか、ストレートな曲だと思います」

──そして「リアライズ」でアルバムの幕を下ろします。

大橋「静かに熱い曲というか、そういう曲があったらいいよねって。全部を年齢で片づけたくはないんですけど、20代の頃にこういう曲はやらないだろうなって思う楽曲のひとつです。静かに熱く燃えていて、知らないうちに楽曲自体の温度も上がっていって、レコーディングしていく中で予想以上に曲自体が大きくなっていってる感覚がありました。曲が意志を持ってるというか、熱量を持ち出して。僕らの意志とは違うこの曲の大きさがすごく不思議でもありつつ、曲自身が“俺がアルバムの最後だろ”って主張していることも自分たちでちゃんと認めてあげようっていうか。それもまた健康的ってやつですね。あまのじゃくなふたりなので、最初はそうなんだって思っても、途中で本当にそうなのかって思っちゃうんですよね。今回もそういう思考が生まれたんですけど、なんか楽曲の意志を尊重したかったところはあります。結果、その意味を尊重して良かったです。初めてに近い経験でしたね。曲の力に自分たちが驚くっていうのは」

──最後に『新空間アルゴリズム』を作り終えたことで変化したこと、気づいたこと、新たに生まれたことを教えてください。

常田「前作から3年でいろいろやらせていただいて新しいインプットをすると、今までと違う感覚のものが芽生えますし、そこからまた新しい音楽ができるということを実感できたことが、新しい発見でした。ルーティーンを壊したことで、こんなにいろんなものが見えるんだなって。デビューから15年経って、新しい風景が見られてうれしいですね」

大橋「正直、何かに気づいたかどうかって自分ではわからないんですけど、今回のアルバムを完成させられたのは自分にとって大きいことです。いいものができた時はみんなに聴いてほしいし、どんな反応をするか楽しみですし、この先も自分以外の誰かに向けて音楽を作り続けていくんだろうなって今は思えています。15年活動して、また衝動的に音楽を作るというところにたどり着けたっていうことは大きいし、だとしたらまたやりたいことが出てくるんだろうなって思える1枚ができたと思います」

(おわり)

取材・文/大久保和則







スキマスイッチ『新空間アルゴリズム』
2018年3月14日(水)発売
初回限定盤(SHM-CD+DVD)/UMCA-19056/3,700円(税別)
ユニバーサルミュージック


スキマスイッチ『新空間アルゴリズム』
2018年3月14日(水)発売
通常盤(CD)/UMCA-10056/2,950円(税別)
ユニバーサルミュージック




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