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2017.05.25

TOKYO HEALTH CLUBインタビュー——ユルいけどタフな『MICHITONOSOGU』

2016年リリースの前作『VIBRATION』でManhattan Records(LEXINGTON)に移籍したTOKYO HEALTH CLUB(トーキョーヘルスクラブ)が、最新ミニアルバム『MICHITONOSOGU』(ミチトノソウグウ)を完成させた。良くも悪くも「ユルい」や「サブカル」と評されていた彼らだが、そういった文系的なキャッチーさを残しつつ、芯の強いタフな作品を完成させた。

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——前作『VIBRATION』から最新作『MICHITONOSOGU』までの間に、MACKA-CHINさんの『MARIRIN CAFE BLUE』収録の「ズラカル feat. TOKYO HEALTH CLUB」への客演や、MAGiC BOYZ「3.141592」のプロデュースなどの外仕事がありましたね。

JYAJIE「繋がりが増えていったし、それが結果、色んな仕事にも広がっていって」

DULLBOY「「東京Swingin’」はWEGOとのコラボ企画「WE GOOD TOKYO」のテーマソングだし、「supermarket」は「モヤモヤさまぁ〜ず2」のED曲に起用して貰ったり」

TSUBAME「その意味でも『VIBRATION』を出してから、色んな人が見てくれるようになって、活動の幅が増えたと思いますね」

——今までのTHCは「ゆるい」と言われがちだったけど『MICHITONOSOGU』は、非常に真っ直ぐに、ヒップホップとして格好いい事ができるという事実を提示した作品になっていて。

JYAJIE「そこをちゃんと狙って作ってみようかっていうのが、制作の原点にあったんですよね」

SIKK-O「シティポップ感を前回は利用しようとしてたし、そう思われてもいいと思ってたけど、今回はそれを裏切らないといけないとも思ったんですよね」

JYAJIE「なんとなく、そういうシティポップ感みたいなモノが流行りでもあるじゃないですか」

——今まで内包してたHIP HOP性みたいな部分に、パラメーターをかなり多く振ったというか。

JYAJIE「根本的なTHCらしさは変わってなくて、進め方の違いだけだと思いますね。でもそこに向かうために、トラックやリリックを変化させる事は意識しましたね」

SIKK-O「トラックの違いがいちばん大きいよね」

TSUBAME「『VIBRATION』はラップを聴かせるためのトラックを意識したし、色んな人の意見を取り入れてあの形になったんですよね。だから正直、自分個人が好きなトラックというよりは、イメージにトラックを沿わせたり、THCに求められるトラックを作る作業でもあったから、『VIBRATION』のトラック制作は大変で。だけど今回は自分が単純に良いと思える、好きなタイプのトラックを前面に出したんですよね」

——質感的にもクリアさよりも、ざらつきだったり、ラフな部分を感じますね。

TSUBAME「わざとサンプルも荒く切ったり、あえてノイズを残したり、弾きも入れたけど、それをエンジニアのSUIさんに汚して貰ったりして、キレイに纏めてはいないですね。そういう空気感を出したかったし、その質感にアルバムのトーンやラップを合わせて欲しくて。それは、こういうトラックで作りたい、っていう気持ちと、そういう音像とラップでも、ちゃんとリスナーに届く品質になるだろうなっていう自信が持ててたからなんですよね」

SIKK-O「だから今回は改めて4人に立ち戻って作った作品ですね。4人での会議も増えたし、録音も宅録に戻したり。初期の制作の感触に近いんですよね」

JYAJIE「1stの『プレイ』や2nd『HEALTHY』でやりたかった事がようやくできた感じもあるよね」

TSUBAME「うん。本来求めてたモノに自分たちの技術力が追いつけたと思うし、ようやくそれが出来たんだと思う」

SIKK-O「感覚的にも、いままでみたいなオフザケは止めて」

TSUBAME「クール目に寄せようって」

SIKK-O「……なんでそうしようって話になったんだっけ?」

——一番重要でしょ、そこ(笑)。

DULLBOY「根本的には『VIBRATION』と同じようなものを作っても受け入れられないし、自分たちも面白くないよね、って」

SIKK-O「そうだそうだ。且つ、今回のベースになってるような90sヒップホップの質感がTSUBAMEのデモにあったから、ミニアルバムをその空気感で統一するのも可能だし、今までそういう作風もやってこなかったから、面白そうだよねって」

JYAJIE「それに、6曲だからちょうど良く収まったのかなって。12曲とかこのテイストだと、ちょっと難しいし、聴き疲れるかも知れないけど」

——その意味でも、4人でチャレンジや実験してるような雰囲気も感じたし、それができるパッケージだったという事ですね。

JYAJIE「一曲目の「未知との遭遇」からしても家感っていうか、ガレージ・ヒップホップのような印象が僕らの中で強くて。遊びつつ、でも割と渋く作れたと思うし、この曲を作った事で、アルバムの全体像が見えた感じですね」

SIKK-O「全体の匂いが決まった感じだよね」

——ドラムとベース・ループを軸に引っ張っていって、そこにカラフルに上モノが乗かっていく感じも、90sっぽい質感があって。

JYAJIE「フックもジュラシック5っぽい、ユニゾンで引っ張っていく感じにしたくて。そこはかなり練習しましたね」

SIKK-O「この曲みたいな、ユニゾンで揃えるようなメロ・フックは今まで無かったし」

DULLBOY「このアルバムのどこが良かったって話をした時に、フックがいちばん良かったっていう話になるぐらい、全体的に今回はフックにはこだわってるし、メンバーも気に入ってますね」

——とは言え、アルバムの入り口が“お目にかかりたい/鍵かかった胸にかかるG”という非常にボンクラなリリックで始まってるのも、しょうがねえな、と(笑)。

TSUBAME「JYAJIEは胸ネタが多いよね。「東京Swingin’」の“あの子のBust No Gravity”とか(笑)」

SIKK-O「巨乳好きが出ちゃってるね」

JYAJIE「いやいや、デカい小さい関係なく、おっぱいは好きなんで」

——振っといてなんだけどどうでもいいわ(笑)。「TAXI」はメンバー3人がそれぞれ別の女性キャラクターを演じてるのも面白いですね。

SIKK-O「タクシーを題材にした曲が作りたいっていう前提があって、その上でDULLBOYが“乗客が俺らのライブを見に来るっていうイメージにしたらいいんじゃない?”って。明確なストーリーテリングは今までやってなかったし、しかもそれを女性の目線で書いてみるのも、新しい方向性に進んでるこのアルバムに相応しいと思ったんですよね。だけど、最初に話し合わないで作ったら、みんなやさぐれたOLみたいになっちゃって(笑)」

TSUBAME「女性のイメージ作りがヘタだったという(笑)」

DULLBOY「女の子のことをあんまり分かってないのに、こういう内容を書くのってウケない?っていう、なんちゃってな部分もあるよね。MVをもし作ったら、僕らが女装して出てくるパターンとかも出来そうだし(笑)」

——それぞれの物語が、最後はTHCのライブ会場に収斂するっていう群像劇的な構造がスゴく良く出来てるなと。

SIKK-O「DULLBOYがそこは纏めてくれて。というか、この曲になったらいきなりDULLBOYが仕切り始めて、誰よりリリックをちゃんと考え始めて。いつもは遅れてきた上にリリック書いてないようなやつなのに(笑)」

JYAJIE「来なかった時すらあったのに(笑)」

DULLBOY「責任感出たよね」

JYAJIE「「CITY GIRL 2015」とは違う街の書き方もしてみたかったんですよね。アルバムでこれが一番最後に出来た曲だったよね。トラックも最後に上がって来て」

TSUBAME「色々出したんだけど、DULLBOYにボツにされたトラックもありつつ。オーダーがいつもキツイんですよね。“これは売れるみたいなの上げてこい”とか、“安心するトラック混ぜといて”とか。リリック書くのはいちばん遅いくせに!(笑)」

DULLBOY「でも、色々ボツにした挙句に出てきたトラックが最高だったから、メッチャいいじゃん!良い曲になるじゃん!って思ったよ」

——全体的に、ヒップホップらしいアルバムでありつつ、いわゆるマッチョな方向性ではないっていう感覚はこれまでどおりなんだけど、「IT’S ALL RIGHT」はメロディー感であったり音感的な部分が強い曲ですね。

TSUBAME「フックのメロディーはJYAJIEが考えたんですけど、そのアレンジと歌をkiki vivi lilyさんにお願いしたら、スゴく良いものが返ってきて」

JYAJIE「僕の入れてたラフが全然良くなくて、やべ〜、大丈夫かな〜と思ってたんだけど、kikiさんにやって貰ったらもう一気に完璧になって。20点が100点になった(笑)」

TSUBAME「kikiさんの才能で保ってるような曲ですよ(笑)」

SIKK-O「リリックもアルバムの中で一番苦戦したよね。どう固めていくかを手探りで作った感じで」

JYAJIE「まずテーマとリリックを噛み合わせるまでに時間がかかって」

SIKK-O「セルフ・ボーストにしたいっていうイメージはあって、トラックに勢いもあったから“さくっと作れそうだね”みたいな感じだったんだけど、いざ作り始めたらセルフ・ボーストに慣れてなさすぎで全然噛み合わなくて(笑)」

——「supermarket」は、トラックの浮遊感はこれまでのTHCと近いイメージがあるけど、リリックは内省的だったり、自分の気持ちを書く部分があって。

SIKK-O「HIP HOPのアルバムにしたかったから、そういった部分を出す必要があるなって。だから俺はこう生きていて、こう思ってるみたいな事も曲にしたほうが良いなと思ったんですよね」

JYAJIE「ちょっとこっ恥ずかしい部分もあるんですけど、あえてそれをラップにしてみて」

DULLBOY「ラップを通して言いたいことが出てきたんだとも思いますね」

SIKK-O「でも“俺はこう思うぜ!”じゃなくて、“俺はこう思ってるけど、そっちはどう?”』っていうテンションですね」

TSUBAME「THCはやっぱり閉じてる部分もあると思うし、それは打破したい部分でもあるんですよね」

——その上で、これからの作品についてイメージは浮かびましたか?

SIKK-O「次がどうなるって事は全く考えてないっすね」

——威張って言うな、という感じでだけど(笑)。

SIKK-O「必死なんですよ、“いま”に(笑)。やっぱり、これからのライブが楽しみですね。曲数やバリエーションが実際に増えたと思うし、いろいろ新しい展開も見せられればなって」

TSUBAME「他人の反応や目線を消化したり——こう言われてるけど、とか——して新しいイメージが浮かぶ事も多いので、今回も反応を受けてからまた新しい事を考えられたらなって。作品としてはHIP HOPらしさを目指したけど、同時にコミカルとかサブカル、緩め、みたいな、今までのTHCのイメージを望むような人のシーンにも、ちゃんと食い込めるようなポジショニングが出来ればいいなって」

SIKK-O「“THC、ホントに大好きです!”みたいな人が増えたりすると嬉しいですね。そんな人がいるんだ!?とも思うし(笑)」

JYAJIE「共感を求めるような曲を作ってないのに、それでも好きですって言って貰えるのは面白いよね。“お前もヤバイんだな……”って」

——リスナーと傷舐めあってどうすんだ(笑)。

(おわり)

取材・文/高木“JET”晋一郎
構成/encore編集部



TOKYO HEALTH CLUB『MICHITONOSOGU』
2017年5月17日(水)発売
LEXCD-17009/1,500円(税別)
MANHATTAN/LEXINGTON


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