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2019.10.25

アパレル出自のセレクトショップ、物作りの「今」Vol.1――ベイクルーズグループ 株式会社ルドーム「イエナ」編

 1970年代に興った日本のセレクトショップは80~90年代に成長し、小売り、メーカー双方からの参入が相次いだ。競合が激化する中で多様化するニーズへの対応や他社との差別化はもとより、拡大する企業規模を支える利益確保の観点からも、2000年代以降はオリジナル商品の開発が活発化。OEM(相手先ブランドによる生産)やODM(相手先ブランドによる設計・生産)の活用も増加した。しかし同質化の問題も指摘される。その中で企画・生産の背景を持ち、オリジナルへのこだわりが強いアパレル出自のセレクトショップは今、何を重視し、どんな物作りに取り組んでいるのか。ベイクルーズグループのルドーム「イエナ」、ジュンの「アダム エ ロペ」、トゥモローランドのMDを担うキーパーソンに聞いた。

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シンプルだからこそ真似のできないものを。現場の声と作り手との連携で創る新しい価値

アパレル不況と言われ厳しい景況が続く中、躍進を続けてきたベイクルーズグループ。ファッションはもとより、家具・インテリア、フード、フィットネスと多角化を進め、その中で多様な業態を開発・運営してきた。ここ数年ではECの売り上げも大きく伸ばし、全社売上高は1300億円を超えた。 その基軸がアパレル事業だ。シャツを主体としたメーカーとして1977年に創業し、その後、「スピック&スパン」「エディフィス」「ドゥーズィエム クラス」「イエナ」「ジャーナル スタンダード」などの業態を開発し、継続している。その中でイエナは91年の立ち上げ以来、フレンチシックを基調にした大人の女性のためのワードローブを提案し、グループを代表するブランドへと育った。

同ブランドを運営するグループ会社のルドーム上席執行役員CCOの海老沼 愛さんは、学生時代にイエナの店舗でのアルバイトからベイクルーズに入社。さらに販売経験を積み、2009年からMDを担ってきた。その経験から「ベーシックな商品が軸だからこそ、素材からのこだわりがとても重要」と話す。

ベテラン新人含め総勢6名が中心となり、MD、企画とともに国内外の生地メーカーとタッグを組んでオリジナル生地の開発に当たる一方、市販の生地でも別注色に染めたり、加工を変えるなどして独自性を高めている。国内では尾州や浜松などの産地メーカーと直で取り組み、開発・調達。6年前からは市場にない生地の発掘へ向け、海外との取り組みを強化している。プルミエール・ヴィジョンやJITACなど素材展での情報収集や取り組み先開拓にも積極的だ。その一つが、伊・フィレンツェの老舗生地メーカー・マンテコ社。高級感があって肌触りが良く、リーズナブルな生地を使ったコートが人気アイテムとなった。これをきっかけに、マンテコ社は日本のアパレルとの取引が急増したという。

プルミエール・ヴィジョンでの生地セレクト



「価値の高い素材を使うことで目に見えて企画力が上がり、それに比例して売り上げも伸びています。クリエーションをする環境を整えることが会社としての役割と改めて思いました。商売としては売り上げや利益、ロットといった数字はもちろん必要ですが、物作りの起点はワクワクする、楽しむという本来のファッションのあり方。そこからのこだわりとメーカーとの連携で、一見シンプルでも真似のできないものが生まれる」。

より価値の高い素材を求めてメーカーと意見を交換

マンテコ社の生地を使ったコート



このような取り組みは、実は過去の反省から生まれている。グループ自体の規模拡大に伴い、特に2000年代に入って以降は全社的にOEMを活用せざるを得ない状況になっていった。結果的に競合他店との同質化が進み、価格競争になるケースも増えた。グループとしては売り上げを伸ばしていたが、「本来の企画の力を使い切れていなかった」と海老沼さん。それが6年前のことだった。イエナもグループ全体でもOEM活用はかなり減らした。

企画の精度へ重視しているのが売り場の情報だ。店に足を運び、企画した商品がどのように表現され、売れているのか、売れていないのかを、自分の目で見て感じ取ること。「お客様の反応を見たり、売り場をレイアウトしてスタイリングを組んだりすると、店舗パートナー(販売スタッフ)さんが私たちに指摘していたことの意味が飲み込めてくる」。 リサーチと言うよりも、現場との価値観のズレに気づく機会なのだ。そこから「何が必要で、何を修正すべきか、修正で済むことなのか」などを見極め、企画や現場での具体策に落とし込んでいく。

「お客様はネットなどで情報を収集しているので、色展開もサイズ展開も分かっていたりします。来店した時にその情報を超える価値を伝えられないといけません。店舗パートナーさんはそうしたお客様と日々接しているので、何が新しい価値なのかをスタイリングや売り場の作り方など五感で感じ取れるように示す工夫をしています。第一顧客は店舗パートナーさん」。 現場最重視は「ベイクルーズの社員のほとんどが販売経験者で、その苦労を分かっているから」。だからこそ、「作る側の熱量もそのまま現場に届けていきたい」と言う。

ルドームではイエナの他に、「ヴェルメイユ パー イエナ」「ラ△トータリテ」「スローブ イエナ」といったブランドを展開。これらの物作りと並行して、その魅力の伝え方にも力を入れる。その柱となっているのがECサイト「ベイクルーズストア」だ。ブランドに所属するメンバーからウェブVC(ビジュアルコーディネーター)を抜擢し、発信を強化した。旬の商品情報を物作りの背景も含めスピード感を持って伝えることで、購入する価値への理解を促し、取り扱いブランドの平均EC比率は約40%へと高まり、実店舗への送客にもつながっている。

東京・自由が丘にあるイエナの旗艦店「メゾン イエナ」



“アパレル出自のセレクトショップ、物作りの「今」”特集の第2弾はジュン編をお届けする。

(つづく)

取材・文/宮下政宏





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