今回は超大物トランペッター、クリフォード・ブラウンです。若くして不慮の自動車事故で亡くなってしまったため、活動期間こそ短いのですが、その間に残したアルバムはどれも傑作ぞろい。あのマイルス・デイヴィスも、ブラウニーの愛称で親しまれたクリフォード・ブラウンが存命だったら大スターの地位を脅かされていたかもしれないと言われた名トランペッターです。

最初にご紹介する『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』(Columbia)は、正規アルバムとしては彼の最初のレコーディングで、ヴォーカルも入ったラテン・グループとの楽しげな共演。注目すべきは、1952年の時点ですでにテクニック、スタイルともに完成しているところです。トランペットの音色の素晴らしさにご注目ください。

翌1953年、ルー・ドナルドソンをサイドに従えたブルーノートへの吹込みでは、アート・ブレイキーの歴史的名盤『バードランドの夜』(Blue Note)の前哨戦ともいえる快演を残しています。ルー・ドナルドソンの快調なアルト・ソロも聴き所です。

ライオネル・ハンプトン楽団のメンバーとしてパリを訪れたクリフォード・ブラウンは、リーダーの目を盗んでヴォーグ・レコードにレコーディングしました。『パリ・コレクション』(Vogue)はそのときの記録で、ブラウニーのトランペット以外ホーン奏者のいない「ワンホーン」のフォーマットで吹き上げる《ソン・イズ・ユー》《降っても晴れても》は、歌心溢れる名演。

そしていよいよ歴史的名クインテット、マックス・ローチとの双頭コンボの結成です。折り紙つきの名盤『マックス・ローチ・アンド・クリフォード・ブラウン』(EmArcy)は、彼らの代表作にして50年代ハードバップの記念碑的作品。《ジョイ・スプリング》《ジョードゥ》など、まさに名曲名演が満載の傑作です。

『ジャズ・イモータル』(Pacific Jazz)は、クリフォード・ブラウンがウエスト・コーストのジャズマンたちと共演した珍しいアルバム。アレンジの面白さを生かした、スチュ・ウィリアムスのトランペットにズート・シムズのテナー・サックス、そしてボブ・ゴードンのバリトン・サックスという豪華メンバーの演奏には、ハードバップ・セッションとはまた一味違った心温まる魅力があります。

歴代クリフォード・ブラウン・アンド・マックス・ローチ・クインテットのテナー奏者は、最初がハロルド・ランドで次がソニー・ロリンズ。『アット・ベイズン・ストリート』(EmArcy)は、若干荒削りながら勢いに溢れたロリンズに引き込まれ、ブラウニーのトランペットも炸裂。迫力満点のトランペット名盤です。

ストリングスをバックにしみじみとスタンダード・ナンバーを歌い上げた『クリフォード・ブラウン・ウィズ・ストリングス』(EmArcy)は、数ある「ストリングスもの」の中でも特筆もの。そして最後にお送りする《チュニジアの夜》と有名なバップナンバー《ドナ・リー》は、冒頭にご紹介した『ザ・ビギニング・アンド・ジ・エンド』のアナログB面に収録された、ブラウニー死の直前の記録。ソロの迫力、凄まじさには誰しも脱帽!

文/後藤雅洋(ジャズ喫茶いーぐる)

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