松本 隆 作詞活動50周年記念オフィシャル・プロジェクト「風街オデッセイ2021」

半世紀という大きな節目である作詞活動50周年を迎えた松本 隆。
50周年のオフィシャルプロジェクトの集大成と言えるコンサート
~松本 隆 作詞活動50周年記念 オフィシャル・プロジェクト!~ 風街オデッセイ2021
が11月5日(金)、6日(土)の2日間、会場はザ・ビートルズの初来日公演から55年を迎えた音楽の聖地・日本武道館で開催される。

■開催日 開場/開演
《第一夜》2021年11月5日(金)開場17:00/開演18:00
《第二夜》2021年11月6日(土)開場16:30/開演17:30
■会場 日本武道館
■お問い合わせ ディスクガレージ

<松本 隆 コメント(開催発表にあたり)>

作詞家になり、
50年を記念したコンサートが、
日本武道館で開催することとなりました。

二日間にわたり、
沢山のアーティストが
ぼくの歌詞を歌ってくれます。

ぼくの音楽と一緒に大人になった人たち。
生まれてなかった世代にまで、歌い継がれてる言葉たち。
みんな一緒に武道館であひませう!

松本 隆

松本 隆 作詞活動50周年

日本のポップス/ロックを語るときの最重要人物の一人であり、作詞家として2100曲以上の曲を400組にも及ぶアーティストに提供してきた松本 隆。その作詞活動50周年を記念して、亀田誠治プロデュースによるトリビュート・アルバム『風街に連れてって!』が7月にリリースされ、11月5日、6日には50周年記念コンサート『風街オデッセイ2021』が日本武道館で開催される。松本 隆作品をリスペクトする歌謡曲の(元)アイドルから、日本のロックの礎を作りあげてきたベテラン勢、新世代のJ-POPアーティストまで多くの出演者による一大イベント『風街オデッセイ2021』へのガイドとしても参考にしていただけるように、ここで松本 隆の足跡と、その作品の魅力を簡単に紹介したい。

松本 隆は、日本語によるロックの新たな地平を切り開いた“はっぴいえんど”のドラマーであり、多くの曲で作詞を担当した。1969年にはっぴいえんどの前身となる“エイプリルフール”に細野晴臣と共に加わりアルバムを1枚録音、そこには松本の初の日本語作詞曲となる「暗い日曜日」が収録されている。バンド解散後に大滝詠一と鈴木 茂を引き入れて結成した“バレンタインブルー”が、70年3月に“はっぴいえんど”と改名し、同年8月にデビューアルバム『はっぴいえんど』(通称『ゆでめん』)を発表するに至る。はっぴいえんどは73年9月の解散までに3枚のオリジナルアルバムを残し、2作目の『風街ろまん』(71年)は、日本のロック史上、革新的なアルバムとして大きな影響力を放ち、今も世代を超えて聴き継がれている名盤となっている。松本隆の世界を象徴する言葉でもある「風街」をコンセプトにした『風街ろまん』で表現を極めたことで、はっぴいえんどは次のステップへと移行していくわけだが、松本が選んだのは職業作詞家への道だった。

はっぴいえんど在籍中に発表された大滝詠一のソロアルバム(72年)にも「指切り」や「乱れ髪」などの曲を書いているが、本格的に職業作詞家として最初にオファーを受けたのが73年10月にリリースされたチューリップの「夏色のおもいで」である。チューリップのリーダーである財津和夫とは、後に“松田聖子プロジェクト”で松本が最初に関わる「白いパラソル」を共作することになるのも興味深いところだ。松本 隆が歌謡曲シーンでその名を広く知らしめるのはアグネス・チャンの「ポケットいっぱいの秘密」(74年)と、太田裕美の「木綿のハンカチーフ」(75年)が大ヒットしてからだろう。特に「木綿のハンカチーフ」は、田舎から都会に出て変わっていく青年と、それを田舎で見守る恋人との往復書簡のような歌詞が斬新な名曲であり、作曲家・筒美京平とのコンビも注目されることとなる。桜田淳子の「リップスティック」(78年)、中原理恵の「東京ららばい」(78年)、桑名正博の「セクシュアルバイオレットNo.1」(79年)などのヒットを経て、80年には近藤真彦のデビュー曲「スニーカーぶる~す」がオリコン初登場1位を記録。その後も松本=筒美コンビは、近藤真彦や少年隊らの男性アイドルをはじめ、80年代半ばには、早見 優、小泉今日子、斉藤由貴、中山美穂、本田美奈子、芳本美代子など多くの女性アイドル、さらにはC-C-Bといったアイドル系バンドにも数多くの作品を提供して、ヒット曲を量産していくのである。

一方で、松本 隆にとって80年代は作詞家として最も多忙な時期であると共に、松田聖子との出会いが、そのキャリアに大きな収穫をもたらした。81年の寺尾 聰の「ルビーの指環」の特大ヒットを皮切りに、大滝詠一と再びタッグを組んだ『ロング・バケイション』を契機として、“松田聖子プロジェクト”へ関わることになる。松田聖子は80年の4月にデビューし、3枚目のシングル「風は秋色」から24作連続でオリコン・チャート1位となる輝かしい記録を打ち立てるが、そのうちの17作品の作詞を松本 隆が手掛けた。6枚目「白いパラソル」に始まり、「風立ちぬ」は大滝詠一、「赤いスイートピー」や「渚のバルコニー」では呉田軽穂(松任谷由実)、「天国のキッス」や「ガラスの林檎」では細野晴臣という具合に、作曲家を自らの人脈から引っ張ってきて、それまでのアイドル歌謡の枠を超える新たな挑戦をしているところが凄い。はっぴいえんど時代の仲間である細野晴臣、大滝詠一とのコラボ作品において、さらに自己表現を深めていくのであるが、時代が変わっても日本のポップスの地下水流には“はっぴいえんど”の遺伝子のようなものが脈々と流れているのがわかる。

松本 隆の作詞家としてのみならず、プロデューサー的な役割も含めた世界観の創出は、太田裕美をプロトタイプとして、松田聖子でさらに独自の展開を見せながら、その流れは薬師丸ひろ子へとつながっているような気もする。ユーミンと共作した「Woman“Wの悲劇”より」では、よりスケールを広げた神秘的ともいえるイメージを描き出しており、ユーミン自身も松本 隆とのコンビで作った曲のなかで最高傑作と認めているほどだ。こういった女性アイドルへの提供曲に見られる、少女から大人への狭間で揺れ動く心象風景の色彩感や匂いといったものは、まさに松本 隆が見せる美しい絵画であり魔術のようにも感じられる。もう一つの視点として、南 佳孝や鈴木 茂、小坂 忠、吉田拓郎の『ローリング30』などへの提供曲に見られる男のロマンティシズムというか、ちょっとハードボイルドな側面にも注目したい。「微熱少年」的な部分は原田真二を経て、近藤真彦や少年隊、そしてKinKi Kidsの作品に顕著に現れている。

90年代は作詞活動自体が抑え目になるが、97年にKinKi Kids「硝子の少年」をオリコン1位に送り込み、表舞台へと復帰。2008年にはアニメ「マクロスF」の挿入歌となるランカ・リー=中島 愛の「星間旅行」が話題となった。若い世代のアーティストとの交流も盛んになり、作詞活動30周年記念のトリビュートライヴや40周年の『松本隆に捧ぐ~風街DNA』、45周年の『風街であひませう』といったトリビュートアルバムでも様々なアーティストが松本 隆作品の新たな魅力を再構築している。はっぴいえんどの『風街ろまん』からちょうど50周年でもある2021年、また新しい“風街”の景色が広がっていく。

文/遠藤哲夫

A-57 USEN MONTHLY SPECIAL

「松本 隆 作詞活動50周年特集」
11月1日(月)~11月30日(火)  24時間放送

これまでの提供曲の中から幅広く500曲以上セレクトした「提供曲(オリジナル)」、これまで発表された数々のトリビュートアルバムからの選曲による「トリビュート・アルバム収録曲」、はっぴいえんどのオリジナル楽曲だけで構成した「はっぴいえんど作品」、そして、これぞ松本隆という曲を厳選した「誰もが知ってる50曲」の、4つの特集枠を設けてお届けします。

・松本 隆:提供曲(オリジナル)
・松本 隆:トリビュート・アルバム収録曲
・松本 隆:はっぴいえんど作品
・松本 隆:誰もが知ってる50曲
詳しい放送内容は番組ホームページ(music.usen.com)をご覧ください。

2021年11月の「A-57 USEN MONTHLY SPECIAL」は 松本 隆 作詞活動50周年特集(music.usen.com)

松本 隆 作詞活動45周年記念オフィシャル・プロジェクト 風街レジェンド2015 live at 東京国際フォーラム ホールA

2021年12月22日(水)発売
COXA-1286/1287/11,000円(税込)
全38曲収録 / 三方背BOX / ブックレット(全100ページ)

日本コロムビア

松本 隆 作詞活動50周年トリビュートアルバム『風街に連れてって!』

2021年7月14日(水)発売
初回限定生産盤
CD+LP+豪華特典本/COZP-1747~8/11,000円(税込)
通常盤
CD/COCP-41453/3,300円(税込)

日本コロムビア

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