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2018.08.20

SING LIKE TALKING『3rd REUNION』インタビュー――僕らの音楽を聴く入り口として

2018年1月にリリースされた14thアルバム『Heart Of Gold』から1年を待たずに30周年記念ベストアルバム『3rd REUNION』を届けてくれたSING LIKE TALKING。忙しい合間を縫って、USENのトーク番組「VINTAGE MUSIC」の収録に駆けつけてくれた佐藤竹善、藤田千章、西村智彦が、デビュー当時のエピソード、新曲「Vox Humana」に秘めた想い、そして間もなくスタートするツアーについて語ってくれた最新インタビュー。

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――デビュー30周年記念ベストアルバム『3rd REUNION』は、10枚目のアルバム『METABOLISM』以降の楽曲からセレクトされていますが、選曲は大変でしたか?

佐藤竹善「結構スムーズに行きましたよ。ベストアルバムは毎回そうなんですけど、シングル曲やドラマのタイアップ曲に限定して、僕らの音楽を聴く入り口として聴いてもらいやすい作品を中心に選んでいるので、僕が基本となるたたき台を出して、それをふたりに渡して微調整をして、無事完成しました」

――シングル曲やタイアップ曲以外でも、たとえば「月への階段」や「The Love We Make」、「涙の螺旋」、「Luz」、「The Great Escape」といったアルバム曲のセレクトにこだわりを感じました。

佐藤「ファンの間で人気の高い曲だったり、シングルじゃないけど評判の良かった曲は、今回あえて挟み込むようにしましたね」

――アルバムでいうと、2013年の『BEFRIEND』からトラックダウンでグラスゴーに行かれてますけど、これはどんな理由があったんですか?

佐藤「その前作の『Empowerment』をやってくれたジョン・ハンプトンというアメリカ人エンジニアが病気で亡くなったんです。ちょうど同じ時期に遊佐未森さんのアルバムを聴いたら、とても素晴らしい音だったので、彼女にエンジニアは誰か訊ねたら、グラスゴーのカラム・マルコムだと。それで色々と調べてみたら、プリファブ・スプラウトのアルバムとかをやっている人で、どうやってコンタクトしようかなと考えていたら、たまたま西村の飲み友だちが昔イギリスに住んでいてカラムさんのことをよく知っているという、恐ろしいくらいの偶然があって、それでお願いすることになったんです」

――プリファブ・スプラウトは僕も大好きですけど、とても透明感のある音ですよね。

佐藤「ちょうど僕ら自身も、アメリカ的な乾いた音よりも、ちょっとウェットな感じにしたかったというのがあって、カラムさんの作る音と上手くマッチしたんですよね。リヴァーブの感じがとても美しい、いかにもイギリス人らしいミックスをする人です。『BEFRIEND』以降はずっとその人にお願いしているので、トラックダウンでグラスゴーに行く機会が増えて、そこで西村さんの料理が炸裂したというトピックスもありました(笑)」

――今回の『3rd REUNION』には2000年代以降の作品が並んでいますが、97年の『Welcome To Another World』から2001年の『METABOLISM』まで、しばらく間が空きましたよね?この時期というのは、ずっと走り続けてきたSING LIKE TALKINGにとって、自分たちの活動を振りかえる期間だったんですか?

佐藤「『Welcome To Another World』のあとにベストアルバムの『SECOND REUNION』を出して、それから僕がソロ活動に入って99年に『FACT OF LIFE』を出した関係で、グループとしての活動はしばらく空いてしまって、その間に僕自身がラウド系とかのハードなものや、今まで聴いていなかった音楽に興味を持つようになり、それもあって『METABOLISM』が、ああいうトーンのアルバムになったんです。それまでのSING LIKE TALKINGのイメージから脱却して、より自由な音楽を作ってみようと。それまでは、僕が曲を書いて千章が詞を書くというパターンが多かったのが、『METABOLISM』では、三人それぞれが作っているぶん、三人の個性が明確に表現されたアルバムになっています」

――ビートルズでいうと『ホワイト・アルバム』的な?

佐藤「比べるのはおこがましいかもしれませんが、統一感よりも三人の個性を前面に出した作品という意味では、『METABOLISM』は僕らにとっての『ホワイト・アルバム』的な位置づけの作品かもしれませんね」

――そういうアルバムを作ったことで、どこか精神的に楽になった部分もあったんですか?

佐藤「僕らは比較的、デビューの頃から自由にやらせてもらってきたので。特に僕の場合は、好きでやりたいと思った音楽しかできないですし、売上げうんぬんではなくて、こうして30周年を迎えた今でも、『METABOLISM』は作ってよかったと思えるアルバムです」

――グループとして売れてきて、ファンが増えてくると、どうしてもその期待に応えなきゃいけないという側面もあったと思うのですが。

佐藤「そうですね。4枚目の『0 [lΛV](ラブ)』から9枚目の『Welcome To Another World』までは、僕ら自身はあまり意識してなかったですけど、結果的にそうなった部分がありました。なので、一度そうした部分をロンダリング(洗浄)したかった面はありましたね」

――今回のベスト盤には30周年を記念する新曲「Vox Humana(ボックス・フマーナ)」も入っていますが、これはどんな作品ですか?

佐藤「“声”というイメージが自分のなかで最初に出来上がって、日本語だと、たとえば“声をかける”とか“声をあげる”とか“声に耳を傾ける”とか、そういうフレーズになることで意味合いが変わっていくじゃないですか。優しさの積極性みたいな、一歩踏み出して行動するという、有言実行じゃないですけど、そういうことに焦点をあてた曲にしたかったんです。ケニー・ロギンスが85年に『ボックスフマーナ』というアルバムを出しているんですけど、英語の“ヒューマン・ヴォイス”ではなくて、あえてラテン語の“ボックスフマーナ”という表現を使っていることが、僕のなかでとても印象に残っていて、それを今回パッと思い出して、歌詞に関しては、いま話したようなテーマを千章に伝えて、書いてもらいました」

――たとえば、最近の若い人たちがTwitterやLINEなどを使って、わりと短い言葉のやり取りでコミュニケーションが成立しているという、そういう風潮に対して、なにか思うところがあったのかなと。

佐藤「今の若い人うんぬんという部分には特に意識はなくて、各世代によってコミュニケーションの仕方ってあると思いますし。どちらかというと、身近なところでも海外でも、日々様々な出来事が起きていて、それらを単純に受け取るだけじゃなくて、より能動的に行動していくような人間としてのチカラが持てたら素晴らしいんじゃないかと思ったんですよね」

――サウンド的には、いかにもSING LIKE TALKINGらしいというか、ジャンルレスなアプローチになっていますね。

佐藤「若い頃は三人の聴いている音楽が近かったりもしたんですけど、年齢を重ねてゆくに連れて、それぞれの好きな音楽が広がってきて、それがバンドの広がりにもなってますね。もともとデビューの頃からジャンルレスな感覚はあったんですけど、こうして15枚のアルバムを並べてみると、好きなことをやっているなと感じるし、それが自分達らしさなのかなと思います」

――今回の「Vox Humana」に関しては、アフリカ的な要素とエレクトロ的な要素が上手く混ざりあっている印象を受けました。

佐藤「まさにそれを目指しましたね。都会的で現代的な部分と、プリミティヴで土着的な部分がリユニオンするという、言いかえると、澄んだ部分とカオスな部分というか、非常に対照的な要素をイメージしながら音作りをして、先ほど話した曲のテーマをサウンドでも表現しました」

――シングル盤のカップリング曲「Too Heavy To March」は、西村さんによるギター・インストゥルメンタル作品ですが、こちらはどんな仕上がりですか?

西村智彦「カップリング曲に関しては、毎回自由にやらせてもらっているんですが、そのぶん悩むところでもあります。今回も、どうしようかと悶絶しながら悩んでいたときに、イントロのAC/DCっぽいフレーズが頭に浮かんで、そこから重たいビートのロックにしようと思って。それで曲が出来上がって、今度はタイトルをどうしようかと。最初はベースの八つ打ちがマーチみたいに聴こえて、でもマーチにしては重たすぎるよなというのをそのままタイトルにしました。曲が出来たのが、ちょうど3月だったので、そういう意味も含めて」

佐藤「最初は“ポップな歌モノにして”って言ってたんですけど、あんな曲が出来てきて(笑)。でもすごくカッコいいなと思いましたよ」

藤田千章「僕は西村君からの依頼を音にしていったんですけど、単純に良いサウンドが出来たなと思いますね」

西村「僕の作品って、ハードロックが好きな割には、意外とハードな作品が少ないんですよ。なので、今回は良かったかなと」

――さて、今回の『3rd REUNION』は通常盤の1CDに加えて、2CD、3CD、4CDと、色々な形態でリリースされますね。

佐藤「そうなんですよ。通常の1CD以外にも、今年の3月にやったコンサートのライヴ盤を付けた2CD、これを機会に過去のベストアルバムである『REUNION』と『SECOND REUNION』も最新リマスターしたので、計3枚のベストアルバムをまとめた3CD、そこにライヴCDを付けた4CDと、全部で4種類あるので、ファンの方のご要望に応じて、お好きなパッケージを選んでもらえたらと思います。僕らの場合、ファンの人の間でも好きな曲がばらける傾向にあるんですよ。なので、惜しくも漏れてしまった曲もあったんですけど、3月のライヴでは結構新しい曲も演奏したので、『3rd REUNION』に入ってなくてもライヴ盤のほうで聴けるものもあります。そのあたりはバランスを取りながら入れました」

――個人的には、最初のセレクションアルバム『REUNION』は、当時かなり聴き込みました。僕は4枚目の『0 [lΛV](ラブ)』からのファンなので、それ以前の楽曲をまとめて楽しめるのがありがたかったです。

佐藤「5枚目の『Humanity』がオリコン3位まで上がるヒットになって、そうするとメーカー側から“ベストアルバムを出しましょう”という話が当然のように来たわけです。でも、僕らはベストアルバムはイヤだと。まさしく、当時のファンの多くは4枚目から聴きはじめていたので、3枚目までの曲を改めて紹介するセレクションアルバムとして『REUNION』を出したんです」

――この『REUNION』には、いまでは伝説として語られている渋谷クアトロでのデビューライヴから、スティーヴィー・ワンダー「Stay Gold」のカヴァーが入っていて、あの音源が僕はとても好きで……。

佐藤「『アウトサイダー』という映画のエンディングでスティーヴィーが歌っていた曲なんですけど、なぜかスティーヴィーのヴァージョンはシングルにはならず、この『REUNION』に収録された僕らのヴァージョンが、実は世界初音源化だったんですよ。デビューライヴのときはアルバム1枚分しかレパートリーがなかったので、カヴァーも何曲かやりました。オープニングはスティーヴィーの「アイ・ウィッシュ」、「迷信」と「Dancin’ With Your Lies」のメドレーでしたね」

――あのライヴで、ドラムスにあのジェフ・ポーカロ、ベースにネイザン・イーストが参加していたというのは、有名な話ですが、そもそもなぜ彼らが参加することに?

佐藤「デビューアルバムのトラックダウンでアメリカに行ったときに、エンジニアの人が僕らの音源を向こうのミュージシャンたちに配ってくれたのが、すべてのはじまりだったんです。それで、向こうのほうから“君たちといっしょに演奏したい”と言ってくれて、それでジェフとネイザンの参加が決まって。デビューライヴの会場は、ほとんど彼らのファンでした(笑)」

――彼らとのリハーサルは十分に出来たんですか?

佐藤「ふたりとのリハーサルは2日間しかなかったので、その前に、打ち込みのベースとドラムを使って、目黒のスタジオで三人だけで練習したのをよく覚えています」

――さて、ライヴといえば、初回盤の2CD仕様に付くライヴ盤は、どんな内容ですか?

佐藤「今年の前半に若手ミュージシャンたちと“SING LIKE TALKING 2018 The Tour with Next Generation”というツアーをやったんですね。それまでは、ホーンセクションやストリングスをフィーチャーしたプレミアムライヴが続いていたので、このときは久しぶりの通常ツアーというか、アルバム『Heart Of Gold』のリリースを受けてのツアーでした」

――通常ツアーだけど、メンツがいつもと違うという。

佐藤「彼らは全員、高校生とか二十歳前後のときに、僕らのライヴを観て、いつもいっしょにツアーをまわっているミュージシャンの演奏を聴いて、プロになろうと志した人たちなんですよ。今ではユーミンやTUBEなどのバックで演奏していて、僕らの音楽に愛情を持ってくれている彼らと、一度やってみるのも面白いかなと思って」

――9月と10月には「SING LIKE TALKING 30th Anniversary Live Amusement Pocket “FESTIVE”」と題した30周年記念のライヴツアーが行なわれます。

藤田「お祭り的な、という意味を込めて、“FESTIVAL”ではなくて“FESTIVE”にしました」

佐藤「今回は30周年のお祭りなので、特にコンセプトは無しで、僕らの代表曲をひたすら演奏するというライヴになると思います」

――ツアー最終日は、10月21日のリンクステーション青森ですが、地元だけに、かなり盛り上がりそうですね。

佐藤「とりあえず、MCは100%津軽弁でやろうと宣言しましたから(笑)、うしろにいるメンバーたちが、何を言っているのか分からないライヴになると思います。それと、今回は4本という短いツアーになりますけど、最終日だけに演奏はこなれてきていると思うので、一連の30周年記念企画の締めくくりにふさわしいものにしたいですね」

――百戦錬磨のSING LIKE TALKINGだと思うんですが、ライヴは今でも緊張しますか?

佐藤「自分たちのコンサートでは、そんなに緊張はしないですかね。ほかの人のライヴにゲストで出たときのほうがかえって緊張しますね」

藤田「でも初日は緊張しますよ。段取りとかもあるので、それが上手く行くかどうかという部分でね」

西村「昔はものすごく緊張するタイプだったんですけど、あるときを境に、不思議と楽になりましたね」

――最後に、今後挑戦していきたいことって何かありますか?

佐藤「無事に30周年を迎えられましたが、先輩のかたがたがまだまだお元気なので、せめて先輩たちと同じ年数ぐらいは頑張りたいなと思いますね。あとは、毎年コツコツと、そのとき作りたいものを作っていきたいです」

(おわり)

取材・文/木村ユタカ



■放送予定
SOUND PLANET「VINTAGE MUSIC」#177
ゲスト/SING LIKE TALKING(2018年8月20日~8月26日放送)

SOUND PLANET「VINTAGE MUSIC」#178
ゲスト/SING LIKE TALKING(2018年8月27日~9月2日放送)




■What’s “VINTAGE MUSIC” ?
「VINTAGE MUSIC」はUSENのBGMサービス「SOUND PLANET」で放送中のラジオ番組です。ラジオDJのトムセン陽子をメインパーソナリティに、毎週素敵なアーティストをゲストを迎え、そのアーティストの半生やルーツミュージックについて語り合いながら、最新の楽曲やライブ情報をお届けします。



USENのトーク番組「VINTAGE MUSIC」の収録でパーソナリティのトムセン陽子と



▼スマホで聴ける「VINTAGE MUSIC」ウェブエディットはこちら!




SING LIKE TALKING『3rd REUNION』
2018年8月22日(水)発売
初回盤(2CD)/UPCH-7425/7426/4,000円(税別)
通常盤(1CD)/UPCH-2164/3,000円(税別)
期間限定盤スペシャル・パッケージ – Deluxe Edition -(4CD)/UPCH-7418~7421/5,200円(税別)
期間限定盤スペシャル・パッケージ(3CD)/UPCH-7422~7424/ 4,200円(税別)
ユニバーサルミュージック




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