91日(金)、ナオト・インティライミが、東京ガーデンシアターにて『ナオト・インティライミ LIVE TOUR 2023 SUMMER』のツアーファイナル公演を開催。自身初となる夏ツアーを大盛況で締め括った。

2023年は「リリースおまっとぅりイヤー」と銘打ち、1月から月1以上のペースで配信シングルを発表、719日には9thアルバム『アドナイン』を発売したナオト・インティライミ。アルバムをリリースしたこともあり、楽曲制作はここで一旦落ち着くかと思われたのだが、自身の誕生日である815日に、通算200曲目となる「Level 44」を配信するという、驚異的なペースで楽曲を世に放ち続けている。それと並行して、コロナ禍で中断していたラテンミュージックの中心地・マイアミでの音楽活動も再開。パンデミック後の世界を全力で駆け抜けている彼が、722日から全国12カ所を廻るツアーをスタートさせた。意外なことに、“夏生まれの夏男”であるナオトが、夏に全国ツアーを行なうのはキャリア初のこと。また、本ツアーからオーディエンスの声出しが解禁されたこともあり、いつにも増してパワフルで、エネルギッシュで、笑顔の絶えないハッピーなステージを繰り広げていた。

夏祭りさながらに、法被姿のナオトが和太鼓を豪快に叩き上げたオープニングから、ライヴは「Tokyo Summer」でキックオフ。「やっとこの曲一緒に歌えるな! 我慢してた分、吐き出せ!」とナオトが叫ぶと、客席から力強い歌声と拳が上がる。ナオトは客席後方まで歌声を飛ばしつつ、ダンサーと共に扇子を使ったパフォーマンスでも魅了。マイアミでの活動中に、日本という国への想いがより強く、深いものになったそうだが、そんな今のナオトを象徴するようでもあり、まさに“日出ずる国のオマットゥリ男”らしい開幕曲でもあった。そんな熱くてハッピーな空気をさらに盛り上げるべく、バンドメンバーとダンサーが様々な打楽器を手に取り、まるでカーニバルのように賑やかに打ち鳴らす。ナオトもジェンベを叩いてそこに加わり、そのまま「はなうたキャラバン」になだれ込むと、再び客席からシンガロングが巻き起こった。

この日のライヴは、ブロックごとに明確なコンセプトを持ったセットリストになっていた。待望の声出し解禁を存分に楽しんだオープニングブロックの次は、ナオトが活動してきた13年の間に発表した200曲の中から、選りすぐりのサマーチューンのみで構成された“セトリ夏縛り”ブロックだ。日本らしい情緒溢れる言葉やサウンドを交えて制作された新曲「サマータイム マジック」では、打ち上げ花火を模したライティングが場内を照らす中、ずっと待ち続けていたこの瞬間を噛み締めるように、ナオトはエレキギターを情感豊かに奏でる。そこから温かな空気が広がったミディアムバラードの「夏音」、三線の音色が彩りを与えた「夢花火」と続き、波の音が客席を包み込むと、「線香花火」へ。ナオトはステージ中央に置かれたピアノを柔らかに奏でながら、切なげな声でメロディを届けていた。

夏曲縛りを解いた後は、最新アルバム『アドナイン』の収録曲で構成されたブロックに。日本のシティ・ポップが世界的トレンドになっている昨今、そこへ向けたナオトからのアンサーであり、彼にしか創り出せないポップソングが次々に披露された。艶やかなダンスと共に届けられた「With」や、フューチャー・ファンクな趣きもあるクールな「EQ」で客席を揺らせば、「memo」ではガットギターを爪弾きながら柔らかく言葉を連ねていく。「パッキャマラード」では、パワフルなボイスパーカッションなどで躍動感を高めると、ダンサーやバンドメンバーと横一列になって踊り、客席を盛り上げた。

「恋する季節」「今のキミを忘れない」「ありったけのLove Song」といった、曲が流れ出すやいなや、客席から歓声や手拍子が上がったシングル曲ブロックを終えると、「夏祭り始めますか!」と、ライヴはクライマックスへ向けて一気におまっとぅりモードに突入。「HOT! HOT!」「Shake! Shake! Shake!」と、身体を動かさずにはいられないアッパーチューンを畳み掛け、アンセムソングの「The World is ours!」へ。この曲にはコール&レスポンスが起こるパートがあるのだが、「ブランクがありすぎてうまくできないかも……」と話し、違う楽曲のメロディを歌い始めるナオト。すると観客が“違うよ ナオト そうじゃない”と、リズムに乗ってミスをツッコむという斬新な掛け合いを繰り広げるなど、客席をひとり残らず笑顔にさせていく。銀テープも発射され、盛り上がりもピークに到達。ここで終了かと思いきや、さらに「もう一発いく!?」と、ライブ定番曲の「カーニバる↑?」でこの日最大の熱狂を巻き起こし、本編を終えた。

アンコールを求める声に応えるように、暗転したままのステージからドラムのキック音が鳴り響く。それに合わせて客席から自然と手拍子が起こっていたのだが、ステージが明るくなるのと同時に、驚きの声が上がった。なんとドラムセットに座っていたのはナオト本人! タイトかつダイナミックにビートを刻んだドラムソロから、ド派手なダンスナンバーの「Hare-Hare Parade」で再び場内を熱く沸かせた。

「もう全部出し切った!」と、へとへとになりながらも笑みを浮かべるナオトは、年内は月1ペースで新曲を配信し続けると宣言。さらに2024年春には全国ツアーを開催することを発表した。「俺は何に追われているんだ……!?」と客席を笑わせていたが、「世界への挑戦も、日本の活動も両方大事に思っているから、両方本気でやりたい」と、胸に抱いている強い想いを改めてオーディエンスに伝える。「必ず何か起こすから。一生の夢を叶えるからついてきてね! 見守ってくれよ! 背中を押してくれよ! そして横から一緒に歩いてきてくれよ!」。その呼びかけに応えるように巻き起こった客席からの大歓声で、ナオト・インティライミ初の夏ツアーは幕を下ろしたのだった。

<セットリスト>


  1. Tokyo Summer

  2. はなうたキャラバン

  3. サマータイムマジック

  4. 夏音

  5. 夢花火

  6. 線香花火

  7. With

  8. EQ

  9. memo

  10. パッキャマラード

  11. 恋する季節

  12. 今のキミを忘れない

  13. ありったけのLove Song

  14. HOT! HOT!

  15. Shake! Shake! Shake!

  16. The World is ours!

  17. カーニバる?

  18. Hare-Hare Parade(アンコール)

一覧へ戻る