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2018.04.06

RUEEDインタビュー———RUEED×ATSUMI YUKIHIRO『ACOUSTIC SESSION』

RUEED。15歳にしてレゲエDeejayとしてのキャリアをスタートし、2007年、当時18歳で「ROAD TO 横浜レゲエ祭」史上最年少優勝。以降数々の作品をリリースし、2017年、兄である窪塚俊介とともに映画『スカブロ』に出演。エンディングテーマも手掛けた。今年活動15周年を迎えたRUEEDのキャリアと、その音楽観、RUEED×ATSUMI YUKIHIRO名義の最新作『ACOUSTIC SESSION』に迫るインタビュー。

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——encore初登場のRUEEDさんです。まずはRUEEDさんが音楽を始めるきっかけについて教えてください。昔から音楽が身近にある環境だったんですか?

「普通に兄貴が聴いてる音楽を聴いているみたいなノリで最初は入って。でも、その衝撃が、子供から知っていたような音楽じゃないものに触れた時になんかすごいやりたいなって思って。自分の好きな音楽をやっているって感じですね。ルーツやベースにはもちろんレゲエがあって、今もレゲエのシーンでやっているけど、どんな音楽でも聴きますね」

——その衝撃とは?

「俺は最初はHIP HOPで。スクラッチっていう文化を目の当たりにして。DJ Q-BertとかAFRAが出ている『Scratch』っていう映画を見て、それでもうターンテーブル欲しい!って。その時、兄貴が“じゃあ、誕生日だから買ってやるよ”って買ってくれて。そこからのめり込んでいった感じです」

——そしてレゲエにも出会ってと。

「HIP HOPのレコードを買うのといっしょに、レゲエの7インチを誰がどうとかわからないで買ってたっていうのが最初ですね。14、15歳で訳もわからず、ターンテーブルあるからミックステープ作ってみようじゃないけど。ラジカセにブッさしてRECして、学校行って友達にあげるみたいな。同い年にはいなかったんですけど、ひとつ上、ふたつ上はそういう人がいっぱいいて。そこに混ざっていっしょにやり始めたって感じですね。横須賀はチャンプルーしているっていうか。ロックの人とHIP HOPの人が仲良かったり、そういう繋がりがあって。自分は超ガキでしたけど当時からみんな仲良かったですね」

——アートフォームとしてレゲエを選んだ理由は?

「なんかすごい自然な流れというか。当時は世間的にレゲエも勢いがついてきて、大きい波でHIP HOPに負けないパワーが出てきてた頃で。先輩達もHIP HOPやっている人もいるけどレゲエのDeejayやっている人もいて、そんな中でガキなりにレゲエをレコードでプレイしているそっちの方が楽しかったからレゲエのレコードをメインに買うようになって。お金もかからないし、書いてみようって感じでリリックも書きはじめました。当時聴いていた日本語のラップとかレゲエだったり、向こうのレゲエもHIP HOPも聴きつつ影響を受けて。自分の中ではハイブリッドな感覚はありますね」

——レコードはどこで掘ってたんですか?

「結構渋谷に。中学生の時とか全然知らない場所に行くみたいな感じで渋谷行って色んなレコード屋さんをチェックして巡るみたいな。で、兄貴の家に行くっていう。そういうのを何度もやっていて(笑)。あとは、横須賀にIrieYardっていう通販専門のレゲエのレコード屋さんがあって、よく遊びに行ってレコード堀るみたいな」

——さて、ここからは最新作である『ACOUSTIC SESSION』についてお聞きしていきます。今回は渥美幸裕さんとのセッションアルバムですが、渥美さんとのタッチポイントは?

「横須賀のイベントでセッションして。トラックの上にギター弾いてて、それに合わせて俺も歌ってみたいな。そっからですね。渥美君は“ちゃんとそこに居てよ”って言わないとどっか飛んでっちゃうような……宇宙です(笑)」

——一発録りですか?

「そうです。一発録りですね。コンセプトというか、ルールというか皆で考えて、それがいちばんいいんじゃないかみたいな」

——盤全体を通じてルーツレゲエのようなイメージも受けました。

「レゲエにはやっぱりそういう美学が存在していて、ダブっていう文化があったりもするので。ブースに入ってイントロでなんか喋って、オケくれって言ってエンジニアがオケ流して、一発でRECしてそのまま金もらって帰るみたいな」

——かっこいいですよね。

「そのかっこよさみたいなのがまだちょっとあるので。その生感というか、特に渥美君はギターだし、ギターとマイク、声という部分でそこの化学反応というか。もちろん作りこんでやるやり方もあるし、その方がいい場合もあるんですけどいっしょにライブやってて音源を出してきてなかったから、じゃあライブでやる曲を一発録りでやってみようって。アコースティック用のアレンジを渥美君がしてくれて、それで俺が歌うというかたちなので」

——渥美さんと制作するうえで面白かった点は?

「渥美君ていい意味で変わっているじゃないですか(笑)。俺はそういう人がすごい好きで。ふわーっとしているけど、いざギター弾くと超天才!全然危険なニオイはしないけど、なんか持ってかれちゃうというか……こっちがフラついたら、全部持ってかれちゃうくらいのパワーを持っているなと。あの繊細な音で。録っている時はスリリングですけど、同じグルーヴを共有する瞬間がいちばん気持ちいいし、なんかドラマがありますよね。一時間セッションしてるなら、その中でゼツい瞬間にグッと来るというか」

——逆に難しかった点は?

「一発録りっていうルールの中で、あそこはもっといけたなとか、そういう瞬間があって。基本的には1曲3テイクくらい録って、その中からいいやつをチョイスする感じでだったんですが、それを自分の中ではどこで良しとするかみたいな部分の葛藤はありましたね」

——本作ではじめてRUEEDを聴く人へのおすすめ曲は?

「今まで自分がやってきたフィールドじゃないフィールドだなって思っていて。まず、収録曲を絞るのがすごい難しくて。「SCENARIO」の渥美君との化学反応だったり……うん、ちょっと難しいですね、全部聴いてくださいってことで(笑)。曲数的にはEPって感じかなと思うんですけど。このセッションで終りにしたくなくて、いろんな人といろんなセッションを出していけたらなと。所属しているマグナムレコーズでもやっているレゲエとかダンスホールミュージックとは違うかたちのアウトプットで」

——本作はさらっと聴ける印象です。構える必要がないというか……

「逆にそうあって欲しいなと思ってて。本当に自由に聴いてもらえれば。例えばある曲は俺にとっては悲しい曲だけど、違う人にとってはそうじゃなかったりするじゃないですか。俺が知ることはないけど、女に告白した時にかかってた曲とか、そんなメモリーになっていって欲しいなって」

——レゲエ独特の踏み方というか抑揚がありますよね。

「メロディがある分そういう風に聴こえるときがあるかもしれませんね。でもなんか、日本でいうところの演歌っぽいというか。演歌のこぶしみたいなところがレゲエにもちょっとあって。発声方法というか、抑揚というか。そういうのがレゲエDeejayにはあって。RUDEBOY FACE然り。韻のグルーヴもあるし、個人的には韻ていう部分が日本語のラップへのフックだったりしたので、そういう部分は今でも大事にしています。バチバチに踏んでるのもかっこいいけど、できるだけ自分に素直に、と」

——リリックを書く時に大事にしている点は?

「細かいところはあるんですけど、やっぱり曲が雰囲気を持っていないと。一方的な俺の勝手なイメージだけど、それぞれの曲ごとに雰囲気を持ったうえで世に出したいですね。それがなんかもやっとしてたり、薄い感じで仕上がっちゃったりするとボツにしますし」

——ではいちばん影響を受けたアーティストは?

「やっぱりRUDEBWOY FACEですね。近くにいても先輩風吹かして顎で使うような人じゃないし、口で褒めたりはしないですけど俺がちゃんとカマせば評価してくれますし。で、頼りにもなる。Deejayスタイルも俺はすごくかっこいいなと思います」

——RUEEDさんにとってライバル、あるいは気になるアーティストは?

「ライバルは、今、完全に自分ですね。自分には勝たないとみたいな感じはありますね。そこにもやっぱりRUDEBWOY FACEは出てくるし、常に刺激を与えあう関係だからこうやってマグナムレコーズにもいるし、まあみんなライバルですけどね。俺も友達のライブ観たりするけど、あまりにも本気になって観てると悔しくなるから(笑)。気になるアーティストはたくさんいますけど、ラッパーだったり多ジャンルのアーティストともやりたいですね。あと、俺がボーカルをやっているDerailersっていうバンドで以前コーラスとドラムで製作に参加してもらったこともあるんですが、mabanua君とはまたやってみたいですね」

——無人島に3枚だけCDを持っていけるとしたら?

「どうなんだろう、こういう時って自分のCDとか持ってくのかな……超悩むな(笑)。ザ・ルーツの「Do You Want More?!!!??!」は絶対持っていきます。あと、ボブ・マーリーのベストとか。永遠に聴けるし。あとは、そうだな……ブランクCD持ってって自分でRECしようかな(笑)」

——所属するマグナムレコーズについて教えてください。

「メンバーはRUDEBWOY FACEとAKANEと俺の三人で。元々はRUDEBWOY FACEの個人レーベルで、そこに行って遊ぶようになって。この日から所属します!っていうのではなく、自然とそこに身を置いていたって感じで。なんていうんだろうな……共通の認識というか、それをみんなでちゃんとまとめられる場所と思ってます。」

——今後のレーベルの展望は?

「近々だと、一昨年にDJ HAZIME君のオケで、マグナムレコーズの三人とPUSHIMで「ASOBITAI」って曲を出したんですけど、同じメンツでそれの続編的な「COMAGAIN」って曲を作って。で、PUSHIMと俺らで5月から「COMAGAIN」っていうツアーをやる予定です。あと個人的には15周年ということもあるので、ソロの動きも強化してやろうかなって」

——レベルミュージックという側面からレゲエで何を伝えたいですか?

「レゲエの発信しているメッセージの魅力……レベルミュージックとしてディスったり、もっと違う言い方で諭すこともあるし、あえて相手にしないってアクションもあるし、いろんなかたちがあると思うんですけど。なんにせよ、その人の人生を変えることは出来なくても、きっかけひとつで人生は変わるから、そのきっかけを与えられる曲が一曲でも多ければいいな」

——RUEEDさんから見て、最近のレゲエシーンの大きな変化は?

「イベント形式も含め、この十年で大きく変わりましたね。あとはシーンも含め、みんな心が広くなったというか(笑)。昔はTVに出てたら悪い意味でポップとか批判するやつが大勢いたけど。今は純粋に人気とか動員に繋がったりするくらい、オーバーグラウンド、アンダーグラウンドみたいな部分がすごい近くなったと思います。TVには出てないけど、YouTubeで火がついて人気者になったりするわけじゃないですか。だからキッカケは自由だし、そいつ次第ですよね」

——アナログからデジタルへという変化は肯定的に捉えていますか?

「たぶん、ここ数年でレゲエを始めた子たちは、そんなにレコードなんか買ってないと思うんですよ。現場に重いレコードを持ってかなくていいし、それはそれで機動力も上がるわけだからいいだろうなとは思いますけど。個人的には、ヴァイナルファンで、針を置く後ろ姿とかそういうのがカッコいいって頭に入っちゃっているので。でも、なんだかんだ最近またアナログブームっていうのもあるので、若い子たちが手に取って、なんかデジタルとは違うって気づくことになればいいなって思います」

——ではそんな若い世代にメッセージを。

「“音楽聴かないんです”みたいな子たちがいるじゃないですか。でも、そういう子たちでさえ“これは好きかも!”っていう音楽が絶対に存在すると思うので、誰かがダサいって言っても自分がかっこいいと思う音楽を素直に聴いて欲しいですね。で、さらにアーティスト同士の相関関係だったりをディグることの楽しさに気づいてくれたらなって思います。時代の波は止めれないし、ストリーミングなんかも便利でいいと思いますけど、与えられたものだけが自分の世界になっちゃうのはもったいなさすぎるなって。自分の世界だけで生きているやつと、そこから飛び出せるやつがいたら、後者の方が絶対楽しいはずだから。自分の好きな音楽を聴いて、自分の人生をより楽しんで欲しいなと思いますね。で、もしかしたらその好きな音楽がRUEEDかもしれないので一回聴いてみてくれたらうれしいです」



(おわり)

取材・文/じゃけ(GunJapanez)







RUEED×ATSUMI YUKIHIRO『ACOUSTIC SESSION』
2017年11月15日(水)発売 ※2018年3月16日(金)配信
MAS-1001/1,389円(税別)
Magnum Records


RUDEBWOY FACE, RUEED, AKANE, KillaNami『THE MAGNUM』
2018年3月7日(水)発売
MGR-1008/2,130円(税別)
Magnum Records


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