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2018.01.15

SING LIKE TALKING『Heart Of Gold』インタビュー――シンプルなアプローチが生み出した30年目の最新作

2018年、デビュー30周年のメモリアルイヤーを迎えるSING LIKE TALKING。前作『Befriend』から4年半の時を経てリリースする最新作『Heart Of Gold』へのアプローチとこだわりを、佐藤竹善、藤田千章、西村智彦が語ってくれた。

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——2018年はSING LIKE TALKINGにとってデビュー30周年のメモリアルイヤーとなりますが、現在はどんな心境ですか?

佐藤竹善「まさにいま、平成という元号が変わろうとしていますけど、僕らがデビューして3、4ヵ月後ぐらいに昭和から平成になって、30周年を迎えようとするときにその時代が再び変わろうとしているので、ずいぶん長いことやってきたんだなあと、改めて思います」

——僕も個人的にSING LIKE TALKINGのデビューはよく覚えていて、デビューライヴにTOTOのジェフ・ポーカロがドラムスに、ネイザン・イーストがベースとして参加するという情報を耳にして、“すごいグループが出てきたなあ”と思った記憶があります。

佐藤「2017年2月にネイザン・イーストがビルボードライブ東京に出演したときに共演したんですけど、まさにそのデビューライヴ以来の再会でした。彼から“今度は30年も空かないようにしようよ”と言ってもらえたのがすごく嬉しかったですね」

——ニューアルバム『Heart Of Gold』は、2013年リリースの前作『Befriend』から4年半ぶりとなる作品になりましたが、これはデビュー30周年に合わせて制作したんですか?

佐藤「簡単にいうと、ずっとシングルをリリースしてきて、スタッフから“そろそろアルバムにまとめませんか?”って言われまして、ちょうど30周年でもあるし。それで、アルバムにするには3、4曲足りないから、じゃあ作ろうか。でも僕はシングルをずっと作ってきて燃え尽きていたので(笑)、藤田(千章)先生に“3曲お願いします”と。僕は1曲だけ書き下ろして、あとは西村(智彦)君にオープニングの「Prologue」を作ってもらって、めでたくアルバムとしての体を成した(笑)という感じですね」

——たしかに、2015年以降のシングル曲「Longing 〜雨のRegret〜」、「風が吹いた日」、「6月の青い空」、「闇に咲く花 〜The Catastrophe〜」がまとめて楽しめるので、その間のベスト盤という感じもしますね。

佐藤「元来アルバムレコードの始まりってそういうものですしね。コンセプトアルバムという概念が定着する以前の60年代は、こうしたタイプのアルバム作りが主流でしたけど、僕らはデビューの頃から70年代以降的なアルバムの作り方をメインにずっとやってきたので、今回はじめて60年代中頃以前のようなシンプルな制作過程でやってみて、こういうやり方もいいなと思っています。そのほうが今は、1曲1曲に集中して作れそうな気もしますしね」

——4年半の間、シングル曲以外でも集まって制作をしていたんですか?

佐藤「いえ、楽曲制作はそのシングルだけです。ただし、その間にライヴDVDの映像編集やミックス作業などもやっていたので、そういう意味ではずっとクリエイティヴな状態でしたし、自分たちのなかでは楽曲制作もライヴ映像の編集作業も同じテンションなので、ずっと作り続けているような感覚でしたね」

——SING LIKE TALKINGといえば、AORやファンク、ジャズ、ワールドミュージックなどのあらゆる音楽を独自のフィルターを通して表現しているという印象がありますが、今回の『Heart Of Gold』における音楽的特徴は?

佐藤「ますます何でもありになってます」

藤田千章「もはや色々ありすぎて、よく分かりません(笑)」

佐藤「ジャズやヘヴィーメタルまで入ってますからね。「Hysterical Parade」の間奏やバンプにはマイルス・デイヴィスがファンクにアプローチした『ビッチェズ・ブリュー』の頃のようなセクションが入ってますし、かと思えば、エンディングの西村君のギターはヘビメタですし。ほかにも、爽やかなサーフミュージック系あり、いま流行りのエレクトロミュージックありと、とにかく何でも入ってます。ファミレスみたいな感じ(笑)」

——そうしたアイデアは、どうやって生まれるんですか?

佐藤「僕らは曲を書いた人がアレンジをやるのが基本なので、ベーシックな方向を決めたうえで三人でやり取りをしていく感じですね」

——藤田さんがアルバム用に書いた3曲というのは?

藤田「「Closer 〜寒空のaurora〜」、「Be Nice To Me」、「Holy White Night」です」

——「Be Nice To Me」は得意のファンクナンバーですね。

藤田「ひとことでファンクといっても、ニュアンスだったりルーツ的な要素は毎回違っていたりするんです。「Be Nice To Me」みたいなPファンクっぽい曲は、これまで作ってなかったと思います」

——竹善さんのヴォーカルは、キャメオの「ワード・アップ」を彷彿させます。

佐藤「まさにそうです。ジェイムス・ブラウンからジョージ・クリントン、キャメオまで脈々と続くファンクの系譜という部分は、昔からよく真似して歌ってましたから」

——同じく藤田さんが書かれた「Holy White Night」は、とても悲しいバラードですね。

佐藤「いったい何があったんでしょうか?(笑)」

藤田「そういうフリはやめなさいよ(笑)。別に何もありませんから」

佐藤「ある人に指摘されたんですけど、今回のアルバムは春、夏、秋、冬の流れになっていると。言われてみれば確かにそうだな。春っぽい「Prologue」からはじまって、「Be Nice To Me」から夏になる。「Be Nice To Me」のヴォーカルは、千章の仮歌よりも数倍暑苦しくしましたからね(笑)。それで「Longing 〜雨のRegret〜」から秋になって、「The Ruins 〜未来へ〜」が初冬、「Holy White Night」が真冬ですよね」

——言われてみれば、そういう季節的な流れが心地よい情感として感じられますね。個人的には「風が吹いた日」がすごく好きで、これは名曲だなと。

佐藤「いい曲ですよね!自分で言うのも何ですけど(笑)」

藤田「君って幸せな人間だね(笑)」

佐藤「シングルを作ったときは、特別そこまでは思わなかったんだけど、アルバムの1曲として聴いてみて、改めていい仕上がりだなと思ったんですよね。あと面白かったのは、11曲目の「Holy White Night」と、ボーナストラック扱いの12曲目「闇に咲く花 〜The Catastrophe〜 (Single Version)」との間が12秒空いているんですけど、エンジニアやディレクターが“12秒にしましょう”って主張したのでそうしたんですけど、僕のなかでは10秒でも15秒でも大して違いはなかったんです。でも千章も12秒がいいと言うので、そうなったんですよ。そのへんのこだわりが結構面白くてね」

——それぞれに思い入れのある曲や印象に残っている曲などがあれば、教えてください。

藤田「そういう質問って、すごく難しいというか、なかなか答えようがないというか。僕らはアルバムのすべての作品に全力で取り組んでいるので、そこに優劣は付けられないんですよ。だから、アルバムとして聴いてくださいとしか言いようがないですね」

佐藤「特に今回は、ずっとシングルが続いていたので、より一層その思いが強いですよね」

——リスナーの人たちにはどんなふうに聴いてほしいですか?

佐藤「デビューの頃からずっと言ってますけど、自分たちがいちばん聴きやすい環境で聴いてもらいたいですね。今回のアルバムは、たとえば2001年の『METABOLISM』みたいな作品よりは聴きやすいと思うし、ドライヴとかリゾートにも合うんじゃないかなと。僕もそうですが、リスナーの人たちって音楽を音楽として聴かない時間も多いじゃないですか。BGMとして流れているときがそうだし。生活に寄り添って成立しているものでもありますしね。今回はアルバム・タイトルの“Heart Of Gold”にも表われているように、主人公が優しい楽曲が多いので。もちろん、ヘッドホンをして隅々まで耳を凝らしてオタクっぽく聴いてもらっても、ちゃんと丁寧にやってるので自信を持っておすすめしたいです」

藤田「さっきの話と重複するかもしれないけど、僕らのなかでは、結構新しい作り方のアルバムというか。シングルとして作ってきたものを集めているので、オムニバスっぽいし、ベスト盤っぽい。これまでだったら、仮に4年半も空いていたら3年半は別のことをして、アルバム制作には1年とか半年の期間を集中して仕上げるというパターンでやっていたと思うんだけど、今回はそれとは違うアプローチで作ったので、僕らにとっても新鮮な作品ですし、ファンの方々にも同じように感じてもらえたらと思います。シングルが散りばめられているので、さきほど話に出たような、ドライヴやBGMとしても聴きやすいかもしれないけど、SING LIKE TALKINGという名前から直接そこに結びつくことに関しては“いや、そんなことはないんだけどな”とは思いますけどね」

佐藤「確かに。宣伝文句として“ドライヴやBGMに合うアルバム”と太字で載ったら、とても悲しい(爆笑)。あくまで、そういうアルバムでもあるよということで、そういうアルバムだということではないですから(笑)」

藤田「とはいえ、音楽的にどうこうよりも、あまり構えずに聴いていただけたらと思います」

——今回の制作過程が、また次の作品へと繋がりそうな感じはありますか?

佐藤「そうですね。毎回テクノロジーは変化していくし、レコーディングのやり方も変化していくんですけど、三人のやり取りさえしっかりやっておけば、その時々でいちばん負担のない制作ができると思うんですよね。昔みたいに朝の8時まで作業して帰るみたいなことは、年齢的にできないので、ゆっくりと考えて色々と思いながら、生活のなかでふと作品が生まれるというか、そういうことの連続で、溜まったらアルバムという流れが、いまはいちばん良いんじゃないかなと思いますし、もしかしたら、この先に久々にズドンと集中したものを作ろうかという気持ちになったら、そういう作品もできるかもしれないですしね」

藤田「時代的な側面もありますよね。配信などでも音楽を楽しめるようになって、アルバムという概念が以前よりも薄くなってきているから、そういう意味では、今回のような制作の仕方というのは、時代に合っているのかな」

佐藤「今回はアナログ盤もリリースされますけど、そちらは骨董品的というか、お好きな人はどうぞ、という感じですね」

——僕は世代的に『Humanity』(92年)、『ENCOUNTER』(93年)、『togetherness』(94年)にハマって、聴きまくったひとりなのですが、『Heart Of Gold』は久々にハマりそうな予感がします。

佐藤「前々作の『Empowerment』(2011年)と前作の『Befriend』が、ちょっと内省的な要素が強かったかなと。あれはあれで良かったんですけど、そういう作品を作ったので、今回は久しぶりに気楽なものというか。それと、ここ3、4年はポップスを書くのが楽しいんですよ。音楽的チャレンジ云々よりも、歌っていて気持ちがよくて、サウンドがスッと入ってくるようなものを、自分でも書きたい感じなんです」

——それは一周まわって元に戻ったような感覚ですか?

佐藤「僕はデビューの時点ですでにくどかったですからね。それ以前の中学や高校時代の感じに、ようやく戻ってきたのかなと。それでも「Be Nice To Me」を録り終えたときは“どうだ!”って思いましたけどね(笑)」

——アルバムの少し前に発売されるライヴDVD『SING LIKE TALKING Premium Live 28/30 Under The Sky 〜シング・ライク・ホーンズ〜 Live at 日比谷野外大音楽堂 8.6.2016』も見ましたけど、ホーンセクションを加えたサウンドが『togetherness』の頃を彷彿させられて。

佐藤「今回のアルバムでホーンを使っているのは「風が吹いた日」と「Be Nice To Me」の2曲だけですけど、アルバム全体の印象もソウルフルで心地よい感じになりますよね。SING LIKE TALKINGとしては初の野音でしたけど、セミの鳴き声がずっと入っているので、音をまとめるのは大変でした」

西村智彦「真夏に野音はやるもんじゃないですよ(笑)。ちょうどお盆の時期で、とにかく暑かった。結構フラフラでしたよ。途中に休憩があったから、まだなんとかなったけど」

藤田「最初に出てきたときの竹善の表情と、終わったときの表情を見比べてみてください。疲弊しきってますから(笑)」

佐藤「今回は客席を重点的にシューティングしてくださいっていう注文を出したんです。ポール・マッカートニーのライヴ映像とかを観ると、全体の3割くらいは客席を映しているんですよ。お客さんの瞬間的な表情を捉えたいという、今回やっとその念願を叶えることができました」

——1月20日からスタートするライヴはどんな感じになりそうですか?

佐藤「ツアータイトルが“2018 The Tour with Next Generation”ということで、僕らの音楽を十代の頃に聴いていた若い世代のミュージシャンたちといっしょにやります。ファンの人たちにも、そうした要素をスパイスにして楽しんでもらえたら嬉しいです」

——最後に、30周年に向けてひとことお願いします。

佐藤「2018年は10月頃まで30周年イヤーで走り続ける予定なので、ぜひ楽しみにしていてください。ツアーもやります」

(おわり)


取材・文/木村ユタカ





SING LIKE TALKING『Heart Of Gold』
2018年1月17日(水)発売
初回限定盤(CD+DVD)/UPCH-7381/4,000円(税別)
通常盤(CD)/UPCH-2146/3,200円(税別)

2018年2月21日(水)発売
アナログ盤/UPJH-9059/4,20円(税別)
ユニバーサルミュージック


『SING LIKE TALKING Premium Live 28/30 Under The Sky 〜シング・ライク・ホーンズ〜 Live at 日比谷野外大音楽堂 8.6.2016』
2018年1月17日(水)発売
Blu-ray/UPXH-106/8,000円(税別)
ユニバーサルミュージック


『SING LIKE TALKING Premium Live 28/30 Under The Sky 〜シング・ライク・ホーンズ〜 Live at 日比谷野外大音楽堂 8.6.2016』
2018年1月17日(水)発売
DVD/UPBH-1453/7,000円(税別)
ユニバーサルミュージック






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