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特集
2015.10.09
ジャパニーズ・へヴィ・メタル

LOUDNESSの世界進出

80年代ジャパニーズ・へヴィ・メタルの中心的存在であり、デビューから35周年を迎えた現在も勢力的に活動を続けるLOUDNESS。名盤『THUNDER IN THE EAST』発売から30年の今年、30周年記念盤がリリースされます。彼らがこの作品にどうやって行き着いたのか。今回も増田勇一さんにお話を聞きました。

LOUDNESSの世界進出

1985年に発売された5枚目のアルバム『THUNDER IN THE EAST』は、アメリカの名門レーベル、アトランティック・レコードからリリースされた。彼らの世界進出となった作品だ。

「高崎さんは1stアルバムで画期的な音を作れた自負がありながらも、海外のへヴィ・メタル・バンドに匹敵するものを作りたいという気持ちは強まる一方だったようで。アルバムの2~3枚目のエンジニアはサンフランシスコから迎えられたアメリカ人(ダニエル・マクレンドン)ですし、ジュリアン・メンデルスゾーンのもと、ロンドンで自己初の海外レコーディングをしたのが4作目の『DISILLUSION~撃剣霊化~』。この作品あたりから、ヨーロッパ方面からの引きが強くなったんです」

少しずつ世界への扉を開いていったLOUDNESSは、83年に初のアメリカツアーを成功させる。

「サンフランシスコでのライヴの後、車でL.A.に移動するのがしんどくて、キャンセルしようかと思ったっていう話があるんですよ。すると“とんでもない。チケットは売り切れているし、追加公演をやってほしいくらいだ”となり、L.A.でショウをやった、それがアトランティックの目にとまり……っていう経緯もあったみたいなんですよね。このライヴには、ミュージシャン関係もすごく来たみたいで、MR.BIGのポール・ギルバートや、イングウェイ・マルムスティーンとも遭遇したみたいです。メタリカからデモテープを渡されたっていう話も聴きますし、それは誘われたっていう話じゃないかと勘繰りたくなるんですけどね(笑)」

その頃、アメリカから発信され、瞬く間に避けて通れない大きな存在となった“MTV”。ミュージックビデオを一般的なものにしたこの音楽チャンネルは、当時のアメリカの“お茶の間”を文字通り席巻していた。

「MTVが浸透してきたことによって、若くてルックスがいいとか、見た目に特徴ある人たちが受けるようになるわけですよね。そうなると〈ブリティッシュ・インヴェイジョン〉か、〈へヴィ・メタル〉なんですよ。そんな動きの中で、へヴィ・メタルがメイン・ストリームに食い込んでいく。各レコード会社のA&Rが、次のヴァン・ヘイレンを、次のモトリー・クルーを探せって物色する。そこに限りはあって、でも何か新しいバンドを探している人はいたという状況があり……そこでLOUDNESSという日本のバンドが面白いと思った人がいたとしても当然のことじゃないかと思うんです」

そんな世界のシーンが大きく動いている中で、日本のロック・メディアは、まだまだ黎明期の最中だった。

「当時、日本の関係者で、ニュートラルな立場の関係者でラウドネスをアメリカで観た人っていうのは少ないんですよね。メーカーや事務所の人間はいろんな形で観にいってるでしょうけど、当時、日本のへヴィ・メタルをジャーナリスティックに評価するような媒体がほぼ皆無に等しかったこともあって、メディアによる現地取材みたいなものがほとんどなかった。だからLOUDNESSのアルバムが、ビルボードチャートの60位代に入ったっていう話は聞いても、実はあまりピンときていなかったんですよね。今回、30年越しで発掘された映像が、“どの程度、本当に受け入れられているんだろうか?”という、当時の疑問に答えてくれる。これはすごいと思います。実は当時、モトリー・クルーのオープニング・アクトとして演奏したマジソン・スクエアガーデンでのライヴについては、ニューヨーク駐在のレポーターの方に、“見たまま報告してほしい”という話をしたんです。彼女はメタルのスペシャリストではないし、日本のバンドについては全く知識を持たない人なんですが、とにかく見たまま報告してほしいと。そうしたら“私はどう考えてもLOUDNESSのほうが素晴らしいと思った”と、ニュートラルな立場から当時話してくれました」

次回、LOUDNESSからギターの高崎晃氏、ヴォーカルの二井原実氏が登場。80年代から現在まで、止まらず活動を続ける、この偉大なロックバンドで活躍するふたりに、『THUNDER IN THE EAST 30th ANNIVERSARY』の話題を含め、たっぷりと話をききます。
(つづく)

増田勇一(ますだ・ゆういち)
音楽雑誌『BURRN!』副編集長、『MUSIC LIFE』編集長を経て、現在フリーライターとして活躍中。制作を手掛ける雑誌『MASSIVE』Vol.20(表紙巻頭特集=THE MORTAL)が10月13日に発売される。

LOUDNESS

LOUDNESSのメンバー
(左から)山下昌良(ベース)、二井原実(ヴォーカル)、高崎晃(ギター)、鈴木政行(ドラム)

LOUDNESS『THUNDER IN THE EAST 30th Anniversary Edition』
LOUDNESS『THUNDER IN THE EAST 30th Anniversary Edition』
11月25日(水)発売
日本コロンビア
【初回限定盤】
「Limited Edition」(CD+2DVD)
COZP-1099-101
7,500円(税別)

【3000セット限定プレミアムBOX】
「Ultimate Edition」(3CD+2DVD+1LP+1EP+1MT)
COZP-1102-9
30,000円(税別)

LOUDNESS『THUNDER IN THE EAST 30th Anniversary Edition』
LOUDNESS 35周年スペシャル企画
ギタリスト高崎晃の半生を語る初の自伝本
『雷神〜Rising 高崎晃 自伝』
12月10日(木)発売
予価(本体1,800円+税)
四六判/224ページ(予定)
ISBN978-4-8456-2717-2
発行リットーミュージック
http://www.rittor-music.co.jp/books/15313001.html