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2016.02.24

ポール・ギルバート、ギタリストとしての音楽観
Vol.03 ~未来に繋がる音楽の経験値~

3回連載でお送りしているポール・ギルバートのインタビューも今回が最終回。最後はミュージシャンとしての彼と指導者でもある彼の連続性、そしてその延長線上にあるこれまでの音楽観を語ってくれた。

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――さまざまな音楽のなかに自分なりの好きな部分を見出すことができたり、何かを好きになったことで、そのさらに向こうに新たな興味の対象を見つけることがあったり。そういった際限のなさが“音楽の旅”の醍醐味ですよね。

「その通りだね。音楽である以上、それぞれに何かしらの繋がりがあるはずだし、僕は大概のものを楽しむことができる。これまでの音楽人生について後悔しているようなことも、何ひとつないよ。何故ならここに至るまでの自分なりの音楽的成長過程において、すべてのことに意味があったはずだと思っているからね。ただ、正直に言うと、長年ずっと悔やんでいたことがひとつだけあって……」

――それは何ですか?

「僕自身がちゃんとした先生に師事してギターを学んだことがなかった、ということ。だから最初の2年間ほど、僕のテクニックときたらそれはそれは酷いものだった。弦を押さえる左手は中指しか使っていなかったし、右手に摘んだピックは下から上に向かってしか動かすことがなかった。たった1本の弦しか使っていなかったんだ(笑)。とても制限のあるなかで鳴らしていたんだよ。なにしろそうやってレッド・ツェッペリンの曲をあれこれ弾いてたんだから(笑)。だから、ちゃんとした先生のもとで、正しい弾き方を最初から習得すべきだった、と長いこと思っていたんだ。だけどね、そんな自己流の弾き方をしていたおかげで、僕の指のうち1本だけがめちゃくちゃ強くなったんだよ。アップ・ストロークの強さにも自信を持てるようになった。だから結果、あの“指1本奏法”をやっていて良かったとさえ思えるようになった。ものすごくちっぽけな領域での話だけど、それをプロフェッショナルな域にまで磨きあげることができたなら、それには価値がある。だけどね、今や僕はギターを教えるようにもなっているんだけど、面白いのは生徒たちの多くがかつての僕と真逆だということ。彼らは知識量がすごいのにもかかわらず、まるで自信を持てずにいるんだ。あらゆるスケールを知っていて、さまざまなテクニックを身につけていて、しかも昔の僕とは違ってすべての指を使って弾いているのに、だよ(笑)。そういったさまを見ていても思うんだ、些細なことについてであろうと絶大なる自信を持てるのは大事なことだってね。ホントに屈強なんだから、僕の中指は(笑)」

――中指が強いというのは、嫌なやつに出くわした時に意思表示をする際には便利そうですけど(←もちろん無闇に突きつけるのはお勧めしない)。

「確かに(笑)。でも実際、今はすごく役に立ってるんだよ。ほら、僕は最近になってスライド・バーを使うようになってたりするから」

――なるほど。しかし今の話は、ギターに限らずいろいろなことに当てはまるような気がします。何かを習得しようとする時、まず最初に正しく基礎を身につけることも大事なんでしょうが、それに囚われることなく我流で身につけ、あとから教科書のお世話になるのも間違いではない、ということなわけで……。

「その通り。しかも僕はここ2~3年ほどの間、これまでになかったほど多くの生徒にギターを教えてきた。そこではもちろん、いわゆるテクニック的なことも教えてるんだけど、僕は指に関することばかり学ばせるわけじゃない。ギターを抱えず、手拍子をとりながらリズムについての発見を促すようなこともする。指をどう動かすかじゃなくて、メロディーをどう捉え、リズムをいかに感じるかが大事なんだ。そうしていくことで、自分がその時に感じているものを、まるで歌うかのように表現できるのが理想だと思う」

――なんだかこうして話を聞いていても、あなたがいい先生なのがよくわかる気がします。

「ありがとう(笑)。しかも僕にとって重要なのは、教えるという行為から自分自身が学んでいるということ。世の中でいちばん何かを学べているのは、きっと教えている側の人間だと思うよ」

――すごく頷けます。さて、これまでの音楽人生に後悔のないあなたとしては、これから先、どんな音楽人生を送ることを望んでいますか?

「あまり具体的なことではないんだけども、今の僕のなかでは即興性の高い演奏への興味がどんどん強まっている。それもメタル的なインプロヴィゼーションというよりは、もうちょっとブルージーな意味でのね。前者は指でインプロヴァイズするのに対して、後者は時間の使い方でそれをするようなところがある。それによって、その時に感じていることが音に変換されるようになるというか。言ってみれば僕は、話すように音楽を奏で、会話をするかのように音楽を楽しむことを望んでるんだと思う。たとえばものすごいギター・ソロというのは、ある意味、あらかじめしっかりと書かれた文章に基づくスピーチのようなもの。そうじゃなくて僕は、会話を楽しみたいんだ」

――そうした空気が最新アルバムにも詰まっていますし、あの作品がどうしてああいったものになったのかが、今回の取材を通して理解できたように思います。ただ、もちろん会話のような音楽も素敵ですけど、たまにはものすごいスピーチも披露してくださいね!

「もちろん。どちらかを突き詰めていくと、もう一方が恋しくなったりするのが人間の常だからね(笑)」



文/増田勇一

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