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2017.09.25

シェネル『メタモルフォーゼ』インタビュー——信じた音楽に導かれるままに

洋楽とJ-POP、ふたつのシーンをボーダレスに横断する稀有なシンガー、シェネル。6月に『Destiny』をリリースし、早くも最新作となるインターナショナル・アルバム『メタモルフォーゼ』をリリースしたシェネルが、自分自身との葛藤の末に生み出したニューアルバムについて語ってくれた。

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——ワールドワイドなルーツを持ち、2007年にアルバム『Thing Happen For A Reason』で世界デビューしたシェネルさんですが、本作『メタモルフォーゼ』は、インターナショナル・アルバムとしては、2010年の『Feel Good』以来7年ぶりのリリースになりますね。

「なぜ7年もかかったかというと、ひとつには日本での活動が忙しかったから。アルバムを出し続けて、それライヴ、プロモ活動に専念していた。と同時に、正直なところ、“いい作品が出せないんじゃないか?”、“気に入ってもらえる作品が作れないんじゃないか?”という恐怖心が私の中にずっとあったからだと思う。でも、そこから学んだの。“いい作品になるかどうかなんて、作ってみないとわからないじゃない”と自分に言い聞かせたの。そしてとにかくありのままの自分を出した作品を作ってみようと思った。自分にできることは、自分が心から作りたいと思った作品を作ることだから。世に出さないまま、自分の中に溜め込んでいてはダメだと思った。アーティストとして表現する才能を与えられた以上、やってみるべきだと思ったの」

——デビュー10周年という節目でもありますね。

「レーベルの担当から言われるまで知らなかったの(笑)。10周年だと知らされて、なんて偶然!素敵!と思ったわ。きりのいい数字だし、アルバムを出すのにこれ以上ないぴったりのタイミングだと思ったわ」

——過去2作のインターナショナル・アルバムよりも楽曲の降り幅が大きく、非常にスケールの大きゴージャスなサウンドに耳を奪われました。シェネルさん自身の感想は?

「まず自分自身の成長が大きかったと思うし、いろいろな音楽から影響を受けて、その中で自分がどういう音楽と相性がいいかということもわかってきた。時間の経過とともに、経験も積んで、ひとりの人間として成長する中で、いろいろな物語が自分の中で蓄積されていった。特にこの数年間に影響を受けてきた音楽がサウンドにつながっているし、私が心からこれだ!と思えるものかにこだわった。トラックを聴いたとき“これは今の私に何か訴えてきているのか?”、“私が伝えたいことを表しているのか?”、“私の伝えたいメッセージ、身も心も表しているのか?”って」

——プロデューサーには、シェネル作品でお馴染みのMario “Silver Age” Parra、そしてあのブルーノ・マーズ、The Stereotypes 、自身もミュージシャンであるKortney “Mali Music” Pollardなどビッグネームが名を連ねました。彼らとの仕事はやはり刺激的でしたか?

「すごく楽しかったわ!たとえばThe Stereotypesとは、スタジオが正に相乗効果と言える雰囲気だった。彼らがプロデュースをした3曲とも、The Stereotypesがビートを作っているとなりで、私とCJがメロディーと歌詞を同時進行で書いていったの。絵に描いたような共同作業よ。お互い意見を交わしながら、彼らも耳を傾けてくれた。最高の化学反応だったから、彼らにもまたいっしょにやりたいと伝えたわ」

——アルバムは、神秘的なイントロの「Home」で幕を開けます。情感あふれる歌声も印象的です。

「みんなこれまで心の痛みや性的関係について歌うシェネルを知らなかったと思うの。このアルバムは心の痛みや性的関係についてのアルバムだと思っている。心の痛みは、失恋や傷心、裏切りだったりする。楽しげな曲は性的なものが多いわ。皮肉や遊び心もたくさんある。友達からは、“また下ネタを言って!”と言われるわ(笑)。本作では、そういう面も楽しい形で表現したかったの。私はアーティストとして、みんなが口に出すのは恥ずかしい、あるいは怖いと思っていることを声にすることが使命だと思っているし、そうすることで、聞いた人たちにとって少しでも生きるヒントになればいいと思っている。楽しくて、セクシーなアルバムだと思うけど、暗い部分もある。でもそれは決して悪いことではないし、私たちが生きていく上で、苦しみや辛さは避けて通れないものだから」

——「Home」では、より自らが望む世界へ向けて踏み出した場所を、“ここが私の居場所”だと歌っていますが、それはご自身のキャリアを重ね合わせているように思えますね。

「だからこの曲をアルバムの1曲目にしたの。“みんな、これはシェネルが自分らしくいられる自分の居場所を見つけて、ありのままの自分をみんなと共有して、みんなにも楽しんでもらいたいという思いを込めた作品です”とアルバムを紹介しているの。これは私にとってのホームよ。音楽的にもそうだし、ようやく自分の居場所にたどり着いた。それをすごく実感しているわ」

——M3「Love You Like Me feat. Konshens」では、タイトルどおりレゲエ界のニュースター、KONSHENSがフィーチャリングしています。彼が参加した経緯を教えてください。

「まず、彼のシングル「Bruk Off Yuh Back」が大好きだったの。そしたらEmpireというディストリビューターに彼を紹介してもらう機会があったの。Empireのパーティーにアンダーソン・パークのパフォーマンスを見に行ったとき、紹介してもらったの。KONSHENSのライヴも見れて、そこで彼は意気投合して、もし良かったら私の歌に参加してくれない?と聞いたら、いいよと言ってくれたの。イェーイ!と思ったわ(笑)」

——M5「Space and Time」のように、シンプルなサウンドレイヤーの中でコーラスを歌うのは、世界的なトレンドのひとつです。以前、日本ではまだ「今現在に世界で騒がれているサウンドを使って音楽を作るといったことが起きていない」と言っていましたが、そうしたアプローチを日本のリスナーにも提示したいという思いはありましたか?

「世界で注目されているサウンドを提示したいというのが狙いだったとは思わないわ。世界的に見ても、いろんなサウンドが混在していると思うし。そんな中、自分はたまたま最新のサウンドが入ってくる状況にいる、というだけで。ただ、人の心に残るメッセージがあって、みんなが歌いたくなるようなキャッチーなメロディーの曲を作りたいという思いで書いた曲よ」

——The StereotypesがプロデュースしたM6「Afterlife」は、最も実験性の高いサウンドに、ユニークでキュートなシェネルさんのボーカルが特徴的です。The Stereotypes は、M4「Lie To Me 」、M9「Hand It Over」にも参加していますが、どの楽曲も特徴的だし、完成度も高いと感じました。

「自分でもどんな曲に仕上がるのか予想できなかったわ。まず「Love You Like Me」のようなダンスホールっぽい雰囲気の曲が欲しくて「Lie To Me」を作った。サマーソニックのようなフェスで歌うのにぴったりな曲が欲しかったので「Afterlife」を。あとは……ファンキーなバンドサウンドが欲しくて「Hand It Over」を作った。私がそれぞれの曲に思い描いたイメージがそのまま形になったと思う。すごく満足しているわ」

——M7「Shadow」は日本のリスナーも馴染み深い、スケール感のあるバラードになっています。個人的に、日本語詞でも聴いてみたいと思ったのですが……

「本当!?」

——はい(笑)。英語と日本語で歌うことの違いや、心がけていることはありますか?

「まず、そもそも違う言語だというところ。だから発音も違うし、発声法も違ってくる。それがいちばん大きな違いね。歌う時に感情を込めて思いを伝えるという点においては、違いはないと思うわ。どの言語で歌おうと、同じように感情を込めて歌う。だから大きな違いは言葉の発音と発声法ね」

——M11「F.U.N.」では、ミュージシャンとしても活躍しているKortney “Mali Music” Pollardを迎えています。

「彼がある日スタジオに遊びに来てくれて、ジャムってくれたの。楽器パートで参加してくれたわ。彼はゴスペル界から出て来たすごく才能あるミュージシャンよ。夫や義理の姉も彼のことを良く知っていて、昔からの付き合いよ。だから、すごくリラックスした雰囲気だったわ。友達が遊びに来てくれて、いっしょにジャムって曲ができた、という感じ。仕事やビジネスという感じがしなかった」

——M12「Remember My Name feat. MIYAVI」にはMIYAVIが参加しています。アルバム『Destiny 』に収録されていた日本語詞バージョンと較べて、終盤のギターソロはもちろん、さまざまな角度で楽曲に彩りを添えています。

「彼は彼らしさ、彼の世界感をこの曲に持ち込んでくれたわ。MIYAVI自身、音楽性が確立されたアーティストであって、彼独自のサウンドがある。この曲でそれを発揮してもらいつつ、彼の世界と私の世界をいいバランスで共存させたいと思った。魔法のように素晴らしい新境地を切り開いた曲になったと思う。彼が参加してくれて本当に感謝している。どんな仕上がりになるか予想できなかったけど、完成した曲を聴いて、参加してもらってよかったと思っている。本当に夢のような曲よ」

——アルバムタイトルのメタモルフォーゼは、変化や変身を意味します。シェネルさんにとって新たなキャリアのスタートを思わせる作品になっていると思います。以前のインタビューで「自分の意志としては新しいものを出して、日本のリスナーにもインパクトを与えていきたい」と言っていましたが、今後の日本での活動について教えてください。

「まず今作をできるだけ多くの人に知ってもらいたい。そして日本に行ってできるだけ多くの人の前でパフォーマンスしたい。パフォーマンスをすることこそが自分がいちばん輝ける瞬間だと思うし、ステージが一いちばん心地いい場所だと思っている。それは日本でも、それ以外の場所でも同じ。次回作のことを考える前に、まずはできるだけ多くの人の前でパフォーマンスしたいと思っている」

——シェネルさんがシンガーとしての豊富なスキルを持っていることは本作でも明らかですが、ブルーノ・マーズやテイラー・スウィフトのようにポップに突き抜けていくのか、はたまたはアデルのように重厚で成熟した世界を築き上げてゆくのか……

「正直、自分を型にはめたくないので、音楽に導かれるまま行けるところまで行きたいと思っているわ。何があろうと、自分が信じた音楽を出し続ければ、どんな存在になっていくかは自ずと決まってくると思う。それが成熟した歌姫なのか、ポップスターなのかはわからない。私がわかっていることは、自分の音楽を世に出して、パフォーマンスして、自分らしさを失わないこと。そうすることで、私のあるべき姿が自然と形になっていくものだと思う。どうなるか自分でも楽しみよ」

——10th ANNIVERSARY JAPAN TOURも楽しみですね。

「今回、日本では初めてバンドセットでのパフォーマンスになるので、私自身もすごく楽しみよ。みんなにもとにかく楽しんでもらいたいし、いっしょに歌って音楽の世界に浸ってもらいたい。ライブ演出を手掛ける夫のGと、最高のショウになるよう相談しているところよ。『メタモルフォーゼ』の曲を中心に披露するつもりだけど、もちろんこれまでのヒット曲もやるわ。曲について深い話もいろいろできると思っている。みんなも楽しみにしていてね!」


(おわり)


取材・文/杉岡祐樹
構成/encore編集部





シェネル『メタモルフォーゼ』
2017年9月6日(水)発売
UICV-1087/2,200円(税別)
Virgin Music




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