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「ジュルナルクボッチのファッショントークサロン」by SMART USEN



[section heading="ゲストスピーカー"]

桜川友里恵(さくらかわ ゆりえ)
「RE SYU RYU」のクリエイティブディレクター。日本大学芸術学部在学中に芸術学部長賞を受賞。卒業後は芸能プロダクションに所属しアーティストのバックダンサーを務めながら自身のユニットを結成し、振り付け及び動画の構成や音楽編成、衣装制作、ライブプロデューサーとして活躍。その幅広い経験を生かし、2018年に日常と非日常の間をコンセプトに掲げるウィメンズブランド「RE SYU RYU」を立ち上げ、クリエイティブディレクターとしてデザイン及びビジュアルのディレクションを務める。

桜川茉利江(さくらかわ まりえ)
「RE SYU RYU」のゼネラルマネージャー。一橋大学大学院MBAを修了後、日本アイ・ビー・エム株式会社で事業戦略コンサルタント、株式会社アバージェンスで組織変革コンサルタントとして勤務し、2016年よりニンジニアネットワーク株式会社の取締役ゼネラルマネージャーに就任。主に財務、人事、広報といったスタッフ部門と販売・営業の責任者を務める。

[section heading="モデレーター"]

encoremodeコントリビューティングエディター 久保雅裕
ウェブサイト「Journal Cubocci(ジュルナル・クボッチ)」編集長。杉野服飾大学特任教授。繊研新聞社在籍時にフリーペーパー「senken h(センケン アッシュ)」を創刊。同誌編集長、パリ支局長などを歴任し、現在はフリージャーナリスト。コンサルティング、マーケティングも手掛ける。2019年、encoremodeコントリビューティングエディターに就任。



[section heading="完全な日常着というよりも衣装的な意味合いの洋服を作りたい"]

――ブランドを始めたきっかけを教えてください。

友里恵さん(以下友)「私は、日本大学芸術学部演劇学科の舞踊コースでクラシックバレエやダンス、舞踊を学んでいました。舞台での衣装はすべて自分が手掛けていたこともあって、そのときに洋服作りについて興味を抱きました。ちょうど父がデニムブランド"rashink(ラシンク)"を立ち上げた時期でもあり、一度アパレルについて勉強をしてみようと思ったことがきっかけですね」

――お父さんの方が先にブランドを始めたのですね。

茉利江さん(以下茉)「父はもともと印刷会社を経営していまして、今はオフィス用品の通販事業を営んでいます。その事業の通販プラットフォームを生かしながら、商品拡充の一環として5年前にアパレル部門を発足し、デニムブランドのラシンクをスタートしました。本社は愛媛で、オフィス用品のラベルシール"nana(ナナ)"は国内トップシェアを誇っています。通販のプラットフォームは物流も含めて30年ほど実績があり、企画は愛媛、生産背景は岡山で行っているラシンクは、モノとしての発信をしていてリシュリュとはまったく違うアプローチと視点を持っています」

――アパレル事業をスタートされたきっかけも気になりますね。

茉「安定していた通販のプラットフォームシステムを活用していましたので、ラシンクは当初BtoCというよりは、BtoB向けで始めました。今は、法人と顧客とでウェブサイトを分けています。」

――2018年にリシュリュがデビューしたわけですが、ブランドネームの由来を教えてください。

友「ラシンクの英表記がrashinkですので、何かしら頭文字に"R"を掛け合わせたいという思いはありました。その中で、60年代から70年代ファッションをリスタイルするというテーマのもと、日本語で"趣味嗜好流行をリスタイルする"の頭文字を取っています。リスタイルの"RE"、趣味の"SYU"、流行の"RYU"です」

――パリに「リシュリュー」という通りがありますが、そこからかなと予想していましたが外れました(笑)

友「父親と名付けたのですが、ほかと被らないように意識しましたね。商標を取りやすいという点も含めて。父の会社名は"ニンジニアネットワーク"という名前なのですが、これは人参とエンジニアとネットワークを掛け合わせていて、馬の前にぶら下げられた人参、社会の30cm先をいく存在でいたいという願いが込められています」

茉「もちろんパリにリシュリュー通りがあることも知っていましたので、それでリシュリュっていいなと背中を押された感じはありました」


桜川3姉妹の長女(右)と次女(左)。三女の七重(ななえ)氏がPR業務を務めている



[section heading="商業に寄りすぎない自分の目線を信じて"]

――友里恵さんのバックボーンは、ファッションではなく舞台衣装からですね。

友「クラシックバレエや現代舞踊をやっていて、大学卒業後はパパイヤ鈴木さんの事務所に所属しサザンオールスターズのバックダンサーをやっていました。別でダンスユニットも組んではいましたが、そこでデビューはせず。ニコニコ動画などの2.5次元系、サブカルチャーの世界にフィールドを移して活動を始めました。そのときのメンバーとは交流が続き、今はリシュリュ南青山の旗艦店でスタッフとして働いています」

――衣装はご自身で作られていたということですが、すべて独学ですか。

友「舞台衣装を手掛けていたことや父のブランドの手伝いを始めた中で、いつかウィメンズブランドを立ち上げたいという想いが芽生えました。それまでの衣装作りは独学でしたが、きちんと勉強したいと決意してからは、働きながら文化服装学院服装科の夜間部に通いました。衣装と洋服は大きく違いましたが、生地選びやデザインなどOEMの会社に協力していただきながら、2018年の春夏コレクションでデビューし、同じタイミングで南青山に旗艦店をオープンしました。ここは、1階がリシュリュで2階がラシンクです」

リシュリュのデビューコレクション、2018年春夏ビジュアルより

リシュリュの旗艦店、rashink×RE SYU RYU 南青山店の外観

レトロでスイートな世界観の内装



――ブランドをやっていく上でのモチベーションはどこにありますか。

友「完全な日常着というよりも衣装的な意味合いの洋服を作りたいと思っています。日本では、TPOに合わせたファッションを楽しむという概念は少ないように思いますが、だからこそちょっと良い場所に出掛けたくなるような一着を作る。結婚式はもちろんですが、例えば高級なレストランに出掛けるとか、デートでの勝負服や戦闘服になるような、日常と非日常の間ですね。どちらでも着られるけれど、それは着ていただく方のコーディネートで様変わりする、パーソナルなスタイルの提案です。私は、ファッションというフィールドではなく、ダンスやサブカルチャー経験から導き出せるファッションの世界を追求したいと思っています。商業に寄りすぎない自分の目線を信じて」

茉「友里恵はよく"ダンスを作るのも、洋服を作るのも同じ"と言います。それは、クリエーションに垣根はないということ。業界が違うからこそ、果敢にチャレンジしていきたいと思っています」

[section heading="歴史的な日本の「和」が持つ世界観だけでなく、現代日本のカルチャーをミックス"]

――2020年の春夏コレクションは「鶴」がテーマですが、「和」は意識していますか。

友「歴史的な日本の"和"が持つ世界観だけでなく、現代日本のカルチャーも意識しています。それらをミクスチャーしたデザインは、デビューコレクションから取り入れています。20年春夏のコレクションピースで重要なデザインのひとつ、折鶴を円周に連ねる万華鏡のような世界観は、ジャカード織で表現し、それは山梨県富士吉田市が誇る職人の皆様によって丁寧に織り上げられています」


2020年春夏コレクション



――5シーズン目を迎えるという今、ECと実店舗の売り上げの比率はどのくらいですか。

茉「ありがたいことに、年々芸能関係の方の着用が増えてテレビや映画の露出が非常に多く、ウェブへの流入は増え続けています。立ち上げ当初は、実店舗での売り上げが大半でしたが、今はECの売り上げが5割を超えています。卸事業はやっていないのですが、これからの課題でもあります。考えの根本は、エンドユーザーを掴む、直販にこだわるというベースがありますが、認知を広げていくという意味も込めて、卸事業の取り組みは無視できないなとは感じています」

――友里恵さんは、今後ブランドをどう育てていきたいですか。

友「日本では、カジュアルやスタンダードなスタイルが売れているようですがリシュリュはまったく違うアプローチですし、インパクトがあるものばかり。いろいろな方にアドバイスをいただき、日本を出て視野を広げるために海外でチャレンジしていきたいと思っています」

――それで年明けにパリのトレードショー「トラノイ」に初出展されるわけですね。なぜ1月のプレコレクション時期を選ばれたのですか。

茉「多くのチャンスを得るためになるべく早く出展をしたくて、プレコレクション時期に決めました。実際のところ、初出展ですので、すべて手探り状態です(笑)。でもやってみないとわからないですし進まない。失敗してもいいからチャレンジしながら続けていくことに意味があるので、20-21年秋冬コレクションに向けて商品開発も同時に進めています」

パリのトレードショー「Tranoi Tradeshow January Edition」に初出展。会期は、2020年1月17日~19日まで。



[section heading="サマリー"]

友里恵さんのアパレル業界外からの経験がユニークなクリエーションに影響し、日本国内では多くのドラマや映画、ミュージックビデオといったエンターテインメント業界の衣装として採用されるなど、ポテンシャルの高さを感じる「リシュリュ」。着用してこそわかるのは、品があるしなやかな動きを叶えるレディーなデザインだ。当たり前ではない非日常感をくれる一着は、強くたくましく今を生きる女性たちの夢であり自信をくれるもの。良い意味で現実を離れ、純粋にファッションを楽しめる時間は今の時代に必要なエッセンスだ。1月には、トラノイで新たなステージを開拓していく彼女たち。「お店に通ってくださる熱心なファンもたくさんいて、そんな皆様を大切に丁寧なおもてなしの対応を心掛けていきたい」と話す茉利江さん。姉妹で力を合わせながら前に進み続けるリシュリュは、ポジティブなエネルギーで溢れていた。

(おわり)

取材/久保雅裕(encoremodeコントリビューティングエディター)
文・写真/成清麻衣子



成清麻衣子(なりきよ まいこ)
文化服装学院卒業後、PR会社を経て2016年に独立。企業のコンサルティング業務の他、ファッションやビューティーなど幅広い分野で、ライターとしての活動を開始。PR経験を活かした企業のプレスリリースやウェブサイトのライティング、カタログ制作も行う。





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