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2019.11.08

吉田山田『証命』インタビュー――ただきらきらしたものでなく

夏の終わりに上野で見た2デイズ公演がつい昨日のように思えるのは、ふたりの醸す“放課後感”のなせる業か……吉田山田10周年イヤーのクライマックスともいえる最新作『証命』と中野サンプラザホール公演「大感謝祭」についてのインタビュー

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――デビュー10周年に向けて、『変身』、『欲望』と挑んできた三部作が、この『証命』で完結するわけですが、やり切った感はありますか?

吉田結威「僕らは3年前から10周年を意識するようになって、3年かけて三部作を完成させる目標を立てたんです。1作目の『変身』は自分たちがそこから変わっていくぞ!と帯を締めなおして、アーティストとして何を歌っていきたいのか?、どう変わっていきたいのか?って自分たちに問いかけた一枚。2作目の『欲望』は『変身』を経て変わっていった先に見つけた、自分たちのなかの禍々しさというか、自分自身の欲望みたいな部分に着目した作品ですね」

山田義孝「そして今回、3作目としてリリースしたのがこの『証命』なんですが、10周年のタイミングで吉田山田の完成形を描くっていうことを意識しながらこの3年間活動してきていたので、最初、ものすごい力が入っていたんですよ。『欲望』ができたときは特になんですけど、次はもっといいものを作らなきゃ!って思ったし、すごく緊張していたんですね。でも、いざ3作目を作り始めたら、意外とシンプルな言葉と、ギター一本でもできるようなシンプルな構成の曲だったり、ちょっとだけ肩の力を抜いて作れたなっていう印象があるんです」

吉田「僕ら、完結って言ってますけど、もちろん10周年で吉田山田としての活動を完結するつもりはないですし(笑)。この先20周年、30周年って続けていけたらなって思ってますから。思ってますけど、でもどこかで一回自分たちのターニングポイントを作らなきゃって意識もあるんです。やっぱり僕らは高校の同級生同士で始まっているから、ふたりで音楽をやっているだけで楽しいし、吉田山田として成立しちゃうんですね。でも、ここでいったん完結させるくらいの気持ちで制作に取り組むというかたちをとりましたし、そうした行動が自分たちの10周年に見合ったものか?と常に試されているような気分……逆に、だからこそ答えを簡潔にしてくれたと思うし、『証命』はすごく純度の高い作品になったとも思います」

――2作目までのタイトルが普通名詞で、3作目は『証命』という造語を充てていますが、この言葉に託したものって何でしょう?

山田「この『証命』って、はじめは『遺書』って仮タイトルだったんですね。これが最後になってもいいって、それくらいの気持ちでこのアルバムに臨んでいたんです。でもやっぱりこの先も見据えて、続けていきたいっていう強い思いが芽生えてきて、光が射すような“命の証し”っていう意味のタイトルになりましたね」

吉田「まあ、遺書って大袈裟な言葉だし、暗いイメージもありますから。ふつうは“証し”に“明るい”という字で証明ですが、このアルバムは“命の証し”で、そのままの意味だよね?」

山田「うん、自分たちの生きた証しを残したいという気持ちを『証命』という造語で表現しました」

――聴き手の感情や気持ちにどう作用するか?というアプローチではなく、“自分たちの”、“自分たちが”という主体的な作品になったということですね?

吉田「僕らはミュージシャンなので――もちろんライブなんかでは人柄を感じてもらうこともできますけど――基本的には音楽にそうしたものすべてが込められているわけです。いままでは、それをどうやって聴き手に伝えるかってことをテーマに歌詞を書いたりしていましたけど、最近は、単純に自分が何を言いたいのか?自分がいままでどうやって生きてきたのか?ってことを曲に込めるようになってきたかもしれないね」

山田「こういう曲だったらみんなに届くかもしれないと思って曲を書くのと、これが自分自身なんだって気持ちを曲に込めるのでは意味が変わってくる。たぶん、そうしたほうが後悔しない作品を残せると思うし」

――じゃあ、山田検定免許皆伝(笑)の吉田さんにお聞きします。たとえばM8「春ノ詩」のように、ちょっと切ないニュアンスを朗らかに歌うのが山田曲らしさだと感じたんですが、この曲を読み解いてもらえますか?

吉田「あー、はいはい(笑)、そうですね。僕も山田からこの曲のデモをもらったときから山田らしい曲だなと思ったんです。何て言うのかな……僕は学生時代のこととか、あまり覚えていないんです。でも山田は学生時代のことも、幼少期のこともすごくよく覚えてる」

山田「うん、すごく色濃く覚えてる」

吉田「あの頃に戻りたいとか、たぶんそういう感傷的なことではなくて、ただただ童心というか、その頃に見た景色、そのときにしか感じられない気持ちをよく覚えているだろうなあ……って。「春ノ詩」みたいな曲を聴いていると、僕自身もその当時の思い出とか、引き出しのずーっと奥に仕舞っていた気持ちをくすぐられるんです。なんかね、ふいにその季節特有の匂いを思い出したりね。“ああ、あった!あった!”って。こういう力って僕のなかにはない気がしていて。僕もそういう山田曲を聴くのをいつも楽しみにしていたりするんですが、この「春ノ詩」って、まさに僕自身が忘れていた学生時代の思い出そのものだしね」

山田「その学生時代の思い出を共有できる人といっしょにステージに立っているって、他の人にはなかなかない経験だろうなって僕は思ってるけど」

吉田「まあ、山田っていうのは、何て言うんでしょうね……こういう人のことを“一生青春”って言うんじゃないですか(笑)。自分の人生に、卒業っていう区切りというか、ラインを引いていない感じ?」

山田「ああ、そうかもしれない。たまに同級生とかに会うと、みんなすごい大人だもん(笑)。僕だけ時間が止まっちゃってるって思うし」

吉田「あ、それは俺も感じる部分があるね。だって、みんな大人になって、生活スタイルがわかりやすく変わるじゃん。スーツ着てネクタイ締めるし、朝起きる時間、夜家に帰る時間も学生のときと変わるじゃない。そうやって“ああ、俺、大人になったんだな”ってときどき自覚する瞬間があると思うんだけど、僕らは言っちゃえば、ずっと放課後のままっていうかね」

山田「そうだね。だって社会人って、どんどん後輩ができていくわけじゃない。それで後輩になにか教えてあげたりして。そういう経験もないもんね」

吉田「山田はそういうの無理でしょ(笑)」

山田「無理無理!僕がふつうの社会人で、ふつうに後輩がいたとして、たぶんその後輩はすごくかわいそうなことになるね(笑)」

――えーと、話を引き戻しましょう(笑)。『欲望』のM1「欲望」で“希望じゃもう歩けない”と歌っていて、本作のM1「証命」では“幼い夢が 言うなれば希望”と肯定的なニュアンスに変化しています。これは三部作、あるいは10周年という節目を経てふたりの気持ちにも変化があったということ?

吉田「すごく愛のある質問ですね。いや、でもいま言われて初めて気づきました。山田さん、どうですか?」

山田「んー……希望っていう言葉以外の言葉が見つかればよかったんですけどね。本当は、使命とか宿命という言葉に近いニュアンスとか意味があるのかな。いまの僕らにとっての希望という言葉には」

吉田「いまの吉田山田が歌っている希望って、ただただきらきらしたものではないっていうか、もっと生々しいもの……気持ちの変化っていうか、そういう気持ちを希望という言葉で歌うことがしっくりくる精神状態になってるのかもしれないね。なんか、あまり恥ずかしくなく希望って言葉を歌えるようになったのは、確かにここ3年くらいのことだし、本当の意味でボキャブラリーが増えるってこういうことなんだろうなとは思いますね。これがもっと若い頃、音楽って楽しいよね!ってメンタルで歌ってた頃はちょっと気恥ずかしさがあったろうし」

――上野恩賜公園水上音楽堂での2デイズがつい先日のように感じますが、11月30日にはいよいよ10周年記念ライブ「大感謝祭」です。

吉田「やはり、この日はみなさんへの感謝でしょうね。この10年のなかで、みなさんが吉田山田に出会ったタイミングはそれぞれ違うと思いますけど、もしかして11月30日の中野サンプラザホールが初めての吉田山田だって人もいるかもしれないし。もしそうだったとしても、この10年の僕らの歩みを知ってもらえる内容になると思いますし。とにかく楽しんでいただけるライブにしたいですね」

山田「ですね。あと、僕らふたりだけで紡ぎあげていくよりもみんなといっしょにライブを作り上げていきたいなという思いもあるので、みなさんが聴きたい楽曲をリクエストしていただいて。どんな3曲が選ばれたのか楽しみです」

吉田「そうそう、吉田山田としてはめずらしい企画なんですけど、10月末まで「大感謝祭」で聴きたい楽曲を大募集していたんですよ。その上位3曲を演奏するという趣向です」

――じゃあ最期に「大感謝祭」に引っ掛けて、吉田さんから山田さんへ、山田さんから吉田さんへ、それぞれ感謝の言葉をお願いします。

山田「え?あー、そういうこと?恥ずかしい。っていうか照れますけど(笑)」

吉田「いや、僕、全然照れないよ」

山田「ウソでしょ!僕ら、もう出会って10何年だよ?」

吉田「吉田山田としては18年で、出会ってから20年くらいですよ。でも全然照れくさくないし、常日頃感謝してるし。まあ、山田はあまり人に対して感謝の気持ちって持ってないのかなあ……」

山田「いやいやいや!僕だって感謝してるし、口に出して言うのが照れくさいだけでさ。そんな言いかたしたら、僕、心がないみたいに聞こえるじゃない(笑)。まあ、でもよっちゃんじゃなかったら、こんなにずっといっしょにやれてなかったと思いますね。もうひとりが僕みたいなタイプだったら、ずっと遊びで終わってたはずだし、こういう人に出会えたことが、僕の人生のなかで大きな出来事ですよ」

吉田「うんうん、あとは?」

山田「え、これ1個じゃないの?えーと、あとはよっちゃんのお父さん、お母さんが僕のことも自分の息子と同じように接してくれたことかな。だって僕、高校時代なんかしょっちゅうよっちゃんちでおいしいごはんを食べさせてもらって、吉田家のごはんで育ったようなもんですよ。だから吉田家に感謝です。本当にありがとうございます」

吉田「じゃあ、僕からも感謝の言葉を。いつもありがとう!……はい、ということでね、今年は47都道府県ツアーも……」

山田「ちょっと待って!」

吉田「え、何よ?」

山田「いや、バランス、バランスよ!いまくらいのだったら僕だってさらっと言えるよ?」

吉田「わかってないなー!ありがとうのひと言にすごいいろんな気持ちを込めてたんですよ」

山田「心、こもってないでしょう!だって台本の次の項目チェックしながら言ってたじゃん。まあ、でもいまはそれくらいでいいですよ」

吉田「ははは!本当、いつもありがとう。これからもよろしくね」

(おわり)

文・構成/高橋 豊(encore)



■7thアルバム『証命』発売記念リリースイベント
11月8日(金) 新宿マルイメン(東京)
11月9日(土) アリオ橋本 グランドガーデン(神奈川)
11月10日(日) マルイ渋谷(東京)
11月13日(水) アリオ札幌 1Fハーベストコート(北海道)
11月16日(土) 神奈川・たまプラーザ ゲートプラザ1Fフェスティバルコート(神奈川)
11月17日(日) ららぽーと新三郷(埼玉)

■吉田山田10周年記念「大感謝祭」
11月30日(土) 中野サンプラザホール(東京)







吉田山田『証命』
2019年11月6日(水)発売
デラックス盤(CD+DVD)/PCCA-04825/3,500円(税別)
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2019年11月6日(水)発売
通常盤(CD)/PCCA-04826/2,500円(税別)
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