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2019.10.18

2020年春夏パリ・ミラノコレクション会場スナップ――奇抜や柄はもう古い? シンプルなスタイルやミニマリズムからコレクションそのまままで。 多様化の進むショー会場

2020年春夏パリ・ミラノコレクション会場では、シンプルなスタイルや「ミニマリズム」とでも呼べそうなデザインが目立った。奇抜なデザインではなく、これから始まるコレクションやその日のコレクションの中で1番お気に入りのブランドのコレクションをそのまま着るというスタイルも増えている。そんな2020年春夏パリ・ミラノコレクションの会場スナップを一部紹介する。

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今シーズンのパリ・ミラノコレクション会場に集まる人たちのファッションは、シンプルな白のジャケットと白のパンツ、マニッシュなジャケット、ミニドレスなどシンプルなデザインが増えた。色も白、黒、赤などが目を引いた。

数年前に話題になった「寅さん」風にジャケットを肩に掛けたり、70年代風のアイウェアを掛けたり、スパンコールなどで光沢感をプラスしたインナーを組み合わせたりすることで、自分らしくアレンジする。コレクションに出るモデルがショーに来る時に着ている服のようなシンプルなスタイルも増え、家にいる時と同じようにニットとデニム、スニーカーでコレクションを見に来る人もいた。

もちろん派手に目立つ服を着ている女性は多いが、ほとんどは前シーズンのコレクションそのまま。小物や靴などでアレンジはしていても、ブランドのイメージを崩すような組み合わせはしていない。東京のファッションウィークでよく見かける、頭の先から足の先まですべてデザインのあるものを組み合わせて不協和音や違和感を楽しむようなスタイリングではなく、コレクションのように全体が統一されているので、アイテムが悪目立ちせず、着る人がきれいに見える。その背景にはサスティナブルとともに注目されているミニマリズムやリラックス、快適などのトレンドがある。柄と柄を組み合わせた悪趣味が美しいというトレンドやロゴブーム、PVCへと続いた派手でわかりやすいファッションに飽きたことやSNSの影響も要因になっているだろう。

「何を着るか」「どう着るか」よりも「誰が着るか」が重要になり、着る女性たちも服よりも自分が美しく見え、ブランドへのリスペクトをわかりやすく表現することができる服を着る。そして、コレクション会場に集まるブロガーや雑誌のスナップチームも多くのフォロワーを持ち、アクセス数につながりそうなセレブやインフルエンサーを中心に撮影する。ラグジュアリーブランドの会場になると、その様子はまるで映画祭のレッドカーペットを歩くスターに群がるパパラッチのようだ。逆に派手で奇抜な服やヘッドピースを付け、招待状も持たずに撮影されるために会場周辺に集まるような人たちに対しては、「一応撮影しておこう」という程度で、ほとんど相手にされなくなり、数も減ってしまった。

シンプルやミニマリズムの流れ、SNSの変化により、「何を着るか」より「誰が着るか」という流れを反映して、数年前と比べるとすっかりムードが変わったコレクション会場。2010年代は、かつて「ファッションビクティム」(ファッションの犠牲者)と言われた過剰なまでのデザインが、ファッションを思いっきり楽しむファッショニスタとして評価された。だが、ファッションは常に変化している。ミニマリズムもまたトレンドの1つと言えるが、シンプルなデザインから「コレクションそのまま」まで、選択肢は更に広がっているし、すぐに取り入れられるファッションや着こなしもたくさんありそうだ。



パリコレクション会場スナップ





ミラノコレクション会場スナップ





取材・写真・文/樋口真一(ファッションジャーナリスト)

樋口真一(ひぐち しんいち)
ファッションジャーナリスト。業界紙記者として国内外のショーや展示会を中心に、アパレル、スポーツ、素材、行政などの分野を兼任し、ファッションジャーナリストに。コレクションを中心に、スポーツブランド、アートや美術展など様々な分野を手掛けている。コレクションなどの撮影も行っており、NHK BSプレミアム渡辺直美のナオミーツ、森美術館10周年記念展「LOVE展:アートにみる愛のかたち」カタログなど、メディアや出版物にも写真も提供している。