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2019.10.18

オーガニックコスメはセレクトショップで売れるのか

スウェーデンの環境活動家グレタ・トゥーンベリさん(16歳)が、ニューヨークで開かれた国連気候行動サミットに出席し、地球温暖化に本気で取り組んでいない大人たちを叱責したというニュースが駆け巡ったのは記憶に新しい。 「エシカル」、「サスティナブル」、「オーガニック」、「ロハス」というワードも最近耳慣れてきたはずなのに、日本ではどこか他人事で根づかないのが現状である。 アパレル業界の中でも地球環境や社会を良くするというミッションを掲げ活動するブランドが増え、10年ほど前から衣料品にとどまらず、オーガニックコスメの参入や食にまつわる商品を取り扱う店が増えている。これは洋服が売れないといわれる時代に、セレクトショップがライフスタイルショップへとカタチを変えはじめた時期とほぼ重なる。 そんな変化の中で、オリジナルのオーガニックコスメを開発・販売し注目を集めたセレクトショップ「かぐれ」、そしてその開発の担い手、ナチュラルコスメパーソナルプロデューサー、日本最大級のクリエイションの祭典「rooms」エシカルエリア担当者に「オーガニックコスメはセレクトショップで売れるのか、現状と今後の広がり」というテーマで話を伺った。

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30~40代女性を中心に、自然と調和した心地よい暮らしを提案するというコンセプトで、五感に訴えかけるモノを集積したセレクトショップ、「かぐれ」(アーバンリサーチ)が本格的なオリジナルのオーガニックコスメに参入し、注目を集めたのは7年前。

「ナチュラルコスメパーソナルプロデューサーの小松和子さんとのご縁がきっかけで、KAGURE holistic beautyを開発、販売することになりました。肌を鎮静しさらにエイジング対策もしてくれる「回帰再生」がテーマで、ベーシックスキンケア5品をスタートさせました。そしてつい先日、7年の歳月を経て、より現代の環境や女性の肌に合わせリニューアル。内側から土台を鍛えないと長期的に良い状態は保てないという考えに進化し、環境ストレスに負けない肌やからだを作るためのオーガニックコスメの大切さをかぐれのお客様を中心におすすめしています」とコスメ担当の長野美沙さん。

「ファッションアイテムに埋もれがち」「専任のスタッフがいない」というオーガニックコスメの販売の難しさはあるものの、ブランドの使命感を伝える表現の一環として、十分に価値観を引き上げ、さらにかぐれファンにも無くてはならない存在となっているようだ。店全体のコンセプトと合致していることなど、成功の要因は大きいが、店舗だけでなく、最近では同社がオープンさせた宿泊施設「タイニーガーデン蓼科」でのアメニティー展開や他店への卸などの展開にも余念がない。

「今後は、肌を保護するアイテムを加えていく予定で、来春に「保湿☓ブルーライト対策」の美容オイルを発売予定の他、肌だけではなくマルチに使えるアイテムへも裾野を広げていけたら」とさらなる意欲を語ってくれた。

今年6月にリニューアルしたばかりのスキンケアシリーズ

店頭でテクスチャー、香りなどをチェックする人が増えた

かぐれコスメ担当の長野美沙さん

かぐれ表参道店の店内



そしてKAGURE holistic beautyの立役者とも言われるナチュラルコスメパーソナルプロデューサーの小松和子さんに、開発秘話などを伺った。

「7、8年前くらいからアパレル業界によるコスメ参入の数々の相談を受けるようになりました。コスメの分野においても、オーガニックの波が来ていたタイミングで、メーカー側もセレクトショップなどアパレル業界へ販路を広げはじめていた頃です。かぐれの当時のコスメ担当者たちはオーガニックコスメが大好きで、自然志向で丁寧な手仕事をしているブランドをセレクトし、販売していました。そんな背景もあり、ハンドクリームや石鹸などというライフコスメではなく、本格的なナチュラル処方のスキンケアを開発、発売したいという思いが強かったのだと思います。しかし、これは容易なことではありませんでした。かぐれのショップにふさわしいテーマをベースに、天然素材で内なる美しさを引き出すスキンケアシリーズを完成させるのに、試行錯誤を繰り返し、2年もの歳月を要しました。リリース後もスタッフ達はアパレルを売りながら、コスメのファンを育てていくという地道な努力もしなければなりませんでした。つい先日、シリーズのリニューアルを行ったばかりですが、今後は自社の店舗だけでなく、もっと広がっていく可能性があるブランドに成長してくれると思います」と、開発当時の苦労を思い出しながら語ってくれた。

「セレクトショップにおけるオーガニックコスメの販売のメリットは、取扱店が増えることとおしゃれな発信ができることですが、正直に言うとデメリットも大きいと思います。接客の面でも、製品説明が不十分になり、製品を美しくディスプレイすることで、見た目はカッコイイ印象にはなりますが、価格や製品のポップなどがなく、何の製品なのかわかりにくいという欠点があるのです。ですからたくさん売れているのかと言いますと、コスメメーカー様に伺うと取引が始まった後のショップからの再注文が少ないことなどの問題も。実際は置いてあるだけのセレクトショップが多いのが現状です」。
これはアパレル業界に限ったことではなく、オーガニックコスメ全体の販路が行き詰っていること、取扱店の販売の強化が必要であるのは明確なようだ。

現在、小松さんは日本のオーガニックナチュラルコスメ市場を高めるために、一般社団法人ナチュラルライフ&ビューティアソシエーションを立ち上げ、一般消費者をはじめ、コスメメーカー及び販売店の知識を高め、オーガニックナチュラル化粧品のコンシエルジュを育てるという肌と化粧品の教育のためのアカデミー事業を行っている。 また、偽物オーガニックと本物オーガニックを棲み分けるための厳しい13の基準を持つ「リアルオーガニックナチュラルコスメ」マークを取得。このマークを販売店で、サインボードとして掲げることで、人と環境に配慮した基準をクリアしている本物ものだけを選べるという新しいプロジェクトが今年の8月からスタートした。

アトリエで定期的に開催されるスクール「NATURAL LIFE & BEAUTY ACADEMY」では、自然の力を利用したオーガニックナチュラルコスメを通して人の肌や身体を知り、正しく選んで正しく使うことが学べる。

小松和子さん

国内外の質の高いオーガニックコスメ

「リアルオーガニックナチュラルコスメ」を様々な場所や方法で発信



日本最大級のクリエイションの祭典「ルームス(rooms)」は、第39回の開催を終え、来年2020年で20周年を迎える節目となった。その中で最も注目を集めているエリアが、2012年に立ち上がったエシカルエリアである。

「クリエイションの力で創造的に地球環境や社会をより良くする仕組みを提案する」というテーマを掲げているアッシュ・ぺー・フランスのエシカル事業だが、第39回は、過去最大規模のブランドが国内外から集い、オーガニックコスメや安全な衛生環境づくりを目指すミネラルウォーター、ペーパーレスなギフトカタログといった、衣・食・住にまつわるエシカルな活動を発信。また、環境省が世界的な海洋プラスチック問題の解決に向けて取り組む「プラスチックスマート」や産業廃棄物処理業者「ナカダイ」がルームス会期中に排出されるゴミを監修するプロジェクトなど、プロダクトに限らず様々なアイデアを紹介した。

今年12月、京都・四条河原町に開業予定のホテルと物販、サービスを提供する複合型商業施設「GOOD NATURE STATION」が手掛けるコスメブランド「NEMOHAMO」

roomsエシカルエリア

roomsエシカルエリア

アッシュ・ぺー・フランスのエシカル事業部 早坂奈緒さん



また、特に集客が多く、盛り上がりを見せたのは、ナチュラル&オーガニック業界の企業と共にホリスティックライフを提案する食とコスメのマルシェ「Holistic Life Marche」。ホリスティック美容家であり、環境省「つなげよう支えよう森里川海」アンバサダーの岸紅子氏が10ブランドのプロダクトをセレクトして注目を集めた。

「私たちがエシカル事業をスタートさせたのは、世の中の流れのごく自然な行為だったのだと思います。アッシュ・ぺー・フランスでは、すでに社会と環境への配慮を念頭に置いたサスティナブルな〝オスクレン(OSKLEN)″や、アルゼンチンブランド〝ホォアナ・デ・アルコ(Juana de Arco)″などを取り扱っていましたし、衣料品、コスメ、雑貨のジャンルを超えて、エシカルという視点で発信をしてきました。ルームスではブランドやメーカーはもちろんのこと、エシカルな意識を持ったバイヤーが多く来場されます。コスメに関してもオーガニック処方であることは当たり前で、さらに容器が生分解される素材なのか、土壌環境はどうなのかなど、より深い背景を持つ本物のブランドに焦点が当たっています。セレクトショップでオーガニックコスメが売れないという声も聞こえますが、まずは売り場が理解を深め、やり方、見せ方を工夫すること。あとはPRにどう落とし込んでいくかをきちんと考えることだと思います。売り方の教育をするというよりは、意識を変えていくことが急務かもしれません」とエシカル事業部早坂奈緒さんは語る。

厳しいオーガニック認証を取得しているブランドでは、添加物・保存料フリーのため、食品と同じくらい消費期限の短いものや、採取する時期や環境により製品が安定しないという販売側のデメリットもある。売り場ではこういったデメリットをメリットに変えていくような学びを深めることが必要。コスメを売るための教育ではなく、意識を変えていく教育をまずははじめてもらいたい。

取材・文/大石真規子(ライター兼オーガニックコスメ コディナ主宰)



大石真規子(おおいし まきこ)





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