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2019.02.26

Bentham『MYNE』インタビュー――宝物になる曲が見つかりますように

ポップで親しみやすくて踊れる――もはやそれはBenthamの魅力のごく一部分に過ぎない。温かみを孕んだミディアムチューン「cymbidium」で始まる2ndアルバム『MYNE』に収められた10篇のストーリーは、まさにハイブリッドロック。明確な意思を持って変化する4人の胸中とは?

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――今回のアルバムはBenthamとしてどういうビジョンがありましたか?

小関竜矢「いままでどおりいいものを出すっていうのは変わらず、自分たちの得意なところを伸ばしながらいい1枚にしましょうというスタートをしましたね」

――先行リリースされた「cymbidium」が1曲目なのも象徴的ですね。

小関「バンドが“どう進んでいきたいか”を確認したんです。いままで“楽しいだけ、暴れたいだけ”という子たちがそういうことを期待してライブに来て――僕たちはそういうスタンスでやってないので、ちょっと空回りというか――場の空気にそういうところが見受けられたので、“ミディアムナンバー出したいね”ってことで「cymbidium」がリードかなって。それでアルバム全体の空気感も見えてきて、この曲が1曲目にあることで“変わりました!僕たち!”というより、“僕たちこうなんで”って主張、それをしっかり伝えるというところですかね」

――そして今回はメンバー全員の楽曲が収録されています。それは最初から決めて取り掛かったんですか?

小関「作曲はメンバー全員が昔からやってたんですけど、締め切りがあって何日までに何曲出してね、というよりは、自分の中の昔の曲をブラッシュアップしてもいいし、新しく書ける人は書いてねって形でみんなとにかく頑張った感じです」

――それぞれ得意分野があるんですか?

小関「例えば辻くんならこういう曲だろうなとか、須田ならこうだろうなっていうイメージはお互いできてるんです。なので僕がメインを作るから激しい曲作るのやめとこうって思うメンバーもいるかもしんないし、でも制限は特になかったです」

辻 怜次「今回デモを作るにあたって、最初から期間を長く取って、吟味していいアルバムを作ろうっていうのがあったんです。僕ら音楽的に好きなジャンルとかバックボーンの部分がメンバー全員違うんですよ。バンドによっては好きなバンドが共通してあって、それに特化したバンドもいると思うんですけど、僕らは好きな音楽がそれぞれあって、お互いそれを共有して“あ、いいね、そういうのあるんだ”とか言い合える仲なんで、デモもそれに近いような感じがありまして。なので、それが色濃く出てくれたアルバムになったんじゃないかなと思いますね」

――辻さんの「MIRROR BALL」と「BASSBALL」は、アルバム終盤にもう1段ギアを上げてくれる曲というか。平たくいうと踊れる曲ではありますけどタイプは違いますね。

辻「そうですね。いままでとはまた違うBenthamというか……「cymbidium」もそうなんですけど、進化していかなきゃっていう意思が今回のアルバムには出てるなと思ったので、それこそ「BASEBALL」はいままでのBenthamに近い感じですけど、「MIRROR BALL」はいままでになかったようなシンセサウンドを入れたり。これはアレンジャーさんたちもノリノリでやってくださったので面白い曲になった意識はありますね」

――ディスコチューンだけど、構成が変わって行くのが面白いです。

辻「一時期ダフト・パンクの『ランダム・アクセス・メモリーズ』あたりをよく聴いてたんですよ。それでブラックな部分を感じまして。なおかつエレクトロ要素もありつつ、生のドラムやベースも入ってるものに惹かれまして。元々はもっと落ち着いた雰囲気の曲がいいかな?とは思ってたんですけど、アレンジしていくうちにこう、ベースだったらオクターブで面白い感じにしたり、結構変わっていって。いいアレンジを引き出していただきました」

――R&B寄りの小関さんの地声からファルセットを楽しめます。やっぱり歌えるボーカルがいるっていうのは強みですね。

鈴木 敬「しかも歌ったら変わるというか、自分たちのバンドになるっていうのがわかってるので、やりやすいですね」

――ボーカルのカラーがはっきりしてるからこそ、いろんなジャンルにアプローチできる?

小関「いままでは曲が似ちゃうというか、僕の声質もそうだし、そこはちょっと悩みだったんですけど、幅を広げたら武器になるんだな、なんでも歌えるなっていうのはすごい思いました」

――そして鈴木さん作詞作曲の「SUTTA MONDA」はいろんな時代をイメージできるフレーズが出てきます。

鈴木「最初は自分の中では、初めてぐらい、すごくBenthamを意識して作ったんです。いちばん得意なテンポだったり、使ってそうなコードだったりっていうのを意識したところから始めて。作ってくうちにいろんな時代のもの、自分の趣味的なものが出てきて、どの辺が落としどころかな?と思いながら作っていった感じですかね」

――イエスの「ロンリーハート」を思い出してしまいまして。

鈴木「わかるようなわからないような(笑)」

――しかも後半に歴史上の名フレーズがいろいろ出てきて。それが鈴木さんの趣味ってことですね(笑)。

鈴木「それが伝わってるのはよかったです」

――アルバム冒頭はなかなかシリアスだと思うんですね。「cymbidium」のように優しいけど切ない曲で始まって、「Cry Cry Cry」は赤裸々な内容で。

小関「そこの赤裸々感というか、ハッとする感じはかなり意識はしてますね。「Cry Cry Cry」が出来上がった時には“きたな!”というか、いままで自分がやってきたことの肯定というか、そのまま突き進んでいく、思ったことをするっていうのを歌詞に封じ込めたので」

――現状認識というより、もうちょっと小関さんの感情が出ている?

小関「そうですね。僕ってこういう人間だからというか。僕、THE BLUE HEARTSが好きなんですけど、「すてごま」って曲がありまして、そのイメージというか。リスペクトともオマージュともわざわざ言わないけど僕の好きなものというか。いろいろなことに対して、やっぱ“死んでくれないか”ってワードは僕の中ですごい大事なワードだったので、一ヵ所だけ出てくるんですけど、それは意識しましたね」

――なるほど。「すてごま」の話を聞くと、「死んでくれないか」の意味もわかります。続く「Hope the youth」には、J-POPな感じがあって。こういうタイプの曲ってBenthamにはありそうでなかったのでは?

小関「これ、サビのコードなんですけど、それこそJ-POPのコードはどうやって進行しているのかをネットで見て、なるほど!と。で、そのコード進行の中でキーを合わせて弾いてみてサビができたんですけど、いつも自分がやらないコードなのでメロディが乗っかんなくて(笑)。僕、メロディが乗っかんないってほぼないんですけど、この曲だけすごい苦労しましたね。なので、この曲はデモが通って、いい曲だから入れましょうって時期は、まだサビのメロがあやふやだったんです」

――それは敢えて挑戦してみようと?

小関「そうです。サビの前後がすごい良くて、リズムが大きい感じや洋楽っぽい広いところで鳴ってる感じも、いままでの僕の曲になくて、“これいいね”ってなったんです。でも僕の曲ってメロディ勝負なので、メロディでメンバーを納得させて決まる曲が多いんですけど、これはデモのクオリティが低かったので“ちょっと大丈夫?”って意見もあって。でも“意地でもメロディ乗せるんで大丈夫です”って流れで出来上がって」

――この曲は「ウルトラマンニュージェネレーションクロニクル」の主題歌にもなりました。

小関「ウルトラマンのファンの方のイメージを崩さない、いままでのファンの人をより大事にしているイメージですね。子供の頃、ウルトラマンに憧れて、親になった世代のために歌ってるぐらいの気持ちで書きましたね」

――須田さん作曲の「トワイライト」は、小関さんと歌詞を共作してるんですね。

須田原生「はい。過去に作詞作曲はやったことあるんですけど、基本的には全部任せてもらうスタンスだったんです。今回ちょっと試しに二人でやってみない?って感じになりまして、いままでなかった形になりましたね」

――いっしょに書くとどういうところを分けるんですか?

小関「基本的に最初は須田の仮歌詞が乗っかってたんです。須田の曲だったんで、基本的には須田に引っ張ってもらいつつなんですけど、この曲はこういう曲でどういう歌詞を書きたいっていうのを意見交換して、須田がやりたいことをよりやらせてあげたいし、僕の得意なところを伝えて成長させたい、じゃないですけど、その中で僕も成長できるところがあったので、意見を聞きながらやってみようかなと思って作ったんですけど、やっぱ作るスタンスっていうか組み立て方が違うんですよ。それは勉強になりましたね。なんでここってこうなんだろう?って思わされるところがあったり。須田くんは自分の意見を強く言ってこないタイプなので、苦笑いでかわされ(笑)」

――そうなんだ(笑)。

小関「“いったんやりたいことやってみて。俺がまとめるから”って。この曲は頭サビなんですけど、これは須田がもともと書いてきたデモの段階で書いてきたのとほとんど変わってないんですよ。その時の“さぁ泣いて笑って越えて行け”っていう須田の歌詞を超えるのは難しいかなと思ったので、“このまま行きます”って感じで」

須田「仮歌詞のスタンスが絶対違うんですよ。僕はふだん、曲は作るけど、歌詞はお願いするから、歌いやすいレベル感というか、それを本チャンでめっちゃ変える気はなくて。逆に小関は仮歌詞を自由にするタイプなんで。確かにそこの違いは結構出たかなと思います」

――小関さんは、自分の“歌いやすい/歌いにくい”より、元の歌詞を尊重したと。

小関「そうですね。須田の曲がいちばん歌いにくいですね、いままでで(笑)。それを習得するというか、この後の曲も、それを歌えるようになるのは僕にとって大事なことで。ただ歌ってみて自分のものにできたんで、今回は良かったんですけど、何でもかんでもというか……いわゆるシンガーの方は、曲の提供を受けて歌うじゃないですか。それで歌えるって素晴らしいし、すごいことだなと思ったのと、僕はそれができるタイプじゃないんですよ。僕から出てくるオリジナルなものが心を打つものになるので、ある程度の技術面のアップはしたいんですけど。そこは気づきましたね。自分のメロディで自分の譜割りで行った方がいいなっていう」

――それでもこのジャンルの幅で歌える小関さんは守備範囲が広いなと思いましたけど。

小関「ほんとに歌えなくて涙が出てくる、悔しいというか。歌えるんですけど、全然いい歌じゃなくて。今回はエンジニアの方にだいぶ助けられまして、心の殻を破っていただけて、その後のライブに影響が出るぐらい、すごく“歌いたい!”って気持ちが芽生えましたね。で、無事に自分の中ではいいテイクで録ることができて、ほんと良かったです。須田がナイスでした。作ってくれてありがとう!」

須田「目が合っちゃた(笑)」

――ボーカリストとして自分の持ち味が出せるか?ってことですよね。

小関「そうなんです。曲がいいからって妥協してるとライブで歌わなくなるんです。それに評価されずらいっていうのがあるんで、誰が作ったかももちろん重要なんですけど、もうバンドの名義で出してる以上、僕が納得してないとそれは良くないですね。アルバムに入ってるのに歌わないのはもったいないし、僕も歌えるようにスキルを上げなきゃいけないんですけど、そういうことがないように細かくメロにも介入しますし、そこらへんはいろいろ工夫しましたね」

――小関さんのそうした苦労があるだけに全曲ともすごく楽しめます。「five」は大地のイメージというかスケール感があるし、「ASOBI」はタイトルどおり、どこで拍をとっていいかわからない(笑)。

小関「そう(笑)。歌ってるとき、それに陥って。歌えないし、ずれちゃって。予定の日で録りきれなくて、次回に持ち越しって流れになったんですけど、そこもいろんな人の手を借りて歌詞とのリンクを考えながら自分のものにしていって。デモの時は、もっととんでもない曲になるかと思ったんです。もっと変拍子でわかりづらい曲だけど、勢いで押す!って。サビがメロウだったのを――ちなみに須田ってすごいエンジェルボイスなんですけど(笑)――だからデモではふわふわふわって歌うんです」

一同「ははは!」

小関「しかもボーカルはダブルになるようなエフェクトをかけるので、メロディが丸っこいんですよ。で、僕って声でいうと結構とんがってるので、“あ、これ合わないかもな”っていうのはイメージしてたので、この曲をどこに落としこもうかなと思ってた時に、歌詞を作って、歌詞に対しての譜割りでちょっと変えさせてもらって、僕の曲にしてしまおうと思ってやったんです。そしたらサビはかなり僕らしい曲になって。須田の曲なのに僕らしいっていうのはいままでになくて、これも相当お気に入りですね。それこそ気持ちを込めて歌えるというか……かっこよくできたんじゃないかと思います」

――10曲全部違うタイプだからレコーディングも楽しかったんじゃないですか?

小関「どこまでできるか?っていう感覚が、底をついちゃってたかも……って不安だったのが、“まだまだいけるな、次何しようか?ライブではこうやって……”とか、言われてもないのにセットを考えたり、演出を考えたり(笑)。こういうのをやっていきたいなって想像が膨らんでるんですよね。僕、結構バンドを車に例えることが多いんですけど、ガス欠にならないように各地回ってみんなからガソリンもらって……っていう例えをするんですけど、そんな中で初めて曲に元気をもらったっていうか、まだまだ行けるなっていうのを感じられる10曲になりましたね」

――アルバムタイトルの「MYNE」はアフリカーンス語ですか?

小関「そうです。よくご存知で」

――綴りが「MINE」じゃないので何語だろう?と思って調べてみました。

小関「アルバムタイトルはいろいろ出し合って、この字面が気に入って。意味は?ってなった時、僕らアルバムタイトルが先行することがあまりなくて、この10曲に対してこういう1枚だよね、っていうことが多いんですけど、この“MYNE“の意味は鉱山らしいと。で、“それだ!”と。めっちゃアイデアは出したんですけど、全然ピンときてなかったのに、その時だけ風がふわっと吹くんですよ(笑)。“これじゃない?”って。どんどん後から意味が出てきて、Benthamはまだまだ宝物が出てくる鉱山ですよ!と。で、これを聴いてくれた人にとって宝物になる曲が見つかりますようにという祈りを込めてつけました」

――他にも意味がたくさんあるので調べてみてほしいですね。ちなみにレコーディング中のバンド内で流行ってたことってありますか?

辻「うーん……流行ってたっていうか、今回、3ヵ所でレコーディングして、その中のひとつは群馬だったんですよ。バンドマンが宿泊しながらレコーディングできるところが群馬にありまして。アレンジャーの人も“せっかくバンドやってるんだからそういうところ使おうよ。バンド的な空気を大事にしようよ”って言ってくださって。実際そこの設備がすごく良くて“ああ、行って良かったな”って。初めてでしたね、泊まりがけでレコーディングをするのは」

小関「泊りで行くって聞いてたんで、自然があって、木々があって、キャッチボールして……みたいに思ってて。グローブを持って行くつもりだったんですけど、“そういうとこじゃないから”って言われて。確かに普通に街中にありました(笑)」

辻「あと、須田がレコーディング中にぎっくり腰になりました(笑)。須田がブースに入ってて、背伸びしたりしてて、どうやら腰をいわしたな、っていうのを卓側からモニター越しに見てたんですけど、案の定“今日これ以上できない”と(笑)。こっち側で3人、“あ、あいつやらかしたな”って笑ってました」

――それはメイキングに撮っておくべきでしたね(笑)。

辻「初回盤に入ってるメイキング・オフショットはまあまあゆるいですよ。須田の腰痛体操は撮れませんでしたけど(笑)」

(おわり)

取材・文/石角友香





■LIVE INFO「GOLD RUSH TOUR 2019」
4月5日(金) 千葉LOOK(千葉)
4月6日(土) BAYSIS(神奈川)
4月11日(木) Queblick(福岡)
4月13日(土) club SPOT(大分)
4月14日(日) Django(熊本)
4月17日(水) AZTiC canova(島根)
4月18日(木) SECOND CRUTCH(広島)
4月20日(土) Double-u Studio(愛媛)
4月21日(日) DIME(香川)
4月23日(火) PEPPERLAND(岡山)
4月29日(月) KYOTO MUSE(京都)
4月30日(火) music zoo KOBE 太陽と虎(兵庫)
5月8日(水) the five morioka(岩手)
5月9日(木) HooK SENDAI(宮城)
5月10日(金) KORIYAMA CLUB #9(福島)
5月17日(金) BESSIE HALL(北海道)
5月22日(水) CLUB RIVERST(新潟)
5月23日(木) ALECX(長野)
5月25日(土) GOLD CREEK(石川)
5月26日(日) Soul Power(富山)
6月8日(土) Live House 静岡UMBER(静岡)
6月14日(金) HEAVEN’S ROCK Utsunomiya Vj-2(群馬)
6月22日(土) 梅田シャングリラ(大阪)
6月30日(日) CLUB UPSET(愛知)
7月15日(月) WWW X(東京)





Bentham『MYNE』
2019年2月27日(水)発売
初回盤(CD+DVD)/3,500円(税別)/PCCA-4751
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2019年2月27日(水)発売
通常盤(CD)※期間限定スペシャルプライス/2,000円(税別)/PCCA-4752
通常盤(CD)/2,760円(税別)/PCCA-4768
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