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2019.11.27

THE BAWDIES『Section #11』インタビュー――“いま”がいちばんかっこいい

デビュー以来、常に最新型ロックンロールを体現してきたTHE BAWDIES。あえて進化せず、しかし変化するロックンロール……その11作目のアルバム『Section #11』は、ゴリゴリのガレージから鍵盤をフィーチャーしたバラードまで、どこを切っても彼ら自身のヒストリーを更新する音が鳴っている。

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――『Section #11』は、デビュー10周年、結成15周年というアニバーサリーの先という立ち位置にあるアルバムだと思うんですが、そういうビジョンは浮かびましたか?

ROY「節目っていうところでいちばん大きかったのが去年、全県ツアーを回って、ベストアルバムを出して、3度目の日本武道館に立ったっていうことで。一回、歴史がしっかりまとまったかなという感じがしていて。ベストアルバムを出したその次っていう時に、なんかヌルッと始まりたくないなと思ったんです。で、比べるものではないんですけど、前回出たのがベストアルバムだから、それを超えるアルバムを作りたいなという気持ちがまず最初に出てきて。なのでTHE BAWDIESの、これまでの歴史を超える一枚を作ろうっていう気持ちにまずなりましたね」

――これまでのキャリアを一枚で超えるってなかなか大変だと思いますが……

ROY「僕ら毎回そうなんですけど、昔から存在してるロックンロールってものを伝えていくバンドで、言ってしまえば同じことを続けるのは可能なんですけど、ただロックンロールを伝えるだけなら、昔のロックンロール聴けばいいじゃんって人もいると思うんですね。でもそうではなくて、現代の人に、たとえば昔のロックンロール――50年代のチャック・ベリーみたいなもの――を聴かせた時に、世代が違いすぎて、録音技術も違うし、古臭いのか音圧がしょぼいのか、フラットに聴けないし、どう聴いていいのかわからない。だからこそ現代の音楽としてロックンロールをしっかり届けるって役割だと僕らは思ってるんです。

その中で、同じ現代といっても、5年前と今、10年前と今では全然違う。その年その年でどんどん新しい世代、“ロックンロール?知りません”、“ビートルズって誰ですか?”って世代がどんどん出てくる。そういう時代に合わせてロックンロールの根本は変わる必要はないと思うんです。それが伝えたいわけなんで。だから進化はないんですけど、変化は必要かなと自分たちでは感じていて。で、バンドが変化するってどういうことかというと、しっかり前作を更新して行かなきゃいけないなと常に思っていて。だから今がTHE BAWDIES、いちばんかっこいいですよって、僕らは言ってるんです。それが前作はベストアルバムだったので、とにかくそれを超えて、さらに更新しなきゃいけないなと」

――具体的に更新できたと思える部分って?

ROY「今回に関しては対決する相手がオリジナルアルバムではなくて、ベストアルバム――言ってしまうとシングル曲とか代表曲の集合――だったので、そういう意味で全部シングル級の楽曲を作ろうっていう姿勢で作ったんです。今回のアルバムのメッセージはこうだ、こういうのが伝えたいってテーマよりも、楽曲としての完成度みたいなものですかね。なので、あとは、日本でシングルって言うとポップな部分が必要になってくるので、ロックンロールっていう日本で渋いって言われるような音楽の熱量をしっかり保ちながら、ポップスとして聴かせていくっていうところが今まででいちばん成功したアルバムかなと思います」

――ゴリゴリのガレージからスイートなバラードまでという多彩さはそういう理由なんですね。たとえば「THE BEAT」はブラックミュージックの“いま”という感じですが、THE BAWDIESのみなさんは、今のブラックミュージックを聴いたりするんですか?

ROY「僕自身はあんまりしないですね。それは嫌いとかじゃなくて、好きなレンジがほんとに狭いというか(笑)……深いといえば深いんですけど、アナログレコードのシングル盤のコレクターだったりするので、60年代の中盤から後半までのディープソウルとサザンソウルとか、60年代のガレージとか、そこだけを掘っていってて、結局一生かかっても聴ききれないぐらいものがあるので、今のいろんなものを聴く余裕がない、みたいな。ずーっとそこだけ掘り続けてるようなスタイルではあるので。あんまり新しいものを取り入れるって感覚はないんですけど、とはいえ現代に生きてるので、匂いみたいなものは勝手に感じてはいると思うんです」

MARCY「僕はそういうのを探し始めたのは現行のソウルとかをやってる人たちのリズムの作り方っていうのをちょっと知っておきたいなと思って。全然詳しく追えてないですけど、メイヤー・ホーソーンとかは当時すごく聴いてたりしたし、ライブも1回行ったことはありますけど、すごい詳しくいろんな人を追っかけているわけではないですね。気になるアーティストは見たりしますけど」

TAXMAN「“いま”の音楽って言っちゃうとざっくりですけど(笑)、そこから何か影響受けてってことはほとんどないんです。ただし、音楽に対しては柔軟でありたいなっていうのは常に思ってるので、別に“こういうの全然興味ないな”って姿勢ではないです。だからROYも言ってたように、僕らが好きな年代の音楽っていまだに発見があるから、そこに割く時間の方がどうしても長くなっちゃうんです。ただまあ、いろいろ聴きたいなとも思うので、友達のミュージシャンと飲んだ時に自然と“なんか聴いた?”という話をする機会に、みんなが“これいいよ”とか言ったら聴いてみようかな……とか、そういうのはあったりします。ただそれをインプットしてTHE BAWDIESにアウトプットしてるか?って言ったら、そういうわけでもないかなっていう。“あ、なるほどこういう解釈でやるんだな”とかは感心したりはしますけど。

もうデビューして10年経ちますけど、基本は同じところにいて、その中からまだ得るものはたくさんあって。とはいえ、バンド始めた当初って、ザ・ソニックス(「THE SONICS×THE BAWDIES JAPAN TOUR 2012」でTHE BAWDIESと対バン)って60年代のガレージパンクを聴いて、“このボーカルはなんなんだ !?”っていうところからリトル・リチャードにたどり着いて。最初は50年代のブラックミュージックを聴いてたのが、だんだん60年代のガレージ聴いてみよう、ビートバンドも聴いてみよう、60年代のソウル聴こうって、ちょっとずつ自分たちの幅は広がってきてるというか。ただ今は、まだその途中にいるから、この先、もしかしたら僕らもバンドをやるにつれて80年代や90年代のの良さもわかってくるかもしれないですけど」



――ほんとに掘り方が深いというか……アルバム1曲目の「DON’T SAY NO」のイントロはショーが始まる感じがします。後、アウトロはサイケな感じで。あのアレンジは?

ROY「あれはもともとちょっとサイケっぽくしたいなというところがあったので、エンディングに別メロディも作ってたので。そのメロディ自体、サイケ寄りのメロディを作っていたので、そこにギターとかで感じを出して欲しいって言いました」

TAXMAN「メロディがああいうアレンジに自然と引っ張られていったというか……だからドラムもジャングルビートっぽいものにして。そうしたらギターもちょっとシタールぽい、ちょっとサイケなリフを入れても面白いんじゃないの?って消え際に入れてみたり」

――この料理ならどこが美味しいとか、アルバム全体に、そういうリフやフレーズのてんこ盛りですね。

ROY「ははは!「DON’T SAY NO」は最初に作る際のテーマ的に、ザ・フーとモンキーズとビートルズと……」

――それぐらい明確だったんですか?

ROY「はい。それをTHE BAWDIESのガレージ感というかパンク感でまぶすみたいな……で、そのままできた感じですね」

――そして「SKIPPIN’ STONES」はミュージックビデオを見ましたが、すごくピースフルで。

ROY「僕らもすごく気に入ってます。この曲はアルバムの最後に作ったんです。もうほんとに最後の1曲ってなった時にいちばんいいもの作ってやろうかなっていう気持ちで。気合も入ってましたし、ふだんは14曲ぐらいから選ぶんですけど、今回はそれこそ30曲ぐらい作って。その全部がうまいこと集約されて、このアルバムを象徴してる1曲。今のTHE BAWDIESのすごいいい状態っていうのが1曲にドン!と入った曲になったかなと思いますね」

――TAXMANさんのアコギのイントロ、いいですね。ああいうリフって一生、脳内ループする。

TAXMAN「あれも最初は、アコギ12弦の部分はなかったんですけど、なんかもうちょいできそうだなっていう。あのフレーズ自体はすごい良かったんですけど、これはもう12弦のアコースティックとかでやったらいいんじゃないかな?とふと思って。やってみたら、ハモりがよくて、“これじゃん!”みたいな(笑)」

――そしてTAXMANさんボーカルの「EASY GIRL」、これ、テンポ早いですよね。

TAXMAN「早いです(笑)。あんまり早さに関しては意識してなくて、シンプルでみんなが歌える曲を作ろうと思ってて。他のアルバム同様に、アルバムで僕が1曲歌うっていうのはもう何曲も作って、みんなに聴いてもらって、その中で“この曲がいいんじゃないか”って入れたんですけど。いわゆるモータウンビートの曲で、そのままもうちょっとテンポも遅くできたんですけど、これでテンポ早くしたら、お客さんがめっちゃ乗ってくれるんじゃないかな?と思って。で、作ったんですけど、最初MARCYから“これは早すぎる”とちょっとクレームもらっちゃって」

MARCY「彼の曲、大体早いんですよ。ROYが作ってくるものに対して、結構、疾走感のある曲が多くて、今回も早いだけじゃなくて、ドラムの細かいおかずが入ってるので、もう、“早えなー!”と思って“ちょっと下げてくんない?”みたいなことは言ったような気はしましたけど、“そのまんまやれ”っていう命令がきたので(笑)」

――MARCYさんのスタイルと違う早さだったんですか?

MARCY「デモ作ってきた時に、どう考えても足りないんですよ、手が。っていうようなフレーズがあったりして、この解釈だといけないけど、こうだったら行けるよ?って話はしましたけど。なかなかああいう早さでおかずを入れるってことをしてこなかったので。“シンバル入ってるけどこれは無理だよ!”とかね」

TAXMAN「デモを作る時、基本はアナログに拘ってて、家でもギターアンプにマイク立てて、ボーカルもちゃんとマイクで、マイクプリとコンプとかかけてやるんですけど、ドラムだけはどうしても置くスペースがないので、手打ちの打ち込みでやるんですよ。で、“こんぐらいで行けるだろう”っていろいろ入れてって、シンバル寂しいから2本入れちゃえ!とかやると本人曰く、“いや、これは手が足りないから”ってことだったと(笑)」

――「HAPPY RAYS」と「STARS」のプロデュースを本間昭光さんが手掛けていらして。意外だったんですけど、しっくりきてますね。

ROY「そうですね。本間さんとやることになったタイミングが「HAPPY RAYS」だったので、より多くの人に届けたいなというところで、日本のポップスシーンをしっかり熟知してる人と組むっていうのが提案だったんです。で、面白いものができるだろうなっていう期待もありながら、どういうのができるのかまだ見えないってところもあったんです。だけけどいざやってみると、さすがだなというか、どんなロックンロールもポップスとして聴かせられるような魔法を持ってる感じはしましたね。でも全く違うものに生まれ変わらせてくれるというよりは、しっかり自分たちに寄り添って、僕らのいい面、自分たちだけじゃプロデュースしきれない部分みたいなものを引っ張り出してくれるような感覚だったので、すごくやってて自然体でできました。「HAPPY RAYS」だけじゃなくて他もやりたいなってことで、「STARS」もお願いしました」





――「STARS」は驚きの新境地で。コールドプレイのクリス・マーティンあたりが歌っててもおかしくないような曲ですね。

ROY「そもそも鍵盤をフィーチャーすることも、まあ、チャレンジといえばチャレンジですし。でも“ジャンルにとらわれずにいいメロディを書きたいなあ”というところからこの曲はできてたりするので。ラストに持ってきたのも他に入れようがなかったというか、結構がらっと世界観変わるので、自然と最後に落ち着きましたね」

――ところでJIMさんのお気に入りの曲は?

JIM「逆にこれと言ってないんですよね」

――全部お気に入りだから?

JIM「そう(笑)。でもほんとにそうで。自分から強いて“この曲のここ!”とかっていうのがなくて。聴いてもらえればどの曲にも絶対何か言えることはあるんですけど」

――じゃあ個人的に新鮮に感じた「GET UP AND RIDE」についてお聞きします。ちょっとアメリカのテイスト――それも西の――を感じて新鮮でした。

JIM「ま、アメリカですよね。そこは録り自体がいちばん早くて、レコーディングはかなり早めに終わって。ただ、開くところはやっぱり作ってあげないと、ただコテコテにしてもTHE BAWDIESでやる意味はないので。だから結構、自分だと禁止にしてたことをあえて“この曲だったらやっていいか”っていうのはありましたね」

ROY「僕の中ではリズム&ブルース、ソウル、ブルース、そういったものを表現する時にやっぱり元になっているのは黒さとか、黒人音楽って感覚があるんですけど、なんか徐々に自分の幅が広がって行った時に白人音楽を意識するっていう、今まであんまりなかったんですけど、そういう曲かなって感じがしますね」

JIM「白人がやるブルースロック的な、それこそオールマン・ブラザーズ・バンドじゃないですけど、ああいう解釈のものなんだけど、ビートが開けてるっていうか、そこがTHE BAWDIES流になってるって感じですね。デフォルメ感もちゃんとあるし、ほんとにコテコテやるとコテコテしすぎちゃうから、ちゃんとフレーズ化してあげたり……アドリブ感があるとどんどんコテコテしてきちゃうんで」

――確かに。じゃあ、JIMさんにとって「THE BEAT」の聴きどころは?

JIM「「THE BEAT」に関してはエンジニアさんの力も相当入ってて。さっきも言ってましたけど、僕らってほんとに今の音楽――もちろん嫌だというわけじゃなくて――を聴かないので。ただ曲の持ってる現代性みたいのはあって、ローの強さだったり、今の洋楽の最前線の音にちゃんとしてもらえてるっていうのはエンジニアさん含め、みんなで話していますし。やっぱそこで勝負できたらいいよねっていう、それができるエンジニアさんだったのはすごく大きいですね」

ROY「新しいものっていうのがこの世にいっぱいあって、それに影響されたり、それに流されて、その新しいものを自分たちでやるって感覚ではなくて、もともと自分たちの中にあるもので作ったものを、どう新しく届けるか?しか考えてないので。そこの順番が逆になると違うものになってしまうかなと思うんですよ」

――その解釈がTHE BAWDIESらしいところで。今回、ほんとに1曲1曲が強力ですよね。

ROY「うれしいです。もちろんいままでの歴史は大切ですけど、“このアルバムでデビューしたかったな”ぐらい、いままでよりもっとすごい衝撃を与えられるんじゃないかっていう。まあ、いつも言うんですけど(笑)。でもほんとにデビューアルバムみたいな感じで聴いてくれないかなっていうふうに思ってます。特に若い人にね」

――ですね。アルバムの話をしておきながら言うのも失礼ですけど、THE BAWDIESって、曲を知らなくてもライブが楽しめることがストロングポイントだと感じるので。

ROY「それはうれしいですね。ロックンロールを伝えるってそういうことなのかなと思うんですよね。体が勝手に動く楽しさを伝えるわけですから。特に日本のお客さんだといっしょに歌いたいとか、知ってる歌を歌って欲しいって感覚が根付いてるので。それをぶっ壊すつもりはないんですけど、知らなくてもロックンロールって楽しめるんだよって伝えられるのは、THE BAWDIESが最初から掲げてる目標みたいなものだから」

(おわり)

取材・文/石角友香
写真/桜井有里



■Section #11 Tour

12月6日(金) 渋谷 CLUB QUATTRO
12月7日(土) 渋谷 CLUB QUATTRO
12月14日(土) 名古屋 CLUB QUATTRO
12月15日(日) 梅田 CLUB QUATTRO
1月10日(金) 小倉 FUSE
1月12日(日) 大分 DRUM Be-0
1月13日(月) 長崎 DRUM Be-7
1月18日(土) 周南 RISING HALL
1月19日(日) 岡山 CRAZYMAMA KINGDOM
1月21日(火) 松江 canova
1月25日(土) 松本 Sound Hall a.C
1月26日(日) 金沢 EIGHT HALL
2月1日(土) 水戸 LIGHT HOUSE
2月2日(日) 高崎 club FLEEZ
2月8日(土) 浜松 窓枠
2月9日(日) 四日市 CLUB ROOTS
2月11日(火) 神戸 Chicken George
2月21日(金) 京都 磔磔
2月23日(日) 高松 MONSTER
2月24日(月) 松山 WstudioRED
2月29日(土) 宇都宮 HEAVEN’S ROCK VJ-2
3月7日(土) 札幌 PENNY LANE 24
3月8日(日) 札幌 PENNY LANE 24
3月19日(木) 郡山 Hip Shot Japan
3月21日(土) 盛岡 CLUB CHANGE WAVE
3月22日(日) 仙台 Rensa
3月28日(土) 新潟 LOTS
4月4日(土) 広島 CLUB QUATTRO
4月5日(日) 福岡 DRUM LOGOS
4月11日(土)名古屋 DIAMOND HALL
4月12日(日)なんば Hatch
4月25日(土)新木場 STUDIO COAST



THE BAWDIES『Section #11』
2019年11月27日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)/VIZL-1665/3,800円(税別)
通常盤(CD)/VICL-65264/2,900円(税別)
アナログ盤(LP)/VIJL-60211/3,200円(税別)
Getting Better




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