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2020.03.11

MAGOのNYコレクションレポート後編――20-21年秋冬の注目ブランドはこれだ!おまけにNY最新情報。

ビームス創造研究所長シニアクリエイティブディレクターの南馬越一義さんによるダイアリー形式で前後編に渡って届けるNYコレクションレポート。後編は、NYで新しいリテールとして注目を浴びている新スポットなどを紹介。

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2月10日

MAGOのNY(ニューヨーク)コレ巡りも折り返しだ。多少疲れも出てきたが、老体に鞭打って野球狂の詩の岩田鉄五郎なみに頑張るぜ!

まずは「ザ・ロウ」。朝イチから素晴らしいショーを見せてもらった!アーティスト「BEVERLY PEPPER」の作品が配置されたランウェイにエルビス・プレスリーの「Can’t Help Falling In Love」が流れ、その1曲3分で全ルックが登場し、曲の終わりと共にショーも終了。流れるように次から次と登場するルックはミニマルながら、とても豊かな表情でどれも鳥肌ものだったな。早くも今季No.1コレクションに決定か!

「ザ・ロウ」2020-21年 秋冬プレタポルテコレクション



「アリス・アンド・オリビア」は、いつものようにテーマごとに作りこんだ背景の前にモデルを立たせるプレゼンテーション。肉感的なモデルさんもいて、ランウェイのモデルと違うモデルなのかな。1時間とか会場で立ってたりするから体力ありそうな人選んでいたりするのかも。さて、今回のコレクションはちょっと色んな要素があってごちゃごちゃしてるな。民族調あり、ミリタリーあり、シノワズリーあり。ロココ調もあるんだから、これ1シーズンの中に取り入れるのは無理あるんじゃないの。

「アリス・アンド・オリビア」2020-21年 秋冬プレタポルテコレクション



夜のショーまでかなり時間があるので、今日はアメリカで台頭してきているリテールのニュータイプ、D2C系やRaaS(サービスとしての小売)のお店を回ってみることにしました。日本もアメリカもリアルなリテールが厳しいところあるじゃないですか。昔からリスペクトしていたバーニーズの最後があんな悲しいことになっていて、暗澹たる気持ちと危機感をビシビシ感じたので、リアルなんだけど新しいリテールとして注目を浴びているこれらのお店にとても興味がありました。

まずは昨年できた話題のショッピングモール「Hudson Yards」に入っているRaaSのお店「b8ta」へ。ここはシリコンバレーから出てきたお店で、IoT、デジタル系商品が中心みたいなんだけど、1ブランドだけアパレルも入っていました。スタートアップの企業がベータ版を販売する感じかな?各商品の隣には商品説明のタブレットが置いてあって、それを使ったユーザーの商品に対する反応とかの情報を販売と共にメーカーに提供するサービスを行なっていて、ビジネスとしては販売より商品の紹介やユーザーの反響をBに向かって売っているようです。このお店、丸井がお金出して日本にもオープンするみたいですよ。

「Retail designed for discovery=発見のためにデザインされた小売店」をミッションに掲げる「b8ta」のNYハドソン・ヤード店



そして、より僕達セレクトショップに似ている「Neighborhood Goods」にも行ってみました。場所はミートパッキングにあるチェルシーマーケット内、隣にスタバのリザーブロースタリーズやアップルストアがあるという、ここも集客が見込める良いロケーション。品揃えはアパレル、コスメ、雑貨、ウェルネス系と多様でカフェも併設されています。入っているブランドは主にD2C(自社WEBサイトからの直販事業を中心にビジネスする)ブランド。そういった比較的インディペンデントなブランドの商品をリアルな売り場で消化するので、「D2Cブランドのデパート」とも言われています。お店のスタッフも従来の販売員というポジションより、ホスピタリティーを持ってブランドや商品に関する「ストーリーテリング」するストーリーテラーという呼称。b8taと同様、店頭で収集したユーザー情報をブランドに提供します。

百貨店の新しい形「Neighborhood Goods」



両店舗ともにBにとってのリアルリテールのサブスクって感じですね。月額の出品料と販売手数料を支払って、販売の代行、PR、マーケット情報の提供を受けるという。お店に行った時間が平日夕方ということもあるかもしれませんが、店内は閑散として売れているのかな?って気がしましたが、ビジネスモデルとして注目を浴びていて投資家からも評価が高いそうです。この2店舗を視察してみて、正直なんかビジネスとしてはふんわりしているなぁ、実際のところどう?って思うのですが、現状の日本だとb8taの方ですかね、可能性があるのは。だから丸井さんも手を出すんでしょうけど。ただ、アメリカは日本の5年先行っているということみたいですから、来年か再来年あたりには日本でもこういったお店がニョキニョキ現れるかもしれませんな。

さてコレクションレポートの続き。「プロエンザ・スクーラー」は、ヨーロッパのセレクトや百貨店も多く扱っていてNYのエレガントを代表するブランドの一つと言えるね。久しぶりにショーを見るので楽しみでした。今回のコレクションは、着物でいうところの「衿を抜く」ってイメージのルックが多し。そういえば女性物の下駄をイメージさせるシューズや羽織り物も出てきたし、さりげなく和テイスト入れていた。日本の着物のディテールや着た時の所作は世界に通ずるエレガントさがあるってことでしょうね。

「プロエンザ・スクーラー」2020-21年 秋冬プレタポルテコレクション



3日目終わった~!あと1日頑張るぞー。ショー終わりにディナーしたスタンダードホテルのレストランで、子犬のP&Sが癒してくれました。

スタンダードホテルの子犬のオブジェ



2月11、12日

今日が実質最終日。明日は「マイケル・コース」を見たら空港へ。今回のレポート、字数も写真も大幅に増え、おまけに締め切り間に合ってないから久保さんに迷惑かけちゃったな。ごめんなさい。残りはサクサクいきますね。

服はどうってことないんだけどロングブーツが気になった「タオレイ・ワン」。この秋冬はブーツきますかね?きたら久しぶりじゃないかな。コーディネートのトレンドも変わってきて、プラスの需要も生まれそう。商売的にはちょっと期待ですね。

「タオレイ・ワン」2020-21年 秋冬プレタポルテコレクション



続いて、久しぶりに「コーチ」のコレクションを見たけど、結構ユースな感じですね。ショー会場にガールズバンドが入ってブロンディのカバーを演奏。荒削りだけどなかなか良いバンド。コレクションに関してはどうかな。今のコーチのターゲットって、服もバッグもどんな感じなんだろう?服に関してはちょいこのユース感に中途半端な印象が。ショーの最後に「デボラ・ハリー」登場のサプライズ。バンドの人達、本物に会えて感動したのか、終了後、皆んなで抱き合って泣いてました。

「コーチ」2020-21年 秋冬プレタポルテコレクション



インド人デザイナー「ナイームカーン」のコレクション。かなりゴージャスなラインだな。インドならではの凝った刺繍とかなりギラギラのグリッター素材、おまけに豹柄と星柄。これだけグラマラスでブリンブリンな服のニーズは日本だとなかなか無いよな。ショーのBGMがベタな懐メロ「Everything But the Girl、Sade、Grace Jones、Janet Jackson、Suzanne Vega」とか、ANAの機内のビデオで小林克也のベストヒットUSAを観ている気分になったよ。

「ナイームカーン」2020-21年 秋冬プレタポルテコレクション



そしてMAGOコレクションレポートの最後の1本、オーラスは「マイケル・コース」。これ見たら空港にGo!で日本に帰ります。「マイケル・コース」もショーの音楽は生バンド。オルタナぽいC&Wバンドが演奏する中、ランウェイに登場するは流石の王道感溢れるザ・ニューヨーク!って感じのルックばかり。オンのスタイルもオフのスタイルも上質と上品の塊ですね。これは儲かるコレクションだ。足下はほとんどロングブーツ。ロングブーツに合わせて上のコーディネートを決めているんじゃないかってぐらいのルックでした。皆さん!ついに下駄箱の奥からロングブーツを引っ張り出す時が来ましたよ。

「マイケル・コース」2020-21年 秋冬プレタポルテコレクション



MAGOの2020年秋冬のNYコレクションレポートはここまで。まだ「マークジェイコブス」とか残ってるけど見られないからね。NYコレクションって斜陽というか弱体化というか、落ち目って言われることが多くて、確かに大御所や中堅がどんどんショー止めたり、公式スケジュールから離れちゃっているけれど、アメリカのマーケットを目指して中国のデザイナーが集まってきたり、今回の「ロンシャン」みたいに意外なめっけ物があったりするんでまだまだ侮れません。これからD2Cの流れがコレクションと連動するとかもあるかもしれないし、ビジネスとしては比較的古い体質のファッション業界を変革するようなスタイルが出てくることを期待しつつ、来シーズンもNYコレクションをチェックするつもりです。

(おわり)

取材・文/南馬越一義(ビームス創造研究所長シニアクリエイティブディレクター)
写真/南馬越一義



株式会社ビームス
ビームス創造研究所シニアクリエイティブディレクター
南馬越一義





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