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2018.06.13

cinema staff×アルカラ「undivided E.P.」——飯田瑞規×稲村太佑スペシャルインタビュー

音楽性は違えど、高い演奏スキルとストーリー性のあるバンドサウンドで2010年代のバンドシーンに存在感を発揮してきたcinema staffとアルカラが初のスプリットEP「undivided E.P.」をリリース。音楽で殴り合ってきた盟友ならではのエモーションが体感できる本作について、cinema staff 飯田瑞規、アルカラ 稲村太佑というフロントマンふたりが語ってくれた。

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——そもそもcinema staffとアルカラの交流は、両バンドともまだ地元にいた頃からですよね。

飯田瑞規「2009年に初めて対バンをやったんですけど、俺、その頃学生で、次の日があるんで打ち上げにも出れなかったし、あんまり覚えてなくて。2012年のtricotとの3マンがすごく盛り上がって楽しかったんで、次の年の自分たちの企画に誘わせてもらったのが仲良くなるきっかけでした」

稲村太佑「cinema staffは、当時まだ20とか21とかだったんで、学生やりながらだし、若いし、立ち位置もボーカルが真ん中にいない。ちょっと編成を変えてくる流行りがあったんで、“そういう感じか?あとは、勢いでバーン!て押してくる感じだろ?”って、斜に構えて観てたんですよ。でも、実際にライブを観たら“めっちゃええやんこいつら!”って思ってしまって(笑)。何にしても歌がよくて。飯田くんに“弾き語りとかも、たぶん向いてるよ”という話をしたことをいま思い出したりしながら……でも当時、すぐ仲良くはなれなかったというか、お互いに牽制しあってたっていうか。“ヤバいやつらがいるぞ。出てこんとってくれ”って思いました(笑)」

——なるほど(笑)。バンドとしてもだけど、稲村さんは、飯田さんのボーカルに惹かれたんですか?

稲村「そうですね。何よりも中心に飯田瑞規っていう歌があったんで。エモーショナルだったり激しい見せ方だったり、ちょっと荒ぶってるパンキッシュな感じっていうのはただの表現であって、ちゃんと核があるし、すげえやつだなと思いましたね」

——飯田さんはアルカラに対してどんな印象を?

飯田「対バンもたくさんしてますけど、アルカラのライブを観るたびにメンバー4人ともめちゃめちゃ影響受けて。セットリストだったり、曲間の感じとかいろんなものを学びながら、ほんとに教えてもらうぐらいの気持ちで見てましたね。とにかく毎回バンドマンが憧れるライブをしてくれるというか。あと、エンターテイナーとしての凄さみたいなところ。みんな知ってるかもしれないし、隠れてるのかもしれないけど、太佑さんはバンド界隈でもトップレベルで歌が上手いと思ってるんで」

——両バンドともスキルは高いけど表現のベクトルが違うので、今回のスプリットは意外といえば意外で。

稲村「各地をツアーで回ってる時に、お互いにリスペクトしあってて、好きやな、いっしょにいて面白いなっていう延長戦上で、いつかスプリットを作れたらいいなって、何となく酒の肴にしてたんですよ。それがcinema staffが頑張ってくれて、いきなり本格的になったんです。今回いろいろとインタビューを受けさせていただいてわかったのが、お互い、歌がしっかりどーん!とあればあとは何とかなるじゃない?ってところや、手を抜かないというか、一音に一生を賭けてる感じがもともと基礎としてあるんです。そういうところがバンドマン同士、惹かれ合う何かなのかな、って腑に落ちたところではありますね」

飯田「リスペクトするバンド、かっこいいバンドはもちろんいますけど、アルカラとcinema staffはアウトプットが違うように思えて同じだし、同じように思えるんだけど違う。でも共通する部分としてひねくれ感というか、主にアレンジですかね、ギターの感じとか。シネマの言い方でいうと、いい意味で無駄が多い。“このアレンジいるのか?”じゃなくて、“ここがほんとにオリジナルなんだ”ってことで。まっすぐいけばいいものを蛇行しながら、それがオリジナルとして確立してるものなんだっていうのがすごく似てるところですね」

稲村「今回、cinema staffのカバーをさせてもらったんで、それを紐解いてみるとやっぱ複雑怪奇な展開になってるんだなってわかったというか。なんか、“顔が好きやから”って付き合ってたけど、やっぱちゃんと深いとこがあって、それでもっと、もっと好きになる、みたいな関係になったんじゃないかなと。すいません、急に薄っぺらくなってしまいまして(笑)」

飯田「いいじゃないですか、中身も褒めてもらって(笑)」

——ところでおふたりにとってスプリット文化からの影響ってありますか?

飯田「世代的には175RとSHAKALABBITSが出してたりとか。あとはコンピが好きだったので、ディズニーのトリビュート盤『ダイヴ・イントゥ・ディズニー』(BEAT CRUSADERS、HUSKING BEE、DOPING PANDAらが参加している)とかですね」

稲村「コンピがあってひとつのアーティストが好きで、他のアーティスト知るきっかけになったりっていうのが当時は主流にあって。地元のライブハウスでも、ライブに出てるバンドのオムニバスCDを作ってそれを安い値段で売って、ひとつのバンドを応援してるお客さんをみんなで分かち合おうじゃないですけど、広げていこうみたいなコンセプトがあったんですよ。今はネットも含めて、聴いてもらう手段が増えたから、みんなでわかちあってやろうよ!ってやらなくてもできるのかもしれないですけど、そういう時代からこそ、リスペクトできるバンド同士でやる意味が大きいと思ってますね」

——今回、新曲も、カバーも、共演も入っていてなかなかのボリュームですが、このスプリットに対してどういう新曲を作ろうと思いましたか?

飯田「1曲目の「first song(at the terminal)」は、このスプリットの話がある中で、今年の2月に高崎でアルカラと対バンした時に、アルカラは「サースティサースティサースティガール」をライブでやってて。この曲のイントロがめちゃくちゃカッコよくて衝撃を受けたんですけど、この曲と張れるぐらいの曲でないといけないねってところで話はしてましたし、歌詞自体はアルカラ目線というか……僕らも今年CDデビューしてから10周年で、いろいろあったし、いろんな人の気持ちとか離れていくものに対しての歌詞になっていて。そういうエモーショナルな内容だし、1曲目にすごく合ってるんじゃないかと思いますね」

——アルカラは「サースティ〜」をもうライブでやってたんですね。

稲村「今回、ギターで9mm Parabellum Bulletの滝 善充が参加してくれてるんですけど、年明けのツアーで、彼がサポートをやるってなった時に、“どうせやるんだったら新曲作りましょうよ”みたいな話になって作った曲なんです。9mmはシネマとも先輩後輩だし、このスプリットでもギターで参加してって時、いろんな交差点が繋がってるというか。この曲を入れるとなった時点でスプリットをやることの意味があるというか……それはすごく思いましたね。僕らも体制が変わって新しくしていこうって時に、なんとか乗り切ろう!じゃなくて、新しいものを作ろう!ってきっかけになったし。もちろんシネマの10周年っていうのもあると思うんですけど、新しいところに行って欲しいからって気持ちでアルカラを誘ってくれて、それは彼らの思いと愛が詰まってることなんで。「first song(at the terminal)」と「サースティサースティサースティガール」の2曲でもうこのスプリットは完成してますね」

——確かに。「first song(at the terminal)」は初期っぽい印象があります。

飯田「そうですね。よく“シネマっぽい”って言われてます(笑)」

——滝さん vs 辻さん的な構図も感じるというか。

飯田「ああ、じゃ完敗ですね(笑)」

——完敗じゃないと思いますけど(笑)。そういう聴き方もしちゃうというか。

稲村「いいですよね。ここにたどり着くまでいろんな歴史があるなって。なんとなくcinema staffってバンドがいて、アルカラってバンドがいて、なんかいいタイミングで売り出しましょう!こうやったら盛り上がるんでやりましょう!じゃなくて、結果そうなったっていうところに、ここにたどり着くだけの理由があったなと思いますね」

——そしてカバーもですが、お互いに面白いところをチョイスしてきたなと。シネマはなぜアルカラの「チクショー」を?

飯田「これはめちゃめちゃ悩んで。シネマらしく、しかも自分の声も生きる候補は他にもあったんですけど、「チクショー」にしたのは、アルカラを好きな人がいちばん体に染み込んでる曲を、新しいバージョンで聴いた時の体験をして欲しい、一発でわかるような曲にしたかった、っていうのもあったんです。気づかれてるかわからないですけど、この曲のイントロのから、アルカラの、過去の楽曲のフレーズが各所に散りばめられているんです。それはアルカラのメンバーというよりは、アルカラのお客さんにどう響くか?みたいなことを思いながら作ってた。ここで認めてもらいたいし、全部ひっくるめて作ってますよみたいなところを伝わるように。だから愛はすごくこもってると思うし、宝探しみたいにいろいろ見つけられると思います」

稲村「うちのベースの下上(貴弘)は、これを聴いた時、泣いたらしくて。泣いた瞬間にピンポーンって宅配便の人が来たのに出れなくて、不在票がそっと入れられていたというエピソードが(笑)」

——確かに、お前らの気持ちはわかったから!みたいなカバーですね。

稲村「愛情が洪水のように押し寄せてくるって、これファンの方は絶対喜ぶだろうし。シネマがアルカラのことをすげえ好きなんやっていうのが嬉しすぎてっていう感じですね。で、歌もめっちゃセクシーやし。僕が20代で作った、若い雑な感じの歌も、飯田瑞規が歌うとこんなにセクシーになるんやなってすごい発見でしたね」

——そしてアルカラはシネマの最も有名な曲をチョイスしてますね。

稲村「いっぱい候補曲はあったんですけど、“シネマといえばこの曲”というのを選びました。cinema staffの曲って、見えないところのアレンジとかが、もうバッチリ詰まってるんで、逆にいうと完成されてるし余白はないんです。で、いかにテンポを上げたり下げたり、リズムを変えたり、たとえばボサノヴァっぽくやるカバーとかだとあんま意味がないなと思って。それだと曲の良さを伝えてない、ただメロディだけ残ったみたいなものになると感じたんですね。特にこの「great escape」って曲は、音階がクラシカルでヨーロッパな匂いがしたんで、それを逆にバイオリンでやってあげたら、逆にその要素がどーんと濃くなって見えるんじゃないかな?と思ったのがこの曲を選んだ理由なんです」

——このカバー2曲もお互いにKOしに行ってる感ありますね(笑)。

飯田「ほんとにしてやったりみたいな感じありますよね。「チクショー」と「great escape」が並んでるだけでめちゃめちゃ気になりますもんね」

——なりますなります。殴り合ってる感じ(笑)。ここまでの4曲がバーサス感がすごいのにラストの「A.S.O.B.i」共演が……。

飯田「そうですね、和気あいあいと」

——なんですか、このファンキーなパーティチューンは?

飯田「ははは!」

稲村「どっちにもない要素の音楽をしたいっていうのと、コラボ曲を“どうします?”って相談をした時に、今回は、シネマがせっかくスイッチを入れてくれたから、せめて僕ができることやりたいなと思って。“コラボ曲は僕に任せてもらっていいですか?”って」

——なるほど。

稲村「内容が濃くなるのわかってたんで、コラボは3コードで、誰でも楽器を持ったらすぐできる曲にしようとしてたんですけど、だんだんね、どんな曲にしようかな?って考えると、どうしてもいろんな思い出が出てきて。最初に出てくるギターのメロディとかもいっしょにツアー回った時に買ったおもちゃから流れるメロディから着想を得たものだったりとか、そういういろんな思い出の中に、ただ押したら鳴るサックスの音があって。やっぱりサックスの音って、コードとかリズムを当てようとすると、どうしてもジャズやファンクとか、そっちの音楽になっちゃうんで、ふだん押さえへんようなコード感が出てきて。そうなってくるとだんだん面白くなってきて」

——この2バンドでこうしたグルーヴの曲を聴けるのは得した気分です。

飯田「ははは!得した気分(笑)。誰も想像してたものとは違うと思いますね。面白いドアを開けてくれた感じですごくいいっすね」

——肩の力の抜けたものにはならなかったっていうのが、いかにも稲村さんらしいですね。

稲村「そうですね。ふだんやらないことをどんだけ真剣にやれるかみたいな。1曲目、2曲目、あるいはカバーで十分伝わってると思うんで、いかにタイトルどおり遊びっていうか、ふだん見せないちょっとふわっとした自由時間みたいな、ツアーを回ってたことがリンクしてる曲ってことだったんですけど、結果、真剣に遊んでしまいました(笑)」

——打ち上げってこう言うことなんだなって、曲からイメージしました(笑)。

飯田「ははは!バンドマンにとって大きなものなんだなって思いますね」

——そして対バンという場がいかにバンドにとって大事なのかも、なんとなくわかります。

稲村「僕らの場合、ありがたいことにお互いのツアーに呼んだり、呼ばれたりすることができたんで。自分らの本気の部分に来てもらう、あるいは逆に迎えてもらうっていう意味を考えるバンドだし。だからってそれをいちいち重く考えずに、打ち上げでわーっとなって、その時に答え合わせができたり、ライブが楽しすぎてお互いのライブがかっこよくて尊敬できる。でもそれだけだと足りないからもっと深く知りたい、そういう関係になれたのが、今回のような作品を作らせてもらうきっけかけになったのかなと思いますね」

——ちなみに2マンでライブはやらないんですか?

飯田「めっちゃやるんですよ。14本(笑)」

稲村「“行きたいとこ言い合おうぜ!”って言ってたら、“これ全国やん!”って」

飯田「スタッフに見せたら引いてましたね」

稲村「東名阪とかバランスとって効率よくやる感じがいいんでしょうけど、結局、“ふだんより回ってるやん!”って」

飯田「仲悪くなってる可能性ありますね。逆に(笑)」

稲村「ははは!undividedじゃなくてdividedしてるかも?」

(おわり)

取材・文/encore編集部
写真/encore編集部



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2018年6月13日(水)発売
PCCA-04674/1,852円(税別)
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