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特集
2018.03.14
スキマスイッチ『新空間アルゴリズム』インタビュー

マインドとしての原点回帰、40代のリアリティー(前編)

全編リアレンジが施された前作『re:Action』を経て原点に立ち戻ったスキマスイッチの最新作『新空間アルゴリズム』。大橋卓弥、常田真太郎が語ってくれたマインドとは?

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──『新空間アルゴリズム』は、オリジナルアルバムとしては、自分たちの名前を冠した『スキマスイッチ』から、約3年ぶりということになりますが、全10曲を通して、新しいスキマスイッチを感じる、スキマスイッチの新章の幕開けのような作品になったと感じています。

常田真太郎「前作までの、シングルを作って、アルバムを作って、ツアーをしてっていうルーティーンを壊そうという気持ちがまずあって、そういう思いから昨年の『re:Action』が生まれました。ルーティーンができると、どうしてもいろいろと予測が立ってくるんですよね。それは僕らにとってもそうですし、待っててくださるであろうリスナーの方にも、良くないことでもあって。例えば、リリースやツアーのタイミングはもちろんですけど、音楽性的にも“次はこんなシングルだろう”という予測がある中でクリエイティブなことをするのってむずかしい。だから、そんな状況に刺激がほしい時期でもありましたし、先ほど名前を挙げた『re:Action』で初めて自分たち以外のアーティストのみなさんにプロデュースしていただくというアプローチも含めて、自分たちのルーティーンを壊したらどんなインプットとアウトプットになるのかなって、それによってスキマスイッチはどうなるのかなっていう気持ちが、この数年はずっとありました。要するに、自分たちを変えたかったってことですよね」

大橋卓弥「それまでに作品をずっと作ってきた中で、僕たちなりに経験値を重ねたり、テクニックを身につけたりしてきました。その集大成が、『スキマスイッチ』というアルバムだったと思います。今まで培ってきたことを駆使して、あの時の自分たちができることすべてをして作り上げたというか。そういう意味で言うと、リスナーのほうを向くというよりは、自分たちの作りたいものを作って、できることを詰め込んで、それを聴いて今のスキマスイッチを判断してくださいというアルバムだったと思うんですよね。そういう作り方をしたこともあって、『スキマスイッチ』を作ったあとは、自分たちの全部を使い果たして、抜け殻のようになったんですよ。そこから、2人でもう一回自分たちは何ができるのかをしっかりと考えて、今回は“原点回帰”をキーワードにしました。この曲を純粋に聴いてほしいなというか、前作よりも外向きになったというか。そもそも、ちょっと内向きになっている自分たちにも気づいてましたし、それによって音楽が難解になっているのかなとも思っていました。だから、初期のマインドを持ちつつ、今回のアルバム制作に入ってみようかっていう話をしたんです。初期のマインドを持って音楽を作っても、当時と同じ作品を作ることはないと思ってまいしたし、その当時よりは自然にテクニカルになるでしょうし、あくまでマインドとして原点回帰するという意味合いなんですけど」

──“原点回帰”というキーワードについては、2人でいろいろと話して、すんなりシンクロした感じなんですか?

常田「最初に作品として形になったのが「さよならエズケープ」なんですけど、その時に出た言葉は、“懐かしい感覚でやってるよね”っていうことだったんです。だから、その時に始まったのかなって思いますね。自然に外に対して目が向いてたと思うし、無意識のうちにそういう気持ちが胎動していたんだと思います。だったら、アルバムもその感覚と同じテーマで作ってみようかって」

──より外に目が向いたり、マインド的に原点回帰したいという感覚が生まれたのは、どうしてこのタイミングだったんでしょう?

常田「大きいのは、前作でいろいろとやりきったことだと思います。前作でやりきったからこそ、次にできることはなんだろう?スキマスイッチとして作りたい音楽はなんだろう?ってことを考えたんですよね。前作の『スキマスイッチ』にはひねった曲も多いし、聴いてもらう側をコントロールしようとして、言葉が多かったり、音が多かったり。でも、それを続けるつもりは2人ともなくて、じゃあなんだろう?っていう。だから、『スキマスイッチ』で一回開放された感じっていうのは大きいのかもしれないですね。ずっと音楽を作ってきて、やっと自分たちの名前をつけられる、つけるべき作品ができて、納得して。もし、『スキマスイッチ』を作って、どうなの?って思ったら、もう一回、同じアプローチでアルバムを作ってたかもしれないですね。納得したからこそ、違う作り方をしてみたくなったというか」

大橋「そうだね」

──「さよならエスケープ」ができて、“懐かしいよね”って感覚を共有してからは、どんな設計図を描きながらアルバム制作が進んでいったんでしょうか?

大橋「アルバムの全体像を見据えながら作っていったというよりは、一曲ずつこういう音楽があったらいいなっていうものを作っていきました。曲順も意識しなかったですし、今やりたい音楽、こういう曲があったらいいよねって、さっきも言った初期衝動を繰り返していった感じですかね」

──その中で、明らかに前作までと違う感覚は実感できたんでしょうか?

常田「前作とは違う楽しさが実感できましたよね。アルバム制作中は、その曲を最初に作った時の気持ちを大事にしようっていう話は、何回も出ましたね。ちょっと難解な方向に進んでいると、“むずかしいほうに行ってるよ”って声をかけあったりして。そういう会話に、自然となりました。それは前作ではなかったです。“最初と違う”とか“これって、そういう曲じゃないよね”って、どっちかがツッコミを入れる光景は、今回のアルバム制作で随所に見られたと思います」

大橋「前作っていうのは、すごく自分たちのエゴが強かったと思うんです。でも、今回はそういうのを取っ払って、ライブにこういう曲があったらいいよねとか、作りたい曲をシンプルなアイデアから出して作っていった感じなんですよね。作っていくうちに忘れかけてきたことも思い出しました。僕たち2人は、“ポップスって聴いてくれる人がいて、その人たちに届いたときに完成するんだ”ってよく話してたんですけど、そこに対する意識も前作より強かったです。かといって、安易な音楽を作ろうということではもちろんなくて、あえてむずかしくしていたことをストレートに言ってしまおうという感じですよね。この年齢になったんだから、もう理論武装したり、あまのじゃくにならなくてもいいんじゃないかって。むしろ今の自分たちだったら、ストレートなことを言っても軽くならないんじゃないかなって話もしていました。そんな話をしている時が、すごく楽しかったですね。そういう意味では、まさに今の自分たちだからできたアルバムだと思います。セオリーを駆使して作るんじゃなくて、もっと自由に、思いついたんだから、それをそのまま歌ってしまっていいんじゃないのかなって。だから、全部が全部スムーズだったわけじゃないんですけど、ストレスはすごく少なかったですね」

──歌詞から感じるまなざしの深さや重み、その視線の角度の大人らしさは、いま大橋さんが言ったことにつながるのかなと思います。そういった歌詞については、今どんな意識をされていて、今作でどんな変化がありましたか?

常田「2人とも40歳になる年を迎えて、もの思うところは歌詞に出ていると思うんですけど、それを出そうと話したこともないし、意識したこともないんです。ただ、自然にそうなっているというか、20代には20代のリアリティー、30代には30代のリアリティー、40代には40代のリアリティーがそれぞれあると思いますけど、そのリアリティーを追求していくと、その時々で書いてるときの年齢の影響は出ますよね。それを否定してしまうと、悲しい話になっちゃいますし。ただ、恋愛の曲は40代のリアリティーで書いてるわけではないと思うんですけどね。自分たちの青春時代の感覚を盛り込んでる部分は、やっぱりあると思うので」

──そういったアプローチの仕方もできるのが、音楽の面白さ、楽しさでもありますよね。

大橋「それはそれで楽しいですからね。でも、今の自分たちが確かな手応えを感じて、表現者として誠実に、前向きになれるという意味では、やっぱりただ満ち満ちている主人公の歌詞にはならないですよね。主人公が人生の中で何かを知ったあとに、自分はこういう人間なんだ、だとしたら未来はこうなるんだろうなって思う歌詞っていうか。先を見据えて新しいことをやってきたからこそ、ただ単に前向きに行こうぜって歌詞じゃなくなるんです」

──「新空間アルゴリズム」に収録された歌からは、どこかうつむき加減だけど、最終的には前を向こうという意思が伝わってきます。

常田「最初から最後まで沈んでるだけの歌も面白いんですけどね(笑)。でも、実際の年齢というのは、スキマスイッチの音楽にとっては大きいですよ。今回のアルバムに収録された曲以外に、もっと終末感があるというか、人生の終わりを意識した歌もあるんですけど、それはまだちょっと早くないかっていう確認もしたりしています。言ったって、まだ40代になんだからって(笑)」

大橋「僕も、年齢はやっぱり大きいと思いますね。今の自分たちが使える言葉っていうのは、年を重ねるごとに増えてきているので、昔は選べなかった言葉も使えるようになってきていると思うし、テーマにしてもこの年齢だから書けるものがあります。テクニックだけで言葉を使うと、ひずみが生じて聴く人が違和感持つけど、うまく年齢とともに言葉を歌詞に落とし込めたら違和感はないですから。50歳になったら、今回のアルバムの歌詞もまだ若いなって思うのかもしれないですけど、今の自分たちがそう思ったんだから、背伸びをしない感じというか、それが今しか作れない歌だと思うし。そういう意味では、人間ぽく作れたんじゃないかな。僕ら2人の人間味は、今回の歌詞に落とし込めたのかなって思います」

──先ほど、こいうアルバムにしようと設計図を書いて作ったわけではなかったという話がありましたが、結果的にどういうアルバムになったと今は思いますか?

常田「うまくまとまったなって思います(笑)。というのも、最初は何も考えずに作り始めて、大枠も何も決めないままだったんです。そこから去年の12月に最後まで収録するかどうか悩んでいた「未来花」を入れることが決まって、そこでこの10曲なのかなって気持ちになりました。そこから曲順を決めて、タイトルも考えていったんですけど、何も決めていないぶん、スリリングでもありました。以前は、“1曲目”っていう仮タイトルの曲があったぐらいなんで、そう考えると大きな変化ですよね。急きょロンドンでマスタリングができることになったのも大きかったですし、そういうことも含めて、よくまとまったなあって思うんです」

──今、曲順も決めずに制作を進めたという話がありましたけど、ラストに収録された「リアライズ」を聴くと、最初からアルバムの最後に入れる曲として書かれたような気がします。

常田「最初はそう思われたくないから、だったら違う曲を入れるっていうことを前のアルバムまではしてました。でも、俺が最後だぞっていう顔をどう考えても「リアライズ」はしてるし、作っていくうちにさらにアルバムのラストにふさわしい曲になっていくし。だったら、誰が聞いても最後じゃないかって曲なんだから、最後でいいんじゃないかって」

大橋「10曲ですけど、内容がある10曲が並んだので聞き応えがあると思うし、しっかりと今やりたいことが表現できたし、前作も気に入ってたんですけど、その前作を上回るものができたなと思っています。前作を上回るのって、むずかしくもあり、でも一番したいことでもあり。曲を作っていけばいくほど、そのメロディーは2度と使えないわけで、作れば作るほど苦しい部分もあるし、曲を作り続けることは自分の首をしめてることなんじゃないかって感覚に陥る瞬間もあるんですけど、『新空間アルゴリズム』では、今までのどの曲とも違うけれども、ちゃんと自分たちの表現したい音楽ができた。それが楽しいし、うれしいんですよね。その代わり、次はどうしようって思うんですけど(笑)。とにかく、今のスキマスイッチのすべてをパッケージングできた喜びはありますね」

(つづく)

取材・文/大久保和則







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