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2019.04.03

Mrs. GREEN APPLE「ロマンチシズム」インタビュー――“それも全て人間さ”っていう視点

アルバム『ENSEMBLE』でMrs. GREEN APPLE流エンターテインメントの世界を構築し、前作「僕のこと」と同時期に制作していたという「ロマンチシズム」。資生堂SEA BREEZEのCMとしてオンエアされているセクションも印象的ではあるのだが、その続きを聴いてこそ!という重層的な展開を持つこの曲について、メンバー5人に語ってもらった。

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――ミセスって春のシングルはなかったんですね。意外なことに。

藤澤涼架「去年は4月にアルバム『ENSEMBLE』を出してますからね」

大森元貴「分かんなくなってきちゃうんですよね(笑)。“いま、何作ってるんだっけ?”って」

――「ロマンチシズム」は資生堂SEA BLEEZEのCMのために書き下ろしたんですか?

大森「書き下ろしです」

――書き下ろしという部分と、いまのミセスの曲調という部分で、どういう擦り合わせを行ったんですか?

大森「SEA BREEZEといったらメジャーだし、学生の時、運動部の友達は当たり前のように使っていたり。僕は運動部じゃなかったんですけど(笑)」

――運動部じゃないと使わないものなんですか?

若井滉斗「僕、サッカー部だったんですけど、サッカー部は全員使ってました」

大森「でしょ(笑)。そういう日常的に割と近いところで、当たり前のようにあったものに対して、15秒、30秒のCMで自分の作品がかかるというのは――あんまりCMに対して書き下ろすということがなかなかなかったので――いかに印象を残すか?みたいな、そういう策略的なところももちろんあるんです。でも“続きが気になるな”っていう焦らすような曲にしたかったんですね。だからCMでは“イマドキドキドキが高ぶって”ってセクションしか流れない。でも、この曲の本当のサビって“愛を愛し”からのセクションだと思うんで、そこをわざとかけないようにするとか、続きを聴いてこそ自分らの曲の意図が伝わるだろう。っていう擦り合わせがあってできたんです」

――確かにCMの15秒では全体像はわからないですね。

大森「ただただ“楽しいよね、ポップだよね”っていうような曲じゃなくしたいなっていうのがいちばん最初。“爽やかな夏の曲が似合うバンド”みたいにいつの間にかなってたんで(笑)。それこそ去年はたくさん夏の曲を歌わせてもらったりしたんで、今年はまた別の角度から見せていければなっていうところから始まっていきましたね」

――構成はどんどん変わるけど、ビートは結構ポップなパンクというか、その辺のバランスも面白いですね。

大森「ありがとうございます。「僕のこと」っていう前回のシングルと、実は同時期に制作をしてて。今回の曲は開けたようなというか、エンジョイするような曲にしたいっていうのもあったんだけど、ただただそれじゃいけないなというのもあって。ドラムなんかは珍しくサビでカントリー調のビートで進んでいくことはミセスにはなかったので、そういうリズムで力強く押していくとか、アレンジ面ではそういう部分は意識したところではありますね」 ――そして歌詞には恋愛要素や夏の季節感も盛り込まれつつ。でも大森さんが書くと哲学的になるなと思いました。

大森「ロマンチシズムって言葉がそもそも両極端な意味を含む言葉でもあるので。ロマンって言葉もある一方で、空想に浸る傾向みたいな、ちょっとシニカルな意味もあったりするし。そこも含めてこのポップな曲を聴いて、どういう曲として捉えるのか?っていうのは聴き手に委ねていますね。だから語り部っぽく、僕の視点は進んでいくし、“私”、“あなた”っていう、ふたりの主人公はいるんだけど、“それも全て人間さ”っていう視点で歌ってるのは僕なので、確かに哲学的なところはあるのかなと思ったりはしますね」

――『ENSEMBLE』という、これまでのキャリアの頂点みたいな作品とツアーを経て、新たなタームに入ったと思うんですけど、今回はどういうアプローチをしたんでしょう?

山中綾華「今回、「僕のこと」と並行して同じ時期に作っているんですけど、そのあたりで自分が演奏するときに思ってたのは、クリックって別に気にしなくていいなってことで。やはり『ENSEMBLE』を経て、音楽の一音一音の楽しさとか、重なり合いが楽しくなってきた。そしてツアーも重ねていって、その場でしかないものがあるんだなっていうのを考えたときに、ドラマーの仕事って、ちゃんとビートをキープし続けることだと思ってたんですけど、そんなこと全然なくて。別に揺れても気持ちよく聴こえるのが正解だなと思ったので、今回はほんとに楽しんでみんなの音を聴いて演奏してた感じですね」

――アルバムとツアーを経てフィジカルの心地良さを出そうと?

山中「そうですね。自分らしさっていうのがここにきてやっと出せるようになったのかもしれませんね」

――ではリズム隊のもう一方、髙野さんはいかがですか?

髙野清宗「『ENSEMBLE』の「Love me, Love you」はミュージカル調で、曲の中で物語が進んでいく感じの楽曲でしたけど、「ロマンチシズム」にもそういう展開があるし、セクションごとの違いみたいなのは、『ENSEMBLE』から、どんどんそういう力をつけてこれたのかな?って感じはありますね」

――より感情の起伏を伝えたりとか?

髙野「そうですね。1曲の中で展開が切り替わっていく、そのニュアンスの出し方みたいなのがすごくわかるようになってきたというか」

――そして今回、かっこいいリフをたくさん弾いてる若井さんはどうでしたか?

若井「ありがとうございます。『ENSEMBLE』ってアルバム自体、ギターの立ち位置的にちょっと後ろの方というか、背景に徹するみたいな部分が多かったんです。逆に『ENSEMBLE』以前はギターリフがあったりして、その当時はがむしゃらに、自分のことで精一杯みたいな感じで弾いてたんですけど、今回改めて『ロマンチシズム』でギターリフが出てきて、周りとの駆け引きというか、いろんな音の会話っていうのができるようになってるなというのは、『ENSEMBLE』を経て思いましたね」

――ギターが曲を展開していく役目をしていて印象的です。そして今回、鍵盤はオルガンですか?

藤澤「オルガンです。役割みたいなもの、なんでオルガンか?とか、なんで鍵盤が入ってるんだろう?みたいなことを考えたっていうか、自然と感じられるようになったなって、このレコーディングを通して思ったんです。たぶん、オルガンがいなくてもこの曲ってある種、楽曲自体は自然に流れていけるものだと思うんですけど、オルガンのあのサウンドが入ることで、ちょっと可愛らしさやキャラクター感が出て、ロックだけで済ませられないみたいな部分を担ってると思いましたし。常にオルガンが楽曲に張り付いてるわけじゃなくて、ちょっと言葉で引っ掛けたいというか、耳を傾けてほしいところにオルガンがいるのかな、というのが自分の印象で。だから歌詞の伝えたい意味だったり、元貴が言っていた二面性みたいなものを感じながらレコーディングできましたね」

――あと、サウンドプロダクションが整理された印象があって、すっきり聴こえるんです。

大森「ああ、今までに比べて音数は割とないですね。この5人で基本的に鳴らすっていうところで。割とバンドサウンドだし」

――音数が少ないプロダクションは世界的な傾向ですが、それを今っぽい曲調に持っていくんじゃなくて、こういう曲でプロダクションは整理されてるというのがミセスらしいのかなと。バンドの新しいタームとして音場というか、そういう意識はありますか?

大森「ああ、確かに。バンドとして5人で鳴らすというのは改めて意識はしているかもしれないですね。デビューからストリングスやらホーンを入れて豪華に彩るということはやってきたんですけど、まあ、でもバンドだし、そうじゃなくてもいいんじゃないかな?っていうのは思うので。だからかなりいろんな音楽――さっき言ったカントリーもそうだし、コードの9thのテンション感でいうとちょっとジャジーだったりするし――っていう要素が入ってる。音で背景を作るというより、そもそも持ってる要素で広げていくっていうところに力をかけたのは確かにありますね。バンドのターム、スタンスがそういうところにあったのは間違いないです」

――この曲がSEA BREEZEのCMで流れるってなかなか前代未聞ですよ(笑)。

一同「(笑)」

大森「そんなに?(笑)」

――たぶん、大森さん自身がどうなんだろう?って思ってる人たちのことかと思うんですけど、「故意に恋する 奴らもそうさ人間さ」という歌詞もあって。

大森「人類愛みたいなものをコンセプトにして、自分の中ではそういう言葉をもとに書いていったんですけど、“愛を愛し、恋に恋する”僕らは人間であるし、愛を裏返しながら、故意的に恋する奴らも人間であって、肯定も否定もせず、世間的にルールみたいなものはいっぱいあるけど、自分の価値観で恋ぐらいはいいんじゃないかな?っていう、そういう曲だと思うんです。だからすごくシニカルであり、聴き手を信じた曲ですよね。“わー、すごいポップ!好き!”ってなっちゃうのもアリだし……そう捉えられると、ちょっと“ほんとに?”って思うけど(笑)、このタイトル含め、どこか見え隠れするこの曲の本質みたいなものを感じてくれるのもアリだし、いろんな聴き方があるなってのは思いますね」

――そう思います。だからこそ、今回のシングルのアートワークが犬なのは納得で。

大森「人間じゃないんですよね。“人間さ”って歌ってるのに」

――逆に何が人間ぽく見せるのかがわかるというか。人間がこういう穿った表情をしてたら、まんまになっちゃうけど、すごいショットだなと思いました(笑)。

大森「何千枚ある中で“これ!”って言ったもん。やれやれ……って顔してる(笑)」

――カップリングですが、まず「How-to」のこのアグレッシブなアレンジはどこから?

大森「音像としては2年前の「WanteD! WanteD!」あたりからの派生だと思うんです。これも航空会社のタイアップ曲なんですけど、こんな感じでというのを作ってみたところ、“これがいいね”ということになったので、制作は全然難航せずに。まあ、意外と攻め込んでる歌詞で、確実に何かを肯定してるわけじゃないので(笑)、その肯定がどこまでが良い意味なのか、そこの擦り合わせはあったんですけど。でも制作の段階でゼロを1にする段階では全く難航せずに、“あ、これでいいんだ?”みたいな感じで始まってったのは結構、印象的でした」

――新しい踊れる曲がきたなと。アグレッシブですね、生音とエレクトロニクスのバランスが。髙野さんはシンセベースも十分にバリエーションができた感じですか?

髙野「そうですね。「How-to」のシンセベースはもともと大森が打ち込んでいたものを使っていて、それに重ねるような形で自分のエレキベースが入ってたりするんですけど、差し引きのバランスだったりとか、ここは生のベース、ここはシンセベースっていうコントラストが効いたアレンジになったなと思いますね。ライブになったらシンセベースで弾いたり、いろんな挑戦ができる曲だなと」

大森「うん、ライブに関しては、なんでもできるというか、いろんな表現方法あるよね、この曲は」

――そして3曲目の「月とアネモネ」は2014年からすでにあった曲だそうですが、このタイミングで完成させたんですか?

大森「いや、もともと曲も歌詞も全部あったんです。結構、ふだんから涼ちゃんと“「月とアネモネ」、やっぱいいよね。いつか出せたらいいよね”って話をしてて。まあ、カップリングということでこういう曲があってもいいんじゃないかな、と。かなり演奏が攻めてるというか、技術的にもリズム的にも難しいことをキメでやってるので、そういうところと、あとは綾華がボーカルでまた歌ってるっていうのもあるし」

――特徴的な曲であると?

大森「シングルの形態みたいなものが、良くも悪くも徐々に固まってきたところはあるんですよ。今年の7月になったらメジャーデビューから5年目になるんです。5年目で9枚目のシングルって言ったらもう新人なんて言ってられないみたいな……って、全然新人のつもりでいるんだけど(笑)。そういうところで、今までと違うようなものをシングルとして作りたいよねっていうところで、「月とアネモネ」っていう曲は絶妙な立ち位置にいたなって思い出して。じゃあ入れようかなって。演奏のキメとかはさらに詰めていった感じですけど」

――確かにミセスとしてはすごくポストロック感があります。

大森「ほんとにそうですね。あと、綾華はライブで叩きながら歌えるのか?というね(笑)」

全員「ははは!」

大森「僕は弾きながらギリギリなんでね」

山中「楽器隊としてもすごく手応えのある曲だし、ボーカルもすごく独特な掛け合いになっているので……でもライブのことは全然考えてなかった(笑)」

――インストバンドならやることかもしれないですけど。

大森「はいはい。でもこの曲、やってることは結構インストバンドだよね?」

若井「インストで聴いてもめちゃくちゃかっこいい曲だよね」

――山中さんが歌ってるの見たらすごい驚きますよ、きっと。

大森「ドラマーを別に立てるのも全然ありだよね。綾華がボーカルに徹する形態も全然ありだと思うし。だから、全くそういうところをイメージせずに録った楽曲ですね。“あ、そうだ、ライブだった”みたいな(笑)」

若井「レコーディング、めちゃ緊張感あったもんね(笑)。この曲、せーの!で録ったので。その緊張感、空気感がぎゅっと詰め込まれてる曲だと思います」

――この曲がもう2014年にあったかと思うと、まだ何が出てくるのだろうと楽しみがつきませんが。そして、間もなくホールツアーが始まりますが、新旧の楽曲を今のモードでということなんでしょうか。

大森「どこまで言っていいのか……まだ計画中ですね。でも“えーっ?”てなると思いますよ」

藤澤「やろうとしてることはかなり“大きく”あるので」

大森「僕らとしてもかなり挑戦なことなので、ふつうに、こう、曲を見せるライブとかってことじゃない。だから「ロマンチシズム」をポップスだと思ってライブに来たらちょっと引かれるというか、度肝を抜かれると思います(笑)。“あれ?”みたいな。“ミセスってポップで爽やかなバンドだよね?”ってこう、友達誘ってきたらちょっと腰抜かすみたいな、そんなホールツアーになりそうな感じはしてますね」

――みなさん度肝を抜かれにきてくださいと。怖いけど楽しみっていうのはミセスのツアー史上初めてかもしれません(笑)。

大森「結構、言っちゃったけど、大丈夫かな(笑)。そんなようなことを計画中です」

(おわり)

取材・文/石角友香



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