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2018.08.08

夜の本気ダンス「Magical Feelin’」インタビュー――誰が聴いても口ずさみたくなるような

00年代のニューレイブやポストパンク、90年代UKのマンチェ的なグルーヴ、ギターポップ……洋楽育ちの知性と肉体を持ち、人力ダンスビートで確かな存在感を見せる夜の本気ダンス。2018年夏のシングル「Magical Feelin’」は、抜け感とブライトな音像が新鮮。最近つとに先輩バンドとも共演が増え、新しいリスナーも獲得しつつある夜ダンの近況をお伝えしよう。

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――ライブDVD『Kotteri!intelli!One Man Show!2018 Live at STUDIO COAST』がリリースされて、夜ダンの現在が一望できたのかなと思うんですが、その後バンドのモードって変化しましたか?

米田貴紀「DVDを出して、そこでちょっと一区切りみたいな感じはありましたね。あとは今年結成10周年ていうのもあるし、今回のシングルからまた新たなスタートいうか、そういったモードではあるかなと思います」

――メジャーデビュー当時は、邦楽のダンスロックも視野に入れながらオリジナリティを出すタイミングだったのかなと。

米田「その時代の流れにうまく乗ったってところもあるし、そのぶん、そういった流行としてしか見てもらえてないっていうところも感じたりするので、それをいかに拭い去るかっていうのは毎回大きい壁ではありますね」

――一区切り感があったということですけど、次に目指すべきところや行きたいところはどういうところなんでしょう。

米田「あまり具体的にこういったものになりたいというのは……曲単位でこういうバンドのああいう雰囲気とか、一個一個のイメージはありますけど、あまり先を見据えてないというか、目の前の曲に対してやる。あまり考えすぎないようにする。もうちょっと力を抜いて、例えばアレンジメントに関しても、あんまりこねすぎてもいけないし、かと言ってシンプルすぎるのもそれはそれでというのもあるし、いいバランスを探っている状態なのかもしれないですね。基本的にもともと僕たちはあまりこねずにシンプルに行くタイプやったんですが、2ndアルバム『INTELLIGENCE』で、自分たちなりにですけど、ちょっとこねて、アレンジをもうちょっとやってみようと意識的になってみたところがあるので、今はちょうどいいバランスを探ってるところはあるかもしれないですね」

――タイトルの「Magical Feelin’」ですが、若い人は爽快とか言いそうですけど。

米田「ま、そうですね(笑)。それはよく言われますね」

――でも爽快なだけじゃないよねっていう。サウンドとか曲の構成が夜ダンでしかない感じになってるなと思いましたね。

米田「そこは確かに。それは自分たちでも感じてるし、ちょっと哀愁というか悲しみとか、そういったところを入れることで、より両方が強調されるというか、爽快感もより引き立つし」

――夜ダンをあまり知らない人が聴いたら意外性のある曲だと思います。

米田「それはすごく言われますね。“今までにない感じですね”とか。僕たちからしたら、そういう気は全然なかったんですけど。まあ、以前にも「SHINY」とかシングルでも出してたし、僕たちにとってはいたっていつもどおりの感じでもあるというか、ふつうに、あたりまえな感じでレコーディングもやったしって感じですかね」

――『INTELLIGENCE』のタイミングでのメジャーチューンがわりとロッキンソウルテイストの明るい曲だったから、リスナーとしては今回はまた違う印象でしょうね。

米田「そうですね。全然そっち側ではないし。今回はたとえばスーパーカーとか、ASHだとか、そういったバンドの音像をちょっと意識したんで、全くそういう黒っぽい感じとかではないんですよね」

――シューゲイザーやギターロックみたいな90年代っぽさがあります。

米田「今回だいぶ90年代感が出てますね(笑)。自分が今聴いてる音楽が結構90年代やったりして、結果的にそうなってて。もともとは2000年代のフランツ・フェルディナンドとかああいうところが原体験なんですけど、90年代の音楽も遡って元から聴いてたっていうのがあったんで、その部分が今出てきてるんかなと」

――爽快なだけじゃなくて切なさも出ているのは音像の影響かもしれない?

米田「うん。なんかね、曲が悲しみみたいな部分もありつつ爽快感もあってっていう感じなので、音像はすごく攻めた、激しさというかだいぶ突っ込んでる感じ。ミックスもそういう風にしましたね。それが結構、元から曲を作って行く上での今回の作品のイメージだったので、そこは想像どおりですかね」

――夜の本気ダンス“らしさ”の元は、それぞれの楽器の音の気がしてて。その辺いかがでしたか?

鈴鹿秋斗「もうアルバムも2枚出して、シングルも4枚目なんで、どうしたらどうできるっていうのが各々わかってきて。ドラムがいちばん生音で作っていかないといけないので、ドラムテックの方と話して“こういう風にしていきたい”って詰めていったり、結構そこらへんはいつもより時間をかけてやりましたね」

――あとは何たってメロディですね。

米田「すごい耳に残るメロディかなと。自分で言うのもあれですけど、誰が聴いても口ずさみたくなるような、それがいわゆるキャッチーさというものなのかなと思いますし。そういうものがもともと好きだし、コアな音楽にはなりたくないので、そういったメロディが今回偶然生み出せたのはうれしいですね。ライブでやるとそれがすごくわかりますよね。今、音源を出してない状態でライブでやってるんですけど、初めてこの曲を聴いたお客さんへの浸透率がすごく高い」

――初見でもなじみがいいと。

米田「だから1曲終えると完全にその人の中にもうその曲が入ってるような状態。やっぱりそれはいい曲だなという風に自分たちでも思うところですね」

――ロックはダンスミュージックだっていうステートメントを持つ夜ダンにとって、楽しく踊るだけじゃないんだって気持ちがすごく出てると思うんですね、この曲って。

米田「それはずっと一貫したテーマだし、毎回そういう悲しみみたいな部分も入れてるし。最初は単純にライブとかでも楽しさを感じ取ってもらえばいいですけど、ふとこの曲、でもちょっと変やなとか、なんか違和感があるなとか、それがやっぱロックだと思いますし、そういう違和感だったり、ずれてたり、そういったところもしっかりとこの曲には入ってるので、そこもしっかりと感じ取って欲しいかなと思います」

――悲しい時ほど踊ったりするし。

米田「そうですね。なんだろな……落ち込んでる時に“頑張れ”みたいな曲を聴くより、ネガティヴ寄りな曲を聴く方が“頑張ろう”と思えたりするときもあるじゃないですか?なんかそういう感じですかね」

――今回の3曲は全部違うタイプで楽しいんです。2曲目の「Music For Life」はラテンなアコギが印象的です。

米田「最初それは入れる予定ではなかったんですけど、途中で追加して。ギターの西田が結構、この曲に関しては舵取ってくれたんで」

――どういうビジョンがありましたか?

西田一紀「最初にサビのコード進行だけがある状態で、“任せていいか”って振ってもらったんで、打ち込みでばーって作ったんですけど、僕が入る前にライブを見てて“大きいとこでやっとんなあ”と思って。じゃあこういう曲があったら似合うんじゃないかなと思って作ったのが「Without You」なんですよ。で、逆に今度は自分がバンドの中に入って、大きいとこでこういう音を鳴らしたいなってイメージしながら組み立てていったのがこの曲ですね」

米田「ギタリストが作った曲って感じはすごいします。そこが面白さかなと。この曲の。いいソロやし、たぶんギターを弾いてる子たちが聴いたら憧れるんじゃないですかね?頑張ろうとか、どう弾いてんだろ?とか。そういう研究したくなるような曲なんじゃないですかね」

――歌詞は表現者の苦悩が描かれていますが。

米田「この曲に関しては内側に歌ってるというか、自問自答してる。ま、これも夜の本気ダンスらしいっちゃらしいので。結構1曲目、2曲目は対照的な感じで聴いてもらえるかなと」

――でもシリアスすぎるわけじゃなくて、こういう歌詞のスタイルも洋楽的ですよね。英文翻訳的な。

米田「そうですね(笑)。あと、こういう苦悩とかってそのまま吐き出してもただの愚痴とかになりますけど、曲にすることで作品になるというか、それはアーティストやからやっていいことかなと。そういったところも含めてポジティヴな部分もネガティヴな部分も両方出したいので、それができてるかなと思います」

――3曲目の「KIKI」。ライブでこういう重いビートの曲があるとご飯3杯ぐらい行けます。

全員「(笑)」

米田「めっちゃシンプルですね。これぞロック!みたいな。そういう曲やし、最後らへんはアルペジオでちょっと違う展開になりますけど、基本的にずっとおんなじ繰り返しをしてる中で、繰り返しのかっこよさとか、そういったところに焦点当てた曲ですね。2曲めの「Music For Life」の展開がいろんな方向に行ったりするんで、対照的な曲だし。なので3曲とも本当にばらばらですね」

――サビとかグランジっぽい感じもありますけど、悲壮感はなくて。

米田「うん。どっちかというと気だるさとか退廃的というか。そっちの方向かな。そういうロックの気だるさ」

――これぐらい遅いBPMで踊りたいときもありますよね。

米田「なんかね、ずーっと同じことやっててもこっちも飽きてくるんで。こういった曲でも踊りたいというか楽しみたいし。そういうことも最近やれるようになってきてるのかなと。一辺倒ではなくいろんなこともやれるようになったからこそ、こういう曲も生まれたのかなという風に思います」

――そしてボーナストラックは「Crazy Dancer」のPOLYSICSリミックス。共演もされてますけど、特にマイケルさんにとってPOLYSICSはルーツだそうで。

マイケル「そうですね。ハヤシさんは昔から気にかけてくださっていて、イベントとかでもごいっしょする機会があって。DJもやられてる方なんで、「Crazy Dancer」をLCDサウンドシステムの「Give It Up」とマッシュアップしてるって話をしていたり、そういうのもあっていつかリミックスしてみたいって話はあって。で、この前僕らが10周年イベントをリキッドルームでやったときに、ハヤシさんがDJで出てくださって、その時「Crazy Dancer」のリミックスをかけてくれて、それがすごいよかったんで、今回シングル出すにあたって、何か特別なことをしたいなあってなったときに、ハヤシさんに相談してみたら快諾してくださって」

――どうですか?この料理っぷり。

マイケル「やー、すごかったですね。僕らの曲なんですけどPOLYSICSの曲みたいになってて。ハヤシさんに聞けてないからわからないですけど、ソロとかも弾き直してるんじゃないかな?ぐらい、めちゃめちゃやってくださってて。もう曲聴いて5秒でPOLYSICSの曲や!みたいな感じじゃないですか。それがすごいうれしかったですね。やっぱり僕みたいに、POLYSICSに影響を受けてバンド始めた人間が、POLYSICS風にしてもらうって、言ったら夢みたいというか……すごい不思議な感じがしましたね」

――POLYSICS的なものを積んでるだけじゃなくて、ちゃんと解体再構築してるし。

米田「元の曲を殺してるわけじゃないし、両方生きてるし、しっかり成立させてるところがすごいなと、ハヤシさんは。曲終わった後にブレスがぱっと入るんですけど、そこ毎回笑ってしまう。“そこに入れるか”みたいな(笑)」

――狙ってたのでは?「午後の本気TOISU Mix」って(笑)。登録商標ですよ。今度、逆もやってみたらどうでしょう?

マイケル「POLYSICS、トリビュートの作品、出されてるんで、だからそういうのでいつか絡めたらいいなと思いますけど」

――先輩バンドとの交流も増えてきて、対バンでお互いの接点が見えそうですね。

米田「最近ね、フルカワユタカさんと対バンして、まあフルカワさんも僕たちのルーツですし、対バンすることでそれはすごいわかってもらえてるんじゃないかな?って。こないだも髭と対バンしたんですが、ライブを見ると感じられるんじゃないかな?と思いますよね」

――夜ダン自体の見え方も多彩になってくる?

米田「そう、いろんな世代の人に。だから逆を言うと、僕たちより上の、先輩バンドを聴いてる方々にも僕たちのことを知ってもらえるチャンスだし、届くと思ってるし、そうした交流が最近できてるんで。縦のつながりというか……横の世代ももちろん大事にしたいですけど、しっかりと縦の繋がりを見せることで、ロックのルーツってどんどん繋がっていってるんだよっていうのをファンのみんなにも示せてるかなと思います」

――そういうパーソナルな視点で、2018年上半期の、皆さんにとってのトピックスは?

マイケル「僕はさっきの話と重複しちゃうんですけど、10周年のときにハヤシさんがDJで出てくれて、僕はハヤシさんのDJをたぶん10年近く前にCOUNTDOWN JAPANで見てて。そのときに結構衝撃が走って。DJの概念を覆されたというか、ハヤシさんのDJって独特で、歌ったりとか、郷ひろみさんの「林檎殺人事件」をヘリウムガス吸って歌うとか。結構そういうハチャメチャなことしてるんですけど、それをいっしょにできたのが嬉しかったですね」

鈴鹿「僕は髭との対バン。髭と対バンするのはシンプルに楽しみやったんですけど、最後アンコールでお互いの曲をやったんですよ。お互いに好きな曲をやったんですけど、僕たちは「D.I.Y」で、向こうは「ロシアのビッグマフ」って僕らがSEで使ってる曲を選んでくれて、“え、それ?”って感じだったんです。でもライブ前に録ってくれた音源を聴かせてもらったんですけど、めっちゃ僕らの曲やのに髭になってて。当日のライブもかなりカオスな感じになって。もともと3分ぐらいの曲なんですけど、それを10分ぐらいソロ回しとか各々やったりして、自分たちの曲やのに“こんなにかっこよかったんや”と思うぐらい楽しくて。髭とは東名阪回ったんですけど、5本の指に入る楽しかった人生の出来事があったとして、そのうち3本を使っちゃうほど楽しかったですね」

米田「僕はDOPING PANDAが復活したことですね。それはほんまに泣きましたね(笑)。“こんな奇跡があるんや”って。フルカワさんのイベントのアンコールでDOPING PANDAが登場して、しかもそのイベントに出させていただいて、なかなかこんな日はないなと」

――西田さんは?

西田「思い返してもさっぱり何も出てこない……。えーと、レスポール・モデルのギターを買ったんですよ。ギブソンのギターを初めて新品で買ったんです。メーカーに保証書を送ったら送り返してくれるらしいんですけど、その数日後にギブソンが破産して」

――ああ!

西田「保証書がないんです。いまのところ保証されてないんです。僕のギターは。そやな、これニュースやわ!」

マイケル「買って一週間とかやったな」

西田「買い物下手なやつみたいになってるな」

――それは早く連絡があるといいですね。連絡あったらツイートしてくださいよ

西田「“保証書がきました”って?(笑)」

(おわり)

取材・文/石角友香




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